紫陽花の花が咲かない原因は?~実例付き!
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雨の多い季節にしっとりと咲く紫陽花。ところで「昨年買った鉢植えの紫陽花が今年は花が咲かなかった!」そんな方はいませんか?
今回は「紫陽花が咲かない理由」についてご紹介します。
目次
紫陽花が咲かない原因
咲かない原因その1.剪定を間違えた!
紫陽花が咲かない原因で一番多い原因は「剪定時期」と「剪定位置」です。
紫陽花は、桜のように「花が散る」ということがないので、剪定しなければいつまでも花がついている植物です。
また、紫陽花の花は、旧枝咲きと表現されるのですが、今年伸びた枝の下に位置する、昨年伸びた枝の付け根に秋に花芽をつけます。そのため、今年伸びた枝に2年越しで花が咲くという流れになります。
6月に開花した紫陽花は、翌年の花芽ができる秋より前の7月中に剪定することが来年の花のために必要な作業となります。剪定する位置は、花から2節下の脇芽が出ている上でカットします。
例えば剪定を秋以降にしてしまったり、位置を深く剪定してしまうと、来年の花芽を切ってしまうことになるので、翌年の開花はないことになります。
▼正しい剪定位置を確認したい方はこちらで詳しくご紹介しています。
咲かない原因その2.買った鉢植えのままで植え替えをしなかった!
最近は母の日の贈り物としても人気の紫陽花。
紫陽花の鉢植えは、咲いている花に対してとても小さな鉢に植えられています。これは鉢が大きければ大きいほど、たくさんの土を必要とし、その分、鉢の重さが出るので、花屋さんで販売されている紫陽花の鉢を持ち帰ることを考えると、持ち運びができるサイズの鉢で流通させるのは仕方のないことですが、紫陽花にとってみれば、花丈に対してあまりにも小さい鉢の場合は、鉢の中で根が回って土がほとんどない可能性があります。
今年大きく咲かせた分、とてもたくさんのエネルギーを使っているので、来年も花を咲かせるための余力が鉢に残っていなかったから咲かなかったということが考えられます。
対策
今年は剪定をしないで一回り大きな鉢に植え替えましょう。
咲かない原因その3.日当たり(置き場所、植え場所)
半日陰程度なら問題なく咲く紫陽花ですが、花芽をつけるためにはある程度の日光が必要です。
一日中日陰に鉢植えを置いていた心当たりがあるようなら、半日程度日が当たる場所に鉢を移動して1年管理してみましょう。
咲かない原因その4.肥料
鉢植えの紫陽花は、人間の手によって肥料を追肥してやらないと開花に必要な養分が足りない場合があります。昨年、植え替えたのなら、培養土に肥料分はあるので問題がありませんが、数年経過した鉢植えで追肥をしていないと、肥料分が足りていないことが原因で花が咲かない場合があります。
鉢植え、地植えの紫陽花とも肥料が足りていないと、葉の色が全体的に薄くなります。肥料が足りている本来の紫陽花の葉の色は深い緑色です。(品種によって差はあります)
また、肥料で咲かないもうひとつの原因は「観葉植物の肥料」を間違えて施してしまった場合は咲かないことがあります。理由は観葉植物の肥料は、葉の生長に必要な窒素分の配合が多いためです。
紫陽花の肥料は、発酵油粕などの固形タイプの有機質肥料、もしくは緩効性肥料を施しましょう。与える時期は、花後と冬(寒肥)の年2回が一般的です。
最近は「青色の紫陽花のための肥料」や「赤色(ピンク)の紫陽花のための肥料」などの色別の紫陽花専門の肥料も販売されています。
咲かない原因その5.寒風にあたってしまった!
可能性的には少ない原因かもしれませんが、紫陽花の鉢植えを管理していた場所や植栽した場所が、風の通り道のような場所の場合、冬の木枯らしのような強い寒風で、せっかくついた紫陽花の花芽が枯れこむことがあります。東京程度の冬の気温では考えにくい原因ですが、朝晩の冷え込みが厳しい地域は、場合によっては寒冷紗などの寒さ除けが必要なこともあります。
咲かない原因その6.何度も水切れを起こした!
庭植えにした紫陽花は考えにくい原因ですが、鉢植えの紫陽花に限定した原因として「水切れ」を何度も起こしたことによって株が弱ってしまって咲かない場合があります。
紫陽花は「水を欲しがる」と表現されるように、水切れには弱い花木です。真夏に何度も水切れを起こしてしまって株が弱ってしまわないように注意しましょう。また、花芽が出来てからの冬の紫陽花は落葉しているため、ついつい水やりを忘れてしまう方も多いようです。葉がなくても鉢植えの限られた土で生長している鉢植えの紫陽花は、水やりを完全に忘れてしまわないようにしましょう。
それでも咲かないこともある(実例その1)
剪定、肥料、日当たり、寒風、植え替え。
すべてきちんとやったのに咲かないこともあります。特に紫陽花の鉢植えを購入した翌年は結構多いようです。
今回は我が家で育てている紫陽花の実例でご紹介します。
2017年6月はじめ
紫陽花・長崎の恋
この紫陽花は、秋色アジサイ系の紫陽花で2017年に購入しました。咲き始めはこちらのような青紫色。
2017年6月10日
10日後。最初は青みの強い紫色から、ピンク味を帯びた紫色とベージュピンクになってきました。10日でびっくりするような色の変化です。
2017年6月20日
最初の青紫色からは予想もつかない色に変化しました。
2017年6月24日
色がほとんど抜けて、完全なアンティークカラーです。
このように同じ月の中で、かなり色合いが変化しました。とても美しい色合いの変化を楽しんだ2017年7月。花の咲いている茎を規定の位置で剪定して植え替えし、お礼肥えを与えました。
さて、翌年は?
2018年は花数0!
どんな色の紫陽花が咲くのかと、わくわくして迎えた2018年の梅雨。
ひとつも花は咲きませんでした。
ガーン。一年に一度の花の時期、ちょっとショックです。
葉っぱの様子がおかしいわけでもなく生き生きとしていたので、2018年は植え替えをせずに様子見。ひたすら水やりだけをして、休眠期の1月に寒肥を株元にあげるのみにして迎えた2019年は・・・?
2019年6月3日
無事つぼみを付けました!
2019年6月6日
2019年6月14日
購入した年の最初とは少し違う色ですが紫系の紫陽花が今年は無事開花しました。
2019年6月18日
でも花のサイズは最初の年の半分くらいです。
2019年6月28日
少しずつ色がアンティークカラーになってきています。7月の色の変化を楽しんだあとに、剪定をするつもりです。
2018年はどうして咲かなかった?
紫陽花の鉢植えは、販売や流通の都合上、小さな鉢に花がたくさんついた状態で流通します。そのため最初から花を咲かせるために、株がエネルギーを使いすぎてしまったのが原因で、購入した翌年は花が咲かないことがあります。
紫陽花は一年草と違い、少しずつ株が立派になって生長していく花木です。適切な管理をしていれば、購入して3年目くらいからは、毎年花が開花することが多いようです。
鉢植えの紫陽花・昨年と花の色が違う、小さい!(実例その2)
もうひとつ鉢植えの紫陽花の翌年をご紹介します。
こちらはマジカル系と呼ばれる、最近流行中の秋色アジサイの種類の紫陽花です。2017年に購入した時は大輪の立派な紫陽花の鉢でした。
開花後、鉢植えに植え替えて1年管理したところ・・・
翌年の2018年。花数は多いけど、なんだかつぼみが小さい。咲き始めの色も昨年とは違った雰囲気です。もう少ししたら色がアンティークカラーになるのかな?と思いつつ様子を見てみたところ……
2018年6月
いつまでたっても昨年の色合いとは違います。花のサイズは昨年の四分の一くらいの小さなサイズです。
2018年7月
7月に入るとベージュピンクのアンティークカラーになりました。昨年とは違う色ですが、これはこれで素敵な色あいです。この後、剪定して今度はLOVEGREEN編集部の花壇に植え付けてみました。
2019年6月
LOVEGREEN編集部の花壇は、深さがかなりある花壇です。2019年の花は、マジカル系を思わせる色合いで開花しました!まだ花のサイズは小さめですが、これから少しずつ大きくなるかなと期待しています。
6月の終わり。グリーン色に変化しました。
このように、鉢植えで買った紫陽花が初年度と違う色、サイズになることはよくあります。原因は初年度に大輪の花を咲かせた関係で、株が疲れ気味なことが原因であることが多いようです。
あと何年かするともう少し大きなサイズの紫陽花になることでしょう。購入して数年は花より株を育てる期間です。
庭植えにした紫陽花・花が少ない(実例その3)
こちらの紫陽花の鉢植えを購入したのは、最初の2つの事例の紫陽花と一緒の2017年。この紫陽花も秋色系の紫陽花です。(残念ながら品種名は不明)
2017年の花が終わった後に剪定をし、落葉期に地面に植え付けをしました。
翌年2018年、花丈は鉢植えに比べてかなり生長しましたが、花は3つしか咲きませんでした。
2019年の花の数は8つ。だいぶ増えてきました。鉢植えの紫陽花と違って3年目になると、花数は少ないものの花のサイズは買った年と同じくらいの大輪になりました。
色の変化もとてもきれいです。
番外編
2019年、あるテーマパークで見かけた紫陽花。昨年植え付けた株のようです。今年の開花は1つ。左側に小さなつぼみがついています。
このような場合は、今年の花と枯れ枝(茶色くなって飛び出ている枝)のみ剪定して来年まで育てます。たくさんの花が咲くまでにはもう少し時間が必要なようです。
植え付けて10年以上たっている紫陽花。長い年月が過ぎると、花の後の剪定を間違えなければ、たくさんの花が開花するようになります。
きちんと手入れをした上で咲かなかった2年目の紫陽花は、根や葉、茎を生長するためのお休みと思ってみてください。自然のスピードはゆっくりでじれったい時もありますが、毎日手入れをした花が久しぶりに咲いた時の喜びは格別です。それがガーデングの奥深さなのかもしれませんね。
▼今年の手入れの参考にどうぞ!