蓮(ハス)とは?花の季節、神話、香り、食べ方、特徴、睡蓮との見分け方
山田智美
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夏になると咲き始める蓮(ハス)の花。池の中から真直ぐに伸びて花を咲かせる姿は、神秘的な美しさで人を魅了してきました。美しいだけじゃなく、多様な魅力で世界中から愛され続ける蓮(ハス)の花について、お茶や食べ方、蓮(ハス)の花の持つ象徴的な意味、睡蓮との見分け方まで、蓮(ハス)の花について詳しくご紹介します。
目次
- 蓮(ハス)とは?
- 蓮(ハス)の花言葉
- 蓮(ハス)の花の咲く時間
- 蓮(ハス)の花の香りとミステリアスな言い伝え
- 仏教での蓮(ハス)の花の意味って?
- 仏教以外の蓮(ハス)の花の神話と象徴
- 蓮(ハス)の葉の特徴!ロータス効果と蓮っ葉女?
- 蓮茶って何?
- 蓮(ハス)は葉も茎も食べられる?
- 蓮(ハス)の実も根も食べられる?
- 蓮(ハス)と睡蓮を簡単に見分けるコツ
- 東京近郊の蓮池が有名なスポットを紹介
蓮(ハス)とは?
- 蓮(ハス)
- 科名:ハス科ハス属
- 学名:Nelmubo nucifera
- 英名:Lotus
- 分類:多年生水生植物
- 草丈:水面から1.5~2m
- 花期:7月
蓮(ハス)の花は夏、初夏というには暑くなってから、でもうだるような真夏の暑さになる前という頃に咲き始めます。季節は7月頃です。7月の後半のこともあれば前半のこともあります。その年の気温によって変わります。
蓮(ハス)は水面からすーっと伸びた茎の先に青々とした大きな丸い葉を開かせます。その葉の間から葉よりも高く、さらに茎を伸ばし明るいピンク色の花を咲かせます。蓮(ハス)には白花種もあります。
家庭で育てやすいサイズの小型の「チャワンバス」という種類もあります。
蓮(ハス)の花言葉
蓮(ハス)の花言葉は「清らかな心」「神聖」です。
泥の中から出てきて、清らかな美しい花を咲かせる、蓮(ハス)の花らしい花言葉です。
蓮(ハス)の花が咲く時間はいつ?
原産地インドから世界中に広まり、今では様々なモチーフとして使われたりシンボリックに使われることの多い蓮(ハス)の花はいつ咲くのでしょうか。蓮(ハス)の花は咲く時間、咲いている期間に特徴があります。
朝しか見られない?
蓮(ハス)の花は早朝に咲き始め、お昼には閉じてしまいます。朝からお昼までが観賞できる時間です。お昼過ぎに開いている蓮(ハス)の花があったら、それはその日を最後に散ってしまうお花です。午後の蓮池で、ふっくらと大きく丸みを帯びた蓮(ハス)の蕾があったら、午前中に咲いていて翌日も咲く蓮(ハス)の花です。細い茎の上に乗るふっくらとした淡いピンクの蕾は、キャンドルの灯を思わせるような可愛らしさです。
蓮(ハス)の花の季節には早朝観蓮会を行っている蓮池もありますので、ぜひ早起きして足を運んでみてください。蓮の花の美しさには早起きの眠気を忘れさせてくれる喜びがありますよ。
どれくらい咲くの?
蓮(ハス)の花は早朝開きお昼には閉じる、そのサイクルで4日間。4日目は夕方まで咲き続け、そのまま花びらを落として散っていきます。4日目になると花びらは開き切り、花芯の黄色の部分が見えるようになってきます。ふっくらとした丸みのあるフォルムを楽しみたいのであれば、午前中の咲き始めの蓮(ハス)の花を眺めに行きましょう。
蓮(ハス)の花の香りとミステリアスな言い伝え
蓮(ハス)の花の香り
蓮(ハス)の花のエッセンシャルオイル、蓮(ハス)の花の香水、蓮(ハス)の花のお香など、蓮(ハス)の花の香りがモチーフとされた商品はたくさんありますが、実際の蓮(ハス)の花の香りってどんな香りなのでしょう。
蓮(ハス)は池に咲く多年生水生植物です。蓮(ハス)の花の香りを楽しもうと思ったら、勇気を出して蓮池の中に入って行かなければなりません。蓮(ハス)の花の香りを確認するのは難しそうですね。
蓮池の縁に立って花を眺めていると、ふわりと優しい香りが鼻先をかすめることがあります。チャワンバスのような小型種の蓮(ハス)の花に顔を近づけると、はっきりと爽やかな芳香が確認出来ます。蓮池で蓮(ハス)の花の香りを楽しむのはちょっと難しいようですが、蓮(ハス)の花には間違いなく芳香があります。
触れられないところに咲く花が、確認できない香りを纏って(まとって)いるというのも、蓮(ハス)の花らしい神秘的な魅力の一つです。
蓮(ハス)の花の咲く音って?
「蓮(ハス)の花は咲くときにポンっという音がする」という話を聞いたことはありませんか。花が開くときに音がするなんて、気になりますよね。
子供の頃、蓮(ハス)の花が開く音を聞きたくて、まだ暗いうちから蓮池で待機したことがあります。残念ながら音は聞こえませんでした。この蓮(ハス)の花が開く時に音がするという話は嘘だと言われています。カエルか何かが池に飛び込む音だったのではないか、という説もあります。
あれだけ魅力的な蓮(ハス)の花ですから、音くらいしたって何も不思議はありませんよね。
仏教での蓮(ハス)の花の意味って?
仏教画ではよく仏陀が蓮(ハス)の花の上に座っている姿が描かれています。これを蓮華座(れんげざ)と言います。
蓮(ハス)の花は泥水のような池(蓮田)の中から真直ぐに茎を伸ばし、その先に華麗な花を咲かせます。泥から出てきても泥に汚れることはありません。このことから蓮(ハス)の花は清らかさの象徴と考えられ、仏教では神聖な花とされてきました。
仏教以外での蓮(ハス)の花の神話と象徴
仏教だけでなく、他の宗教や国々でも蓮(ハス)の花は象徴として愛されてきました。
国の花や象徴としての蓮(ハス)
蓮(ハス)の花は昼には閉じて、朝になると再び開くことから、太陽や創造、再生の象徴とされています。インド、ベトナムの国花とされています。
ヒンドゥー教の神クリシュナは「蓮(ハス)の目を持つもの」と呼ばれている他、ラクシュミや他の神々とも関わりの深い花です。
蓮(ハス)はエジプトでも象徴?
睡蓮と同様に、蓮(ハス)はエジプトを象徴する花とされています。正確にはエジプトの国家は睡蓮ですが、蓮(ハス)の睡蓮と併せて再生と復活の象徴とされているそうです。
ギリシャ神話の蓮(ハス)
蓮(ハス)はギリシャ神話にも登場します。ギリシャ神話では、ニンフのロティがプリアポスという神の求愛から身を守るために蓮(ハス)にその姿を変えたという逸話もあります。
蓮(ハス)の葉の特徴!ロータス効果と蓮っ葉女?
ロータス効果とは?
蓮(ハス)の葉は水を弾くという特徴があります。これは蓮(ハス)の葉の表面が特殊構造になっていて、表面に乗った水滴を浸透させずに落としてしまうからです。これをロータス効果と言います。蓮(ハス)の葉は水滴を弾いてしまうので葉が濡れることはありません。さらに弾く際に葉の表面上の汚れも一緒に絡めてしまうという特性もあります。
蓮(ハス)の葉の上にキラキラとして水滴が乗っているのを見たことはないでしょうか。葉の上で輝きながら転がる水滴の美しさは例えようもありません。
蓮っ葉女って何?
昔の日本では蓮(ハス)の葉は、お盆の時期になると料理を乗せたりごはんを包むのに使用されていました。蓮(ハス)の葉を売る商売はお盆の時期だけの季節もの、つまり薄っぺらい商売とされ、蓮の葉イコール薄っぺらいとされたそうです。
さらに男性の身辺のお世話をする女性を「身持ちが軽い女性」とし、蓮(ハス)の葉女と呼ぶようになったと言われています。このことから、振舞いが下品な女性のことを「蓮っ葉女」と言うようになりました。今でも「はすっぱ」という言葉は女性に対して使われる言葉です。
蓮茶って何?
蓮(ハス)のお茶をご存知ですか。蓮(ハス)のお茶には何が入っているのでしょうか。気になるので確認してみました。
蓮茶って?
蓮茶はベトナムなどで飲まれているお茶です。緑茶に蓮(ハス)の花びらや雄しべの香りを移したお茶です。蓮(ハス)の花の香りかというと何ともいえませんが、ふんわりと優しい香りがするお茶です。
蓮(ハス)は葉も茎も食べられる?
蓮(ハス)の葉は食べられる?
蓮(ハス)の葉はお盆の時期になるとスーパーなどでも出回り始めます。お料理の敷物にしたりして使われます。その他にも蓮(ハス)の葉を細かく刻んで炊き込んだり、蓮(ハス)の葉で包んで蒸したりという風に使われます。
ただし、お盆の時期の料理であって一般的な家庭の食事にはあまり登場するものではありません。
蓮の茎も食べてみよう
日本ではなかなか蓮(ハス)の茎を食用にはしませんが、ベトナムではサラダにして食べられています。ベトナム料理店で食べたことがありますが、特に香りやクセは無く、しゃくしゃくした歯触りで食べやすくておいしいものでした。
蓮(ハス)の茎も、中に蓮根のような穴が空いています。ここから水を吸い上げるのですが、根と茎が同じ形状をしているのが面白いとは思いませんか。実は蓮根は根ではなく、地下茎なのです。蓮根について詳しくはまたこの後お話します。
蓮(ハス)の実も根も食べられる?
蓮(ハス)の実の食べ方
蓮(ハス)の実は甘納豆のような砂糖衣をかけたお菓子として食べられるほか、蓮(ハス)の実をごはんと一緒に炊いた蓮(ハス)の実ごはんなども有名です。
蓮(ハス)の花が終わった後花芯の部分が生長し、シャワーヘッドのような形状になります。その穴ひとつひとつに種が入っていて熟すと黒くなります。黒く熟した種子は固いので食べるならまだ青く柔らかい実をごはんと一緒に炊いたり、茹でてサラダにして食べます。
蓮(ハス)の根を食べたことはある?
蓮(ハス)の根っこは言わずと知れたレンコンです。漢字でも蓮根と書きます。日本でも煮物したり炒めたり揚げたりと様々な調理方法で一般的に食べられている野菜です。蓮根のキンピラや天ぷらと言ったら家庭料理の定番メニューです。
一般的に蓮根は蓮(ハス)の根だと思われていますが、実は根ではなく地下茎が肥大したものです。蓮根は地下茎で、蓮根からまた根が出ているのです。
この蓮根は四季を問わず出回りますが、初夏の新蓮根は瑞々しく歯ごたえもいいので食べ逃してしまうのはもったいないくらいです。
▼蓮根を使ったヴィーガンハンバーグのレシピもご紹介しています!
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)を簡単に見分けるコツ
蓮(ハス)と睡蓮は、同じように池に咲く植物です。お花の形状も似ていますが、似て非なる植物です。よく混同されがちな蓮(ハス)と睡蓮の簡単な見分け方をご紹介します。
蓮(ハス)の特徴
- 英名:Lotus
- ハス科
- 花:水面から高く茎を伸ばした先に咲く。花の直径は20㎝くらい(チャワンバスは10㎝程度)
- 葉:水面から高く伸びた先に葉を広げる。光沢はなく水を弾く。丸く大きな一枚の葉。
睡蓮
温帯性と熱帯性で少しの違いはありますが、ここではとっても簡単な蓮(ハス)との違いをご紹介します。
- 英名:Water lilly
- スイレン科
- 花:水面に浮くように、あるいは少し水面から立ち上がって咲く。花後は水中に沈む。
- 葉:水面に浮いているように見える。表面に光沢があり円形で、切れ込みがある。水を弾かない。
- 抽象画家モネの絵に描かれているのは睡蓮
水面すれすれの位置に葉と花を広げるのが睡蓮、水面から高く茎を伸ばして花や葉を付けるのが蓮(ハス)です。さらに蓮(ハス)の葉は切れ込みが無く葉に溜まった水を弾いて落とすのに対して、睡蓮は葉の切れ込みから葉に溜まった水を落とす仕組みです。
東京近郊の蓮池が有名なスポットを紹介
実際に蓮池を見に行ってみたいと思いませんか。蓮(ハス)への愛が高まってきたところで、東京近郊で実際に蓮(ハス)の花を堪能できる蓮池をご紹介します。
他の地域にも蓮(ハス)が美しいスポットがたくさんありますので、ぜひお近くの蓮池に足を運んでみてください。
東京|不忍池
〒110-0007 東京都台東区上野公園5−20
上野恩寵公園内
都内でもっとも有名な蓮池と言ったら上野の蓮池ではないでしょうか。広大な蓮池に一面に蓮(ハス)の花が咲き誇ります。
神奈川|三渓園
〒231-0824 神奈川県横浜市中区本牧三之谷58
横浜にある日本庭園です。ここの蓮池に見事な蓮(ハス)が咲き誇ります。吸い込まれそうになる美しさです。毎年早朝観蓮会も行われていますので、興味のある方はぜひ行ってみてください。
神奈川|鶴ケ丘八幡宮
〒248-8588 神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1−31
鶴岡八幡宮の源平池に咲く蓮(ハス)の花です。植えられた当初は源氏と平家に因んで紅白分けられて植えられていたそうですが、今ではまばらに混じりあって咲いています。真白な蓮(ハス)の花が群れるように咲いている姿はため息が出るような美しさです。橋の上から池を眺め下す構図も楽しみの一つです。
蓮池の蓮(ハス)の花は3週間くらいの間、次から次へと咲き続けます。決して花期の短い植物ではないのですが、日常のなかで否応なしに視界に入ってくるようなお花ではありませんから、見逃してしまうことのないようにしてくださいね。早朝の蓮(ハス)の花は吸い込まれるような美しさです。
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