明るさと湿度の環境別、苔(コケ)の種類と育て方ガイド

土屋 悟

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監修、写真提供

石河英作(道草)
コケをはじめとする植物ブランド「道草」を主宰する苔クリエーター。たくさんの人に様々な植物を身近に楽しんでもらえるよう、様々な提案や作品づくりを行う。

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苔は種類によって好む明るさや湿り加減が異なります。合った環境であればよく育ちますし、元気な姿を長く楽しむことができます。自分が苔を育てようとしている環境や使ってみたい容器に合った苔を選び、適切な管理をするようにしましょう。

目次

苔(コケ)の育ちやすい環境とは?

苔と一口に言っても、明るい敷石の隙間に生えているものやうっそうとした林の樹木の木肌に映えているものなど様々です。

苔と一口に言っても、明るい敷石の隙間に生えているものやうっそうとした林の樹木の木肌に映えているものなど様々です。

元々生えている場所が異なると、それぞれに好む明るさや湿り具合も異なります。いずれの場合も言えるのは、他の植物が生えないような場所に生えているということ。

逆に、他の植物が生い茂るような場所であれば、苔は圧倒されて生きられる場所を確保することができません。他の植物であれば育つことができないような暗い場所や、根を下ろすのに十分な土がない場所であっても、苔は育つことができます。

そのため、他の植物が育てにくい部屋の中であっても、苔を育てられる場所があります。スナゴケなどは苔としては比較的強い光があって乾燥する環境でも生えていますが、苔は極度な乾燥や強光の環境は苦手です。苔が好む環境は、下の図のような乾湿、明るさの環境のものが多いと言えます。

 

苔が好む環境

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A:戸外の日なたなどに生息!明るく乾いた環境を好む苔

先ほどの図でいうと左下に入るような明るくて乾いた環境を好む苔は、戸外の日なたなどに生える苔です。明るい光と風通しのよい環境を好むため、ガラス容器に入れたり、室内で観賞するコケテラリウムにはあまり向きません。

先ほどの図でいうと左下に入るような明るくて乾いた環境を好む苔は、戸外の日なたなどに生える苔です。明るい光と風通しのよい環境を好むため、ガラス容器に入れたり、室内で観賞するコケテラリウムにはあまり向きません。

歩道の敷石の隙間などに生えているギンゴケやホソウリゴケ、ポット苗を買ったときに土の表面に生えているヒョウタンゴケなどがこれに当たります。

 

A:戸外の日なたなどに生息!明るく乾いた環境を好む苔

乾燥を好む種類ならスナゴケがおすすめ

乾燥と明るさを好むタイプの中では、他の種類に比べると、比較的多湿な環境にも耐えるスナゴケがおすすめです。

乾燥と明るさを好むタイプの中では、他の種類に比べると、比較的多湿な環境にも耐えるスナゴケがおすすめです。
フタのないガラス容器などに植え、明るい場所で育てましょう。乾燥を好むので、土が乾き始めてから水を与えるようにします。

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B:お店で入手しやすい!適度な乾燥を好む苔

B:お店で入手しやすい!適度な乾燥を好む苔

スナゴケほど乾燥には強くありませんが常に湿った状態は好まず、あまり暗い環境が好きではないグループです。よく園芸店やホームセンターなどでも販売されているハイゴケやホソバオキナゴケなどがこのグループに含まれます。

手に入れやすい苔なので初めて育てる苔がこれらの苔ということも多そうですが、湿らせすぎに注意してください。スナゴケ同様フタのない容器に植え、容器に水がたまらないように管理します。その他、フデゴケなども同様の管理で育てることができます。

ハイゴケ

這うように伸び広がっていくために「這い苔」と呼ばれます。丈夫で乾燥に強く、傷みが目立ちにくいのがよいところ。その反面、水が足りているかどうかが判断しにくいので、土の乾き具合を見ながら水やりをしましょう。夏の暑い時期に水がありすぎると傷みやすいので、水のやりすぎに注意して下さい。

這うように伸び広がっていくために「這い苔」と呼ばれます。丈夫で乾燥に強く、傷みが目立ちにくいのがよいところ。その反面、水が足りているかどうかが判断しにくいので、土の乾き具合を見ながら水やりをしましょう。夏の暑い時期に水がありすぎると傷みやすいので、水のやりすぎに注意して下さい。

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C:開閉式容器で育てるのがおすすめ!適度な湿り気を好む苔

C:開閉式容器で育てるのがおすすめ!適度な湿り気を好む苔

グループBよりもさらに光が少なくても育つタイプです。常に適度な湿り気がある環境を好みますが、フタをした密閉環境だと徒長してしまうことがあります。口の小さなガラス容器など、過剰な湿り気が外に逃げるような容器がおすすめです。オオシラガゴケは比較的乾燥に耐えますが、コツボゴケは乾ききると傷むので、水切れに注意しましょう。

タマゴケは比較的冷涼な気候を好む苔です。暑さを避けられる、風通し良く涼しい場所で育てましょう。

コツボゴケ

ちりちりとした細かな葉が美しい苔です。非常に生長が早く、増やしやすい苔です。空気中の湿り気を好む苔で、乾燥させると傷みますが、逆にあまり高湿度だと徒長することがあります。適度に通気があるような環境、容器で育てると締まった姿に育ちます。

ちりちりとした細かな葉が美しい苔です。非常に生長が早く、増やしやすい苔です。空気中の湿り気を好む苔で、乾燥させると傷みますが、逆にあまり高湿度だと徒長することがあります。適度に通気があるような環境、容器で育てると締まった姿に育ちます。

オオシラガゴケ

オオシラガゴケ

乾燥すると葉の先が白っぽくなることが白髪のようであることから名前が付けられた苔です。新芽も白っぽい色をしていて、伸びるにしたがって緑色になっていきます。過度な湿り気は苦手なので、密閉容器での栽培は避けましょう。

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タマゴケ

タマゴケ

タマゴケは早春につける球状の胞子体がかわいらしい種類です。秋から春にかけての気温があまり上がらない時期によく生育します。逆に夏の暑さには弱く、30℃を超えるような高温は苦手です。夏の間は、人が快適に感じる程度にエアコンなどで空調をしてある環境に置くと傷ませずに夏越しをすることができます。

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D:蓋なしの容器で育てるのがおすすめ!暗い場所でよく育つ苔

D:蓋なしの容器で育てるのがおすすめ!暗い場所でよく育つ苔

比較的暗い場所でもよく育つ苔です。多少の乾きは平気ですが、土が湿りすぎず空中湿度が適度にあるような環境を好みます。

シノブゴケ

シノブゴケ

細かく葉が枝分かれし、繊細な印象の苔です。空気の動きを好むため、フタのない容器での栽培に向きます。大きめのテラリウムで、岩などの側面に着生させたりするとよいかもしれません。シノブゴケに姿と育て方が似た苔にツヤゴケがあります。こちらの方がより乾燥に強い種類ですが、より明るい場所を好みます。乾いた時に葉に独特のツヤが出るのが魅力です。

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E:管理も楽な初心者向け!高い湿度と暗さを好む苔

E:管理も楽な初心者向け!高い湿度と暗さを好む苔

もともと薄暗い森林に生えている、あまり光が無くても育つグループです。北向きの小窓のそばや、人工照明でも育てることができます。また、高い湿度を好むので、フタのあるガラス容器に入れておけば管理も楽で、初心者向けのグループと言えます。

ヒノキゴケ

ヒノキゴケ

小さなヒノキの木のような姿のためこの名前で呼ばれている苔です。動物のしっぽのようなフサフサとした質感で、背が高くなるタイプです。コケテラリウムでは、こんもりと茂ったり、地面を這うように広がるものと組み合わせたりすることで、高低のある風景をつくることができます。ふたを閉めきったままだとヒョロヒョロと伸びてしまいやすいので、時々ふたを開けて換気をしたり、ハサミでカットするトリミングなどをおこなうとよいでしょう。

ホウオウゴケ

ホウオウゴケ

自然の山林の中では湿り気の多い岩肌や斜面などに群生し、名前の由来ともなっている鳳凰の羽のような葉を広げて生きています。沢沿いの岩肌など、常に水がかかるような場所に生えている苔なので、とても水が好きで、水中で生きることもできます。それだけに乾燥は好まないので、フタのある容器で、乾かし切らないように管理します。

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苔と一口に言っても、それぞれに好む環境、あった楽しみ方が異なります。栽培に使う容器も苔を楽しむ上でのポイントの一つ。用意できる容器や環境に合った苔を選んで、ぜひ栽培を楽しんでみてください。

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土屋 悟

長野県松本市生まれ。早稲田大学第二文学部在学中より雑誌編集部でのアルバイトの延長でライター活動を始め、卒業後もフリーライターとして活動。 その後、編集プロダクションをいくつか経て、2009年より約9年間NHK出版「趣味の園芸」テキストの編集兼ライターに従事。 最近は湿度を好む植物、特に着生ランをいろいろ育ててます。 また、ガラスケースとLEDを使った屋内での植物栽培、窓がないトイレで育てるパルダリウム「トイレリウム」などもやってます。ときどき実家の庭の手入れもしており、庭仕事では剪定が好きです。【twitter】 @tutti0514 【Instagram】 @satorutsuchiya_

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