シャクナゲ(石楠花)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- シャクナゲ(石楠花)
- 学名
Rhododendron
Rhododendron subg. Hymenanthes (シャクナゲ亜属)
- 英名
- Rhododendron
- 和名
- 石楠花
- 科名
- ツツジ科
- 属名
- ツツジ属
- 原産地
- 日本、中国大陸、北アメリカ
シャクナゲ(石楠花)の特徴
シャクナゲは、ツツジ科ツツジ属の中のシャクナゲ亜属と呼ばれるグループの総称です。日本では、常緑で革質の葉を持ち、枝の先に複数の花が固まって咲くものをシャクナゲと呼びます。ヒマラヤから中国大陸、日本、北アメリカの、主に山岳地帯に自生している常緑低木から高木で、日本には6種が分布しています。
樹高は50cm程度の小ぶりなものから、5m以上に生長するものまであります。花のフォルムは漏斗状で、複数の花をまとめて咲かせるのが特徴です。花色は、赤、ピンク、紫、白、黄、オレンジなど、バリエーションが豊富。葉は長楕円形で厚みがあり、表面には光沢があります。葉裏に軟毛が生えている品種もあります。
シャクナゲは、欧米でも人気の花木です。その昔、中国や日本に自生する美しい花を咲かせる品種が、欧米に持ち込まれて人気を博し、4000を超える園芸品種が作出されました。シャクナゲは高山に自生するものが多く、高温多湿が苦手とされてきましたが、平地でも育てやすい園芸種が生まれたおかげで、庭木として美しい花を楽しむことができるようになりました。
シャクナゲ(石楠花)の詳細情報
園芸分類 | 庭木、常緑 |
---|---|
草丈・樹高 | 0.5~5m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
花色 | 赤、ピンク、紫、白、黄、オレンジ |
開花時期 | 4月~5月 |
シャクナゲ(石楠花)の種類
ヤクシマシャクナゲ
- 学名:Rhododendron yakushimanum
ヤクシマシャクナゲは、屋久島固有種のシャクナゲ。咲き始めはピンク、徐々に白へと変化していく花色が美しく、ヨーロッパで注目された品種です。樹高0.5~1.5mと小ぶりなのが特徴で、矮性種の親とされてきました。
ホンシャクナゲ
- 学名:Rhododendron japonoheptamerum var. hondoense
ホンシャクナゲは、ツクシシャクナゲの変種、日本に自生しています。つぼみの時は濃いピンク、咲くと淡いピンクになる花色が美しく印象的。葉の裏に細かな毛が生えています。
サッフォー
サッフォーは、白に紫のブロッチが入ったシャクナゲの園芸種です。花付きが良く、育てやすい品種です。
バルカン
バルカンは、赤い花色が鮮やかなシャクナゲの園芸種。少し遅咲きなのが特徴です。
太陽
太陽は、濃いピンクの花が特徴のシャクナゲの園芸種。強健で育てやすく、早咲きの品種です。
シャクナゲ(石楠花)の花言葉
「石楠花」はシャクナゲではなかった?
シャクナゲの漢字は「石楠花」あるいは「石南花」と書きますが、中国では「石楠」はバラ科のオオカナメモチと呼ばれる常緑樹を指します。オオカナメモチの葉は石楠葉(せきしょうよう)という生薬名で、リウマチや頭痛、下肢のけいれんなどに用います。日本にこの生薬が伝えられた際に、常緑で似たような葉をつけるシャクナゲと間違えられた事から、石楠花という漢字が当てられたようです。シャクナゲの葉を浮腫やリウマチの薬として用いる民間療法がまことしやかに伝えられてますが、これはオオカナメモチの葉の間違いで、実際にシャクナゲの葉を煎じて飲んだ人が中毒を起こして病院に運ばれたケースもあります。全草に毒があるので安易に口にしないようにしましょう。
シャクナゲ(石楠花)の毒性
シャクナゲは、花、葉、蜜まで毒性が確認されている花木です。過去には、シャクナゲの葉を煎じて飲用した結果、血圧が低下しすぎて入院した例や、花を生食して中毒症状を起こした例などが報告されています。また、海外ではシャクナゲの蜜も危険だとされているそうですから、むやみに食用にしないでください。
シャクナゲ(石楠花)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開花 | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
植え替え | ||||||||||||
肥料 |
シャクナゲ(石楠花)の栽培環境
日当たり・置き場所
夏は半日陰になり、秋から春は日が当たるような場所を好みます。夏に西日が強く当たるような場所は避けるようにしてください。
用土
シャクナゲは、水はけが良く、肥沃な酸性土壌を好みます。腐葉土をピートモスを混ぜ、土壌改良をしておきましょう。
鉢植えは、市販のツツジ用の土で問題なく育てられます。
シャクナゲ(石楠花)の育て方のポイント
水やり
地植えは、根付いてからは降雨にまかせて問題ありません。乾燥が続くようなときは、様子を見て水やりしてください。
鉢植えは、表土が乾いたらたっぷりと水やりします。
肥料
開花前の4月と花後の6月、秋の9月~10月に緩効性肥料を施します。
病害虫
アブラムシの被害にあうことがあります。見つけ次第駆除してください。夏に乾燥が続くとハダニが発生することがあります。葉裏まで水をかけて洗い流しましょう。
シャクナゲ(石楠花)の詳しい育て方
選び方
根がしっかり張っていてぐらつきのないもの、葉の色つやが良いもの、枝が太く充実しているものが良い株です。花芽が確認できれば、購入後すぐに花を楽しめます。
植え付け
植え付け適期は、4月~5月、9月~10月です。水はけ良く管理するために、少し高植えにしましょう。植え付け後は、たっぷりと水やりします。
摘芯(摘心)・摘果
種を作ると翌年の花数を減らしてしまうので、花が終わったら花がらを摘み取るようにしましょう。この時、花びらだけでなく中心のめしべも摘むように注意してください。
剪定・切り戻し
シャクナゲは、剪定によって新芽が出にくくなったり、枯死してしまう心配があるので、基本的に行いません。
花後に勢いよく伸びてくる枝があったら、柔らかいうちに摘み取りましょう。ここから新しく分枝が伸びて、花数が増えるほか、樹形も整うようになります。
植え替え・鉢替え
植え替え適期は、4月~5月、9月~10月です。鉢底から根が見えるようになったら、一回り大きな鉢に植え替えます。植え替え後は、たっぷりと水やりします。
シャクナゲは連作障害を起こすことがあるので、鉢から地植えにおろす際は、前にシャクナゲやツツジが植えてあった場所は避けるようにしましょう。
花
シャクナゲは、4月~5月に鮮やかな色の花を咲かせます。
夏越し
シャクナゲは、夏の強い直射日光が苦手です。風通しの良い半日陰になるような場所で管理しましょう。
冬越し
シャクナゲは、常緑樹です。特に必要な冬越しの作業はありません。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
挿し木で増やすことができます。