可愛いけれど毒がある。山で見つけた“タイツリソウ”の特徴と増やし方
小野寺葉月
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タイツリソウ、という植物をご存知でしょうか。山道を歩いていて一度見たら忘れられないその造形から想像する名前は国によってさまざまです。
目次
名前の由来はフォルム?タイツリソウ(ケマンソウ)について
植物名 | タイツリソウ(ケマンソウ) |
学名 | Dicentra spectabilis |
英名 | Bleeding heart |
科名 | ケシ科 |
属名 |
ケマンソウ属 |
原産地 |
中国・朝鮮半島 |
タイツリソウという名前は、釣り竿に鯛が点々と釣れているところから名付けたものです。なるほどおめでたい感じがします。ケマンソウという名前は、仏堂の装飾具として使われる、「華鬘(けまん)」が語源と言われています。
華鬘は、華(はな)と鬘(かずら)の意味合いを持つ漢字で構成されており、「華やか」な「草や花で作った髪飾り」という意味です。仏像の前に吊り下げて、顔が隠れるような形で使われます。その形がこの花の形に似ているため、ケマンソウという名前がついています。ケマンソウは蕾の時はハート形で、開花すると垂れ下がった赤い部分がダリのヒゲのように両側にくるんと巻き上がり白い部分があらわれ、しべが出てきます。
海外では様々な呼び名のあるタイツリソウ
海外ではこの花の形が心臓のハート形に見えるようで、ハートにまつわる名前で呼ばれているそうです。英語では「bleedeng heart 血を流す心臓」と言われています。たしかにハートから血が出ているように見えます。また、ドイツ語では「tranendes Herz 涙を流す心臓 」と言われています。フランス語では、「coeur de Jannette ジャネットの心臓 」「coeur de Marie マリーの心臓 」と言われています。中国では「荷包牡丹(きんちゃくぼたん)」と言われていますがこれは、花が巾着に、葉が牡丹の葉に似ているからなのでしょうか。
タイツリソウの花言葉
タイツリソウの花言葉はそのハートのフォルムにまつわるものばかり。
恋心・・・つぼみの状態のハート形から連想されたのでしょうか。
従順/あなたに従います・・・ハートが等間隔で垂れ下がった状態が従順なイメージにつながります。
冷め始めた恋/失恋・・・開花がすすむとハートが裂けてしまうようにも見えるため、このような花言葉があるのでしょうか。開花が進むと花色が褪せて白っぽくなっていくので、気持ちが覚めていくようなイメージに重なるのかもしれませんね。
見た目はかわいい。でも毒がある!
このように、見た目はとってもかわいいタイツリソウ。ですが実は毒があります。全体に毒があり、誤って食べてしまうと大脳中枢がマヒし、お酒を飲んだ時のように酔っ払った感じで眠くなってしまい、嘔吐や呼吸困難、心臓まひなどを引き起こすことがあります。結構致命的な効果が挙げられてますが、相当量を摂取しないと致死量には達しないようですが、くれぐれも誤って食べないようにしましょう。
タイツリソウを増やしてみよう
タイツリソウは株が大きく成長すると高さが60cm~1m程度になります。タイツリソウは株分けで増やすことができます。太い根を切らないようにしながら、株をわけます。作業をする時はガーデニング用の手袋をして作業をしましょう。
タイツリソウのある暮らし
近所のおうちでタイツリソウを増やしている方のお庭を見せてもらいました。
今年株分けしたタイツリソウ。花はひとつしかついていませんがかわいいです。
梅雨ごろには地上部が枯れ、越冬します。春先になるとまた地面から芽をだし、成長します。
緑が多くなってくる時期に赤い花が映えて可愛らしいです。タイツリソウは花色がだんだん褪せていくので、花が咲いた後は早めに花を切ったほうが株自体の花つきがよくなります。切った花は活けても花もちがよく、フォルムが美しいので一本でも絵になります。
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