こんなに種類が!花粉症を引き起こす可能性のある植物たちの姿とは?
小野寺葉月
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春が来るのは待ち遠しいですが、同時に大きな問題が・・・
そう、花粉症です。過ごしやすい気候になっていくごとに黄色みを帯びていくスギ林の風景は、見る人によっては恐怖でしかないのかもしれません。
今回は、花粉症を引き起こすと言われている代表的な植物をご紹介します。「なんだか最近鼻がムズムズする……」という方もこれを機に病院を受診して、自分がどんな植物のアレルギーを持っているのか調べてみてもいいかもしれません。
目次
■1.スギ
花粉症とは?
花粉症は、植物の花粉が原因となるアレルギー性の病気です。代表的な症状は目や鼻のかゆみやくしゃみなどで、症状が出てしまうと勉強や仕事に集中できない、夜中に鼻づまりで起きてしまうなど、生活に支障をきたすことも・・・。現在日本人の実に4人に1人が花粉症とも言われているほどです。毎年春の時期は憂鬱な気持ちで過ごしている方も多いですよね。
花粉症の仕組み
花粉症の仕組みは、スギやヒノキの花粉が鼻腔などから体内に取り込まれると、体はその異物(花粉=アレルゲン)を受け入れるかどうかジャッジします。体が「これは異物だ!体の中から出さなくちゃ」と判断したとき、体はこの異物と反応する抗体(Ige抗体)をつくります。その物質が作られた後に、再び異物(アレルゲン)が体に侵入すると、Ige抗体が異物を体から追い出そうとします。その反応を「アレルギー反応」と呼びます。くしゃみが出たり、目が痒くなったりするのは体からアレルギー物質を追い出すためなんですね。
子どもにも増えている花粉症
大人だけではなく、子どもにもアレルギーは増えており、10代後半で花粉症の症状がある割合は大人とほぼ変わらないそうです。また幼児でも発症するケースが増えています。季節柄インフルエンザや風邪の流行と重なる部分があるので気づきにくい場合も多いようです。くしゃみや鼻づまりの症状が長引く場合や、かゆみを伴う場合は花粉症の場合があるので、早めに医療機関を受診することが大切です。
花粉症を起こす植物たち
実は、花粉症を起こす植物はたくさんある
花粉症を引き起こす植物は、なんと60種類以上もあると言われています。なかでも、日本人にとって最もなじみ深いのはスギ花粉による花粉症でしょう。しかしスギ以外にも、日本人がなりやすい花粉症は何種類もあります。
代表的な8種類の植物をご紹介します。
1.スギ
花粉症の方々にとって最大の敵!それがスギ花粉ですよね。近年、スギ花粉症を発症する人が増えているそうです。それはなぜか?日本中の多くのスギが今、ちょうど成木になって花粉を散らしはじめているからです。スギの木が成木になるには30~40年かかると言われていますが、今、日本のスギには樹齢40年前後の木がとても多いそうです。
2.ヒノキ
スギ花粉症の方が発症しやすいのが、ヒノキ花粉による花粉症です。高級建材として、多くの地域で人工林に植えられていますね。スギよりも1ヵ月ほど遅くに花粉を飛ばしはじめるので、「スギの時期は終わったはずなのに、鼻の調子が悪い……」という方はヒノキ花粉症を疑ってみる必要があるかもしれません。
3.シラカバ
白い樹皮が美しいシラカバ。花粉症を引き起こすなんて予想外ですよね。しかし、シラカバ花粉のアレルギーでは、バラ科の果物(りんご、いちごなど)を口にした際、口の痒みや喉の腫れなどを引き起こしやすいこともあり、注意が必要です。
4.ハンノキ
シラカバと近い仲間のハンノキ。北海道を中心に花粉症を持っている方がいるようです。花粉の時期は1月~4、5月。スギ花粉の時期と重なるため、自分がスギ花粉症だと勘違いしている場合もあるようです。
5.ブタクサ
「ブタクサ花粉症」という言葉を聞いたことはあっても、ブタクサの姿を知っている方は少ないかもしれませんね。キク科の一年草で、明治時代に日本にやってきて帰化した植物です。花粉の時期は8~10月。秋の代表的な花粉症です。
セイタカアワダチソウも別名「ブタクサ」と呼ばれる帰化植物なので、ブタクサと混同している方も多いようです。しかし、セイタカアワダチソウは虫媒花なので花粉症の原因とはなりにくいと思われます。
6.ヨモギ
お灸や草餅の原料となっているヨモギ。日常生活でなじみ深い雑草ですよね。しかしヨモギの花粉も、花粉症を引き起こすことがあります。花粉の時期は8月~10月。もし秋に花粉症に似た症状が現れたら、ヨモギ花粉症を疑ってみてもいいかも知れません。
7.イネ科
イネ科の植物のなかには、花粉症を引き起こしやすい植物が複数あります。そのためイネ科花粉症の時期は2~10月と長いことが特徴です。花粉症を起こしやすい代表的な植物は、カモガヤ、アシ、ススキ、ハルガヤなどです。
カモガヤ
オーチャードグラスとも呼ばれていて牧草としても使われているカモガヤもイネ科の代表的な植物です。早朝に花粉を飛散します。
ススキ
土手や空き地に自生しています。秋の七草のひとつです。お月見に飾るイメージがあるため、見ると秋らしく涼しい気持ちになるススキ。そんなススキですがアレルギーの可能性がある人はお部屋に飾るのにも注意が必要です。
ハルガヤ
ハルガヤは花粉の飛散量が多いため注意が必要です。カモガヤのアレルギーを持つ人はハルガヤにも反応しやすいそうです。
8.カナムグラ
日本全国でよく繁殖しているカナムグラも、花粉症を引き起こすことがあります。8~10月ごろ花粉を散らし、飛散距離自体はあまり大きくはありませんが日常よく見かける草なので注意が必要です。また、茎や葉柄(ようへい)に鋭いトゲがあるので、そちらも要注意。
思ふ人 来むと知りせば 八重葎 覆へる庭に 玉敷かましを 作者未詳
万葉集に詠まれる「八重葎(やえむぐら)」とは、カナムグラのことだと言われています。そのくらい古来から日本人の身近にあった草なのですね。
9.その他
上記にあげたアレルギー以外にも、花粉症の原因になる植物は多く存在します。ネズ(ヒノキ亜科)、カバノキ科(オオヤシャブシ)などの樹木、実を楽しむコナラ・クリ(ブナ科)、また意外なのがオリーブ(モクセイ科)!街路樹としてよく使われているイチョウ(イチョウ科)、ケヤキ(ニレ科)、マツ属などもあげられます。
花粉症の症状を抑える3つのコツ
1.体に入る花粉を減らす
マスクやメガネを駆使して、体に入る花粉の量を極力抑えましょう。ツルっとした素材の服は、毛羽だった素材の服より花粉が付きにくいのでオススメです。
2.家のなかに花粉を持ち込まない
窓や出入り口を不用意に開けないことはもちろん、外出したら、その都度体についた花粉をよく払ってから家に入りましょう。
3.免疫力を高める生活を心がける
免疫力が下がらないように、規則正しい睡眠・食生活を心がけましょう。室内での軽い運動なども効果的なようです。
季節によって花粉の飛散は異なります。詳しく調べたい場合は、アレルギー検査を行うなどの手段があります。アレルギー専門の病院もありますので相談してみてはいかがでしょうか。
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