ヤマボウシの実とは?食べられる?食べ方からジャムや果実酒の作り方
山田智美
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ヤマボウシの実をご存知ですか?実りの秋にふと目を惹く果実。ヤマボウシの実の食べ方、ジャムや果実酒の作り方、よく似ているハナミズキの実との見分け方などを紹介します。
目次
- ヤマボウシの実とは?
- ヤマボウシの実は食べられる?
- ヤマボウシの実の味
- ヤマボウシの実の食べ方
- ヤマボウシの実とハナミズキの実の違いは?
- ヤマボウシの実のジャムの作り方
- ヤマボウシの実の果実酒の作り方
ヤマボウシの実とは?
ヤマボウシ基本情報
- 学名:Cornus kousa
- 科名・属名:ミズキ科ヤマボウシ属
- 分類:落葉(常緑)高木
- 花期:6月~7月
- 収穫期:9月
ヤマボウシはミズキ科の落葉あるいは常緑高木。春に花を咲かせ、秋に果実を実らせます。日本を始め、中国や韓国などの山林に自生しています。
春に咲く4枚の花びらのように見える部分は総苞片(そうほうへん)で、総苞片の中心に30前後の小花が集まって咲きます。
ヤマボウシは古くから私たちの生活のなかで身近にあった樹木で、開花を田植え時期の目安にしたり、木材を利用したりしてきました。春に咲く花や樹形が美しいことから、庭木として人気があります。
ヤマボウシの実の特徴
ヤマボウシは初夏に花を咲かせ、初秋の9月頃に果実を実らせます。果実は、始めはグリーン、熟すに従い朱色のような赤へと変化していきます。
ヤマボウシの実は表面にボコボコとした突起のある変わったフォルムをしています。これはたくさんの小花同士がくっつき合って一つの果実になったからです。これを複合果と言います。
ヤマボウシの実がつかない?
ヤマボウシの実は落葉性でも常緑性でも実ります。ヤマボウシの実がつかないという場合は、以下のようなことが考えられます。
ヤマボウシ自体がまだ植えて間もなかったり、日照や土壌の条件が悪かったりすると、花が咲かず、結果として果実も実らないようなことがあります。
さらに、ヤマボウシの実が実り始めた頃は台風シーズンでもあるので、まだ未熟なうちに落下してしまうことも多いようです。
ヤマボウシの実は食べられる?
ヤマボウシの実は食べられます。果物として市場に流通してないので馴染みがありませんが、人間が食べても中毒を起こすようなことはありません。
食べられるか食べられないかと言ったら食べられますが、街路樹など公共の場に植えてあるヤマボウシの実は薬剤が散布されていることも考えられます。むやみに口に入れないように注意しましょう。
ヤマボウシの実の味
ヤマボウシの実の味は、酸味がほとんどなく甘味が強いのが特徴です。よくマンゴーやバナナに例えられますが、そこまで香りが強いものではありません。もっと素朴な印象です。食感は、リンゴや梨のような水分の多い果実とは違い、ねっとりしています。
危険を冒してまで食べたいとか、ヤマボウシの実の味が忘れられなくなる、というほどの特徴はありません。
ヤマボウシの実の食べ方
ヤマボウシの実は生食できます。赤に近いオレンジ色まで熟した果実を選びましょう。熟した果実は枝から落ちるので、落ちている果実の色を目安にするとわかりやすいと思います。落ちているヤマボウシの実を拾って食べるのは、衛生的ではないのであまりおすすめしません。
ヤマボウシの実の食べ方は、外側の果皮を剥いて内側の甘い果肉だけを食べます。中に数粒の種が入っているので吐き出してください。
ヤマボウシの実とハナミズキの実の違いは?
ヤマボウシによく似た花を咲かせるハナミズキという庭木があります。花はよく似ていますが、果実はまったく似ていません。見分け方を紹介します。
ハナミズキとは
- 学名:Cornus florida
- 科名・属名:ミズキ科サンシュユ属
- 分類:落葉高木
ハナミズキは別名アメリカヤマボウシという、ヤマボウシの近縁種。花がヤマボウシによく似ています。
ヤマボウシとハナミズキの見分け方
ヤマボウシ
ヤマボウシは花びら(総苞片)の先が尖っていますが、ハナミズキは欠けたようにくぼんでいます。また、開花時期も違い、ハナミズキは4月~5月頃、ヤマボウシは6月~7月頃です。ヤマボウシは花が咲く頃に葉も茂っていますが、ハナミズキは花の後に葉が出てきます。
ヤマボウシの実とハナミズキの実の見分け方
ハナミズキ
- ヤマボウシの実は1粒の複合果である
- ヤマボウシの実は光沢がなく、表面にボコボコとした突起がある
ヤマボウシの実は、表面がボコボコとした一粒の実(複合果)であるのに対し、ハナミズキの実は1~1.5cm程度の小さな実(単果)が集まって房状になっています。
ヤマボウシの実は表面に光沢はありませんが、ハナミズキの実の表面には光沢があります。
ハナミズキの実は食べられる?
ハナミズキの実は食べられません。子供の頃に興味本位で口に入れたことがありますが、スカスカとした甘味のないカステラのようでした。まったくおいしくなかったことを記憶しています。
ヤマボウシの実のジャムの作り方
ヤマボウシの実はジャムにできます。たくさん収穫できたら、ジャムにして保存するのも手です。
材料
- ヤマボウシの実 収穫できただけ
- グラニュー糖 ヤマボウシの実の重さの1/2~1/3
- レモン果汁 少々
作り方
- ヤマボウシの実はよく洗い、果皮を剥く
- 果皮を剥いたヤマボウシの実を小鍋に入れ、グラニュー糖をまぶして1~2時間寝かす
- 小鍋を弱火にかけて、果肉を潰すように混ぜる
- 一旦火から下ろし、ザルや裏ごし器で種や果皮を取り除く
- 再度火にかけ、とろりとしてきたらレモン果汁を少々加えてひと煮立ちさせたら火を止める
- 煮沸消毒した保存瓶に移して出来上がり
グラニュー糖をまぶして寝かすことで、果肉から水分が出てきます。この果汁で煮詰めることで味の濃いジャムが出来上がります。
レモン果汁を入れて加熱することでジャムにとろみが出ますが、入れ過ぎると酸味が強くなるので加減してください。
ヤマボウシの実の果実酒の作り方
ヤマボウシの実で果実酒を作ってみましょう。外では味わえない大人の楽しみです。
材料
- ヤマボウシの実 収穫できた量
- 氷砂糖 ヤマボウシの実の重さの1/3程度(好みで調整)
- ホワイトリカー ひたひた強程度
作り方
- ヤマボウシの実はよく洗い、果皮は剥かずにヘタを取って水分をふき取る
- 煮沸消毒済みの瓶にヤマボウシの実と氷砂糖を入れる
- 全体がひたひたに浸かるか、それより少し多いくらいまでホワイトリカーを注ぐ
- 3か月熟成させたら果実を取り出して出来上がり
ヤマボウシの実は入れたままでもかまいませんが、濁ってくるので取り出すようにしましょう。
ブランデーや焼酎など、他のお好みのお酒でも代用できます。基本的には梅酒など、他の果実酒の作り方と同様です。
レモンを入れてソーダで割ったり、そのまま楽しんでもよいでしょう。
身近な庭木であるヤマボウシの実は食用にできます。自宅のヤマボウシにたくさん果実が実ったら、試しに食べてみてください。
山野に生えているヤマボウシの実は、野生動物の貴重な食料です。奪い合いにならないように楽しんでください。
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