菊芋(キクイモ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- 菊芋(キクイモ)
- 学名
Helianthus tuberosus
- 英名
- Jerusalem artichoke
- 和名
- キクイモ
- 別名・流通名
- ブタイモ、カライモ
- 科名
- キク科
- 属名
- ヒマワリ属
- 原産地
- 北アメリカ北東部
菊芋(キクイモ)の特徴
菊芋(キクイモ)は、キク科ヒマワリ属の宿根草です。生長すると、草丈は1~3mにもなる繁殖力の強い植物です。土壌をあまり選ばない、育てやすい植物ですが、同じ場所で連作すると収穫量が落ちるようです。
菊芋(キクイモ)は、菊に似た黄色い花を咲かせます。この花の特徴である「菊に似た花を咲かせる芋」として名前の由来にもなっています。秋に花を咲かせた後、生姜の形に似たイモ「塊茎(かいけい)」を作ります。
※塊茎(かいけい)とは、地下茎の一部が澱粉(でんぷん)などを貯蔵している部分。塊茎の代表として有名なのはジャガイモです。
菊芋(キクイモ)の繁殖力の凄さは、河川敷や農耕地で雑草化して問題となり、外来生物法で「要注意外来生物」にも指定されています。
菊芋(キクイモ)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
---|---|
草丈・樹高 | 1~3m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | 弱い |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 9月~11月 |
菊芋(キクイモ)の歴史
アメリカ大陸北東部原産の菊芋(キクイモ)は、北米インディアンによって昔から食料として食べられてきました。
菊芋(キクイモ)は1600年代にヨーロッパ各地へ伝えられた後、日本に伝わりました。幕末から明治の初め頃、主に飼料用作物として広められたため、菊芋(キクイモ)の別名として「ブタイモ」と呼ばれることがあります。
食糧として菊芋(キクイモ)が注目を浴び始めたのは、第二次世界大戦以降のことです。食糧難の時代に、菊芋(キクイモ)の繁殖力の強さから、国民の飢えをしのぐ貴重な食料となりました。
美容や健康効果で人気の菊芋(キクイモ)
現在、欧米はもとより、日本でも菊芋(キクイモ)は天然のインシュリンといわれる「イヌリン」の成分を豊富に含んでいることからとての注目を集めている野菜のひとつです。
菊芋(キクイモ)は要注意外来生物
天然のインシュリンとして注目を集めている菊芋(キクイモ)ですが、とても強い繁殖力を持ち、放置していると在来種を駆逐する恐れがあるため、要注意外来生物 に分類されています。
菊芋(キクイモ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
収穫 | ||||||||||||
開花 |
菊芋(キクイモ)の栽培環境
日当たり・置き場所
菊芋(キクイモ)は日当たりを好みます。草丈が大きく生長しますので、風の強いところで栽培すると倒伏する恐れがあります。その際は、支柱など立てて育てるとよいでしょう。
温度
菊芋(キクイモ)は全国的に栽培可能な野菜ですが、菊芋(キクイモ)の収穫を充実させるためには、冷涼な地域で寒暖の差がある地域の方が品質は良いようです。
用土
プランター栽培の菊芋(キクイモ)は、野菜用の培養土で育てましょう。
畑栽培の菊芋(キクイモ)は、堆肥や元肥を入れる2週間前位には石灰を入れ耕しましょう。その後堆肥と元肥を入れ土になじませ、石などをきれいに取り除いておきましょう。
菊芋(キクイモ)の育て方のポイント
水やり
涼しい環境の中、地植えで育てている菊芋(キクイモ)は、水やりは天候に任せていても問題ありません。
肥料
菊芋(キクイモ)は追肥はほとんど必要ありませんが、元肥(特にカリ)は入れてあげると、菊芋(キクイモ)の生育がよいようです。
病害虫
病害虫の心配は要りません。
菊芋(キクイモ)の詳しい育て方
選び方
菊芋(キクイモ)は保存状態の良い、40~50g程の大きさの種イモ「塊茎(かいけい)」を選びましょう。
菊芋(キクイモ)の種類は、白色種と紫色種があります。
種まき
菊芋(キクイモ)は種まきではなく、主に種イモ「塊茎(かいけい)」を植え付けて育てます。
植え付け
菊芋(キクイモ)の植え付けは晩霜の心配がなくなったらすぐに植え付けます。
関東では3月上旬頃、冷涼地では4月下旬から5月中旬頃までに植え付けると、菊芋(キクイモ)の収量が増えるようです。
旺盛に生育しますので、株間は1mほどの余裕をもって植え付けると良いでしょう。
植え替え・鉢替え
菊芋(キクイモ)は連作には適していません。そのため、翌年栽培する場合は、違う場所に植え替えるか、堆肥などをよく施し、土に栄養を与えてから育てましょう。
花
9月~10月頃、菊に似た直径8~10cm程の黄色い花を咲かせます。
収穫
菊芋(キクイモ)の開花後、急に「塊茎(かいけい)」部分が肥大します。霜が降りるようになったら、地上部を20㎝程残して刈り取り、11月下旬以降試し掘りをしながら収穫します。
また、収穫後の菊芋(キクイモ)は日持ちがしないため、必要な分だけ順次収穫しましょう。
収穫時に塊茎(かいけい)を土の中に残しておくと、翌年また勝手に生育を始めますので、収穫の際は掘り残すことのないように注意しましょう。
夏越し
菊芋(キクイモ)は夏越しのための特別な準備は必要ありません。
冬越し
塊茎(かいけい)は、土の中で冬を越すことができます。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
菊芋(キクイモ)は主に種イモ「塊茎(かいけい)」で増やします。
菊芋(キクイモ)の芽かき
ひとつの種イモ「塊茎(かいけい)」から、多数の芽が出ている場合は、2~3本程だけ芽を残し、後は取り除いた方が良く菊芋(キクイモ)が育つようです。
菊芋(キクイモ)の土寄せ・中耕
草丈を伸ばし、ぐんぐんと生長しますので、花が咲く前の6月~7月頃に土寄せ・中耕をしましょう。9月以降は花が咲き、その後塊茎(かいけい)が大きく生長するので、それ以降の土寄せ・中耕はしません。
※中耕とは、作物の生育中に雨で固まった土を程良くほぐし、同時に除草、作物の根元への土寄せを行うことで、良い影響を与えることです。作物の成熟期に行うと、悪影響にもなるので、作物ごと中耕の時期には留意しましょう。