アマリリス|花咲く季節、種類、育て方と冬越し方法を紹介
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華やかなアマリリスについて、花咲く季節や特徴、種類、育て方や冬越し方法、切り花の飾り方まで紹介します。
目次
アマリリスとは?基本情報
- 植物名:アマリリス
- 学名:Hippeastrum
- 科名:ヒガンバナ科
- 属名:ヒッペアストルム属
- 分類:多年草
アマリリスの特徴
アマリリスは、ユリのような大きな花が印象的な、非耐寒性の球根植物。南米を中心に、80種以上が分布しているといわれています。この中の数種を交雑させて、現在の園芸品種が作成されました。
アマリリスの花茎は太く、中は空洞になっていて、頭頂に直径10~20㎝ほどの大きなユリのような花を数輪放射状に咲かせます。球根は鱗茎といって、タマネギやニンニクのように肥大した葉が茎の周りに幾重にも重なって形成されているものです。花色は、白やクリーム、ピンク、紫、赤、オレンジ、複色、覆輪と多様。咲き方も一重咲きから八重咲き、花びらは先のとがった剣弁咲きや全体的に丸みを帯びたものまで様々です。
アマリリスは分球しない?
1870年代に初めて大輪のアマリリスが作出された頃は、遺伝的に不安定であり自然分球しにくいとされていました。現在では条件さえ合えば、アマリリスの球根は分球で増やすことができます。
アマリリスの名前の由来
アマリリスの名前は、以前分類されていた属名が由来となっています。現在アマリリスは、ヒッペアストルム属に分類されていますが、以前はアマリリス(ホンアマリリス)属でした。以前の分類の名残から、今でもアマリリスという名前で流通しています。
アマリリス(ホンアマリリス)属は、南アフリカのケープ州原産です。アマリリス(ホンアマリリス)属の1種である Amaryllis belladonna は「ベラドンナリリー」「ケープベラドンナ」と呼ばれる植物で、アマリリスによく似ていますが、草丈、花径ともにアマリリスに比べると小ぶりです。
アマリリスの花咲く季節
アマリリスの花咲く季節は、4月~6月と10月。春から初夏に咲く品種と、秋に咲く品種があります。春にも秋にも見かけるような気がするのは、このためです。
切り花のアマリリスの流通時期
露地で育てているアマリリスが開花するのは春と秋ですが、切り花のアマリリスは通年流通しています。露地で咲くはずのない冬でも、切り花なら大きく華やかな花を楽しむことができます。
アマリリスの種類
ヒッペアストルム・ プニケウム
- 学名:Hippeastrum puniceum
アマリリスの原種です。南米に自生します。花はオレンジ色で直径15㎝程度、花の後に葉が現れます。
ヒッペアストルム・レギナエ
- 学名:Hippeastrum reginae
花色はオレンジに近い赤で、中心部は黄味を帯びています。日本に渡ってきたのは古く、弘化の頃だと言われています。このアマリリス・レギナエは「ジャガタラ水仙」と呼ばれ親しまれています。
ヒッペアストルム・レティクラトゥム
- 学名:Hippeastrum reticulatum
ピンクがかった紫色に網目状の模様が入る美しいアマリリス。レティクラトゥムとこの変種のシロスジアマリリス(Hippeastrum reticulatum var. striatifolium)が昭和初期に輸入されました。
アマリリス・ヒブリダム
- 学名:Hippeastrum × hybridum
南米原産の数種を交雑させ育成させた園芸種の代表です。切り花や鉢物で親しまれているアマリリスの多くが、アマリリス・ブリダムです。花びらは丸みを帯びていて(丸弁)大輪であるのが特徴ですが、近年では中輪や八重咲きの品種もあります。
アップル・ブロッサム
- 学名:Hippeastrum × hybridum cv.Apple Blossum
全体にピンクがかった赤が筋状に入る一重の大輪咲きです。
リバティー・ハイド・ベレー
- 学名:Hippeastrum × hybridum cv. Liberty Hide Berret
オレンジがかった赤一色が印象的な、一重の大輪咲きです。
ピコティー
- 学名:Hippeastrum × hybridum cv. Picotee
花びらの縁が赤く彩られた白花のアマリリスで、中心は少しグリーンがかっています。一重の大輪咲きです。
アマリリスの育て方
球根からの育て方
アマリリスの球根は秋から春に出回ります。アマリリスの球根は手に持ってずっしりと重さのあるものを選びましょう。よく太った球根は栄養をたくさん蓄えています。他にも傷やカビがないかを確認してください。
球根の植え付け時期と用土
植え付け適期は、春の3月~4月頃です。球根の1/2~1/3が土から出るくらい浅く植え付けます。水はけ良く肥沃な土壌を好むので、庭植えにするなら事前に腐葉土をすき込む等して、土壌を肥沃にしておくとよいでしょう。鉢植えは市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
植え付けから10日~2週間は水やりを控えめにし、乾燥気味に管理してください。アマリリスの球根は、急激に吸水させてしまうと腐りやすくなります。
苗からの育て方
アマリリスのつぼみがついた苗は、冬から春に流通します。葉に光沢があり、つぼみに傷の無いものを選びましょう。
苗の植え付け時期と用土
苗で購入したアマリリスは、極寒期を避けて霜の心配がなくなってから植え付けるようにしましょう。鉢植えで育てるなら市販の園芸用培養土で問題ありません。庭植えにするなら事前に腐葉土をすき込む等して、土壌を肥沃にしておくとよいでしょう。
アマリリスは花茎の中が中空になっています。開花すると花の重みで倒れてしまう心配があるので、しっかりと添え木をしてください。植え付け後はたっぷりと水やりしましょう。
植え替え
数年で根が生長するので、2~3年に1度は植え替えるようにしましょう。適期は3月~4月、一回り大きな鉢に植え替え、たっぷりと水やりします。
花が終わったら
花が咲き終わったら、終わった花ごとに花がらを摘み取ります。1本の花茎の先に数輪の花が咲くので、1輪ずつ摘み取っていき、すべての花が咲き終わったら、花茎を根元まで切り詰めます。
この時、葉は切らずに残しておきます。葉を残すことで光合成を行い、翌年の開花の為に球根を太らせることができます。光合成には日光と水分が必要です。花が咲き終わって葉だけになっても、黄色くなって枯れてくるまでは水やりを忘れないようにしてください。秋になって葉が黄色くなってきたら休眠に入るサインです。地上部の枯れた葉を切り詰めて水やりを控えます。
球根の太らせ方
アマリリスの球根は生長期にしっかりと光合成をすることで栄養を蓄えます。光合成に必要なものは、日光、水、酸素です。アマリリスの球根の太らせ方を紹介します。
① 花後は花茎を切り取り葉を残し、しっかりと日光に当てる
② 花が終わって葉だけになっても表土が乾いたらたっぷりと水やりを行う
② 葉が緑できれいな間は適宜肥料を与えて生長を促す
アマリリスの球根を太らせる為に必要なの条件はこの3つです。アマリリスの球根は毎年簡単に分球するものではありません。少し気を長く待ってみてください。分球したアマリリスの球根は春の植え付け時に手で分けるか、うまく分かれなければナイフなどで切り分けて植え替えます。
アマリリスの冬越し方法
アマリリスは気温が下がると地上部が枯れて休眠期に入ります。秋になり葉が黄色くなって枯れてきたら、地際から切り取ります。地上部がなくなったら、水やりは控えてください。
鉢植えのアマリリスは雨が当たらない場所や室内に移動させて休眠させます。
庭植えのアマリリスは霜が降りるような寒冷地では、球根を掘り上げバーミキュライトなどに埋め込み、雨が当たらない場所で休眠させるようにしましょう。
病害虫と対処法
夏期など高温乾燥が続くと、ハダニが発生することがあります。葉の色が悪くなってきたら葉裏を確認しましょう。発生後は薬剤を散布するか、流水で洗い流します。また、こまめに葉に霧吹きをすることで予防ができます。
他にも、水はけが悪いと赤斑病が発生することがあります。水はけのよい用土で管理すること、長雨の季節は軒下に移動させるようにしあましょう。
上手に育てるコツと注意点
① 球根の植え付けて10日~2週間は水やりを控えめにする
② 過肥は球根に負担をかけるので、肥料は葉が生長している時期に適宜与える
③ 花が終わった後も葉に日光に当て、水やりを続けて光合成をさせることで、球根を太らせる
④ 真夏は直射日光を避けるように半日陰で管理する
⑤ 冬は休眠期に入るので水やりを控える
アマリリスの切り花|飾り方のコツ
アマリリスは切り花でも流通しています。通年流通はありますが、種類も量も増えるのは冬です。アマリリスの切り花を楽しむためのコツを紹介します。
生け方のコツ
アマリリスは茎の中が空洞になっているのが特徴です。そのため花の重みで花茎が折れてしまうことがあります。茎の中に割り箸や細い木の枝などを入れ込んで補強をするとよいでしょう。補強をすることで生けやすくなる他、水の吸い上げもよくなり、花が長持ちします。
飾り方のコツ
アマリリスはユリのように大きな花とガラス細工のようなテクスチャーが印象的な植物です。また、すっと真っ直ぐに伸びた花姿の美しさも魅力です。
切り花の飾り方としては、その大きく印象的な花を強調するように大きな花瓶に数本放射状に生ける方法もおすすめです。インテリアのアクセントのような役割を果たしてくれます。
アマリリスの長く印象的な花茎の美しさを強調して、細い花瓶に1本だけ長く生けるのもおすすめです。すっきりとモダンな印象になります。
アマリリスは印象的な花を咲かせますが、香りはなく、庭でも室内でも楽しめる花です。育てて、飾って、花のある暮らしを楽しみましょう。
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