リースの寄せ植え春夏秋冬|花や土の選び方、作り方とデザイン、管理のコツ

戸松敦子
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リース型の寄せ植えを作ってみませんか。季節の草花を使ってシーズンごとに植え替えするのもいいですし、枯れた部分だけ植え替えする方法もあります。常緑の丈夫な多年草を使えば、数年植え替え無しでも大丈夫です。
リースは平和や永遠の象徴と言われるのですが、確かに丸い形を見ると心がほっとするように感じます。玄関やベランダにリースが飾ってあると素敵ですよね。
今回はリースの寄せ植えの作り方、草花や土の選び方、デザイン例や管理ポイントなどを紹介します。
目次
リースの寄せ植えとは
リースの寄せ植えは、リース型の器に根付きの草花を植えて作るリース。作成後に水やりや花がら取り、追肥などの簡単な管理をすることで、すくすくとふんわり生長し、リースの美しい形を保つことができます。屋外のテーブルや花台の上に飾ったり、椅子に斜めに立てかけたり、専用のスタンドや塀、門扉にかけても楽しめます。
リースの寄せ植えの季節ごとのデザイン
リースの寄せ植えは季節の草花を使ってシーズンごとに植え替えると、春、夏、秋、冬にそれぞれ違った雰囲気を演出できます。
春のリースの寄せ植え
春から秋まで咲く、一年草のペチュニアをメインにしたリースです。
適宜切り戻しをして上手に育てると、秋まで咲かせることができます。
使用した草花
▼ペチュニアの育て方はこちら
ペチュニア
- ペチュニアは、夏の寄せ植えの素材としてとても人気のある草花です。剪定を上手にすると、枝分かれしてたくさんの花を咲かせるので、ハンギングやコンテナ栽培にも適しています。 ペチュニアは色幅も豊富で多花性。一重や八重咲きなど咲き方も様々あり、花の大きさも大輪から小輪と様々です。品種数も数百品種以上あり、毎年新品種が発売されています。 ペチュニアは開花期間がとても長いので、初心者にもおすすめの素材です。ペチュニアは現地では多年草ですが、寒さの弱いため日本では一年草扱いとなります。 ペチュニアの語源はブラジル先住民のPetun(たばこ)が語源になっています。たばこの花に似ていることからこの語源になったと言われています。
白い壺型の花が咲く多年草のシレネ・ユニフローラに、同系色のカラーリーフを合わせたリースです。
シレネ・ユニフローラは4月~6月頃まで花が咲きます。蒸し暑い夏が苦手なので、真夏に半日陰になる涼しい場所で管理すると夏越ししやすいです。寒さに強いので、上手に育てると周年楽しめます。
使用した草花
- シレネ・ユニフローラ
- ラミウム
- アイビー
▼シレネ・ユニフローラを使ったリースの作り方はこちら
▼シレネ・ユニフローラの育て方はこちら
シレネ・ユニフローラ
- シレネ・ユニフローラは、ヨーロッパに分布するナデシコ科の耐寒性多年草。春、伸びた茎の先に釣鐘状の可愛い花を咲かせます。沿岸部の崖や砂地などに自生していることもあり、高温多湿が苦手で乾燥気味の環境を好みます。這うように生長するので、寄せ植えやハンギングバスケット、少し高さのある花壇の縁などに植えると垂れ下がるように育って美しいです。 シレネ・ユニフローラの葉色は緑色の他、クリーム色の斑入り品種もあります。斑入り品種は花が咲かない季節も美しい葉色を楽しめるカラーリーフプランツとしても人気があります。 シレネ・ユニフローラは耐寒性があり、温暖地では戸外で冬越しできますが、夏の暑さに若干弱い性質があります。夏越しを上手に行うと周年楽しめる植物です。
数種類のセダムを使ったリースです。
セダムの植え付け適期は春と秋なので、春か秋に作ると良く育ちます。高温多湿が苦手なため、夏は風通しの良い明るい日陰で管理すると夏越しできます。また、寒さに強いタイプのセダムを選ぶと、屋外で周年楽しめます。
切った茎を土にまいておけば自然に根付いてどんどん増える丈夫な植物というイメージが強いセダム。普通の草花より水やりの回数も少なく済むので手入れが楽です。数種類使うと、繊細な葉のグラデーションがとっても美しいです。
▼セダムを使ったリースの作り方はこちら
▼セダムの育て方はこちら
夏のリースの寄せ植え
アイビーなど、常緑のカラーリーフ数種を使ったリースです。
リース型バスケットは、土の量が少ないため乾きやすい特長があります。夏は特に乾燥しやすいため、乾燥に強い丈夫なカラーリーフだけでリースを作ると枯れにくくて安心です。ハート型の葉やライム色のグリーン、濃いグリーン、白の斑入りなど、葉の形や色が違うカラーリーフを使うと、とても爽やかなリースができます。耐寒性のあるものを選ぶと、周年飾れます。
使用したカラーリーフ
▼アイビーを使ったリースの作り方はこちら
▼カラーリーフについてはこちら
秋のリースの寄せ植え
秋色の草花をちりばめたリースです。
茶、カーキ、黒、紫、ピンク、濃い緑、明るい緑、白をバランス良く組み合わせました。アカバセンニチコウなどの寒さに弱いものは冬に枯れてしまいますが、枯れた部分だけ植え替えると引き続き飾れます。
使用した草花
▼秋色リースの作り方はこちら
▼アカバセンニチコウの育て方はこちら
秋から春まで咲く一年草のパンジー・ビオラに、数種類のカラーリーフを合わせたリースです。
冬の間はそれほど生長しませんが、暖かくなって来ると次々と花を咲かせ、全体的にボリュームアップします。伸びすぎてしまったところは少しカットして小さな切り花として部屋に飾ったりもできます。
使用した草花
▼パンジー・ビオラの育て方はこちら
冬のリースの寄せ植え
秋から春まで美しいハボタンとビオラ、スイートアリッサムに、数種類のカラーリーフをちりばめたリースです。
12月にはリボンやキラキラパーツをつけると屋外用のクリスマスリースになります。クリスマスを過ぎたら、和風の飾り付けに変えるとお正月を迎えるのにぴったりなリースに変わるのでとっても重宝します。
使用した草花
▼ハボタンの育て方はこちら
ハボタン(葉牡丹)
- ハボタン(葉牡丹)は冬の殺風景な景色を彩るアブラナ科の植物です。ヨーロッパから輸入された当時のハボタン(葉牡丹)は食用として出回っていましたが、現在では観賞用として栽培されるのが一般的です。見た目、形はキャベツを連想させる造りになっています。キャベツからハボタン(葉牡丹)へ品種改良された為、この様な形になっていると言われています。ハボタン(葉牡丹)の葉は円形状で幾重にも重なっていて、ふちをギザギザや丸でかたどっています。色は外側が緑、内側が白もしくは紫で構成されています。牡丹のようにも見えることから「葉牡丹」と名付けられました。ハボタン(葉牡丹)の茎は種類によっては100㎝を超すものまであります。
寒さに強いガーデンシクラメン、イベリスなどを合わせてクリスマスの雰囲気を作ったリースです。
こちらも、クリスマスが過ぎたら和風の飾り付けをするとお正月の華やかなリースに早変わりします。
使用した植物
▼ガーデンシクラメンの育て方はこちら
ガーデンシクラメン
- ガーデンシクラメンとは名前からもわかるように、シクラメンを品種改良した品種です。シクラメンは冬に室内で楽しむ鉢花の代表ですが、ガーデンシクラメンは、耐寒性があり寒い冬も屋外で楽しむことができます。寄せ植えなどに使う冬のガーデニング植物の定番としてよく用いられます。 寒さに弱いシクラメンのウィークポイントを克服するため、ミニシクラメンの中から特に耐寒性の強い系統を選抜し、冬に屋外でも育てられるように改良されたものがガーデンシクラメンです。冬から春にかけて次々に花を咲かせ、花の少ない時期のお庭を明るく盛り上げてくれます。花の色はシクラメンとほぼ変わらず赤や白、ピンク、紫などがあります。花形もバリエーションが豊富で、選ぶ楽しみが広がっています。
▼イベリスの育て方はこちら
紫色と白のハボタンをハート型の器に植えたリースです。
色や咲き方の違うハボタンを混ぜることでアクセントをつけています。
使用した草花
▼アイビーについてはこちら
リースの寄せ植えを作るときに必要なもの
- リース型の器
- 不織布(リース型の器の中に敷きます。器の劣化を遅らせたり、土が流れ出るのを防ぎます。)
- 土(草花用の培養土、ハンギングバスケット用の土など)
- 乾燥水苔(水でふやかして使います。)
- 土入れ(スコップではなく、土入れを使った方が作りやすいです。)
- はさみ
リースの寄せ植えの苗と土の選び方
苗の選び方
- 背が高くならずに、株元からこんもりと育つ草花が育てやすいです。
- なるべく花期や性質(日当たり、水の具合など)が近い草花を合わせましょう。
- 苗をリースの形に並べて色合いやバランスをチェックするとイメージしやすいです。
土の選び方
- リース型バスケットは土が乾きやすいので、排水性がありながら、保水性や保肥性のある土が好ましいです。
- 高い場所に飾ることもあるので、あまり重たい土はおすすめしません。
- 草花用の培養土や、ハンギングバスケット用の土を使うと気軽に作れます。
リースの寄せ植えの作り方
リース型バスケットの上に不織布を敷き、リースの深さ1/3くらいまで土を入れます。
メインとなる草花をポットから出して根を崩し、土の部分を小さくします。
ポイントとなる場所に配置します。
二番目にメインになる花を、同じように土の部分をくずして間に植えていきます。
スイートアリッサムのように、根をいじられるのが苦手な草花もあります。とはいえ、土の部分を小さくしないとリース型の器に入りきらないので、私はいつも、ポットの底の部分だけ土を取り、苗の土の部分を優しくつぶして少しだけ薄くして植えています。場所を決めて植えたら、できるだけ動かさないようにします。
シルバーレースのように株分けできるものは、分けて数か所にちりばめて使います。土の部分を両手で持ち、優しくもみほぐして根っこが分かれているところを探していきます。すべて根と土がついている状態で分けることができたら株分け成功です。
苗の配置ができたら、土入れを使って苗と苗の間に土を入れます。外側から一周、内側から一周、土を入れては指でつっつきながらしっかりと入れていきます。
土がしっかり入ったら、内側と外側の不要な不織布を1cm幅くらい残してカットします。
水でふやかしておいた水苔をひとつかみ持って、リースのふちにはさみ込んでいきます。不織布を内側に織り込んで見えないようにし、その上から水苔をはるときれいに仕上がります。外側一周、内側一周行ったら完成です。
水苔をはることで、水やりの際に土が流れ出にくくなります。また、リースを立てて飾る時にも苗が崩れ落ちてしまう心配がありません。
植えたばかりは水が浸透しにくいので、ゆっくりと、リースの底から流れ出るくらいたっぷりのお水を株元からあげましょう。
▼ハボタンを使ったリースの作り方はこちら
リースの寄せ植えの管理ポイント
置く場所
リースの寄せ植えは、根を崩して土の部分を小さくして植え付けます。そのため根を傷つけていることがあるので、植え付けから2~3日くらいは、強い直射日光や寒風、雨の当たらない平らな場所に置いて養生しましょう。
その後は、屋外の風通しの良い日なた~半日陰に置きます。真夏は半日陰の方が状態良く育ちます。秋冬は、日当たりを好む花を日陰に置くと咲きにくくなるので注意しましょう。
雨に弱い草花は、長雨に当たらない軒下やベランダなど、屋根のある場所が好ましいです。
水やり・肥料
株元の土の乾き具合を確認して水やりしましょう。花や葉にではなく、株元にたっぷり与えます。雨に当たった日は、水やりはお休みです。
夏はとても乾きやすいので、朝と夕方以降の涼しい時間帯の2回水やりしてもよいくらいです。冬は、土が凍ってしまわないようにできるだけ日中の暖かい時間帯に水やりしましょう。
花期が長いものは肥料が必要です。植え付けるときに肥料入りの培養土を使った場合は、1カ月後から液肥や固形肥料を与えます。
花がら取り
咲き終わった花(花がら)や古い葉は、見た目も悪く病害虫の発生の原因となるので早めに取り除きます。花がらを取ることで、次の花が咲きやすくなります。
花後の管理
一年草の花が終わって枯れた部分は根ごと抜き取り、新しい苗に植え替えます。植え替える際は新しい土を足して水苔でしっかり固定しましょう。
リースの寄せ植えは少し特別感があり、見るとワクワクします。普通の寄せ植えと比べると、植物にとっては狭いスペースに少し過酷な状態で植えられることになるのですが、置く場所、水やり、肥料、花がら取りのポイントをおさえて管理すると、普通の寄せ植えと同じようにしっかり育ちます。毎日必ず目にする場所に置いて状態をよく見ていれば、枯らしてしまう心配がありません。ぜひいつも目にする場所に置いて美しいリースを育ててみてくださいね。
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