ニンジン(人参)栽培|種の選び方・種まき・発芽の様子
戸松敦子
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ニンジン(人参)は、βカロテンが豊富でカリウムも多く含む緑黄色野菜の代表種。セリ科の一年草で、パセリやセロリの仲間です。サラダやジュース、炒め物、煮物など様々な料理に使われ、彩にも欠かせない野菜。繊細な葉は、小さくて柔らかいうちにサラダや天ぷらで美味しくいただけます。今回は、私が育てているニンジン(人参)の写真とともに、ニンジン(人参)の種類や種の選び方、種まき前の畑の準備、種まき方法、発芽の様子をご紹介します!
(撮影協力/アグリス成城)
目次
ニンジン(人参)の種類・種の選び方
ニンジンの種は、3月~4月上旬、7月~8月頃がまき時です。
加工された種
今回、私がまいた「恋ごころ」という種は、写真のように白くコーティングされたペレット種子でした。
ニンジンの種は細かくて軽いため、種がまき辛く、播種間隔や深さにばらつきが出て発芽もそろいにくいのですが、まきやすいように丸粒状に加工されたペレット種子を使うと驚くほどまきやすく、発芽の失敗が大幅に減少します。また、種をどこにまいたかはっきりわかるので、まきすぎてしまうことが無く、間引き作業も楽に行えます。
種の選び方
- 根(収穫する部分)の長さが品種によって10cm~18cmくらいと幅があります。好みの長さを選びましょう。
- 狭い株間で細くコンパクトに育てられるタイプもあります。植える場所に応じて選びましょう。
- 収穫までの日数が品種によって70日~100日くらいと幅があります。まく時期と収穫したい時期を考えて選びましょう。
- 春まき夏まき両方に対応できる種だと、年に2回まき時があるのでおすすめです。
- 種の袋に小さな字でたくさんの情報が書いてあります。よく読んで選びましょう。
種の種類
恋ごころ
5寸人参。収穫部の長さは18cmほど。収穫までは100日程度で、春まき夏まき可能です。
日向2号
5寸人参。収穫部の長さは18cmほど。とうが立つのが遅く、暑さに強く、春まき夏まき可能です。
ベーターリッチ
耐暑性、耐寒性に優れます。長め(20cmほど)の円筒形。甘みがあり、ニンジン臭が少ない特徴があります。
ピッコロ
小型の極早生種で、収穫部の長さは10~12cmほど。収穫までは70~90日程度で、やわらかくて甘く、みずみずしい生食用タイプです。
種まきする前の畑の準備
ニンジンは、根が生長する時に石や枯れ枝などの障害物にぶつかると、二股に分かれて変わった形になります。それはそれで面白いのですが、真っすぐなニンジンを育てたい場合は、ニンジンの根が伸びるくらいの深さまでしっかり耕し、石や枯れ枝などを取り除きましょう。
畑の土が酸性に傾いている場合は、種まきする2週間前くらいに畑に石灰(苦土石灰・消石灰)をまいて深く耕します。その1週間後に堆肥と元肥を土に混ぜ込んでなじませましょう。雨の多い日本の土は、ほとんどが酸性よりと言われているため石灰をまくことが多いですが、酸度計を使って土のpHを調べることもできます。
石灰(苦土石灰・消石灰)をまいてから、堆肥と元肥を混ぜるまで1週間あける理由は、石灰と窒素分を含む肥料を合わせると、窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうためです。
時間が無くて日数が取れない場合は、有機石灰と完熟堆肥、有機元肥を使うといっぺんに混ぜ込んですぐに種まきをすることができます。
私が借りている菜園では、スタッフの方が年に一度、土のメンテナンスを行ってくれるので、自分で石灰や堆肥の混ぜ込みはせず、菜園指定の有機元肥を混ぜ込んですぐに種まきすることができます。そのあたりは貸菜園によって規則が異なるので、石灰などを混ぜ込む場合は事前に管理者に確認しましょう。
ニンジン(人参)の種まき方法
耕した際にでこぼこになった土を、レーキなどで平らに整えます。
畑作業する時に通り道になる場所を掘って畝を作り、再び軽く整地します。
すじまきで種をまく場合は、畝に種をまく溝(まき溝)をつけます。板切れや短めの支柱などを使って、深さ1cmくらいの真っすぐな溝をつけましょう。
ニンジンは、発芽に光を必要とする性質の「好光性種子」です。覆土が厚くならないように注意します。
溝にまいた丸い白い種が見えますか?種の袋に発芽率が80%以上と書いてあったので、それを信じて0.5cm~1cm間隔で種をまきました。密にまいてすべて発芽すると間引きする手間がかかるのですが、このくらいだと間引きにそれほど手間がかからず、間引き菜も収穫できます。ただ、有効期限が切れている種は発芽率がぐんと下がるので、古い種は少し多めにまいた方がよいですね。
まき溝を指でつまむようにして土をかぶせていきます。光が当たるように、土は薄めにかぶせましょう。
手のひらで軽く押さえてなじませます。
春の初めはまだ気温が低く朝晩冷えることがあるため、生育を良くするために種まき後は不織布をかけます。虫よけ対策にもなるので、不織布をかけた方が葉が美しく育ちます。
畝に不織布をかぶせて、畝の周りの土を掘って不織布を埋めて風で飛ばないようにします。土に差し込むシート押えを使って固定しても良いですね。
不織布をかけた上からたっぶり水やりをして、種まき完了です。発芽までは、土が乾かないように適宜水やりします。その後も土が乾ききらないように水やりしましょう。ニンジンは、栽培初期に定期的に水やりをすることで、根が太く育ちやすくなります。
ニンジン(人参)の発芽の様子
種まきから約2週間後の様子です。発芽した葉が細く繊細で、遠くからだと芽が出ていることがわからないくらい目立ちません。不織布をはずすと発芽しているのがわかるのでほっとします。再び不織布をかけて、土が乾いたら水やりを続けました。
種まきから約3週間後の様子です。ギザギザした切れ込みのある本葉が出てきました!
種まきから約4週間後の様子です。本葉が生長してきました!暖かくなってきましたが、虫の食害を防ぐため、不織布をかけて育てます。
ニンジン(人参)の種をまこう♪
種まきから5週間後の様子です。次回は間引や収穫までの様子をレポートしたいと思います。
ニンジンは定番のオレンジ色の他にも、金時人参のように赤いものや、その他にも黄色、白、紫などが流通してます。カラフルで彩の美しい野菜ですよね。繊細な葉が、畑で風に吹かれてそよそよと揺れている姿もキレイです。葉は、セリ科を好むキアゲハの幼虫に食べられてあっという間に茎だけになってしまうこともあるので、不織布をかけて育てたり、注意してよく観察するようにしましょう。
種まきは春と夏に行えるので、春に上手く育たなくても、夏にもう一度チャレンジできます。とう立ちしてしまっても、レースフラワーに似た白くて可愛い花が楽しめますよ。ぜひニンジンの種まきをしてみてくださいね。
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