【プランターの土を再生しなきゃ! 】育てて食べる。はじめてさんのエディブルガーデン1月編
古幡真恵
このライターの記事一覧
Illustration:小野寺葉月
家庭菜園をスタートしよう!そんなはじめてさんに向けた「育ててワクワクたのしいエディブルガーデン」では、野菜・ハーブ・食べられるお花を育てる楽しみを紹介しています。1月は「土の再生」について。
本格的に始まる春からの家庭菜園に向けて土の再生方法と土の再生に使用する堆肥や石灰などの種類についてもご紹介します!
目次
1月の家庭菜園
ベランダでプランター栽培をした秋冬野菜の収穫が終わる頃ですが、その栽培が終った「プランターの土」みなさんはどうしていますか?
秋冬野菜の栽培が終ったプランターの土の状態
秋から始めた野菜の栽培が終わるころ、土の状態として3つのことが考えられます。
1. 養分や微生物の欠乏
2. 病原菌や害虫がいる可能性
3. 前の作物の不要な根
もし、プランターの土の再生をしなかったら?
同じ土で、同じ種類の作物を続けて栽培すると連作障害といって病害虫が増え、作物が上手く育たなくなります。何年も同じ土を使い続けることで団粒構造がくずれ、土の中の通気性や排水性が低下します。
そうならないために、栽培で疲れ切った土の再生を行い、理想的な土に生まれ変わる作業を行いましょう。
理想的なプランターの土にするために
土の状態が良ければ、かなりの確率で野菜の栽培は成功します。「土質」「水はけ」「酸度」の理想的な3つの条件が揃った土を目指しましょう。
土質を向上させる動物質堆肥
Illustration:小野寺葉月
団粒構造かつ微生物の多く含まれた土を目指すため、堆肥を加えます。
土は元々とても小さい粒で出来ていて、その土がくっついて大小の団子状の塊になったものを団粒(だんりゅう)と呼びます。団粒が集まってできている土を団粒構造の土といいます。
反対に単粒構造は、それぞれの土の粒がぎゅうぎゅう詰めになった状態で、空気があまり通ることが出来ず、根の呼吸が妨げられているような状態に陥っています。長い間栽培を続けたプランターの土はこの単粒構造に近い状態になっていると考えられますね。
プランターの土を掘り返し、微生物を増やすために主に発酵鶏糞、牛糞堆肥などの動物質堆肥を投入して、古くなった土にすき込み、微生物の多く含まれる団粒構造の土を目指しましょう。
水はけを良くする植物質堆肥
Illustration:小野寺葉月
通気性・排水性の優れた土を目指すため、バーク堆肥や腐葉土などの植物質堆肥を用意します。根は水分が多すぎると根腐れを起こしますが、かといって土の水分が不足すると植物に十分な水分を供給できません。適度な水はけ、水持ちを向上させる土質のために植物質堆肥を加えることはとても有効な対処方法です。
酸度を整える石灰
Illustration:小野寺葉月
日本は雨が多いので、土が酸性に傾きやすいといわれています。そのため植物の生育に適した酸度に調整する事が大切です。
酸度の単位はpH。このpH値で酸性・中性・アルカリ性が分かります。ほとんどの野菜はpH6.0~6.5の弱酸性の土を好みます。特に日本は雨が多く、土壌中のカルシウムやマグネシウムが消失しやすく、酸性に傾きがちと言われているので、酸性土壌の改良には石灰を投入する必要があります。
プランター栽培での酸度調整におすすめな資材は、有機石灰またはもみ殻くん炭です。畑と違いプランターの土は少量なので、石灰の入れすぎに注意が必要だからです。牡蠣殻などの有機石灰やもみ殻くん炭は、多少入れ過ぎても効果が緩やかなので石灰を入れるタイミングを気にせず使用することができるため、家庭菜園初心者の方におすすめな酸度調整資材です。
もみ殻くん炭は土壌改良材としても使用されるので、酸性に傾いた土壌を矯正するだけでなく、通気性や排水性を向上させる一石二鳥の植物質堆肥です。
必要な養分が含まれているプランターの土
肥料の三要素は、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)。カルシウムとマグネシウムを加えると五大要素といわれます。
・窒素(N)
主に植物を大きく生長させる作用があり、特に葉を大きくするため葉肥(はごえ)といわれています。過剰に与えると、植物体が徒長し、軟弱になるため病虫害に侵されやすくなります。
・リン酸(P)
リン酸は、花肥(はなごえ)または実肥(みごえ)と言われ、その名の通り「花」や「トマト」などの実を肥やす働きがあります。
・カリ(K)
主に根の発育に関係するため根肥(ねごえ)といわれます。
プランターの土再生の最終段階〜元肥の投入
プランターに種や苗の植え付けをする前に、作物が元気に生長するために最初に与える肥料を元肥(もとごえ)といい、「窒素・リン酸・カリ」この3要素を含む肥料です。作物を育てるスタート時点で施す肥料というところから、葉を育てる窒素分を多く含みます。ゆっくり効果のあらわれる緩効性肥料の有機肥料がよく使用されます。
この元肥を施せば、土の再生は完成です。安心して春夏野菜の栽培をスタートさせることができます。
プランターの土の再生に必要な資材のまとめ
〜用意するもの〜
・動物質堆肥の発酵鶏糞、または牛糞堆肥
・植物質堆肥のバーク堆肥、または腐葉土
・牡蠣殻などの有機石灰、またはもみ殻くん炭
・元肥として、緩効性肥料の有機肥料
〜土の再生の前段階(冬季間)〜
プランターの土を寒ざらしといってシートの上に広げ、寒さに当てて冷却、解凍を繰り返しながら土の殺菌消毒・団粒構造の土へと改良します。
〜土の再生手順〜
1. 育て終わった苗の根を取り除き、ふるいにかけて鉢底石と土を分ける。
2. 土に土壌改良材である動物質堆肥、植物質堆肥などを土に投入。
3. 酸度調整のための有機石灰またはもみ殻くん炭を入れる。
4. 緩効性肥料の有機肥料を元肥として投入。
季節の小ネタ〜節分の豆まき
2月3日は節分の日。鬼は外、福は内と声を出して、煎った大豆をまいて邪気を払い、まいた大豆を年の数だけ食べて無病息災を願う風習です。みなさんもよくご存じの年中行事ですね。
2月3日は節分の他に「大豆の日」として設けられています。節分の豆まきの風習の起源となった言葉「魔滅(まめ)」という大豆の表し方があります。大豆には、病気や災いなどの「魔」を滅ぼす力があると考えられていましたので、節分の夜に「鬼は外、福は内」と豆をまくのもこのためです。大豆は古くから馴染みのある食べ物で、加工品である醬油や味噌の存在を含めると日本人にとって無くてはならない食品の代表格ですね。
いかがでしたか?
家庭菜園の古くなったプランターの土を再生するために、何のためにどんな資材が必要になるのか、土再生のための予習はしっかりできましたか?
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「【プランターの土を再生しなきゃ! 】育てて食べる。はじめてさんのエディブルガーデン1月編」の記事をみんなにも教えてあげよう♪