1月の寄せ植えに使いたい花11選

戸松敦子
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1月の寄せ植えに使いたいメインの花と小花、カラーリーフをご紹介!1月は寒さが厳しいため草花の生長がスローペース。花もちが良く寄せ植えの形もくずれにくいので、お正月はもちろん、お正月以降も春になるまで長い期間楽しめます。明るい色合いのプリムラを使った思いっきり華やかな寄せ植えで新年を盛り上げてもいいですし、厳かな雰囲気の紫色のハボタンやシャビーカラーのプリムラを使ったシックな寄せ植えもおすすめです。1月の寄せ植え作りのポイントや管理方法についてもお話しします。
目次
1月の寄せ植え作りのポイント
1月は一年の中で一番冷え込みが厳しくなりますが、耐寒性のある草花を使えば屋外で寄せ植えを楽しめます。寒さに強いハボタンやプリムラ、パンジー・ビオラなどをメインにリーフ類をプラスしてお気に入りの寄せ植えを作りましょう。
写真の寄せ植えには、南天(なんてん)の赤い実(切り花)をピックのようにさしています。南天(なんてん)は難を転ずることにも通じるとされ、縁起木、厄よけ、魔よけとして古くから親しまれている常緑低木なのでお正月にぴったりです。お正月があけたら取って、アンティーク風の寄せ植えを思い切り楽しみます。
寄せ植えに使った草花
▼南天(なんてん)の花言葉はこちら
これは、数種の紫色のハボタンとアイビーを使ったリースです。まるでバラのようにも見えるハボタンをリース型のバスケットに植えています。ハボタンは暖かくなるまで背丈が変わらずほぼ生長しないのでリースの形もくずれることなく、冬のリース作りに使う花苗に適しています。
同じくプリムラも背丈が変わらずに次々と花を咲かせるので、冬のリース作りに使う花苗に適しています。
▼「渋谷園芸」の樺澤智江さんに教わったハボタン(紫)を使った寄せ植えはこちら
1月の寄せ植えに使いたい花11選
それでは、1月の寄せ植えに使いたい草花を紹介していきます。
1月は新しい年の始まり。1月ならではの草花を使って寄せ植えを作り、新年の清らかな心を表現するとともに明るく幸せな年を願いたいですね。
ハボタン(紫) ~アブラナ科 耐寒性多年草(一年草)~
ハボタンは寒さに強く、冬の間は草丈が変わらずに美しい姿を保ちます。バラの花びらのようにも見える部分はハボタンの葉。ハボタンは葉を愛でる植物とされています。寄せ植えに使うと、春まではほぼ植えたときの状態なのであまり間隔をあけずに植えます。
ミニハボタンのポット苗には数本の株が入っているので、寄せ植えに株分けして使うことができて便利です。
このように葉脈が浮き出るように美しいハボタンもあります。大人っぽい寄せ植えにぴったりで、メインの花として使えます。
フリンジ系のハボタンもあります。ちりちりとしたフリンジが可愛らしく、紫色のグラデーションも美しいので寄せ植えのアクセントに重宝します。株元が数本に分かれている場合は、分けて使うことができます。
ハボタン(葉牡丹)
- ハボタン(葉牡丹)は冬の殺風景な景色を彩るアブラナ科の植物です。ヨーロッパから輸入された当時のハボタン(葉牡丹)は食用として出回っていましたが、現在では観賞用として栽培されるのが一般的です。見た目、形はキャベツを連想させる造りになっています。キャベツからハボタン(葉牡丹)へ品種改良された為、この様な形になっていると言われています。ハボタン(葉牡丹)の葉は円形状で幾重にも重なっていて、ふちをギザギザや丸でかたどっています。色は外側が緑、内側が白もしくは紫で構成されています。牡丹のようにも見えることから「葉牡丹」と名付けられました。ハボタン(葉牡丹)の茎は種類によっては100㎝を超すものまであります。
プリムラ ~サクラソウ科 耐寒性多年草~
プリムラ・ジュリアン
プリムラは品種改良されたものを含めると約500種類もあると言われています。花色は白、黄色、赤、ピンクなどの単色から、白と紫、黄色と青のストライプのような個性的なタイプまであり、花の形も一重咲き、八重咲き、バラ咲きなど様々です。
寒い冬にこのようにカラフルで華やかなプリムラの花姿を見ると誰もが元気をもらえそうですね。華やかな色合いのプリムラの寄せ植えを飾って新年を迎えるのもおすすめです。
プリムラジュリアン
- プリムラ属は500種以上からなる非常に種類の多い属です。 プリムラ・ジュリアンは、数多くのプリムラとの交配の中で作られた品種です。プリムラ・ポリアンサとよく一緒に説明されますが、もともとプリムラ・ジュリアンは、サカタのタネがプリムラ・ポリアンサとコーカサス地方原産のプリムラをもとに交配して1970年代にできたプリムラです。両者はほぼ同じですが、ジュリアンの系統の方が株や花、葉がコンパクトです。 最近では従来の花型のサクラソウに似た花の形の他に、バラ咲きのフリルが可愛い品種もあります。またもともと色数が豊富なプリムラ・ジュリアンでしたが、シックな色や微妙な色合いの種も登場して、ますますバリエーションが増えています。
プリムラ・ポリアンサ’ディスカバリング・ストライプス’
少し控え目な色合いの、アンティークカラーのプリムラもおすすめ。淡い色の花びらに、うすくストライプ模様が入っています。
鮮やかな色合いがお好みの方には少し物足りない色かもしれませんが、ナチュラルな雰囲気が好きな方にはこのやわらかい色合いが魅力的に感じてたまらないのでは。
プリムラ・ポリアンサ’ディスカバリング・ストライプス’は何とも言えない不思議な発色で深みがあり、色幅も様々です。
以前はこのような発色は評価されずに育種の段階で捨てられてしまっていたそうですが、今ではこの絶妙な色合いの中に美しさがあるとされ、アンティーク調を好むガーデナーにこの上なく好まれています。
名前に入っているディスカバリング(Discovering) は「発見する」という意味ですが、生産者さんたちがこの個性的な色合いを発見したという意味が込められていると思うと感慨深いですね。
プリムラ・シャビーカラー
くすみを生かしたシックで落ち着いた色合いのプリムラもあります。渋好みには、このアンティーク調のシャビー感が何とも言えず美しく感じられます。
シャビーカラーのプリムラは、苗を単体で見ると地味に感じてしまいがちですが、ニュアンスカラーの寄せ植えに使うとその美しさがぐっと引き立ちます。
▼「渋谷園芸」の樺澤智江さんに教わったプリムラを使った寄せ植えはこちら
百両(カラタチバナ) ~センリョウ科 耐寒性常緑低木~
百両(カラタチバナ)は冬に赤い実を付ける常緑低木です。千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)と同じく、冬に常緑で赤い実をつける縁起物の植物として人気があります。寄せ植えに百両(カラタチバナ)を取り入れると、簡単にお正月や和の雰囲気が作れます。ハボタンとの相性も抜群です。
▼百両(カラタチバナ)などを使ったお正月を華やかに彩る冬の寄せ植えはこちら
クリスマスローズ ~キンポウゲ科 耐寒性多年草~
クリスマスローズは、花が少ない冬の時期に花を咲かせる常緑の多年草。ややうつむきながら咲く花の顔をこちらに向けてみると、その美しさに魅了されます。お手入れもそれほど難しくないので初心者にもおすすめです。
「冬の貴婦人」という愛称でも呼ばれています。
クリスマスローズの花色は、白、ピンク、緑、紫、黄、黒、アプリコットなどがあります。咲き方も豊富で一重咲き、半八重咲き(セミダブル)、八重咲き(ダブル)など様々です。
花びらに見える部分は本当は「ガク片」です。本来の花びらは退化して蜜腺となり、雄しべの周りにあります。花が咲き終わってもガクの部分は散る(落ちる)ことがなく、すなわち「ガク(学)が落ちない。」縁起が良い花ということで「合格の花」とも言われています。
これは、2種類のクリスマスローズとパンジーを合わせた寄せ植えです。クリスマスローズは蕾から花が咲いて、ガクだけ残る状態になるまでにガクの色が変化する様子も美しく、咲き終わってもガクが残るので冬から春まで長い期間楽しめる組み合わせです。
一年草のパンジーは暑くなってくると終わりになり、クリスマスローズは休眠期に入ります。
クリスマスローズ
- クリスマスローズは、クレマチス、ラナンキュラス、アネモネなどと同じキンポウゲ科の植物です。クリスマスローズは、冬の花が少ない時期に花を咲かせる常緑の植物です。 日本ではヘレボルス属を全てひとくくりにクリスマスローズと呼びますが、本来のクリスマスローズはクリスマスの頃に開花する「ヘレボルス・ニゲル」を指す名前です。 他には咲き方や色が豊富な「ヘレボルス・オリエンタリス」や、グリーンの特徴的な花の形状が面白い「ヘレボルス・フェチダス」等、たくさんの種類があります。 クリスマスローズにはグリーンの葉を低く繁らせた中から茎を長く伸ばす有茎種と、茎の低い無茎種があります。 クリスマスローズ・ニゲル
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バコパ(ステラ) ~オオバコ科 半耐寒性多年草~
バコパ(ステラ)は秋から春に小さな花を次々と咲かせる多年草。花の少ない冬に多く流通します。バコパ(ステラ)は温暖地であれば屋外で冬越しできます。夏の高温多湿に弱いので、上手に夏越しできると周年楽しめます。
バコパ(ステラ)はやわらかい茎が這うように伸びるため、寄せ植えの縁取りに使ったり、目線の高い位置から垂れ下がるように飾っても美しいです。
バコパ(ステラ)
- バコパ(ステラ)は花の少ない冬期に出回りが増える、常緑の多年草です。バコパ(ステラ)の特徴として夏の高温多湿に弱い傾向があるので、夏に地上部が無くなってしまうこともあります。 冬の寒さには耐性があるので、夏を越せば次の一年も同じ株で楽しむことができる植物です。バコパ(ステラ)は草丈5~10㎝程の高さで生長する植物です。地際を匍匐(ほふく)するように生長するので寄せ植えの隙間や花壇の縁取りに使用するとその特徴を活かせます。 バコパ(ステラ)の花は白やピンク、紫などがあり、直径1~1.5㎝程度の小ぶりな花です。花弁は5枚、緩い半円を描き等間隔に連なっています。八重咲種や葉が斑入りの品種もあります。
バコパ(ステラ)の花は白やピンク、紫などがあり、一重咲きの他、八重咲タイプもあります。バコパ(ステラ)の葉色はライム色やライム色の斑入り種もあり、花が咲かない季節もカラーリーフとして葉を楽しめます。
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コロキア ~ミズキ科 耐寒性常緑低木~
コロキアはくねくね曲がって伸びる細い枝に銀色の細かい葉をつける常緑低木。
こまめに剪定して盆栽風に仕立てることもでき、そのままにしておいても自然に個性的な樹形に育ちます。寄せ植えの背景に使うと上品でワンランクアップした仕上がりになります。
▼「ガーデンセンターさにべる」の間室みどりさんに教わったコロキアを使った寄せ植えはこちら
テイカカズラ 黄金錦 ~キョウチクトウ科 耐寒性木本~
テイカカズラ’黄金錦’は、濃い緑色に黄色い斑が幅広く入り、新芽がオレンジ色ではっきりとしたトリカラーが美しいカラーリーフです。テイカカズラ’黄金錦’を使うと明るい豪華な雰囲気を作ることができ、伸びやかなつるも寄せ植えのアクセントになります。
写真の寄せ植えのように、テイカカズラ’黄金錦’はハボタンとの相性も抜群でハボタンをより華やかに魅せることができます。
- テイカカズラは、日本原産のつる性常緑低木です。テイカカズラの名前は、能楽「定家」が由来とされています。式子内親王と藤原定家の悲恋の物語です。式子内親王へ恋焦がれた藤原定家は彼女の死後、テイカカズラとなってその墓にまとわりつき墓石を覆ってしまったと言われています。 テイカカズラは初夏、5~6月頃、直径2cm程度の芳香のある花をたわわに咲かせます。全体がクリーム色で中心に近づくにつれて黄色が強くなる花は、プルメリアを小ぶりにしたようで南国を思わせる雰囲気があります。 葉は光沢のある明るいグリーンで、茎の途中からも気根を出して塀や他の樹木に張り付くように伸びていきます。仲間にハツユキカズラという、葉を観賞する目的で作られた園芸種もあります。 キョウチクトウ科は有毒物質を含むと言われていますので、口に入れることの無いように注意してください。また樹液で肌がかぶれることもあるので、触れるときは気を付けるようにしましょう。
リシマキア ~サクラソウ科 耐寒性多年草~
リシマキア’シューティングスター’
リシマキア’シューティングスター’は、黒みを帯びたシックな銅葉に、ピンク色の斑が入るカラーリーフです。這うように広がって育つので、寄せ植えの縁取りや高い位置から垂れ下がるように飾るとその美しさを楽しめます。ハボタンやプリムラとも合わせやすく、寄せ植えの中に流れるような動きを作ることができます。
リシマキア’ミッドナイトサン’
リシマキア’シューティングスター’よりもっとシックな雰囲気を出したいときは、深いブロンズ色の葉が魅力的なリシマキア’ミッドナイトサン’もおすすめです。
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ヘリクリサム ライムミニ ~キク科 半耐寒性多年草~
ヘリクリサム’ライムミニ’は、小さなライム色の葉っぱの重なりがなんとも可愛い多年草。カラフルな色や爽やかな色の花と合わせると可愛い雰囲気の寄せ植えになるのはもちろんですが、シックな花を集めた寄せ植えのアクセントとに株分けしてちりばめてもとても美しいです。温暖地では屋外で冬越しできます。
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フォックスリータイム ~シソ科 耐寒性多年草~
フォックスリータイムは、緑色の葉にクリーム色の斑が入った小さな葉をたくさんつける多年草。爽やかな香りが心地良いです。
寄せ植えに使うと、明るい細やかな葉が華やかさをプラスしてくれます。這うように生長し、寒くなると紅葉して葉がピンク色になる姿も可愛いです。
タイム
- タイムは、シソ科のハーブです。種類が多く、立ち上がり上に伸びる立性のもの(コモンタイム)と這うように生育する匍匐性のもの(クリーピングタイム)に分かれます。一般的にタイムといわれているのはコモンタイムのこと。品種によって異なりますが、春~初夏に小さな花を咲かせます。料理の他にも、花はサシェにも使うことができます。 「コモンタイム」は、肉などの臭み消し、防虫効果、「ブーケガルニ」としてシチューやポトフなどの煮込み料理の風味付けに使われているタイムで、最も一般的なタイムです。野菜売り場のハーブのコーナーで売られているタイムもコモンタイムです。最近はコモンタイムから選抜されてできた品種がたくさんあります。 ブーケガルニとは、簡単に言ってしまえば、数種類のハーブや香りのする野菜をタコ糸などの糸で束ねた香りの束のことを言います。ヨーロッパでは、昔から肉や野菜を入れてコトコトと煮込むような料理にブーケガルニを入れて風味付けをしています。ブーケガルニに使う素材に決まりはありませんが、定番はタイム、パセリ、ローリエの組み合わせ。その他にも料理の種類にあわせて束ねる素材を選びます。日本の食品メーカーからも「ブーケガルニ」という名前で販売されています。 料理やお茶など、食材として利用するためにタイムが必要な場合は、品種名と利用用途(食用か観賞用か)がきちんと書かれている苗を選ぶと安心です。 タイムは品種によって生長の仕方も違います。園芸用として植栽するなら、植える環境にあわせて、下記の性質から、どちらが植える環境にあうかを決めてから品種を選ぶとようにします。 立性・・・立ち上がるように生長します。地植えにすると30cm以上の高さになります。コモンタイムは立性です。 ほふく性・・・這うようにして生長します。代表的な品種はクリーピングタイムです。這うように生長するので、丈は10cmくらいにしかなりません。ほふく性のタイムは、花壇の縁取りやグランドカバーにもなります。
オレンジミント(オーデコロンミント) ~シソ科 耐寒性多年草~
オレンジミント(オーデコロンミント)は、柑橘系のコロンのような香りがするミントで、ペパーミントの一種です。
黒みを帯びた葉色が美しく、どんな花にも合わせやすいので寄せ植えを引き締めるアクセントとして用いられます。良い香りがするハーブを寄せ植えに使うと、水やりの際、触れて香りに癒される楽しみもプラスされるのでおすすめです。
1月の寄せ植えの管理ポイント
置く場所
寄せ植えは屋外の風通しの良い日なたに置きます。日があまり当たらないと、花が咲きにくくなります。
水やり・肥料
土が乾いたら株元にたっぷりと水を与えましょう。背丈が低いプリムラなどは、水やりの際に花に水がかかりやすいですが、花がいたんでしまうのでなるべく株元に水やりし、花に水がかからないようにしましょう。水やりは土が凍ってしまわないように、朝晩の寒い時は避けて日中の暖かい時間帯に行います。
植え付けるときに肥料入りの培養土を使った場合は、1カ月後から液肥や固形肥料を与えましょう。
花がら取り
咲き終わった花(花がら)や古い葉は、見た目も悪く病害虫の発生も促すので早めに取り除きます。花がらを取ることで、次の花が咲きやすくなります。
冬越し
今回紹介した冬から春まで咲く花苗を使った寄せ植えは、温暖地では屋外で春まで楽しむことができます。日当たりの良い場所に置き、雪が降ったり霜がとても強い場合は軒下に移動させるなど対策をすると状態良く育ちます。
ハボタンは暖かくなってくると中心部から花茎が伸び、菜の花に似た黄色い花を咲かせます。その花姿を楽しんでも良いですが、寄せ植えのバランス的にはくずれてくるので、その頃にはペチュニアやサフィニアなどの春夏の草花に植え替えてもいいですね。
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