「つるかめ山草園」おすすめの原種ベゴニア9選と育て方
土屋 悟
このライターの記事一覧
美しい葉を持ち、最近またジワジワと注目を集める原種ベゴニア。山野草や原種シクラメンだけでなく、様々な植物の原種を扱うつるかめ山草園におすすめの種類と楽しみ方を聞きました。
目次
新種が続々見つかるベゴニア
熱帯、亜熱帯から温帯にまで分布するベゴニア。園芸植物として育てられているものの多くは、熱帯や亜熱帯の森林の林床に自生していたものが多く、日本にも江戸時代には中国から持ち込まれたシュウカイドウという植物が国内でも帰化植物*となっているほか、明治時代になると海外から様々な種や品種が入ってくるなど、古くから親しまれている植物です。
日光がしっかり当たらない部屋でも育てることができるので、観葉植物としてもとてもポピュラーな植物です。
そんなベゴニアが、最近ちょっと注目を集めているのを知ってましたか?
現在ベゴニアはおよそ2000種が見つかっており、中には性質を生かして観葉植物やガーデン草花として楽しまれているものもあります。
これだけたくさんの種が見つかっていながら、今でもベゴニアは次々に新しい種が見つかっているというから驚きです。
*帰化植物とは?
他国から持ち込まれた植物が日本国内で野生化した植物のこと
エキゾチックな葉がベゴニアの最大の魅力
「ベゴニアの新種の多くが次々と発見されるのは、東南アジアや中南米の熱帯雨林。ビビッドなピンク色をしたベゴニアや、銀色に輝くものなど、驚くような色彩の葉がベゴニアの魅力です」
そう教えてくれたのは、原種の植物に強いつるかめ山草園の榊原陽一さん。
「ベゴニアは多湿な熱帯~亜熱帯のジャングルに自生するものが多いので、栽培するためには水槽やケースに入れる必要があるものが少なくありません。しかし逆に、高温多湿な環境さえ用意できれば、頻繁な水やりも必要がなく、一年中美しい葉を楽しむことができます。最近では、熱帯雨林の湿地を再現するパルダリウムが注目を集めていますが、その中に植え込む植物としてもおすすめです」
そう語る榊原さんがおすすめしてくれたのは、葉のテクスチャーに特徴があるタイプ。
「ベゴニアというと華やかな色彩に注目が集まりがちですが、葉に棘があったり、毛が生えていたりといった、変わった質感の葉を持つタイプもたくさんあります。ちょっと変わった植物を育ててみたい人にもおすすめです」
そんな榊原さんおすすめのベゴニアを、葉のテクスチャーに特徴があるもの、葉の色や模様に個性があるものを織り交ぜてご紹介します。
おすすめの原種ベゴニア9選
1.ベゴニア・メラノブラータ Begonia melanobulata
「メラノブラータはベトナム産のベゴニア。株が小さいときは滑らかな葉をしていますが、大きな株になるにしたがって葉に突起が出来るようになります。しっかり成熟した株になれば、写真のようなゴツゴツとしたワイルドな葉をつけるようになりますよ」
2.ベゴニア・モンタニフォルミス Begonia montaniformis
「こちらのモンタニフォルミスも葉がゴツゴツしていますが、ひとつひとつの突起はもっと丸みを帯びた形をしています。モンタニフォルミスという名前は『山のような形』という意味で、命名した人は突起を山のようだと思ったんでしょうね。こちらも、株が成熟するにしたがって葉の突起がしっかり出てきます」
3.ベゴニア・ウェルシコロール Begonia versicolor
「ウェルシコロールは葉の表面にフサフサとした毛が生えるタイプのベゴニア。タネをまいて育てると、ひとつひとつの個体の個性が出やすいタイプでもあります。気に入った葉模様を選ぶのもたのしいですよ」
4.ベゴニア・マッソニアナ Begonia masoniana
「マッソニアナも表面に毛が生えるフサフサ系ベゴニア。種の性質をしっかりと出させるためには、大きく育てる必要がありますが、葉は大人の手のひらよりも大きく育てられれば、迫力満点です」
5.ベゴニア・アンフィオクス Begonia amphioxus
「細長く尖ったフラッシュグリーンの葉に、暗赤色のドットが入る、いかにも熱帯らしいエキゾチックな雰囲気が人気の種類です。育てるには湿度が必要なタイプですが、フタが出来るガラスベースなどで育てれば、ポップな色合いのグリーンとして部屋の中で楽しめます」
6.ベゴニア・バラメンシス Begonia baramensis
「葉の縁の部分に明るい色が入ることを「覆輪(ふくりん)」といいますが、これは濃褐色の葉に薄いライムグリーンの覆輪が入る種。黒いベゴニアとして人気のベゴニア・ダースベイデリアナ(Begonia darthvaderiana)も似たような雰囲気の葉ですが、こちらの方が断然育てやすいです。一時期に比べればダースベイデリアナも手に入りやすい価格になりましたが、まずはこれを育ててみてから挑戦してみるのもいいかもしれません」
7.ベゴニア・バーサロクシアエ Begonia barsalouxiae
「熱帯らしい華やかな色彩のベゴニアも美しいですが、緑ベースの葉ながらこれも美しいものの一つ。白っぽい葉脈のまわりに明るいグリーンが入り、そのほかは濃緑色。渋めの色合いながら、はっとするような美しさがありますよね」
8.ベゴニア・ネグロセンシス Begonia negrosensi
「人気のピンクのドットが入るタイプのベゴニアの一つ。栄養状態や水、湿度、日照条件が合っていればあっているほど、ピンクのドットがたくさん鮮やかに入ります」
9.ベゴニア・カタヤーナ Begonia cathayana
「せっかくなら花も楽しみたいという人におすすめなのがカタヤーナ。直径4cmほどの、ベゴニアとしては比較的大きなオレンジ色の花を咲かせます」
原種ベゴニアの育て方
園芸植物として出回るベゴニアの多くは、常湿(生活空間の湿度)でも育てることができます。一部の原種ベゴニアは、育て方にちょっとコツが必要な種類、ガラス容器などに入れて育てた方がよい種類もあります。
環境づくりや日ごろの手入れのポイントを紹介します。
栽培場所
①湿度
一年を通じて高温多湿で蒸し暑い環境で自生しているものが多いので、空中湿度が高い方が機嫌良く育ってくれます。それほど湿度が高くなくても育つ種であれば何かに入れなくても育つものもありますが、乾燥する冬に暖房している室内だとさすがに傷むことが多いです。
1日に1回~数回霧吹きをして湿度を与えましょう。加湿器やミスト発生装置を使って湿度を与えてもよいでしょう。
水槽や栽培ケースに入れて育てる場合は、湿らせた底面に水ゴケなどを入れて、そこから蒸発する水分で空中湿度を保つのもよいでしょう。
容器に入れて育てているものは、湿度を与えるために霧吹きをして、長時間濡れたままだと葉が傷む原因になります。霧吹きするときは、葉がびっしょり濡れたままにならないように気をつけましょう。
②風
熱帯性の原種ベゴニアは風通しがよくない場所でも育つものもあります。でも、完全に密閉した容器の中では傷みやすいものもあります。
また、湿度を与えるための霧吹きで濡れたままだと葉が傷んでしまうことも。購入の際に、どういう環境を好むか確認してから育てましょう。
③光
最近人気の原種ベゴニアの多くは、強い光を必要としないものが少なくありません。全く窓がない部屋であっても、LEDなどの光で育つものもあります。どの程度の光が必要かは購入時に確認しておきましょう。
いずれにせよ、常に直射日光が必要なものはまずありません。
また、密閉してないにせよ、フタをした水槽やケースなどに入れて育てていると、直射日光に当てるとすぐに40°を越える温度に達してしまいます。基本的に直射日光は避けた方が無難です。
熱帯地方というと暑いイメージがあるかもしれませんが、ベゴニアが自生している熱帯雨林の林床は、昼間でもそれほど暑くはなりません。
ベゴニアの栽培で失敗するのは夏の暑さが原因ということが多いので、なるべく涼しい環境で育てましょう。
④水
熱帯のジャングルに生えているものが多いので、根のまわりの土が乾ききった状態が長く続くのは苦手です。植え込み材が乾ききる前に水を与えましょう。
シックなものやビビッドな色彩なもの、テクスチャーがマットなものからトゲの生えたものなど、様々な葉を楽しめるのがベゴニアのいいところ。
皆さんも、お気に入りのベゴニアを見つけてみて下さい!
▼つるかめ山草園さんについてもっと知りたい方はこちらもどうぞ!
▼つるかめ山草園さんHP、SNSはこちら
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「「つるかめ山草園」おすすめの原種ベゴニア9選と育て方」の記事をみんなにも教えてあげよう♪