秋を告げる紫の佇まい。キキョウの切り花を美しく飾る生け方と楽しみ方
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凛とした紫の花姿と、ふっくらとしたつぼみの可憐さ。古くから「秋の七草」の一つとして愛されてきたキキョウは、まだ夏の暑さが残る部屋にも涼やかな「秋の風」を運んでくれる花です。
キキョウの切り花を長持ちさせ、洗練された空間を演出するための生け方と楽しみ方をご紹介します。
目次
静けさと端正な美が魅力。キキョウがもたらす「秋の風情」

まだ暑さが残る時期から、本格的な秋へと移り変わる時期まで長く楽しめるキキョウ。その魅力は、他の花にはない唯一無二の造形美とストーリー性にあります。
五角形の花姿と風船のようなつぼみの可憐さ
キキョウは万葉集の中で「朝顔」として詠まれているという説が有力で、千年以上も昔から日本人の美意識を魅了し続けてきました。
大きな魅力のひとつが、開花前の「つぼみ」の姿です。ふっくらと膨らんだ風船のような丸いかたちをしており、英名では「Balloon flower(バルーンフラワー)」とも呼ばれています。開花直前のぷっくりとした愛らしいつぼみと、それが弾けるように開いたときの整った五角形のシャープな美しさ。そのコントラストは、見る人の心をそっと和ませてくれます。
残暑から秋へ。室内に「涼」と「静けさ」を運ぶ色
キキョウの基本色である深い紫や清楚な白、そして優しいピンクは、空間をぐっと引き締めてくれます。特に定番である深い紫色は、日本の伝統色でもある「桔梗色」として愛されてきました。特に残暑が厳しい時期には、紫や白のキキョウが室内に涼やかな静寂をもたらし、季節の移ろいを繊細に感じさせてくれます。
和の佇まいと、モダンな空間にも馴染む雰囲気
キキョウの花色はどれも涼やかで、落ち着いた雰囲気を持っています。和室の床の間にはもちろん、シンプルな木目調の家具や現代的な洋空間、モダンなインテリアにもスッと溶け込み、上質な静寂感を演出してくれます。
キキョウを長く、美しく咲かせる生け方の基本

キキョウは少しだけ水揚げのコツが必要な花です。しっかりと手入れをして、長く秋の風情を楽しみましょう。
水揚げのコツ
キキョウの茎を切ると、切り口から白い粘着性のある乳液が出てきます。この乳液が固まると導管が詰まり、水を取り込めなくなってしまうのが、花がしおれる主な原因です。最初に切り口から出てくる乳液をしっかりと洗い流すようにしましょう。
また、この乳液が手に付くとベタつくだけでなく、肌の弱い人はかぶれることもあります。心配な場合は手袋を着用するなどしてください。
手順 1:茎を斜めに切る
水に触れる面積を広げるため、切れ味の良いハサミで茎を斜めにカットします。
手順 2:乳液を洗い流す
切ったあとに切り口から出る白い乳液は、水できれいに洗い流すか、しっかり拭き取りましょう。
手順 3:「湯揚げ」で吸水力を上げる
茎の先を数秒間熱湯につける「湯揚げ」を行うと、吸水力が上がり、花首までしゃきっとします。花や葉を新聞紙で包んで湯気から守り、茎の先0.5cm~1cm程度を熱湯に10~20秒つけたら、すぐに冷水に移しましょう。
浅水と水替え
キキョウの茎は水に浸かりすぎると傷みやすいため、花器の水は茎の下部3〜5cm程度が浸かる「浅水」にします。水につかる部分の葉は、葉の腐敗や水質悪化の原因になるため、あらかじめ取り除きましょう。
キキョウは水を汚しやすいため、できれば毎日〜2日に1回は水替えを行い、その際に茎を数ミリずつ切り戻すと長持ちします。切り戻す際に、毎回乳液を洗い流すようにしましょう。
洗練された空間をつくる、キキョウの飾り方と楽しみ方
端正な和の表情を持つキキョウですが、生け方や花器の選び方次第で、モダンな洋風インテリアにもよく馴染みます。
和の情緒を楽しむ「一輪挿し」

陶器やガラスの花器に、そっと一輪生けるだけ。キキョウの美しいラインと涼やかな佇まいが際立ちます。まっすぐ生けるよりも、茎の曲がりやしなりをそのまま生かし、少し斜めに傾けるように生けると動きが出て自然な雰囲気を味わえます。
季節の草花と合わせてナチュラルに

季節の草花やグリーンと組み合わせることで、まるで秋の野原を切り取ったような表情豊かなアレンジメントが完成します。キキョウは、きゅっとまとめるよりも空間を持たせて、風を感じるように生けると、その美しさがより引き立つ花。小瓶をいくつか用意して動きが出るように配置すると、より風が抜ける野原のような景色を楽しめます。
合わせたい花材|秋の風情を感じさせる名脇役たち

キキョウ一輪だけでも絵になりますが、旬の植物と組み合わせることでより豊かなストーリーが生まれます。
ススキなどのグラス類
秋の七草の風情を再現する絶妙な組み合わせ。すっと伸びるラインと揺れる穂が、お部屋に静かな秋の風を呼び込みます。
リンドウやナデシコ
同系統の紫やピンクの花を合わせると、グラデーションが美しく品のある印象に仕上がります。
オミナエシやミシマサイコ
補色に当たる黄色の花を合わせることで、メリハリのある美しいコントラストを楽しめます。
忙しい日常の中で、一輪の花を生け、そのつぼみがゆっくり開くのを待つ時間は、心が豊かになるような贅沢です。キキョウが持つ凛とした佇まいは、部屋だけでなく、飾る人の心まで静かに整えてくれます。
日常の空間に咲く美しい紫色が、あなたの暮らしに安らぎとひとときの余白をもたらしてくれるでしょう。
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