ムクゲ|花咲く季節や特徴、フヨウ(芙蓉)との違いと見分け方
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ムクゲの花咲く季節や特徴、種類、似た花、フヨウ(芙蓉)との違いと見分け方を紹介します。
目次
ムクゲとは?基本情報
- 植物名:ムクゲ(木槿)
- 学名:Hibiscus syriacus
- 科名:アオイ科
- 属名:フヨウ(ハイビスカス)属
- 分類:落葉低木
ムクゲの特徴
ムクゲは、夏に色鮮やかで、大きな花を咲かせる落葉低木です。樹高3mほどまで大きくなります。ハイビスカスを始め、フヨウ属は耐寒性が弱いものが多い中、ムクゲは耐寒性が強く、冬は落葉して越冬します。
ムクゲは、韓国の国花として有名です。原産地は中国ともいわれていますが、実ははっきりわからないようです。さらに学名の syriacus はシリアを意味していますが、シリアでは野生のものは発見されていないというからおもしろいものです。
ムクゲはハイビスカスを小ぶりにしたような花を咲かせます。花色が鮮やかな上に色の種類が豊富なので、花が少なくなりがちな夏のお庭に彩りを与えてくれます。
ムクゲの花咲く季節や特徴
ムクゲの花咲く季節は、7月~10月前半です。梅雨の最中から咲き始め、夏の暑い盛りに色鮮やかな花を次々に咲かせます。秋になり気温が下がり始めると花数が減ってきますが、ムクゲは非常に花期の長い花木です。開花期間中は毎日花を咲かせるので、見逃すことはありません。
ムクゲの花の特徴
ムクゲの花は、ハイビスカスの花に似ています。大きく開いた花の中心から、雌雄のしべが一つのかたまりになって突き出しているのが特徴です。よく見ると、おしべの付け根がかたまって筒状になり、その先端からめしべが突き出しているという変わった作りになっています。さらに突き出しためしべの先は5つに分かれて上を向いています。この特徴は、ムクゲの他にハイビスカスやフヨウなど、アオイ科の花に見られれます。
ムクゲの花は咲き方も多様で、一重咲きの他に八重咲きや半八重咲き、さらには乱れ咲きまであります。ムクゲは色も咲き方もバリエーションが豊富な花です。
豊富なムクゲの花色
夏は原色の花が多くなる季節です。そんな夏の盛りに、ムクゲは優しい色の花を咲かせてくれます。ムクゲの花色をご紹介します。
- 白一色
- 白地に花の中心が赤に近い濃いピンク
- 明るいピンク
- くすんだピンク
- ピンク地に花の中心が濃いピンク
- 薄紫
- 薄紫に花の中心が濃いピンク
この色のバリエーションに一重や八重、半八重、乱れ咲きなどの咲き方のバリエーションが加わります。
こんなにある!ムクゲの種類
ムクゲは、日本や韓国、中国といった東アジアを中心に世界中で愛されている庭木です。日本にも古くに中国から渡ってきて盛んに園芸品種が作出されてきました。たくさんあるムクゲの種類の一部をご紹介します。
宗旦(そうたん)
白地に中心が赤に近い濃いピンクの一重咲きのムクゲです。
大徳寺祇園守(だいとくじぎおんまもり)
青味かがった薄紫の半八重咲きのムクゲです。花の中心が濃いピンクをしています。
雉鳩(きじばと)
ブルーがかった淡いピンクに中心は濃いピンクの一重咲きのムクゲです。
リトルトミー
くすんだピンクが印象的な一重咲きのムクゲです。花の中心が濃いピンクをしています。
耳原花笠(みみはらはながさ)
白地に中心が赤味を帯びた半八重咲きのムクゲです。
コーレスティス
薄紫に中心は濃いピンク、フリルのような花びらが印象的な一重咲きのムクゲです。
ルーシー
くすんだピンクが印象的な八重咲きのムクゲです。バラの花を思わせるような優雅な花です。
ムクゲとフヨウ(芙蓉)の違いや見分け方
ムクゲとフヨウ(芙蓉)は、同じアオイ科で、同じ時期に花が咲くのが混乱の原因となっているようです。そんなムクゲとフヨウ(芙蓉)ですが、コツを掴めば見分けるのは本当に簡単。瞬時にわかる、ムクゲとフヨウ(芙蓉)の違いと見分け方をご紹介します。
フヨウ(芙蓉)の特徴
- 花の大きさ:10㎝前後。
- 葉の形:五角形状のツタの葉のような形状で、大きさは10~20㎝。
- 全体のサイズ:2m程。あまり枝分かれはなく、まっすぐに上に伸びる。
ムクゲの特徴
- 花の大きさ:5~7㎝。
- 葉の形:葉は、ギザギザとした切れ込みが入り、基部が繋がっていて3裂している。大きさは5~10㎝。
- 全体のサイズ:3m程の落葉低木。よく枝分かれし、ボリュームのある樹形になる。
ムクゲとフヨウ(芙蓉)の違いと見分け方のコツ
葉の違い
ムクゲの葉は、縁にギザギザとした鋸歯があり、3裂しています。フヨウ(芙蓉)の葉は、1枚が大きく、五角形状でツタような形をしています。
樹形の違い
ムクゲの樹形は、よく枝分かれして、横にも大きく枝を広げます。フヨウ(芙蓉)は、まっすぐに上に伸び、あまり横への枝の広がりはありません。
ムクゲとフヨウ(芙蓉)の見分け方のコツ
ムクゲとフヨウ(芙蓉)の見分け方のコツは、枝数が多く、横に広げている樹形で、葉に鋸歯があり、3裂していたら、ムクゲだと見分けます。まずは樹形で判断して、近くに寄ってから葉を観察するようにすれば、間違えることはありません。
その他の違いとしては、花の咲き始めがムクゲは梅雨の頃からですが、フヨウの花は早くても7月下旬ころ、盛りは8月以降の真夏です。
ムクゲの育て方
ムクゲは夏に艶やかな花を咲かせてくれる、お庭に一株は欲しい花木です。さらに開花期間が秋までと長く、毎日花を咲かせてくれます。そんな魅力的なムクゲの育て方を紹介します。
ムクゲの植え付け、用土
ムクゲは土質をあまり選びません。水はけと日当たりの良い場所に植え付けましょう。鉢植えのムクゲは、市販の園芸用培養土で問題なく育ちます。
ムクゲの水やり
庭植えのムクゲは、根付いてからは特に水やりの必要はありません。降雨にまかせましょう。ただし、極端に乾燥が続いた時はたっぷりと水やりします。
鉢植えのムクゲは、夏期は鉢底から流れ出てくるまでたっぷりと水やりします。冬の休眠期は表土が乾燥して白っぽくなってからで十分です。
ムクゲの肥料
ムクゲは肥料不足になると花数が減ってきます。開花期間中は緩効性肥料を適宜与えます。休眠期の2~3月に翌春からの栄養になるように緩効性肥料を与えます。
ムクゲの病害虫と対処方法
ハマキムシ、アブラムシ、ミノムシなどが発生します。必要に応じて薬剤を散布するか、捕殺します。
ムクゲの剪定のコツ
ムクゲは自然樹形で整う庭木です。それほど剪定の必要はありません。
ムクゲの剪定時期
ムクゲは春に伸びた新しい枝の先に花を咲かせるので、樹形を整えるような大きな剪定は冬の落葉している間に行いましょう。
ムクゲの剪定のコツ
細かい枝や勢いのない枝を整理しましょう。充実した枝を残していくことで、翌夏にたくさんの花を楽しめるようになります。また、風通しよく仕立てることは病害虫の予防になります。
花が少なくなりがちな夏の庭に彩りを与えてくれるムクゲの花。自然樹形で整い、大きくなりすぎることもない、育てやすい庭木です。ちょっと和のイメージが強いかもしれませんが、八重咲きや、華やかな色の品種はバラかと見紛うほどの艶やかさは、夏のお庭におすすめです。
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