あけびってどんな果物?旬の季節、花や実の特徴、ムベとの見分け方

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山田智美

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あけびとは?どんな果物で、どんな味がするのか、食べ方、花の咲く季節や特徴、名前の由来、見つかる場所、よく似たムベとの見分け方など、あけびについて詳しく紹介します。

目次

あけびとは?基本情報

Adobe Stock アケビの実

  • 学名:Akebia
  • 科名・属名:アケビ科アケビ属
  • 分類:つる性落葉木本
  • 和名:木通、通草

あけびの特徴

あけびは、春に花を咲かせ、秋に甘く食用になる実を実らせるつる性の落葉樹。つるを伸ばし、周囲の木などに絡みつきながら3m以上に生長します。柔らかな葉とつるが特徴ですが、株元は木質化します。春に花が咲いた後に一斉に芽吹く葉は、密度高く茂るので生垣にも利用されます。

あけびは、秋の実を食用にするだけでなく、春の新芽をおひたしにしたり、つるでカゴを編んだりと、利用されています。

あけびには、アケビ、ミツバアケビ、ゴヨウアケビの3種類があります。一般的にこの3種類の総称としてあけびと呼びます。

あけびの種類

アケビ

  • 学名:Akebia quinata
  • 科名・属名:アケビ科アケビ属

アケビは、手のひらのように広がる5枚の小葉は鋸歯がない楕円形をしています。秋に熟す実はピンクを帯びた茶色で10cm程度の楕円形、縦に裂開します。

ミツバアケビ

  • 学名:Akebia trifoliata
  • 科名・属名:アケビ科アケビ属

ミツバアケビは、3枚の卵型の小葉を広げ、波打つような鋸歯があります。花はアケビよりも小ぶりで色が濃いのが特徴です。実はやや卵型に近い楕円形で赤紫色、熟すと縦に裂開します。

ゴヨウアケビ

  • 学名:Akebia x pentaphylla
  • 科名・属名:アケビ科アケビ属

ゴヨウアケビは、アケビとミツバアケビの自然交雑種で、両方の特徴を持ちます。葉は、3~5枚の波打つような鋸歯のある小葉、花はミツバアケビに似て小ぶりで濃い色をしています。実は実らないとされています。

あけびの名前の由来

あけびの名前の由来は、実が熟すと裂開する様子が口を開けているようだから「開け実」が変化して「あけび」になったという説が有力です。他にも「開けつび(つびは女性器を指す古語)」が変化したという説もあります。

あけびは漢字で書くと「木通」、これは漢方での生薬名です。あけびは水を良く通すつる植物であることから、名付けられたといいます。

 

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あけびってどんな果物?旬の季節と特徴

あけびってどんな果物?旬の季節と特徴

あけびの旬の季節は秋です。地域にもよりますが、9月~10月ごろに熟します。日本に古くから自生している秋の果物です。

あけびの実の特徴

あけびの実の最大の特徴は、熟すと縦に裂開するところです。硬い果皮が裂けて、なかの白い果肉が見えるようになります。この白い果肉のなかには小さな種が詰まっていて、柔らかい果肉をしゃぶったあとに種を吐き出すようにして味わいます。子供や動物、鳥たちが吐き出した種がその場で芽吹くことで、あけびは広範囲に子孫を残すことができます。

あけびの実の味や食べ方

あけびの果肉部分は、生で食べられます。ゼリーのような柔らかい食感で、酸味や香りがなく、素朴な甘味が特徴です。個人的には砂糖水のような甘さだと思います。感動するほどおいしい果物ではありませんが、秋になると食べたくなる素朴で懐かしい味です。

あけびの食べ方

あけびの果肉は、スプーンですくって食べます。山のなかで見つけたらそのままかぶりついても大丈夫。なかに小さな種がたくさん入っているので、果肉をしゃぶりながら口の中でより分けて吐き出します。

あけびの果皮は、天ぷらや味噌炒めにして楽しむことができます。天ぷらは、よく洗って衣をつけて揚げるだけ。味噌炒めは水にさらしてあく抜きをしてから調理します。味付けは、家庭料理の味噌炒めと同じです。豚肉や他の野菜を一緒に入れたりして、家庭ごとの味を楽しんでください。

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あけびの花の季節と特徴

あけびの花の季節と特徴

あけびの雄花

あけびの花が咲くのは、4月~5月。春にソメイヨシノが散り始めた頃に咲き出します。

あけびの花の特徴

あけびの花は、1つの茎に雌花と雄花の両方が咲きます。葉の基部に近い方に大きな雌花、その下に小さな雄花が複数個まとまって咲きます。花の色は紫色や薄紫色、白色など、花びらは3枚、花の中心にあるしべは先端がねばねばとしています。

花びらに見えるものは実はがく片で、厚みがあり、蝋細工のような質感が印象的です。顔を近づけると、ほんのりと甘い香りがします。

 

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あけびはどんなところで見つかる?

あけびはどんなところで見つかる?

あけびは、日本の山野で見つかります。北海道南西部、本州、四国、九州の里山から深山に自生しています。それほど珍しい植物ではありません。身近な公園の木に雑草よろしく絡みつき、繁茂している様子を見かけることもあります。子供の頃は近所の森にたくさん茂っているのを見かけました。

ホームセンターや園芸店、山野草店でも流通しているので、生垣や庭木として植えられているのもよく見かけます。

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あけびとムベの違いと見分け方

郁子(ムベ)の実の特徴

裂開しないムベの実

あけびとムベの違い

あけびとムベは、どちらもアケビ科のつる性木本。あけびとムベの一番の違いは、あけびは落葉性、ムベは常緑性であることです。冬に落葉していたらそれはあけびです。また、あけびの葉の方が薄く、ムベの葉は厚みと光沢があるのも特徴です。

もう一つの大きな違いは、あけびの実は裂開しますが、ムベの実は熟しても裂けません。

さらに春の花のフォルムも違います。あけびの花は花びらが3枚、大きな雌花と小さな雄花を咲かせます。ムベはベル型の花を咲かせ、雌花と雄花のサイズは同じくらいです。

あけびとムベの見分け方

あけびとムベは、秋の実と冬の葉で見分けることができます。秋の実が縦に裂開していたらあけび、冬に葉が茂っていたらムベという風に見分けます。

 

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あけびはガーデニングにもおすすめ

アケビの花

あけびは春の花が美しく、夏に茂る葉と秋の実まで四季を通して楽しめる庭木です。つる性なので、好きな形に整えやすく、日本の風土に馴染んでいるので育てやすいという魅力があります。あけびは、ある程度大きくならないと花を咲かせません。小さな株から育てるなら開花まで数年は待ちましょう。加えて1株では結実しにくいので、実の収穫を望むなら、2株以上を近くに植えるようにしましょう。

我が家は、鉢植えにしてバルコニーで育てています。まだ株が小さいのか花は咲きませんが、柔らかな葉が美しく、特に雨の後に水玉を弾いてキラキラしている姿は見惚れるほどです。飾る花が何もないときには、あけびのつるを少し切って空き瓶に挿しておくだけで絵になります。

手入れも簡単で育てやすいあけびは、ガーデニングにおすすめのつる植物です。

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植物が好きで好きで、植栽設計、ガーデナー、生花店勤務を経て現在は、フリーランスの花屋「花や蜜」として活動中。「てのひらに森を」がテーマの花屋です。森の中にいるような、見ているだけで力が抜けていくようなお花を作り続けたいと思ってます。街中で突然お花を配る、「花ゲリラ棘」というゲリラ的花配り活動も不定期決行しています。

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