樹木に寄生する植物! 自生しているヤドリギの姿をご紹介

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小野寺葉月

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最近はお花屋さんなどでミニブーケやスワッグとして見かけることもあるヤドリギですが、自生している姿を見たことはありますか?写真をみたら「あ、これはヤドリギだったのか!」と思うかもしれません。

私が長野で見つけた大きなヤドリギをご紹介します。

目次

ヤドリギとは

ヤドリギの繁殖方法

ヤドリギはどこにある?

長野の様々なヤドリギ

ヤドリギの種は本当にべたべたしているのか?

 

ヤドリギとは

ヤドリギは常緑で半寄生の灌木(かんぼく=低木)です。スギなどの主幹から側枝が出て円錐形の樹形になる喬木(きょうぼく=高木)に対し、つつじなどの主幹と枝の区別があまりなく、根元から枝が生えている木のことを指します。半寄生というのは、自分でも葉緑素を持っているため光合成ができるが、他の植物(寄生主)からも栄養を取って成する植物のことを言います。

寄生する木はケヤキやブナ、ミズナラなどの落葉樹です。2月ごろに花を咲かせます。ヤドリギは雌雄が分かれている植物で、雄花と雌花があります。受粉は虫が行ってくれるんだそうです。11月~2月ごろに実をつけます。実は白いものから薄い黄色のもの、オレンジのものなど、ヤドリギの種類によって様々。また、赤い実をつけるアカミヤドリギという種類もあります。

ヤドリギはその生態やフォルム、冬でも常緑であることから理由伝説やロマンチックな話がたくさんあり、クリスマスには人気の植物です。

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ヤドリギの繁殖方法

ヤドリギは種を鳥に媒介してもらうことで繁殖します。ヤドリギの実を食べた野鳥(レンジャク・ヒレンジャクなど)がフンをして、フンにまざった種が枝に取り付き発芽することで繁殖していくのです。しかしそれならなぜ土からヤドリギは生えてこないんでしょう? 鳥がそのままフンをすれば枝から森の中の地面に落ち、地面から発芽してもよいような気がしますよね。それはヤドリギにはふつうの植物にあるような根っこがなく、土からは成長に必要な栄養分が吸収できないからなのです。土に落ちた場合は繁殖ができません。

ヤドリギにあるのは寄生根とよばれる、寄主(きしゅ・寄生される木)から水分と栄養を取るための根です。

ヤドリギにあるのは寄生根とよばれる、寄主(きしゅ・寄生される木)から水分と栄養を取るための根です。

また、ヤドリギの種はべたべたの「ビシン」という粘着質でおおわれているので、鳥がフンをしたとき、その粘着質が鳥のおしりにくっついたままになってしまうんだそうです。そのため、鳥はそれが嫌で木の枝でおしりをこすって種を離そうとします。枝にこすりつけられ、粘着質物質によって固定されたヤドリギの種は、そこから寄生根をのばして寄主に固定され、成長していくという仕組みなのです。よく考えられていますよね。

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ヤドリギはどこにある?

ヤドリギが寄生する落葉樹がたくさん生えている場所であれば、見つけることができるかもしれません。東京で以前とても大きな気にヤドリギがたくさん寄生しているのを見つけました。

 

竹橋の東京国立近代美術館付近のお堀沿い。今の時期は葉が落ちていて観察しやすいと思いますので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください。

大変大きい株のヤドリギでした。ヤドリギは一年につき一節成長するそうなので、この写真の一番大きい手前のヤドリギは10年ほども経っているでしょうか。

大変大きい株のヤドリギでした。ヤドリギは一年につき一節成長するそうなので、この写真の一番大きい手前のヤドリギは10年ほども経っているでしょうか。

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長野でみつけた様々なヤドリギ

  

さて近所にヤドリギ探しに出かけることにしました。

このあたりは落葉樹が多いのですが高木が多く、なかなか手の届く範囲にヤドリギがありません。

 

早速ありました。これは割と大きめのヤドリギです。地面から2mほどの位置です。

早速ありました。これは割と大きめのヤドリギです。地面から2mほどの位置です。

きれいな球形をしています。

きれいな球形をしています。

こちらはめずらしい実が橙色のヤドリギ。桜の木に寄生していました。

こちらはめずらしい実が橙色のヤドリギ。桜の木に寄生していました。

こちらは初夏に撮影した白樺に寄生しているヤドリギです。きれいな球形です。まるで妖怪のよう。

こちらは初夏に撮影した白樺に寄生しているヤドリギです。きれいな球形です。まるで妖怪のよう。

寄生されてだいたい2年ほどでしょうか。まだ球形になっていないヤドリギですね。

撮影したのは4月ごろなのですが、おそらく花がついていると思われます。関東では2月ごろに花が咲きます。

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ヤドリギの種は本当にべたべたしているのか?

オレンジ色のヤドリギの実です。触るとぷにぷにしています。

さてヤドリギの種は本当にべたべたしているのでしょうか。ヤドリギの実を分解してみることにしました。

オレンジ色のヤドリギの実です。触るとぷにぷにしています。

まず、皮は薄いですがしっかりしています。皮を取った実はなんとなくイクラのよう。

まず、皮は薄いですがしっかりしています。皮を取った実はなんとなくイクラのよう。この時点でなかなかねばねばしていて、種が見えてきません。

やっとのことで種が見えました。種自体には縞のような模様があります。ゴマのようなサイズです。まわりがべたべた、というかぬるぬるしています。

やっとのことで種が見えました。種自体には縞のような模様があります。ゴマのようなサイズです。まわりがべたべた、というかぬるぬるしています。

この粘着質物質、ものすごく伸びます。どれぐらいかというと…。

これぐらいは余裕です。このあとどこまで伸びるか伸ばしてみたら、なんと1mほども伸びました。

これぐらいは余裕です。このあとどこまで伸びるか伸ばしてみたら、なんと1mほども伸びました。

そして伸びた糸がすごい! 納豆の糸のように消えたりせず、しっかり残ります。接着剤やグルーガンのグルーが乾いたあと、細いテグスのように残ることがありますが、そんなイメージです。

これはフンが鳥のおしりにくっつくはずですね! そしてそれはさぞ嫌だろうと思います…。しかし、鳥はそうまでして食べるからにはおいしいのでしょうか? ちなみにヤドリギの実には毒性物質が含まれているため、食用はできません。

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不思議なヤドリギの生体、いかがでしたか。ヤドリギの種、庭の樹木に取り付けてみようと思います。来春に発芽するでしょうか?

近くの公園や緑のある場所でぜひヤドリギを探してみてくださいね。

 

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小野寺葉月

中高短で美術を学び、卒業後観葉植物も扱う雑貨店で店長、バイヤーを担当。産後LOVEGREEN編集部で季節や庭木、虫の記事担当しつつ、説明や挿絵などで再び絵を描き始める。Botapiiでもエディブルガーデン他のイラストを担当。縁あって現在はフィリピンのセブ在住。ダイビングリゾートで広報も担当している為、海の中やマクロダイビングの世界に夢中。魚より珊瑚やホヤ、海藻など植物寄りの世界が好き。勘と勢いで生きている。

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