切り花を長持ちさせるコツとテクニック。種類、水揚げ、生け方、方法など
山田智美
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花のある暮らしをしませんか。買ってきた切り花をただ花瓶に生けるのではなく、ちょっと一手間かけてみましょう。お花がシャキッとして長く楽しめるようになります。切り花を長持ちさせるコツとテクニック、種類、水揚げ方法、生け方などを紹介します。
目次
- 切り花を長持ちさせるには?基本のお話3つ
- 切り花を長持ちさせるテクニック6種
- 切り花の生け方、楽しみかた
- 切り花を長持ちさせるためにあると便利な道具
- 切り花の種類と長持ちさせる方法4種
- 切り花の寿命はそれぞれ
切り花を長持ちさせるには?基本のお話3つ
切り花を長持ちさせるには、まず切り花のことをよく知ることが大切です。基本的なことから理解しましょう。
水のこと
根から切り離された切り花は、茎から水を吸い上げて生命を保っています。茎の断面が水に浸かっていないとすぐに枯れてしまいます。切り花を自宅に飾るなら、すぐに水に浸けましょう。
花瓶の水は多過ぎても少なすぎてもよくありません。多過ぎると茎が腐りやすくなったり、少なすぎるとうまく吸い上げられなくなったりします。
自宅で飾って楽しむなら目安は花瓶の1/3くらい。あとはそれぞれの花の好みに合わせて調整します。球根植物の花は茎が腐りやすいので少なめ、アジサイのような水が大好きな花はたっぷりと水を入れるようにします。
花束のように組んであるものは、茎の長さが揃っていないこともあります。花束が組んである箇所(バインディングポイント)までしっかり水に浸かるようにしましょう。
ばい菌のこと
切り花は花瓶の水だけで生きています。水が汚れると茎からばい菌を吸い上げてしまうので、早く枯れてしまいます。花瓶の水はこまめに変えるようにしましょう。特に夏季はバクテリアが発生しやすいので、毎日に水を替えるようにしましょう。
切り口のこと
ずっと水に浸かっている部分は腐りやすくなります。茎の切り口が傷み始めると水の吸い上げが悪くなる上に、ばい菌が全草に回ってしまい枯れるのが早くなります。水を替えるタイミングで5mm~1cm程度でいいので茎をカットして、切り口の鮮度を保つようにしましょう。
切り花を長持ちさせるテクニック6種
切り花を飾る前に一手間かけるだけで、ぐんと花が長持ちするようになります。代表的なテクニックを紹介します。
基本の水揚げ
- 水に浸かる部分の葉は取り除く
- 切り花を束にして新聞紙で包む
- 茎の切り口を1~2cmカットして水に浸け、2~3時間置いておく
新聞でくるむことで葉茎からの水分の蒸発を防ぎ、しっかりと花に水を吸い上げさせることができます。
水切り
- 水に浸かる部分の葉は取り除く
- バケツに水を溜め、水の中で花の茎を1~2cm切る
- そのまま2~3時間水に浸けておく
ダリアのような茎の中が空洞になっている花に有効です。水の中で茎を切り戻すことで、中に空気が入るのを避け、水を一気に吸わせることができます。
湯上げ
- 水に浸かる部分の葉は取り除く
- 花の顔に蒸気が当たらないように上までしっかりと新聞紙で包む
- 鍋に深さ1~2cm程度の湯を沸かす
- 茎の先を平らにカットし、垂直に切り口を浸ける
- 30秒~1分程度経ったら湯から出し、すぐに水に浸けてそのまま2~3時間置く
- 水から出し、茶色く変色している部分をカットする
茎の中の空気を抜き、一気に水を吸わせる方法です。また熱湯によりバクテリアも除去できます。水に浸けた後に変色した部分を放っておくと腐ってしまうので必ず切り戻すようにしましょう。
深水
- 花が隠れるまでしっかりと新聞紙で包む
- 花首まで水に浸ける
- 2~3時間浸けて置く
花の顔の部分は水に浸からないように注意しましょう。花びらにシミができてしまうことがあります。この方法は水圧で水の吸い上げをよくする他、葉や茎の表面からも水を吸収させることができます。
叩く
- 水に浸かる部分の葉は取り除く
- 傷がついても悲しくならない床に新聞紙を広げる(庭のコンクリートの上など)
- 花をしっかりと新聞紙で包む
- 新聞紙の上に茎を載せて、金槌などの硬いもので繊維を破壊するように叩く
- 2~3時間水に浸けて置く
枝などの固いものに使用するテクニックです。繊維を破壊することで水の吸い上げを良くします。
切り花延命剤
- 水に浸かる部分の葉は取り除く
- 切り花延命剤を入れた花瓶の水に花を生ける
- 水を替える度に延命剤を入れるようにする
バクテリアを発生させにくくする他、花に必要な栄養が入っています。花瓶の水に入れて使用すると有効です。
切り花の生け方、楽しみ方
自宅で楽しむ切り花の生け方にルールはありません。ジャムやドリンク剤の空き瓶に、庭で摘んだ1輪の花を生けるだけでも十分に楽しめます。
口の広い花瓶に広がるようにどっさりと1種類の花だけを飾っても絵になります。
▼花と花瓶の上手なバランスの取り方について紹介しています。
切り花を長持ちさせるためにあると便利な道具
切り花を長持ちさせるために大切なのは、切り口の鮮度。あると便利な道具の紹介です。
ハサミ
切り花用のハサミにはいくつかの種類があります。切り花の華奢な茎を切るためのハサミや、枝などの固いものを切るハサミなど、それぞれの用途ごとに使い分けるとよいでしょう。
大切なのは切れ味です。切れなくなったハサミを使用すると切り口から雑菌が入りやすくなる他、茎の中の導管を潰してしまい水の吸い上げを悪くしてしまうこともあります。
ナイフ
切り口を斜めに大きくカットするにはナイフが一番です。切り花は斜めにカットすると断面が大きくなり、その分水の吸い上げもよくなります。ナイフを上手に使いこなして、切り花を長持ちさせましょう。ナイフも切れ味が大切。日頃から刃を研ぐなどの手入れをしておきましょう。
切り花の種類と長持ちさせる方法4種
代表的な切り花の種類と長持ちさせる方法を4種紹介します。
バラ
- 水揚げ方法:基本の水揚げ
- 使用道具:ハサミでもナイフでも可
- 花瓶の水の量:1/3~1/2程度
バラは気温が上がってくると傷みやすくなる花です。水の中でバクテリアが発生するのを防ぐためにもこまめに水を替えるようにしましょう。
▼バラの生け方について詳しくはこちら
アジサイ
- 水揚げ方法:基本の水揚げ+中綿を取る
- 使用道具:ナイフ
- 花瓶の水の量:1/2~1/3
アジサイは水揚げの際に茎を斜めに大きくカットして、中に入っている白い綿を取り除きます。さらに茎の断面は、ナイフで大きく斜めにカットしましょう。この一手間でぐんと水の吸い上げが良くなります。
▼アジサイの生け方について詳しくはこちら
ガーベラ
- 水揚げ方法:基本の水揚げ、湯上げ
- 使用道具:ハサミでもナイフでも可
- 花瓶の水の量:1/3よりも少なめ
ガーベラは茎が腐りやすい花です。花瓶の水は少なめで生けましょう。また、茎の中でバクテリアが発生し、傷んでしまうこともあります。切り口の鮮度を保つようにすること、茎の中は茶色く傷んでいたら、切って取り除くことが長持ちさせるコツです。
球根類
- 水揚げ方法:基本の水揚げ
- 使用道具:ハサミでもナイフでも可
- 花瓶の水の量:1/3よりも少なめ
球根は茎にたくさんの水分を含んでいるので、茎が腐りやすい傾向にあります。花瓶の水は少なめにしましょう。切り口の鮮度を保つように水換えの度に少しずつ切り戻すことも大切です。
切り花の寿命はそれぞれ
切り花がどれくらい長持ちするかは、一概には何とも言えません。1週間以上きれいな花もあれば、2~3日で萎れてしまう花もあります。
種類や季節によっても差があります。同じ種類の花でも諸条件により違ってきます。切り花の寿命は、花それぞれです。
花は生き物です。切り花であっても植物というのは人間の思い通りにはならないものだと理解しておくことが大切です。
長く楽しむことだけでなく、切り花の一瞬の美しさ、華やかさも楽しんでみてください。1輪の花のエネルギーを感じて、その香りまで満喫してみませんか。
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