黒田健太郎さんに聞いた! 冬の寄せ植え作り5つのポイント
更新
公開

さいたま市の園芸店「フローラ黒田園芸」の黒田健太郎さんに、おしゃれなミニシクラメンを使った冬から春まで楽しめる寄せ植えを教わりました。冬の寄せ植えの作り方や作るときの5つのポイント、スタッフさんが作ったアレンジ例をご紹介します。
目次
ミニシクラメンを使った冬の寄せ植えの作り方
メインの花は何にする?

フローラ黒田園芸を訪れ、黒田健太郎さんに冬の寄せ植えをリクエストしたところ、「まずメインの花を決めましょう。」ということで店内を一回り。

パンジー・ビオラ、ガーデンシクラメン、ハボタン、ストックなどの寒さに強い花がずらりと並ぶ中、変わり咲きのミニシクラメンが目に留まり、それをメインにすることにしました。
寄せ植えに使う植物

今回の寄せ植えに使う苗は、この6つに決めました。

シクラメン ‘イリュージア ピンクラテ’
サクラソウ科 半耐寒性多年草(球根)
上を向いたピンク色の花が反り返るように次々と咲き、1輪ごとの花もちも良いミニシクラメン。東京以西では、強い霜にあたらなければ春まで咲き続けます。メインの花なので2つ使います。

シクラメン ‘アンジュ’
サクラソウ科 半耐寒性多年草(球根)
上向きに白い花を咲かせるミニシクラメン。斑入りのシルバーリーフもアクセントになります。室内の窓辺でも育てられますが、東京以西では霜にあたらなければ冬も外で楽しめます。

シロタエギク
キク科耐寒性多年草
シルバーの葉色が美しく、葉に白いうぶ毛が生えていて、触れるとふわふわの質感が楽しめます。寒さに強く、丈夫で育てやすい人気のカラーリーフです。

キンギョソウ ‘ブロンズドラゴン’
オオバコ科耐寒性多年草
気温が高い時期の葉は緑色に近く、気温が下がるにつれてダークな銅葉色に変化するキンギョソウ。春から秋にはピンク色の花を咲かせますが、秋冬は銅葉色の葉がカラーリーフとして活躍します。

ラミウム
シソ科の耐寒性多年草
寒さに強く、丸みのある三角形の葉が一年中美しいカラーリーフ。明るいライムグリーン色を選びました。
準備するもの

- 鉢(プラスチック製) 幅30cm奥行14.5cm高さ15cm
- 鉢底ネット
- 赤玉土(大粒)
- 草花用の培養土
- 元肥
- 土入れ
- 園芸用ハサミなど
苗の配置はどうする?

鉢に植える配置はこんな感じで決定しました。それでは、植えていきましょう。
冬の寄せ植えの作り方

鉢穴に鉢底ネットを敷いて、鉢の高さ1/5くらいまで赤玉土(大粒)を入れます。
<こだわり>
鉢底石の代わりに赤玉土(大粒)を使うと、寄せ植えを解体するときに土と鉢底石を分別しなくてよいのでおすすめです。

草花用培養土を高さ2/3くらいまで入れ、元肥を一握りほど混ぜ込みます。

株の部分を、大根の桂むきのイメージで一回り細くしていきます。(苗の土の落とし方や根の崩し方については、後半で詳しくお話しします。)

ラミウムを外側にやや傾かせて置き、ウォータースペースを1cm~1.5cmくらい残すように株のまわりに土を入れます。
<こだわり>
黒田さんの植え方は、端から順番に一株ずつ植え付けを完了させていく方法です。この植え方だと、今植えたという感じがなく、自然な仕上がりになるそうです!

シクラメン ‘イリュージア ピンクラテ’の上向きの花の顔がよく見えるように、少し前に傾けて植えます。株のまわりに土を入れて植え付けましょう。

キンギョソウ ‘ブロンズドラゴン’を真ん中の後方に植えます。株のまわりに土を入れます。
<こだわり>
キンギョソウのうねった茎を一茎だけ手前に出てくるような向きで植えると、寄せ植えに動きが出てナチュラルに仕上がります。

シクラメン ‘アンジュ’を手前に少し傾けて、花が一番美しく見える向きに置きます。株のまわりの土を指で突っつきながら、土をしっかりと入れていきます。

シロタエギクの葉がきれいに見える向きを考えて、少しだけ傾けて植えます。

最後に、2つ目のシクラメン ‘イリュージア ピンクラテ’を植えて、隙間に土を入れて完成です!
<こだわり>
最後のひと苗になったときに、土がいっぱいで株が入るスペースがない場合は、そのまま植えるとその株だけ高くなってしまうので、余計な土を掻き出してから植えましょう。

完成です! 株元に水をたっぷりあげて飾りましょう。
霜にあたりそうなくらい寒いときは、壁際の軒下などに移動させると安心です。
冬の寄せ植え作りの5つのポイント

1.苗の選び方
パンジー・ビオラ、ガーデンシクラメン、ハボタン、ストックなどの「耐寒性」「半耐寒性」がある草花を選びます。耐寒性の有無はプランツタグをチェックしたり、お店の人に確認しましょう。
2.花苗の組み合わせ方
主役となる花は1つだと主役感がわからなくなるので2つ使います。そして、少し小ぶりな花(主役と同じ種類でも、違う種類でもOK)を1つ選び、アクセントに使いましょう。あとはリーフ類を合わせるといいですね。
3.リーフ類の選び方
シロタエギクのような、雪をイメージする銀白色の葉や、白いうぶ毛が生えてふわふわした質感の葉、キンギョソウ ‘ブロンズドラゴン’のようなシックな銅葉、ライム色のラミウムのように明るい葉などを組み合わせると美しく仕上がります。
キンギョソウ ‘ブロンズドラゴン’のようなカラーリーフは、まとまりすぎている寄せ植えに動きを出してくれます。
4.土の落とし方や根の崩し方
寄せ植えを作る際、根の土を少し落とした方が植えやすくなったり、根を崩すと植えた後に根が生長しやすくなります。この作業は、耐寒性のある草花であれば夏以外は行っても問題ないそうです。夏はいっきに土を落とすとかえってダメージを受けることになるのでおすすめできません。

ラミウムをポットからはずすと、根はこのような状態です。

株の部分を、大根の桂むきのイメージで一回り細くしていきます。

このくらいまで株を小さくすると、寄せ植えするときに植えやすくなります。

キンギョソウ ‘ブロンズドラゴン’は、ラミウムと同じように土を落とします。

シロタエギクは大変丈夫なので、さらに土を落としても問題ありません。土を落としたらすぐに植え付けましょう。

シクラメンは球根植物なので、土は軽く落とす程度にします。まず、株元の黄色くなった葉を取りましょう。

肩の部分には根があまりないので、土を軽く落とします。

底の土の部分を外側一周だけ軽くほぐしましょう。

シクラメン ‘アンジュ’も、球根部分を傷つけないように、肩の部分と底の土を軽く落とす程度にします。
5.鉢の選び方

長方形やオーバルタイプの鉢は初心者の方にも植えやすいです。真ん中が少し高くなるように植えるときれいに仕上がります。
今回は、幅30cm奥行14.5cm高さ15cmの黒い横長の鉢を使いましたが、黒の器はシックで洗練された印象を与えたり、花色を引き立たせたりします。黒い器にシクラメン ‘イリュージア ピンクラテ’を合わせることで、甘すぎずカッコいい寄せ植えに仕上がりました。
冬の寄せ植えのアレンジ例をご紹介
黒田園芸さんの店内に飾られていた、スタッフさん作の寄せ植えを紹介します。
ガーデンシクラメンのリースバスケット

ガーデンシクラメンとカラーリーフを贅沢に使ったリース型の寄せ植えです。花が少ない冬にこんなリースを飾ったら、お庭やベランダが華やかになりますね。
植える部分が太くて土がしっかり入るので、初心者の方にも植えやすく、水切れもしにくいため草花が健やかに育っています。
ハボタンとガーデンシクラメンの寄せ植え

落ち着きのあるシルバーグレーの器に、シックな色合いのハボタンと深みのある赤色のガーデンシクラメン、ブロンズ色のカレックスを合わせたおしゃれな寄せ植えです。
チェッカーベリーの寄せ植え

チェッカーベリーをふんだんに使い、シルバーリーフと合わせたラブリーな寄せ植え。ルメックスやイネ科の穂をアクセントに使っていてとても素敵です。
ビオラとヒューケラの寄せ植え

シックなブラック系のエレガントな器に、落ち着いた桃色のビオラを数株、大きな丸葉が特徴的な銅葉色のヒューケラと繊細な斑入りのタイムを合わせた寄せ植え。色のトーンがそろっていて、ふんわりと丸いドーム型に育っている姿がとても優しい雰囲気です。
—————————————————————————————————————————–
黒田健太郎さん、ありがとうございました。
「冬は寒くて閑散としているけど、華やかな花がたくさん出回っているので、ぜひ寄せ植えを作って思い切り楽しんでほしいですね。」と明るい笑顔でお話していただきました。
~黒田健太郎さんのご紹介~

園芸家。さいたま市の園芸店「フローラ黒田園芸」に勤務。寄せ植えを中心としたYouTubeやInstagramが人気で、全国から店を訪れるファンも多い。著書は「新装版 12ヶ月の寄せ植えレシピ」(グラフィック社)など多数。
フローラ黒田園芸のYouTube>>
黒田健太郎さんのInstagram>>
▼編集部のおすすめ









































