アケビの育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- アケビ
- 学名
Akebia
- 英名
- Chocolate vine, Akebia
- 和名
- 木通、通草
- 科名
- アケビ科
- 属名
- アケビ属
- 原産地
- 日本、朝鮮半島、中国
アケビの特徴
アケビは、春に花を咲かせ、秋に甘く食用になる実を実らせるつる性の落葉樹。つるを伸ばし、周囲の木などに絡みつきながら3m以上に生長します。柔らかな葉とつるが魅力ですが、株元は木質化します。春に花が咲いた後に一斉に芽吹く葉は、密度高く茂るので生垣にも利用されます。
アケビの花は、1本の茎に雄花と雌花の両方が咲くのが特徴で、色は紫色や薄紫色、白色などがあります。3枚の花びらは正確にはがく片で、半透明で厚く、蝋細工のような光沢があり、ほんのりと芳香がします。雄花と雌花の見分け方は、花が大きいのが雌花、小さな花が複数個まとまって咲いているのが雄花です。
果実はピンク色や紫色で、10cm程度の瓜の様な形をしており、熟すと果皮が割けて白色のゼリー状の果肉を覗かせます。果肉の中にある無数の黒いものは種で、果肉には甘みがあります。この甘い果肉を鳥が食べて、中の小さな種を吐き出すことから、遠くまで子孫を残すことに成功しているようです。アケビは、果実が実るまで3年はかかるといわれています。さらに、1本では結実しにくいという特徴があり、公園や山野で花や葉は見かけるのに果実にはお目にかかれないということがよくあります。
アケビの名前の由来は、実が熟すと裂開する様子が口を開けているようだから「開け実」が変化して「アケビ」になったという説が有力です。他にも「開けつび(つびは女性器を指す古語)」が変化したという説もあります。アケビは漢字で書くと「木通」、これは漢方での生薬名です。アケビは水を良く通すつる植物であることから、名付けられたと言われています。
アケビの詳細情報
| 園芸分類 | 果樹 |
|---|---|
| 草丈・樹高 | 3~7m |
| 耐寒性 | 強い |
| 耐暑性 | 強い |
| 耐陰性 | やや強い |
| 花色 | 紫、ピンク、白 |
| 開花時期 | 4月~5月 |
アケビの種類
アケビ
- 学名:Akebia quinata
アケビは、手のひらのように5枚の小葉を広げ、それぞれの小葉は鋸歯がない楕円形をしています。秋に熟す実はピンクを帯びた茶色で10cm程度の楕円形、縦に裂開します。
ミツバアケビ
- 学名:Akebia trifoliata
ミツバアケビは、3枚の卵型の小葉で、波打つような鋸歯があります。花はアケビよりも小ぶりで色が濃いのが特徴です。実はやや卵型に近い楕円形で赤紫色、熟すと縦に裂開します。
ゴヨウアケビ
- 学名:Akebia × pentaphylla
ゴヨウアケビは、アケビとミツバアケビの自然交雑種で、両方の特徴を持ちます。葉は、3~5枚の波打つような鋸歯のある小葉、花はミツバアケビに似て小ぶりで濃い色をしています。実は実らないとされています。
アケビの育て方カレンダー
| 時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 開花 | ||||||||||||
| 植え付け | ||||||||||||
| 剪定 | ||||||||||||
| 収穫 |
アケビの栽培環境
日当たり・置き場所
明るい半日陰を好みます。枝の上の方は日が当たり、地際は程よく木陰になっているような場所が理想的です。つる性なので、地植えにする際はフェンスや垣根など、誘引できるものの側で育てましょう。
用土
山野や雑木林の中に自生しているような植物です。落ち葉がいっぱい入った、ふかふかの腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで植え付けましょう。
鉢植えは、市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
アケビの育て方のポイント
日常の管理
つるが伸びたら、こまめに誘引します。
水やり
庭植えは降雨に任せます。ただし、夏の高温乾燥が続くような時期は、様子を見て水やりをしましょう。
鉢植えは表土が乾いたらたっぷりと水やりします。
肥料
芽吹き前の2月と収穫後の10月に有機肥料を施します。
アケビの詳しい育て方
選び方
葉の色つやが良いもの、株に勢いがあるものを選びましょう。
アケビは1株では結実しにくいという特徴があります。収穫を望むなら2株以上を植え付けてください。
植え付け
植え付け適期は11月~2月です。この時期は休眠期なので、根をいじらないように植え付け、最後に根と土をなじませるようにたっぷりと水やりします。
仕立て方

アケビは、つる性木本です。大きくなるにつれて、つるが木のようになっていきます。地植えのアケビは、フェンスや垣根などしっかりとしたものに誘引してください。鉢植えのアケビも、トレリスなどに誘引しましょう。
剪定・切り戻し
12月~2月に伸びすぎたつるや暴れた枝を剪定します。アケビは、前年に伸びた枝の脇に新しい花芽ができるので、切り過ぎないように注意しましょう。
植え替え・鉢替え
鉢底から根が見えるようになったら、一回り大きな鉢に植え替えます。植え替え後は根と土をなじませるように、たっぷりと水やりします。
花

アケビの花は、4月~5月に咲きます。近づくと優しい芳香を楽しめるのも魅力です。
1株で雌雄異花を咲かせます。見分け方は、花が大きいのが雌花、小さくて数個まとまって咲いているのが雄花です。
収穫
実は9月~10月に収穫できます。熟した実が弾けて中の白い果肉が見えるようになったら食べ頃ですアケビは白い果肉をそのまま食べる他、果皮も食べることができます。果皮を食べる際は、水にさらしアクを抜いてから調理します。調理方法としては、味噌炒めや天ぷらなどが適していると言われています。味は山菜のようにやや苦味があります。他にも春の柔らかい新芽をお浸しにして食べる地方もあります。
実以外にもつるを乾燥させてリースを編んだり、ドライフラワーの花材にしたりと利用できます。
冬越し
冬は落葉して休眠します。霜が多い場所では、株元にマルチングを行ってください。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
挿し木で増やすことができます。
- 監修者:LOVEGREEN編集部
LOVEGREEN(ラブグリーン)の編集部アカウントです。ガーデニング、家庭菜園、インドアグリーンなど、幅広い植物ジャンルに精通したメンバーが在籍し、実際の栽培経験にもとづく花・植物の育て方や楽しみ方記事、お庭の取材記事、植物にまつわる企画などを配信しています。





