祈りの植物|4月~ヒマワリに平和を祈って

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4月の祈りの植物はヒマワリ。世界中の人たちは、植物を通してさまざまな祈りをささげてきました。身近な健康長寿や家内安全から、国の繁栄や世界の平和まで。祈りの植物を知ることで、ガーデニングを少し違う視点でも楽しんでみてはいかがでしょうか。

目次

平和とヒマワリ

ひまわり

世界中の人たちは、植物にさまざまな祈りをささげてきました。身近な健康長寿や家内安全から、国の繁栄や世界の平和まで。時代や地域によって、その祈りの意味と、祈りをささげる植物の種類は変わります。

「平和」について考えてみましょう。平和の花言葉を持つ植物にはオリーブやデイジーなどがあります。また、チューリップはイスラム教圏からキリスト教圏に伝わったことから、平和と多様性を象徴する花とされます。

これらの由来は古い文献で知ることができますが、21世紀の今を生きる私たちが平和と聞いて思い浮かべる花は? 青空の下、元気な黄色の花を咲かせるヒマワリを思い起こす人は多いのではないでしょうか。

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北アメリカから世界へ

ひまわり 種

ヒマワリは北アメリカ原産の一年草で、アメリカ先住民が紀元前から食用植物として栽培していました。そのタネを、16世紀初頭にスペイン人医師が持ち帰り、17世紀になってフランス、ロシアに伝わったといいます。

特にロシアでは、ヒマワリのタネが豊富な油分を含むことから、食用での栽培が広がりました。ヒマワリ油の2019-20年の国別生産量では、かつてはロシア/ソ連の支配下にあったウクライナが1位となっています。

ちなみに日本には、中国を経由して1660年代後半にヒマワリが伝わったといわれています。当時は観賞目的だったようですが、明治時代になると食用油の生産や家畜の飼料用にも利用されるようになりました。

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どうして「平和」の象徴に?

ひまわり畑

Adobe Stock

こうして観賞用、食用で世界に広がったヒマワリが、平和のシンボルになったひとつのきっかけがあります。1970年に公開されたソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ共演のイタリア映画『ひまわり』です。

第二次世界大戦後を描いた本作では、戦場から戻ってこない夫を探すため、イタリア人の妻がソ連を訪ねます。重要な舞台となったのは、一面に咲くヒマワリ畑。その中に立って、妻は戦争の悲劇を改めて感じるという物語です。

ヒマワリ畑は、ウクライナで撮影されました。戦禍を悲しむ人と、力強く咲くヒマワリのコントラストは本作の名シーンです。日本でも多くの人がこの映画を観て、ヒマワリの姿に平和の大切さを感じました。

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日本人にも身近な花

夏休みの絵日記 ヒマワリの絵

この映画を見たことがなくても、日本人にとってヒマワリは身近な花です。「小学校で育てたことがある植物は?」と聞くと、最近はバケツ栽培のイネか緑のカーテンのゴーヤかもしれませんが、昭和の時代はアサガオとヒマワリでした。

どうしてこの2つの花が選ばれたのかといえば、栽培が比較的に簡単だったこと。そして、すくすくと大きく育って日々の生長が観察でき、タネを採れば翌年もまた育てられることで、植物のいのちを実感できるためです。

春にタネをまいて、夏休みの絵日記にヒマワリの絵を描いたことを思い出します。あの頃は、宿題というやっかいな問題(?)こそありましたが、セミの声を聴きながら、太陽に向かって咲くヒマワリをのんびりながめていました。

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ヒマワリのタネをまきましょう

ひまわり つぼみ

子どもの頃を思い出して、もう一度、ヒマワリのタネをまいてみませんか? ヒマワリは気温が安定して20℃になる頃が発芽適期で、暖地では4月下旬以降、寒冷地では5月中旬以降にタネをまくとよいでしょう。

地植えをする場合は、植え替えると株が傷むおそれがあるため、最初の場所選びが肝心です。しかし近年は、コンテナでも栽培できる小型の品種も増えたので、ベランダでもヒマワリを育てることができます。

ヒマワリを育てたことがないお子さんやお孫さんがいたら、この春、一緒にタネをまいてみませんか。この花は、どういう経緯をたどって日本にやってきたか。そして、どうして平和を象徴する花になったかを話しながら…。

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祈りの花は、人をつなぐ花

ひまわり アレンジ

人は植物に祈りをささげてきました。祈りは、自分自身の不安な心を落ち着けるだけでなく、他者と共感する行為でもあります。世代の異なる人、遠い場所に暮らす人と、植物を通して祈りをつないできたのです。

古い文献に記された祈りの植物だけでなく、現代には現代の“祈りの植物”があります。その時代、その地域で生きる人たちが、家族や周りの人々、世界の人々の幸福を願って、今も新たな祈りの花、祈りの樹木を育てています。

春にタネをまいたヒマワリは、夏には元気な花を咲かせてくれます。その姿をのんびりと眺められる、平和な時代が戻ることを祈りましょう。

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