ふんわり優しい香りの芍薬(しゃくやく)の育て方や季節の生け方を楽しむ
峰亜由美
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梅雨を間もなく迎える束の間の初夏に美しい花を咲かせ始める芍薬。
その華やかさは女性の立ち居振る舞いに例えられる事もある植物です。
初夏の爽やかなこの季節、5月~6月にお花屋さんの店頭に季節の代表の様に並び始めます。
この季節だけ咲く旬のお花を楽しんでみませんか?
目次
芍薬(シャクヤク)について
■和名 芍薬
■学名 paeonia lactifora
■ボタン科ボタン属
■原産国 中国北部 シベリア南東部 朝鮮半島
芍薬(シャクヤク)はアジア原産の多年草です。
その種類は豊富にあり、季節になると地面から新芽を出しスッと伸びた茎から大きな花を咲かせるのが特徴です。
花を見ただけでは見分けがつかない、よく似た花を咲かせる牡丹(ボタン)とは全く違う植物です。
牡丹(ボタン)は落葉低木で「木」として扱われ、芍薬(シャクヤク)は「草」として扱われます。
薬用植物としても知られ、花から根まで余すことなく漢方薬としても使用され、江戸時代からは「茶花」として観賞用として楽しまれました。
その後改良されて観賞用として多くの品種が作られ、形、花、切り花としても人気が高いお花です。
芍薬は50㎝~120㎝茎先に大型の牡丹によく似た10cmくらいの花をつけます。花びらの数は5~10枚が多く、もっと多いものもあります。
花の色は紅色や桃色のほか、紫紅色や白などがあり、花の形は「一重咲き」「八重咲き」「翁咲き」などの種類があります。
薔薇の花や百合の花の様に、一年中お花屋さんで並ぶお花とは違い、この季節の2ヶ月だけ楽しめる旬のお花です。
真夏に差しかかる少し前の初夏によく似合う爽やかな甘い香りと柔らかな花びらの様子はとても魅力的です。
日本に古くからある美しい女性を例えた言葉で「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉がございますが、芍薬の花が咲いたときのその美しさは息をのむ美しさです。
芍薬の花言葉
シャクヤク(芍薬)の花言葉は「はじらい」「慎ましさ」。
ピンクのシャクヤクは「はにかみ」。
白のシャクヤクのは「幸せな結婚」。
赤のシャクヤクのは「誠実」。
芍薬を生ける
芍薬(シャクヤク)はお花屋さんの店頭に並ばれている際、まんまるで少し尖ったかわいい蕾の状態で扱われております。
その蕾をよく見ると光沢があり触ると少しベタベタとした感触の液体がついている場合がありますが、これは芍薬の蜜です。
花びらの上に蜜をつけて蟻などを呼び寄せ蟻に他の害虫から花を守ってもらう為に分泌されます。
芍薬(シャクヤク)を蕾から生けた時に蕾のまま上手く咲かなかった経験はありませんか?
それはこの蜜が花びらどうしをくっつけてしまい上手く咲かなかったのだと思います。
今回は蜜を上手く除いて生けるコツをご紹介します。
1.先ずバケツにお水を準備します。
2.そのお水の中に固い芍薬(シャクヤク)を軽く1~2回程くぐらせて下さい。この時はジャブジャブと無理に洗わず、スーッと通す程度で大丈夫です。
そうする事によって蜜が溶けて上手くお花を咲かせる事が出来ます。
咲きかけた芍薬(シャクヤク)の蕾にはこの方法は向いておらず何もしなくても咲いてくれると思いますが、茎の一番下の箇所を金槌でたたいて潰すかハサミで縦に切れ目を入れて生けるとより水を吸い上げるようになります。
芍薬の花は飾り始めた頃は夜になると眠るみたいに少しつぼんだり動きを見せてくれます。
そして明るくなるとまた咲いて…を数回繰り返しながら満開を迎え、上品で静かな動きと優しい香りからは想像が出来ない様な大胆な散り際を見せてくれます。
その散り際の美しさと儚さもまた芍薬を生けた時に感じる季節が残す気分かもしれませんね。
芍薬を育てる
日当たり・置き場
日当たりが良い場所に置きましょう。日光に当てたほうが花つきも良いので、日の当たる場所におきましょう。
また、暑すぎると根が傷んでしまいますので根がマルチングをしたり藁を敷いたりして保護すると良いでしょう。
高温多湿ですと弱りますので、風通しのよい涼しい場所のほうが理想です。
用土
水はけのよい用土を使用します。有機質が多い土を選んだほうが良いでしょう。
芍薬(しゃくやく)の育て方とポイント
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりとあげましょう。芍薬は乾燥に弱く水切れしないように気を付けましょう。
夏場など暑い時期は土の様子をみて乾燥していたら夕方にもお水をあげましょう。
冬場は乾燥していたら朝か夕方にお水をあげましょう。 水やりは欠かさず、たっぷりと。
肥料
開花前の芽が動き出す3月、4月に元気に咲いてねと、緩効性肥料を規定量与え、花後によく咲いてくれてありがとうと、9月頃にも緩効性肥料を規定量与えます。
病害虫
日当たりが悪いと葉が白くなるうどんこ病や灰色かび病が発生しやすくなります。害虫は根っこに発生しやすいです。花が咲かなくなった場合は株を掘り起こしてみて確認してみてもよいでしょう。 またアブラムシも発生することもあります。株全体も害虫がついていないか、鉢底などもチェックして防除、駆除に努めましょう。
株の選び方
葉にツヤがあり、色がキレイで枝もしっかりとした株を選びましょう。また、蕾がついているものがよいです。蕾や葉の裏に虫などがいないかも確認しましょう。
植え替え・鉢替え
涼しくなった秋に植え替えをしましょう。根詰まりが起きないように、植え替えは、ひとまわり大きな鉢に植え替えてもよいでしょう。植え替えたらお水をたっぷりを与えます。
花
5月から6月頃に開花します。
冬越し
寒さに強いです冬の屋外でも越冬できます。
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