カブ(蕪)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- カブ(蕪)
- 学名
Brassica campestris
- 英名
- Turnip
- 和名
- 蕪
- 別名・流通名
- カブラ、カブナ、カブラナ、スズナ
- 科名
- アブラナ科
- 属名
- アブラナ属
- 原産地
- 中央アジアおよびヨーロッパ西南部
カブ(蕪)の特徴
カブはアブラナ科の大根と並ぶ代表的な一年草の根菜で、日本書紀(日本の歴史書)にも記録されているほど、栽培の歴史が古い野菜です。地方に応じた独特の品種が多数栽培されています。
カブの葉=すずなと言われ、鈴菜、菘(すずな)と書きます。これは丸くて白い根の形を鈴に見立てたものです。すずなは春の七草にも数えられていて、大根とは異なり、葉がついた状態で販売されることが多いです。
収穫適期になると、カブは土の上にその姿のほとんどをさらしています。普段食べているのは、じつは胚軸という部分で、根は土の中のヒゲ状のものをさします。
丸い胚軸の大部分は水分ですが、ビタミンCやカリウム、消化酵素のジアスターゼが含まれています。それよりも栄養価が高いのが葉の部分で、カロテン、ビタミンC、カルシウムなどが豊富に含まれています。
カブ(蕪)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
---|---|
草丈・樹高 | 30~50cm |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや弱い |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 3月~5月 |
カブ(蕪)の種類
スワン
甘くてやわらかいので生食も美味しいです。小カブのうちから随時収穫でき、中大カブまで育てることができます。肉質が良く、「す」入りが遅いと言われています。
本紅丸かぶ
生育旺盛で育てやすく、胚軸の部分の皮、茎、葉脈が紅色の赤カブ。切り口は白色です。
日野菜(日野菜カブ)
滋賀の伝統野菜のカブ。細長い大根のような見た目で、漬け込むとピンクに染まることから、漬物は桜漬けと呼ばれています。
カブ(蕪)の花言葉
大根とカブ(蕪)の違い
大根とカブはよく似ていて、二十日大根や聖護院大根は丸いので一見するとカブのようだったり、日野菜カブという品種はとても細長くまるで大根のようです。では、両者の違いは何なのでしょう。
大根は、胚軸と根が太ったものです。大根の上の方はつるんとしていますが、下の方にはひげ根や根が付いていた痕跡があります。
一方、カブは、胚軸だけが太ったものなので表面全体がつるっとしています。先っぽについている細長いひげのようなものが根です。
ダイコンの花は白や薄紫色で、カブの花は黄色です。花が咲くと区別がつきやすいですが、花が咲く前の美味しいうちに収穫することが多いので、花が咲くまで育てることはなかなか無いかもしれません。
加熱すると大根は煮崩れしにくいですが、カブは煮崩れしやすい特徴があります。
諸葛菜(しょかつさい)と呼ばれるカブ(蕪)
中国の後漢末期から三国時代の軍師として知られる諸葛亮(字は孔明)が、「行軍の先々でカブを栽培させては食料とした」という逸話が残っていることにちなんで、カブを諸葛菜(しょかつさい)と呼ぶことがあります。カブはやせた土地でも栽培できることや、寒さにも耐え収穫も早いので、貧しい農民から感謝をこめて名付けられたそうです。ちなみに、日本では「諸葛菜」と言えば「オオアラセイトウ(ムラサキハナナ)」という植物のことをさすようです。
カブ(蕪)の保存方法
カブは葉がついたまま保存すると葉が根の水分を吸い上げてしまうので、根と葉はすぐに切り分けて、それぞれをポリ袋にいれて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
カブ(蕪)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
収穫 |
カブ(蕪)の栽培環境
日当たり・置き場所
カブは日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。
温度
カブの生育適温は15℃~20℃で冷涼な気候を好みます。春まきと秋まきの年に2回作ることが出来ます。
用土
カブは肥料が多すぎると葉だけ伸びてしまうため、元肥の量は他の野菜と比べて少し控えめにします。
プランター栽培のカブは、野菜用の培養土で育てましょう。
畑栽培のカブは、植え付け前に土を耕す準備が必要です。畑の土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。
なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに種まきや植え付けができます。
カブ(蕪)の育て方のポイント
水やり
発芽するまでは、土を乾かさないように水やりをします。発芽後は、土の表面が乾いた時に水やりを行います。 また、胚軸の肥大期に水分が足りないと割れてしまう原因となるため、肥大してきたら水やりには気をつけましょう。
肥料
2回目の間引き後に、2週間に1回程度追肥します。
カブ(蕪)の詳しい育て方
選び方
カブは、形・色・味の違う品種がたくさんありますので、好みの種類の種を選びましょう。
種まき
カブは直根性のため移植には向きません。畑やプランターに直まきしましょう。
小カブの種は、すじ状にまき、水を絶やさないように管理しながら発芽を促します。
大カブは、一か所に4~5粒の点まきにするか、すじ状にまいて、間引き菜を食べるのも楽しみの一つです。
カブは好光性種子のため、光が当たりやすいように覆土の量は、少なめを心がけましょう。
カブの間引き
すじまき(小カブ~大カブ)
1回目 双葉がそろったら2~3cm間隔。
2回目 本葉2~3枚の頃5~6cm間隔。
3回目 本葉が5~6枚の頃、大かぶは15~17cm、小かぶは8~10cm間隔。
点まき(大カブ)
1回目 双葉がそろったら3本立ち。
2回目 本葉2~3枚の頃2本立ち。
3回目 本葉が5~6枚の頃1本立ち。
植え付け
主に種をじかにまいて育てるので、植え付け作業はしません。もし、植え付けを必要とする場合は、カブの根が直根性という性質から、できるだけ早い段階で植え付けを行いましょう。
花
カブはとう立ちすることで花芽を付け、黄色い花を咲かせます。
収穫
品種によって異なりますが、小カブは直径4~5cm、大カブは直径8~12cmくらいになったら株元の葉を持って引き抜きながら順に収穫しましょう。収穫が遅れると、「す」が入ったりひび割れをおこしたりするので、早めに採りましょう。
※「す」が入る…根に蓄えられている栄養が葉に送られてしまい、スポンジのように中身がスカスカになること。
気温にもよりますが、収穫は小カブなら種まき後40日~50日ほどで、大カブなら種まき後70日後位が目安です。