蓮の花|時期や特徴、仏教での意味などを紹介
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蓮の花について、咲く時期や時間、特徴、仏教での意味やその他の象徴としての意味、葉の特徴などを紹介します。
目次
蓮とは?基本情報
- 植物名:ハス
- 科名:ハス科ハス属
- 学名:Nelmubo nucifera
- 英名:Lotus
- 分類:多年生水生植物
- 草丈:水面から1~2m
蓮は、ハス科ハス属の水生植物。水の中の地中に塊茎を持ち、水面から1~2mほど伸びた茎の先に、青々とした大きな丸い葉を展開させ、葉の間から茎を伸ばして花を咲かせます。葉は直径30~50cmの大きな円形で、支えるように中心から葉柄が伸びています。花は直径15~20cm、花色はピンクや白、花の中心にあるしべ類は鮮やかな黄色をしています。
花が美しいことから世界中で愛され、八重咲きや花の大きな園芸種も多数作出されています。家庭で育てやすい矮性のチャワンバスという種類もあります。珍しい黄色い花を咲かせる品種は、アメリカ大陸原産のキバナハスという種類から作られた品種です。
蓮の花言葉
蓮の花言葉は「清らかな心」「神聖」です。
泥の中から出てきて、清らかな美しい花を咲かせる、蓮の花らしい花言葉です。
蓮の花が咲く時期や時間は?
蓮の花が咲く時期
蓮の花が咲くのは7月ごろ。初夏というには暑くなってから、でもうだるような真夏の暑さになる前に咲き始めます。7月の後半のこともあれば前半のこともあります。その年の気温など諸条件よって変わります。
蓮の花が咲く時間
蓮の花は早朝に咲き始め、お昼には閉じてしまいます。朝からお昼までが花を観賞できる時間です。蓮の花の季節には早朝観蓮会を行っている蓮池もありますので、ぜひ早起きして足を運んでみてください。蓮の花の美しさには早起きの眠気を忘れさせてくれる喜びがありますよ。
蓮の花の開花期間は?
蓮の花は早朝開きお昼には閉じる、そのサイクルで4日間。4日目は夕方まで咲き続け、そのまま花びらを落として散っていきます。開花から4日目の蓮の花は、花芯の黄色の部分が見えるくらい花びらが開き切っているので見分けがつきます。
午後の蓮池で、咲いている蓮の花があったら、その日を最後に散っていく花です。ふっくらと大きく丸みを帯びた蓮の蕾があったら、午前中に咲いていて翌日も咲く蓮の花です。
蓮の花の特徴
蓮の花の特徴
蓮の花は、図柄にも使用されるほど美しいのが特徴。地下茎から真直ぐに、葉よりも高く花茎を伸ばして、その先に印象的な花を咲かせます。蓮の花びらは20~30枚が放射状に付き、鮮やかな黄色のおしべは200~300本、その中心にあるシャワーヘッドのような花托が印象的なフォルムをしています。
蓮の花の香り
蓮池の縁に立って花を眺めていると、ふわりと優しい香りが鼻先をかすめることがあります。チャワンバスのような小型種の蓮の花に顔を近づけると、甘く爽やかな芳香が確認出来ます。池の仲間で入っていって、花の香りを確認するのは至難の業ですが、蓮には間違いなく香りがあります。
蓮の花の咲く音って?
「蓮の花は咲くときにポンっという音がする」という話を聞いたことはありませんか。
子供の頃、蓮の花が開く音を聞きたくて、まだ暗いうちから蓮池で待機したことがありますが、残念ながら音は聞こえませんでした。蓮の花が開く時に音がするという話は、嘘だと言われています。カエルか何かが池に飛び込む音だったのではないか、という説もあります。
蓮の花の意味|仏教、その他の象徴や神話
仏教や、他の宗教、国々でも蓮の花は象徴として愛されてきました。
仏教での蓮の花の意味
仏教画では、よく仏陀が蓮の花の上に座っている姿が描かれています。これを蓮華座(れんげざ)と言います。
蓮の花は、泥水のような池の中から真直ぐに茎を伸ばし、その先に華麗な花を咲かせます。池から出てきても泥に汚れることはありません。このことから蓮の花は清らかさの象徴と考えられ、仏教では神聖な花とされてきました。また、泥を肉体に、蓮の花を浄化された魂に見立てたという説もあります。
仏教画やその他の装飾では、蓮華座以外にも天女が蓮の花を持っている姿なども描かれています。
国花としての蓮の花
蓮の花は、昼には閉じて朝になると再び開くことから、太陽や創造、再生の象徴とされ、インド、ベトナムの国花になっています。
神々の象徴としての蓮の花
ヒンドゥー教の神クリシュナは「蓮の目を持つもの」と呼ばれている他、ラクシュミやヴィシュヌなど、神々とも関わりの深い花です。
蓮の花はエジプトでも象徴?
エジプトの国花は睡蓮ですが、睡蓮と併せて蓮も再生と復活の象徴とされているそうです。
ギリシャ神話にも登場する蓮の花
蓮の花はギリシャ神話にも登場します。ギリシャ神話では、ニンフのロティがプリアポスという神の求愛から身を守るために蓮の花に姿を変えたといわれています。
蓮の葉の特徴。ロータス効果とは?
ロータス効果とは?
蓮の葉は、水を弾くという特徴があります。これは、蓮の葉の表面が特殊構造になっていて、表面に乗った水滴を浸透させずに落としてしまうからです。これをロータス効果といいます。蓮の葉は水滴を弾いてしまうので葉が濡れることはありません。さらに弾く際に葉の表面上の汚れも一緒に絡めてしまうという特性もあります。
蓮の葉の上にキラキラとして水滴が乗っているのを見たことはないでしょうか。葉の上で輝きながら転がる水滴の美しさは例えようもありません。
花、葉、茎、実、根まで食用になる?
蓮の花はお茶に
蓮茶はベトナムなどで飲まれているもので、緑茶に蓮の花の香りを移したお茶です。蓮の花の香りかというと何ともいえませんが、ふんわりと優しい香りがするお茶です。
蓮の葉は食べられる?
蓮の葉は、お盆の時期になると流通し、料理の敷物や、細かく刻んだものを米と一緒に炊き込んだり、包んで蒸したりという風に使われます。ただし、お盆の時期の料理であって一般的な家庭の食事にはあまり登場するものではありません。
蓮の茎も食べてみよう
日本ではなかなか蓮(ハス)の茎を食用にはしませんが、ベトナムなど諸外国ではサラダにして食べられています。ベトナム料理店で食べたことがありますが、特に香りやクセは無く、しゃくしゃくした歯触りで、食べやすくておいしいものでした。
蓮(ハス)の実の食べ方
蓮の実は、甘納豆のような砂糖衣をかけたお菓子として食べられるほか、蓮(ハス)の実をごはんと一緒に炊いた蓮(ハス)の実ごはんなども有名です。
蓮の花が終わった後、花托の部分が生長し、シャワーヘッドのような形状になります。その穴ひとつひとつに種が入っていて、熟すと黒くなります。黒く熟した種子は固いので食べるならまだ青く柔らかい実をごはんと一緒に炊いたり、茹でてサラダにして食べます。
レンコンは蓮の根ではなく地下茎
レンコンは、煮物したり、炒めたり揚げたりと、様々な調理方法で食べられている身近な野菜。一般的に蓮の根だと思われていますが、実は根ではなく地下茎が肥大したもの。漢字でも蓮根と書くし、蓮の根という認識で誤りではありませんが、正確には地下茎だということを覚えていても損はありません。
蓮と睡蓮を簡単に見分けるコツ
開花時期の違いで見分ける
蓮の花が咲くのは7月、睡蓮は5月~10月です。初夏や秋に花が咲いていたら睡蓮だとわかります。
花の特徴で見分ける
蓮は、水面から高く茎を伸ばした先に咲き、花の直径は20㎝くらい(チャワンバスは10㎝程度)で、花後は花びらが散ります。睡蓮は、水面に浮くように、あるいは少し水面から立ち上がって咲き、花後は水中に沈みます。花が水面から大きく立ち上がって咲いていたら蓮だと見分けられます。
葉の特徴で見分ける
蓮の葉は、水面から高く伸びた先に大きな円形の葉を展開し、光沢はなく水を弾きます。睡蓮の葉は、水面に浮くように展開し、表面に光沢があり、切れ込みのある円形で、水を弾きません。丸く、水を弾く葉であれば、蓮だと見分けられます。
蓮の花は3週間くらいの間、次から次へと咲き続けます。決して花期の短い植物ではないのですが、日常のなかで否応なしに視界に入ってくるような花ではありませんから、見逃して後悔することのないように、ちょっと早起きしてみませんか。
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