【秋からの栽培は大根がおすすめ !】育てて食べる。はじめてさんのエディブルガーデン9月編

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古幡真恵

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Illustration:小野寺葉月

9月のエディブルガーデンは「これからの栽培は大根がおすすめ!」

目次

これから大根栽培をおすすめする3つの理由

「9月からの栽培は大根がおすすめ」って?大根を一度も育てたことがない方にとっては、ピンとこない言葉かもしれませんがおすすめするには3つの理由があるんです。  1. 9月は大根の種まき適期だからおすすめ 9月は大根の種まき適期です(主に関東温暖地)。品種や地域にもよりますが、この時期に栽培をスタートすることで良好に生育した大根の収穫が可能になります。  この時期に種をまいたかどうかで今後の大根の生育に差がどうしても出てしまうので、今がチャンスだと思って大根の栽培をスタートさせましょう。

「これからの栽培は大根がおすすめ」って?大根を一度も育てたことがない方にとっては、ピンとこない言葉かもしれませんがおすすめするには3つの理由があるんです。

1. 9月は大根の種まき適期だからおすすめ

9月は大根の種まき適期です(主に関東温暖地)。品種や地域にもよりますが、この時期に栽培をスタートすることで良好に生育した大根の収穫が可能になります。

この時期に種をまいたかどうかで今後の大根の生育に差がどうしても出てしまうので、今がチャンスだと思って大根の栽培をスタートさせましょう。

ちなみに、お正月明けの1月7日に食べる七草粥の春の七草「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」のスズシロはダイコンを意味します。このスズシロを家庭菜園で作ったことがありますのでご紹介します。

スズシロの種まきは大根の種まきに適した9月ではなく、10月頃にまくことがポイント7です。種まきの時期をずらすことで春の七草の時期にちょうど良い大きさのスズシロを収穫することができます。育てる環境や気温などによって差が出てしまうかもしれませんが、小さなプランターやペットボトルなどで試してみてくださいね。

 

2. 大根が冷涼な気候を好むからおすすめ

大根は冷涼な気候を好むため、生育適温も15~20℃ほどです。

12月を過ぎると寒さも増すので大根の生育もゆっくりになります。料理に使いたいときに合わせて収穫する日にちを少し伸ばすことも可能です。

ただ、収穫が遅れると「す」が入ってしまうこと、低温に合ことで花芽を付け春にとう立ちしやすい傾向がありますのであまりにも遅過ぎる収穫には注意してください。

※とう立ち(抽だい)・・・節間が詰まった状態の茎が、花芽ができたことにより急に長く伸びること。

※「す」が入る・・・根に蓄えられている栄養が葉に送られてしまい、スポンジのように中身がスカスカになること。

3. 日本という国だからこそ大根の栽培がおすすめ

大根をイメージする時、「おでん」の人気具材の白くて長くて太い大根を思い出しますが、大根の原種は根が太らないものがほとんどで、大根の原産地(地中海地方)であるヨーロッパでは二十日大根のように小さいものが主流です。

その大根が日本に渡った後に、長い年月をかけて品種改良が重ねられ、今では世界一の重さを誇る「桜島大根」や世界一長い「守口大根」が作られるようになりました。日本の大根の品種の数や味のレベル、バリエーション、生産量、消費量は世界一なんです。

【豆知識】大根は根?茎?

根菜類の大根は根の部分を食べているとほとんどの人が思っていますが、じつは茎(胚軸)と根が合わさった部分を食べています。その証拠に、大根の下部にはひげ根がついていますが、大根の上の方は表面がつるんとしています。自分で育てて観察してみるとよく分かりますが、大根の上の方は土の上にはみ出しています。
※胚軸とは、かいわれ大根を観察すると双葉の下に長く伸びた白い部分がありますが、それが胚軸です。

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おいしいだけじゃない!土を健康に近づける一挙両得の大根栽培

大根を育てて収穫できるだけでも嬉しいものですが、大根を栽培するだけで土も健康にしてくれるだなんて、大根栽培が一挙両得な野菜だったことをご存知でしたか?

土を不健康にする要因の一つ「根こぶ病」とは?

根こぶ病とは、キャベツやブロッコリー、小松菜などのアブラナ科のみに発生する土壌病菌のことです。発症すると根の表面に凸凹したこぶのようなものが作られるため、根の機能が低下して枯れていく病気です。

 

大根を栽培すると「根こぶ病」菌が減る!?

同じアブラナ科の野菜であるダイコン類は根こぶ病の抵抗性が高く、根こぶ病に感染したとしても発病することがありません。そのため、大根は根こぶ病の「おとり作物」として育てることで土壌中の根こぶ病の病原菌を減らすことができるんです。

つまり、大根を栽培することで、土を不健康にする要因の一つである「根こぶ病」の病原菌を減少させるので、結果的に土を健康に近づけてくれるということなんです。

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病原菌をおさえるコンパニオンプランツとしての大根

コンパニオンプランツとは、一緒に植えると互いに良い影響を与え合う植物同士のことを意味します。

【大根を栽培すると「根こぶ病」菌が減る!?】 でもご紹介した「おとり作物」としての大根の働きについて、もう少し詳しくご紹介します。

おとり作物としての大根の働き

おとり作物とは、病気のもととなる病原菌を自らに寄せ付ける性質があるにもかかわらず、病原菌が増えないようにおさえることができる作物です。 例えていうならば、おとり作物である大根と病原菌が結婚しても、病原菌の赤ちゃんは生まれず、大根だけが生まれてくるため、病原菌の数が減っていくという仕組みです。

Illustration:小野寺葉月

おとり作物とは、病気のもととなる病原菌を自らに寄せ付ける性質があるにもかかわらず、病原菌が増えないようにおさえることができる作物です。

例えていうならば、おとり作物である大根と病原菌が結婚しても、病原菌の赤ちゃんは生まれず、大根だけが生まれてくるため、病原菌の数が減っていくという仕組みです。

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大根の育てかたのポイント

9月の大根栽培スタートがいろんな意味で良いことが分かったら大根を育ててみませんか。

大根は畑以外にもプランターやペットボトル、袋栽培でも育てることができます。プランターで栽培する場合はできるだけ深さのあるものを選び、培養土などの袋で栽培するときは排水のための穴を開けましょう。

▼春夏栽培からの土の簡単なリサイクルについてはハチワレとチャトラのQ&Aをご覧ください!

 

大根の育て方

大根は日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。

プランター栽培は基本的に野菜用の培養土で育てます。
畑栽培の場合は動物質堆肥や元肥を入れる2週間前位には石灰を入れよく耕します。又根ができないように石などはきれいに取り除きましょう。

※又根とは、土の中に石や肥料分のかたまりなどの障害がある場合根が割れてしまう状態のこと。 

種まき

大根の種まきの適期は9月。大根は直根性なので育苗はせず、直まきにします。  点まきは株間30cm間隔で、女性の握り拳より一回り小さい深さ1cm凹みを作り、種を3~4粒まき覆土します。 すじまきは深さ1cmほどのすじを作り1cm間隔で種をまき、同じように覆土しましょう。

大根の種まきの適期は9月。大根は直根性なので育苗はせず、直まきにします。

点まきは株間30cm間隔で、女性の握り拳より一回り小さい深さ1cm凹みを作り、種を3~4粒まき覆土します。
すじまきは深さ1cmほどのすじを作り1cm間隔で種をまき、同じように覆土しましょう。

間引き

点まきは本葉6~7枚の頃を目安に、元気に生育したものを1本残して他は間引きます。

すじまきは隣どうしが込み合ってきたら順次間引き、最終的に株間30cm程度にします(株間を大きく取ることで大根も大きく育ち、狭いと大根自体も小さくなります)。

根の乾燥を防ぐため間引き後は土寄せを必ず行いましょう。

追肥

本葉が5~7枚になり、1本立ちした頃から追肥をスタートします。使用する肥料の容量を守りましょう。その後の追肥は2週間に1度の間隔で行います。

本葉が5~7枚になり、1本立ちした頃から追肥をスタートします。使用する肥料の容量を守りましょう。その後の追肥は2週間に1度の間隔で行います。

収穫

大根の首の部分が土から出てきた頃が収穫の目安(品種にもよる)。収穫が遅れるとせっかく根に蓄えられていた栄養が葉に送られてしまうので注意。

大根の首の部分が土から出てきた頃が収穫の目安(品種にもよる)です。収穫が遅れるとせっかく根に蓄えられていた栄養が葉に送られてしまうので注意しましょう。

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春夏とは違う秋冬栽培の肥料と水やり

日本には四季折々の季節があります。例えば北国の冬はご存知の通り、気温が下がり地面は厚い雪に覆われます。そのため冬の期間は家庭菜園を行うことができません。しかし、雪の積もらない温暖地といえどもやはり冬は寒い。そのため、寒い季節に合わせて野菜の育て方のポイントも変わってきます。

秋冬栽培肥料のポイント

作物を育てる基本はそれぞれの野菜の好む温度や光、土壌などの環境条件を考えて育ててあげることにあります。

比較的冷涼な環境を望む秋冬野菜の生育適温は、ほとんどが15~20℃位です。つまり、15℃を下回るような寒い季節は野菜の生長するスピードはどんどん遅くなります。この時、春夏野菜の頃と変わらず肥料(追肥)を与え続けることで使用されない肥料が土の中で溜まってしまうことになります。そのため、気温が15℃を下回ったらほとんどの秋冬野菜の肥料は控えましょう。

 

もしも、秋冬栽培で肥料を施す量が多過ぎるとどうなる?

肥料(追肥)を与え続けた結果、土の中で消費されない肥料は作物にどのような悪影響を与えるのでしょうか?

過剰追肥で引き起こすトラブル

1. 団粒構造が壊され、土壌の保水・通気・透水性が悪くなる。

2. 根腐れ等がおきやすくなる。

3. 肥料焼けなどの肥料障害も発生する。

4. 窒素肥料が多過ぎると、アブラムシが増えその結果モザイク病などの病害虫の被害が多発する。

5. 作物の収量・品質低下する。

以上のことから、秋冬栽培の追肥は気温に注意が必要です。

秋冬栽培水やりのポイント

春夏栽培でも特に真夏の水やりは、直射日光や気温の上昇による土の乾燥が一番の懸念材料でしたが、秋冬栽培は霜柱が立つような冬季期間が一番注意して欲しい時期です。

真冬の水やりは午前中

ここでも真夏の水やりを例にあげて説明します。真夏は日中の気温が上がることで土中の温度も上がります。高温で根を傷めないために水やりは朝方気温が上がる前に行い、プランター栽培などで土があまりにも乾燥している場合は、しおれない程度にやはり気温の下がった夕方以降にも水を与えるように注意してきました。

では、真冬の水やりについてはどうでしょう。冬季期間は気温が下がることで、土中の温度も下がります。低温で作物の根を傷めないようにするために、水やりは午前中の気温が上がり出す少し前の時間帯に与えます。そうすることで、作物が十分に水分を吸収し、夜気温が下がる頃には土中に不必要な水分がないため、寒さで根を傷めずに済みます。

秋冬野菜の栽培がスタートした9月。育てる野菜の中でも育てて収穫するだけじゃない、土も健康に近づけてくれる大根は魅力的な野菜ですね。みなさんも9月は大根栽培をはじめてみませんか。

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古幡真恵

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。

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