お盆飾り|お花やホオズキ(鬼灯)の飾り方、期間、マナーと処分方法

峰亜由美
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お盆は、夏にご先祖様が家族と一緒に過ごすために帰ってくる4日間とされています。地域によっての違いがありますが7月13日からの4日間と8月13日からの4日間とされ、ご先祖様を偲び感謝の気持ちを込めて、お花やお菓子、果物等を支度して温かい気持ちでお迎えし供養する、古来から伝わる行事です。
今回はお盆に飾るお花の飾り方やマナー、少しオシャレに飾る為の花材選び、鬼灯(ほうずき)を飾る理由等をご紹介致します。
目次
お盆ってどんな行事?
お盆は地域によっても違いますが7月15日を中心として13日~16日の4日間と8月15日を中心として8月13日~16日の4日間、故人を偲び、ご先祖様や精霊が家族のもとに帰って来て一緒に過ごす日とされています。
13日の日に迎え火で故人を招き、16日に送り火でお見送りをします。
お盆は仏教行事としての正式な呼び名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、「お盆」は盂蘭盆会(うらぼんえ)から変化して現在では親しみやすくそう呼ばれる様になったようです。
お盆とホオズキ(鬼灯)の飾り方や処分方法
ホオズキ(鬼灯)は日本での一番古い記録としては、古事記の中でヤマトノオロチの瞳が赤い事をホオズキを用いて表現されています、古い時代から、誰もが知っている植物として、日常の中で身近にホオズキがあった事を感じる事が出来ますね。それから平安時代には最も古い薬草辞典「本草和名」に薬草としての効能が記録されているようです。その後の現在に至っては、お盆ですっかりお馴染みのホオズキ(鬼灯)ですが、現在の暮らしの中では一番身近なホオズキとの関係ではないでしょうか?ホオズキはふっくらした形と炎の様なオレンジ色から、お盆に帰ってくる、ご先祖様や精霊が迷わずに帰って来れるように「鬼灯」の文字からもわかるように灯りとしての道しるべになる様に提灯(ちょうちん)に見立てられ、仏壇や盆棚、精霊棚に飾られます。ご先祖様は体を持っていないため空洞を探し、お盆の4日間は鬼灯の空洞の中に身を宿して過ごすと言われています。盆踊りや夏祭りでの提灯も同じ意味合いを持ち、道しるべとしての灯(あか)りとして灯(とも)されます。なんとも心優しい灯(あか)りの在り方ですね。
ホオズキの飾り方は地域に纏(まつ)わる風土や風習が違う為、色々な飾られ方があります。今回は一般的な飾り方を4種類ご紹介致します。
▼ホオズキ(鬼灯)の詳しくはこちらへ
飾り方1
お菓子や果物などと一緒にお皿や籠などに置いてお供えする。
飾り方2
お盆にお供えするお花と一緒に花瓶に飾る。
飾り方3
麻紐などの紐に均等に結び付けて、仏壇や盆棚または精霊棚に吊るして飾る。
※仏壇や盆棚の両端に笹を立てて笹に麻紐の端と端を結びつける供え方もあります。
飾り方4
仏壇や盆棚の端に麻紐などを輪にして取り付けて、ホオズキ(鬼灯)の茎と茎の端を引っ掛けるようにして固定する飾り方もあります。
飾り終えた鬼灯の片付け方
お盆が終わり、ご先祖様が身を宿した後の鬼灯は主に4つの片付け方があります。
1.川へ流す。
2.土に埋める。
3.白い紙に包んで、塩でお清め(塩をふる)ってから処分する。
4.お寺でお焚き上げをしていただく。
1や2のやり方は昔ながらの片付けかたですが、現代の暮らしには環境が合わない事が多く、3か4の片付け方が一般的になってきたようです。ご自身の暮らしに合わせ無理なく、鬼灯の役目に感謝して片付ける気持ちが大切です。
▼ご先祖様のお迎えとお見送りには他にも茄子や胡瓜で作った精霊馬も必要になります。詳しくはこちらへ
ホオズキ(鬼灯)ってこんな植物
ホオズキ(鬼灯)は日本では古来親しまれている、ナス科の植物です。草丈は60㎝~80㎝位になり、開花時期は5~7月位にかけてクリーム色の小さな花が咲きます。観賞用と食用があり開花後は少しづつふんわりと膨らんで提灯の様な個性的な形をしています。空洞のガクの中に1つ丸い実がなっています。観賞用は鮮やかなオレンジに変化し、食用は鑑賞用よりもやや鮮やかさがありませんが、優しいオレンジ色をしています。
お盆にお供えする花と飾り方のマナー
お盆にお供えする花は3本(3種)5本(5種)7本(7種)と日本では奇数が良いと言われています。
3本の場合は白、黄色、紫、5本の場合は、白、黄色、紫、赤、ピンクの5色を飾られることが多く一般的です。
花の色味は、華やかになっても構いません。ちょっとしたマナーはございますが、基本的には好きな色の花を飾られるのが良いと思います。
お墓参りやお仏壇には、1対(いっつい)と呼ばれる飾り方で、左右対称になる様に同じ花材の花束を2束飾ります。
お墓参りの場合は、数日後に片づけに行くのが一般的ですが、遠く離れた場所へお墓参りに行く場合はその日のうちに持ち帰り、自宅のお仏壇などに飾ります。
<飾るのを避ける花>
故人が生前に好みの花や宗教や宗派による違いを除いた場合、棘のある花、毒のある花、黒い花、香りの強い花、花首ごと落ちてしまう花は避けた方が良いと言われています。。ご家族や故人が心地よく手向ける事が何よりですので参考にしてみてください。
■棘のある花・・・バラ、アザミ
■毒のある花・・・彼岸花
■黒い花・・・クロユリ等、見た目が黒い花は控えます。
■香りの強い花・・・カサブランカ
■花が頭から落ちる花・・・椿
初めて迎えるお盆の場合のお花の選び方
新盆(にいぼん)又は初盆(はつぼん)と呼ばれ、故人が49日を過ぎたあとに初めて家に帰ってくる日をお迎えするお盆です、白い花を飾り色を混ぜないのが一般的とされています。
故人が好んでいた、お菓子や果物と一緒にお花を飾ります。
新盆を迎える故人にお花をお贈りする場合、アレンジメント等をお送りすると手入れもしやすい為、お贈りしたご家族への負担も少なく飾りやすいので喜ばれます。
お盆の花の飾り方
今回は輪菊(りんぎく)小菊(こぎく)竜胆(リンドウ)を中心として合わせて行きたいと思います。
今回5本の花を使います。加えたお花は、スプレーカーネーションと小菊のピンクです。
まずは花瓶の高さに合わせて花の丈をカットします。
花の丈は花瓶の2倍から2.5倍の長さにすると花器とのバランスが良く安定します。花の丈をカットする時は、花を逆さまにして花の丈と花器を比べて測るとカットしやすいです。その際に気を付ける注意点は花を逆さまにする為、床やテーブルに勢い余って花がぶつかり折れてしまわない様に丁寧に扱ってみましょう。花の丈が決まったら生ける前の下処理をしていきます。
菊の茎はハサミではなく手で折ると水あげが良く、花も長持ちします。
水に浸かる部分は葉をおとします。
小菊も水に浸かる部分の葉と蕾などは落とします。
スプレーカーネーションも水に浸かる部分の葉と花を落とします。
リンドウも同じように、水に浸かる部分の葉と花を落とします。
水に浸かる部分の葉や花を処理したら、花を組みます。
花は中央に大きな菊をまず持って、リンドウ、白い小菊を少し低めに手に持ち、リンドウと小菊の間にピンクの小菊を配置します。
最後にスプレーカーネーションをその下の位置に配置してひし形になる様に手に持ちます。
手で持っている所を、麻紐や輪ゴムなどで止めます。
花瓶の真ん中に生けます。真ん中に立つように花瓶の中に落としと言われる水入れを入れると上手く立てる事が出来ます。
お供えの花をオシャレな花でアレンジ
菊やケイトウ等、白、黄色、紫と古くからある仏花だと亡くなられた故人が喜んでくれるかな?とか、お部屋に少し合わないかもしれないと思った事はありませんか?最近は色や形が可愛らしい種類がたくさん出てきて、同じ様に白、黄色、紫を基本にして合わせる花を少し変えるだけでインテリア等にも合わせやすい、お盆の花を飾ることができます。今回は優しい色合いの飾り方をご紹介いたします。
輪菊の種類ですが、ピンポンマム、またはポンポン菊などと呼ばれているまん丸の形が可愛い菊です。このピンポンマムは黄色から段々とオレンジ色にグラデーションで色を変えて行く種類です。ピンポンマムは他にも、グリーン、黄色、ピンク、えんじ色などがあります。まずは黄色の花は今回はピンポンマムを使いたいと思います。
白い花はピンポンマムの白。
紫の花はモカラを使います。最近は色の数が増えてきたら蘭です。花持ちも良く水替え次第で夏でも長持ちします。
クルクマ。クルクマはピンクが一般的ですが、少し透けた花びらに見えるガクが特徴的なお花です。夏でも花持ちが良く、お盆に飾るお花としても適しています。
ケイトウ。ケイトウは昔は赤やオレンジ等のハッキリした色しか見かけませんでしたが、最近はグリーン、ブラウン、紫、この写真の様にアンティークカラーのピンクの様なグラデーションが美しい種類も増えてきました。入れてみると、ゴージャスな彩となります。
千日紅。千日紅は赤や濃いピンク等が一般的ですが、この写真の様に淡いピンクの千日紅もあります。今回は淡いピンク色を使用したいと思います。
スプレーマム。小菊も現在はこのように可愛らしい形も多く、花持ちも良い為、仏花としてだけではなく、夏に普段飾る花としてもおすすめです。
バランスよく、最初に大きなピンポンマムを手に持ち、大きい花、小さい花と順番に合わせて行きます。
少しずつ高低差をつけて行くと合わせやすいと思います。意識して後ろ側の花を高くして前に向かって行くに従い低く合わせてみましょう。全部の花を手で合わせたら、手に持っている支点を麻紐や輪ゴムで止めます。
ここで花を止める事によって、花瓶に生けた時に形を崩さずに生ける事が出来ます。
手で合わせ束ねた花は、花瓶にそのまま飾って完成です。
お盆の花まとめ
■お盆のお花は基本的にはご先祖様が好きな花を飾る。
■本数は3本、5本、7本と奇数のお花を飾ります。色は白、黄色、紫を中心に。
■棘や毒のある花、黒い花、香りの強い花、花が頭ごと落ちる花は飾らない。
■花はなるべく菱形になる様に組む。
■お墓に飾った場合は何日後かに引き取りにいくのが理想的ですが、遠い場合はその日のうちに持ち帰ります。
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キク(菊)
- キクは皇室の紋にも使われている日本を象徴する花のひとつです。中国から奈良時代に伝わり、江戸時代に入ってから盛んに品種改良されるようになりました。こうしたキクを「古典菊」と呼び、「江戸菊」「嵯峨菊」「美濃菊」など地名を冠してカテゴリー分けされています。スプレーギク、ピンポンマムなど、イギリスを中心に欧米で生み出された小輪でたくさんの花をつけるキクは「洋菊」と呼ばれています。花弁の形状は様々。伝統的な白、黄色にはじまり赤、ピンク、オレンジ、複数の色を合わせたものなど数多くの品種があります。古典菊、洋菊どちらも丈夫で育てやすいのが特長。品評会を目指すもよし、色とりどりの寄せ植えにしてもよし、様々な楽しみ方ができます。