- サルスベリは、夏から秋まで長く開花するミソハギ科の落葉樹です。自然樹形でも形が整いやすく手入れが楽なので、庭木の他に公園や街路樹などでも人気があります。枝を大きく横に広げて、その先にたわわに花を咲かせ、花にも樹形にもボリュームがあり遠くからでも目立ちます。
サルスベリの花は非常に開花期が長く、真夏の暑い中でも休むことなく開花し続けます。ピンク濃淡、赤、白、紫、複色など花色が豊富で、銅葉など葉に特徴のある品種も登場しています。
サルスベリの特徴は木の肌にもあります。樹皮はザラザラしていますが、一度樹皮が剥がれ落ちると白い木肌が見え、その部分はつるつるしています。この木肌はサルが木に登ろうとしても滑って落ちてしまいそうなのが「サルスベリ」の名前の由来です。
- サルビアは、ブラジル原産で広い地域に分布するシソ科の多年草です。セージとも呼ばれ、現在ではその品種は数千品種に及び、ハーブや観賞用として幅広く利用されています。サルビアは宿根性の品種が多い植物ですが、一・二年草から木本性の低木になるものまであります。いずれも耐暑性はありますが、耐寒性は品種によってさまざまです。
サルビア・スプレンデンスとベゴニアの花壇
サルビアの品種の中で、燃えるような赤い花をつけるブラジル原産の「サルビア・スプレンデンス」が最もよく知られているサルビアです。暑さに強い性質や花期が長いことから夏から秋にかけての花壇で活躍します。サルビアは個人宅の花壇のほか、公園や街路など公共の場でもよく用いられています。
ブルーサルビア
サルビアの花色は、赤や青、紫をはじめ、ピンク、白、黄色、オレンジ、黒などカラーバリエーションが豊富です。最近はシックなニュアンスカラーも作出されています。
- サポナリア・バッカリアは、春にピンクや白の花を無数に咲かせるナデシコ科の一年草です。和名ではドウカンソウと呼ばれています。現在はドウカンソウ属に分類されていますが、以前はサポナリア属だった名残の名前で呼ばれています。
草丈は50~80cmで高性のため、庭や花壇、花畑などに使われ、花色はピンクと白があります。かすみ草に似ていますが、サポナリア・バッカリアの方が花が2cmほどと大きく、茎は固くしっかりとしています。主役の花ではありませんが、枝分かれした茎先に咲く無数の花は、周囲の花と調和し美しい空間になります。
- サボンソウ(ソープワート)は、初夏から初秋にかけて、直立した茎の先に淡いピンクの花が集まって開花するナデシコ科の多年草で、花には香りがあります。丈夫で繁殖力が旺盛で、こぼれ種や地下茎で増えるため、毎年あちこちから茎を出して開花します。
ヨーロッパでは現在の石鹸ができるまで、煮出した液体を天然の石鹸として使用していました。サポナリアは、ラテン語sapo=石鹸に由来します。また、officinalisは薬用を意味し、薬用植物の学名の種小名に用いられる言葉です。
- サンシュユ(山茱萸)は、春に葉が出るより先に花を咲かせ、株全体を鮮やかな黄色に染めるミズキ科の落葉高木です。春に咲く花木類の中では比較的開花が早く、周囲の木々が芽吹く前か芽吹きだした頃のため、黄色に染まった木はとても目を引く存在になります。花は、黄色い小花が30個ほど集まって直径2~3㎝くらいの小さな花序になって咲きます。
サンシュユ(山茱萸)は春一番に黄金色の花を咲かせることから「春黄金花(ハルコガネバナ)」とも呼ばれます。秋にはグミの実に似た真っ赤な実をつけ、その実が珊瑚のようにも見えるため「アキサンゴ」の別名もあります。
サンシュユ(山茱萸)は中国と朝鮮半島が原産で、江戸時代の中頃に薬用植物として日本に渡来したと言われています。サンシュユ(山茱萸)の赤い実は、滋養強壮などの生薬として広く使われてきましたが、日本では黄色の小花や赤い実、薄茶色の幹肌が好まれ、観賞用の花木として庭木や公園樹木、切り花に多く用いられています。
- サネカズラ(ビナンカズラ)は、本州(関東以西)、四国、九州、中国、台湾などに分布している常緑低木。葉はタマゴ形で光沢があります。つる性のため、フェンスや柵などに誘引して仕立てます。
7月~8月頃にクリーム色の花が咲き、その後に雌株には光沢のある赤い実がつきます。まれに雌雄同株がありますが、基本的には雌雄異株なので実つきをよくするためには雌株と雄株を一緒に植えてフェンスなどに絡ませて育てるのがよいでしょう。赤い実が美しく、庭木や生け垣、盆栽などによく用いられます。
サネカズラ(ビナンカズラ)は古くから日本人に親しまれてきた歴史があり、古事記や万葉集、百人一首などにも登場しています。小寝(さね)=「一緒に寝ること」の掛詞とされたり、つるが分かれて伸びた先でまた絡み合う姿から「逢う」の枕詞として用いられるなど、人目を忍ぶ恋の歌にも使われていたそうです。
その昔、男性がサネカズラ(ビナンカズラ)の茎葉から出る粘液を整髪料として使っていたことから、美男葛(ビナンカズラ)という名が付いたと言われています。赤い実は漢方薬として、チョウセンゴミシの代用品とされることもあります。
- 桜吹雪は、華やかなピンク斑の葉が特徴的なアナカンプロセス属の多肉植物です。暑さ、寒さに比較的強く、気温の低い秋から冬にかけてピンクの色が濃くなり、夏はピンクの色を残しつつ、グリーン色が強くなります。小型で生長が遅く、美しい葉色のため、寄せ植えの素材としても人気があります。環境にあうと濃いピンクの花が開花し、花のあとに種ができます。
- サヤエンドウ(絹さや)は、エンドウの未熟な莢を食用とする場合の呼び方です。エンドウは大きく分けて、若い莢(さや)を食用とする「サヤエンドウ」と、未熟な豆を利用するグリーンピースのような「実エンドウ」完熟した豆を乾燥させて利用する「エンドウ豆」があります。最近リボベジとしても人気なスプラウトの一種「豆苗(とうみょう)」も、エンドウの若芽です。
エンドウ豆は歴史が古く、紀元前7000年頃から南西アジアで栽培されていました。エジプトの有名なツタンカーメンの墓から出土するなど古代ローマやギリシャで栽培されるほど、歴史的にも大変古く重要な作物だったようです。後にインドから中国へ伝わり、日本へ入ったのは8~10世紀頃と言われていますが、日本でエンドウが食べられるようになったのは江戸時代。関東地方では「絹さや」関西で「サヤエンドウ」と呼ばれることが多いようです。その他にも呼び名が色々とあり、ぶんこ、さやまめ、さんどまめ……など、地域によって様々な呼び方があります。
サヤエンドウ(絹さや)を大きく2つに分けると、草丈200cmほどのつるあり種、草丈40~100cmほどのつるなし種があります。支柱を立てるときの目安となるので、種袋の裏などで品種の確認をしましょう。
- 三角葉アカシアは、オーストラリア原産のアカシアの一種です。三角形の形をしたシルバーリーフの葉が印象的で、全体として見るとギザギザしたような枝ぶりが面白い見た目です。
英名ではナイフリーフワトルと呼ばれ、ナイフのようなシャープな印象の葉は、花が咲いていない時期も観賞価値があります。
ブッシュ状に生長し、株元から広がるように扇状になります。シャープな葉と扇のようにカーブのある枝ぶりのバランスが目を引き、シンボルツリーとしても人気があります。
開花は春で「ミモザ」の名前で親しまれているギンヨウアカシアより若干遅咲きです。ギンヨウアカシアより矮性でコンパクトにまとまるため、地植え、鉢植えの両方で栽培可能です。
- サルビア・スペルバは、S. amplexicaulis と S. nemorosaを交配して作られた園芸品種の宿根サルビアの一種です。スペルバという名前ではなく、「ボルドーブルー」「メローブルー」「ローズクィーン」などの品種名で流通していることが多いようです。
すっと伸びる花穂に小さな花をたくさんつけ、葉の色との色合いも美しく、庭や花壇に植えると効果的です。宿根サルビア類の中ではコンパクトな姿で、株が暴れにくく直立して生長し、丈は50cm程度に収まります。
暑さ寒さの両方に強く、花つきも良く、初夏から初冬までの長期間開花します。最近は夏苗の流通が始まるのが早いため、3月頃から開花株を見かけますが、植え付け2年目以降の一番花は初夏の頃です。バラの開花時期と重なるため、バラの下草として植えても見栄えがします。
- サルビア・ネモローサは、シソ科の宿根サルビアの一種で、改良種の「カラドンナ」が人気があります。開花時期の初夏になると、株元から茎を立ち上げ、穂状の花序にサルビア類に多い唇形花の小さな花がびっしりとつき、花は下から上に向かって咲き進みます。ネモローサの花茎は直線的でシャープな雰囲気があり、その茎にびっしりと青やピンク、白の花が咲いた光景は目を見張るものがあり、花が散ってガクだけになった状態も見ごたえがあります。
耐寒、耐暑性に優れ、丈夫で育てやすく、年々大株になり花数が多くなります。品種が豊富にあり、矮性種などもあります。
草丈がさほど高くならないのと花の最盛期がバラの開花時期と重なるため、バラの下草としても人気があります。ボーダーガーデンの中段もしくは後方に植栽をしても見栄えがします。
- サザンクロスはオーストラリア原産の常緑樹です。ピンクや白の可愛らしい星形の花をつけることから「クロウエア」という本来の名前より、流通名である「サザンクロス(南十字星)」の方が有名になりました。サザンクロスは、分類上は常緑低木ですが、流通時は草花のような小型の形状をしています。
春から秋まで長い期間、星形の花が株一面に開花し、咲き続けてくれるのがサザンクロスの魅力です。ひとつひとつの花も1週間程度日持ちします。ミカン科なので、葉を揉むとほんのり柑橘類の香りが漂います。
サザンクロスは、いくつかの種類があり、主に流通しているのは、クロウエア・サリグナ(Crowea saligna)とクロウエア・エクサラータ(Crowea exalata)、その両者の交配種です。サリグナとエクサラータでは葉の幅に違いがあります。最近は葉が斑入りの品種やもともと低木ですが、さらに草丈を低くした矮性種などもあります。
- サイシン(菜心)は、ヨーロッパ原産で唐の時代に中国で普及し、現在では中国野菜のひとつです。
暑さに強く、生育旺盛で育てやすいのと、収穫までの期間が短いため、家庭菜園でも手軽に栽培できます。真夏でもとう立ちするため、初夏から晩秋まで長く収穫することが可能です。甘みがあり、アスパラに似た食感と風味で、間引き菜、葉、つぼみのついた菜花のどれもおいしくいただけます。茹でたり、炒めたり、漬けたりと利用範囲が広い葉もの野菜です。
- サルビア・ヌタンスは、ヨーロッパ原産の原種系の耐寒性宿根草です。たくさんの品種があるサルビアの多くは、穂を立ち上げて咲く花姿の中で、ヌタンスは下垂れて咲くのが特徴です。学名のnutansは、ラテン語で「ぶら下がった、うなだれた」などを意味する単語です。
風に揺れてゆらゆらと咲く姿は、大型の宿根草のわりには圧迫感がなく、ナチュラルな雰囲気を演出できます。また、ユニークな花の姿は、造形美の美しさも感じられ、庭や花壇の中で面白い存在になります。
開花時期は初夏~秋。花の時期になると、長い茎を立ち上げてラベンダーに似た色の花が開花します。開花時は草丈が1m前後になり、とても目を引く存在です。年々、大株になり、たくさんの花が咲くようになります。
耐寒性、耐暑性ともに強く、初夏の花が一通り咲き終わったら花茎を切っておくと秋に再び返り咲きます。
- サンキライ(山帰来)は、日本全国の山地に自生するつる性の落葉低木。つるにはトゲがあり、葉の付け根から巻きひげが出ます。節ごとに茎がジグザグに折れ曲がりながら近くのものに絡みついて伸びます。猿がトゲだらけのつるに絡まって捕まってしまうことをイメージして、猿捕茨(サルトリイバラ)とも呼ばれています。切り花では、トゲの無い品種も出回っています。
4月~5月頃に若葉と同時に淡い黄緑色の花が咲きます。雌雄異株で、雌株と雄株が近くに無いと結実しません。葉は先がとがったタマゴ形。長さは約5cmほどで、固く丈夫で光沢があります。実は直径1cmくらいの丸い形をしていて、数個がまとまってつきます。赤い実が有名ですが、熟す前の5月~8月頃の実は爽やかな緑色の瑞々しい状態で、水揚げが必要な切り花としてお店に並んでいます。10月~11月頃には赤く熟し、ドライフラワーとしてクリスマスやお正月の飾り付けなどに用いられます。枝をくるくると丸めていき、何ヵ所かワイヤーや紐などでとめるだけで簡単にリースが作れます。
サンキライ(山帰来)は性質が強く、一度植えたら自然に生長してつるを伸ばします。地植えにすると、地下茎で増えてあちこちから芽を出します。庭などに地植えする場合は、地下茎で増えても良い場所をしっかりと見極めてから植えましょう。鉢植えで育てても、こぼれ種で違う場所から芽が出ることがあります。トゲがあるので剪定や誘引などをする時は、トゲが刺さらない手袋をするようにしましょう。
山帰来とは「山から帰って来た」という意味で、諸説ありますが、昔は根茎を生薬として使ってきた歴史があったり、山で病にかかった人がこの実を食べて元気に帰ってきたことから、そのような名が付いたと言われています。また、古くから西日本では、サンキライ(山帰来)の丸い葉は餅やだんごなどを包む葉としても使われてきたそうです。
- サラサモクレンは、ハクモクレンとモクレンの交雑種で、両者の中間的な花の形や色をしています。園芸品種の他、自然交雑種もあります。花の形はハクモクレンに似た大輪の花を咲かせます。同じサラサモクレンでも花色に幅があり、淡いピンクから濃いめのピンクまで品種によって違いがあります。
ハクモクレン、モクレン、サラサモクレンの開花時期は3月~4月で、3つの花の開花時期は少しずつずれます。ほとんどの年は、ハクモクレン→サラサモクレン→モクレンの順に開花します。
サラサモクレンは生長すると樹高が7~10m程度の高木となり、雄大に広がった枝にたくさんの大輪の花を咲かせるので、開花時はとても華やかです。
ハクモクレン、サラサモクレン、モクレンと分類されて呼ばれる場合と、これら3つの学名であるマグノリアと呼ばれることもあります。
- サルビア・ライムライトは、ライムグリーン色のガクと青紫色の花の色合いが美しい常緑の多年草です。花は晩夏から秋にかけて開花します。ライムグリーン色の部分はガクで、青紫色の花が落ちた後も花が咲いたように見え、最後まで見た目が美しいのが魅力のひとつです。
生育旺盛で数年で大株に生長します。花やガクは切り花としても楽しむことができます。
- ペチュニアの改良品種がサフィニアです。原種の欠点だった雨への弱さを克服し、花つきを格段によくしたばかりでなく、丈夫さをそのまま残すことに成功しました。上手に育てれば1株から1000の花を咲かすこともできるといわれています。サフィニアは小輪から大輪、一重咲きから八重咲き、花びらに星型やハート模様が入るタイプなどバラエティーが豊富です。最初に登場した紫がかった赤からさらに改良が進み、現在では赤、白、ピンク、紫ピンク、紫、ブルー、黄などバリエーションが増えました。
サフィニアは横に広がり枝が垂れ下がるので、鉢植えや寄せ植え、ハンギングバスケットなどで少し目線の高い位置に飾ると垂れるようにこぼれ咲く美しさも楽しめます。1株で充分見ごたえがあるので、スペースの余裕を持って植え付けるようにします。梅雨前に切り戻しをすると状態良く夏越しでき、秋まで美しく咲き続けます。
サフィニアは、暖地以外では屋外で越冬することが難しく一年草扱いされていることが多いですが、霜が降りる前に室内に取り込んで管理すると翌年も楽しめます。また、サフィニアは挿し芽で増やせるので、摘芯を兼ねて切り戻しをしながら増やし、挿し芽で作った小さな苗を室内で冬越しさせて暖かくなったら屋外で育てることもできます。
サフィニアの名は、英語のSurfing(サーフィン)とPetunia(ペチュニア)を合わせて名付けられました。匍匐した枝に花が波打つように咲きあふれることからイメージしたそうです。ちなみにペチュニアの名は、ブラジルの先住民がペチュニアの葉をタバコに混ぜて吸っていたことから、先住民の言葉Petunia(タバコ)から付けられたという説と、ペチュニアがタバコの花に似ていることから付けられたという説があります。
- サフランは草丈が10cm~30cmくらいのクロッカスなどと同類の球根植物です。最大のサフランで4つくらい花をつけます。長く細い葉と紫の花が特徴です。花の中心には赤くて細い糸のようなめしべがあり、これを取って乾燥させたものがサフランというスパイスになり、料理の着色料などに使われます。花が咲き終わった後も葉は伸び続け、5月頃に枯れた後、休眠に入ります。
- さつまいもは蔓をたくさん伸ばし、土を這うようにたくさんの葉をつけて生育します。紫色の皮で大きめの地下茎が土の中で育ちます。さつまいもは他のイモ類と比べて甘く、お菓子の食材としても利用されています。とても強い野菜で高温や乾燥する場所、その他どんな土質でも育つことができ、連作も可能な作物です。
さつまいもはヒルガオ科の植物なので、水を入れた器に入れておくと芽を出し、まるで観葉植物のような姿に生長します。ちょっとしたインテリアにもなりますので、育ててみてはいかがでしょうか。