ムクゲとは?花の季節や特徴、育て方、芙蓉との見分け方まで!
山田智美
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ムクゲという花をご存知ですか?梅雨のころから咲き始め、夏の間中、大輪で華やかな花を咲かせる日本の夏の花です。
ムクゲの花の咲く季節や見頃、花の色や咲き方、種類、育て方まで。さらによく似た花、芙蓉(フヨウ)との違いと、絶対に見分けられるコツも紹介します。
目次
- ムクゲとは?ムクゲ基本情報
- ムクゲの花の咲く季節や見頃
- ムクゲの花の色や花の特徴
- こんなにある!ムクゲの種類を紹介
- 簡単にわかる!ムクゲと芙蓉(フヨウ)の違いや見分け方
- ムクゲの育て方
- ムクゲの剪定のコツ
- ムクゲを上手に育てて、もっと魅力を感じてください
ムクゲとは?ムクゲ基本情報
- 植物名:ムクゲ(木槿)
- 学名:Hibiscus syriacus
- 科名:アオイ科
- 属名:フヨウ(ハイビスカス)属
- 分類:落葉低木
ムクゲの特徴
ムクゲは色鮮やかで夏に大きな花を咲かせる落葉低木です。木は3mほどまで生長します。ハイビスカスを始めフヨウ属は耐寒性が弱いものが多い中、ムクゲは耐寒性が強く、冬は落葉して越冬します。
ムクゲは韓国の国花として有名です。原産地は中国ともいわれていますが、実ははっきりわからないようです。さらに学名のsyriacusはシリアを意味していますが、シリアでは野生のものは発見されていないというからおもしろいものです。
ムクゲはハイビスカスを小ぶりにしたような花を咲かせます。花色が鮮やかな上に豊富なので、花が少なくなりがちな夏のお庭に彩りを与えてくれます。
ムクゲの花の咲く季節や見頃
ムクゲの花の咲く季節は7~10月前半です。梅雨の最中から咲き始め、夏の暑い盛りに色鮮やかな花を次々に咲かせます。
秋になり気温が下がり始めると花数が減ってきますが、ムクゲは非常に開花期間の長い花木です。
ムクゲの花の見頃
ムクゲは梅雨の頃から咲き始め、夏の盛りにピークを迎えます。秋になると徐々に花数を減らしていくので、ムクゲの見頃は7~9月です。開花期間中は毎日花を咲かせるので、見逃すことはありません。
ムクゲの花の色や花の特徴
ムクゲは一度見入ってしまうと、ずっと見ていたくなるような、不思議な花をしています。ムクゲの花の特徴と花色を紹介します。
ムクゲの花の特徴
ムクゲはハイビスカスのように大きく開いた花が印象的な庭木です。ムクゲの花の中心からは雌雄のしべが突き出しています。これは、雄しべの付け根が固まって筒状になり、その先端から雌しべが突き出しているものです。
さらに突き出した雌しべの先は5つに分かれて上を向いています。ムクゲの他にもハイビスカスやフヨウなど、アオイ科の花に見られる特徴です。
ムクゲの花は咲き方も多様で、一重咲きの他に八重咲きや半八重咲き、さらには乱れ咲きまであります。ムクゲは色も咲き方もバリエーションが豊富な花です。
豊富なムクゲの花色
夏は原色の花が多くなる季節です。そんな夏の盛りに、ムクゲは優しい色の花を咲かせてくれます。ムクゲの花色をご紹介します。
- 白一色
- 白地に花の中心が赤に近い濃いピンク
- 明るいピンク
- くすんだピンク
- ピンク地に花の中心が濃いピンク
- 薄紫
- 薄紫に花の中心が濃いピンク
この色のバリエーションに一重や八重、半八重、乱れ咲きなどの咲き方のバリエーションが加わります。
こんなにある!ムクゲの種類を紹介
ムクゲは日本や韓国、中国といった東アジアを中心に世界中で愛されている庭木です。日本にも古くに中国から渡ってきて盛んに園芸品種が作出されてきました。ムクゲの種類はとてもたくさんあります。ここではその一部をご紹介します。
宗旦(そうたん)
白地に中心が赤に近い濃いピンクの一重咲きのムクゲです。
大徳寺祇園守(だいとくじぎおんまもり)
青味かがった薄紫の半八重咲きのムクゲです。花の中心が濃いピンクをしています。
雉鳩(きじばと)
ブルーがかった淡いピンクに中心は濃いピンクの一重咲きのムクゲです。
リトルトミー
くすんだピンクが印象的な一重咲きのムクゲです。花の中心が濃いピンクをしています。
耳原花笠(みみはらはながさ)
白地に中心が赤味を帯びた半八重咲きのムクゲです。
コーレスティス
薄紫に中心は濃いピンク、フリルのような花びらが印象的な一重咲きのムクゲです。
ルーシー
くすんだピンクが印象的な八重咲きのムクゲです。バラの花を思わせるような優雅な花です。
簡単にわかる!ムクゲと芙蓉(フヨウ)の違いや見分け方
見分け方が難しいと言われる、ムクゲと芙蓉(フヨウ)。同じアオイ科で、同じ時期に花が咲くのが混乱の原因となっているようです。そんなムクゲと芙蓉(フヨウ)ですが、コツを掴めば見分けるのは本当に簡単。瞬時にわかる、ムクゲと芙蓉(フヨウ)の違いと見分け方をご紹介します。
芙蓉(フヨウ)の特徴
- 花の大きさ:10㎝前後。
- 葉の形:五角形状のツタの葉のような形状で、大きさは10~20㎝。
- 全体のサイズ:2m程。あまり枝分かれはなく、まっすぐに上に伸びる。
ムクゲの特徴
- 花の大きさ:5~7㎝。
- 葉の形:葉はたまご型、あるいはひし形でギザギザとした切れ込みが入り、基部が繋がっていて3裂(3枚)している。大きさは5~10㎝。
- 全体のサイズ:3m程の落葉低木。よく枝分かれし、ボリュームのある樹形になる。
ムクゲと芙蓉(フヨウ)の違いと見分け方のコツ
芙蓉(フヨウ)の葉は1枚が大きく、五角形状でツタような形をしています。対してムクゲはギザギザしたたまご型の葉が3裂しています。
樹形も芙蓉(フヨウ)はまっすぐに上に伸びていて、あまり横への枝の広がりはありません。ムクゲはよく枝分かれして大きく横にも広がります。
ムクゲと芙蓉(フヨウ)の見分け方のコツは、まずは樹形で判断して、近くに寄ってから葉を観察するようにすれば、間違えることはありません。
その他の違いとしては、花の咲き始めがムクゲは梅雨のころから開花しますが、フヨウの花は早くても7月下旬ころ、盛りは8月以降の真夏の花です。
ムクゲの育て方
ムクゲは夏に艶やかな花を咲かせてくれる、お庭に一株は欲しい花木です。さらに開花期間が秋までと長く、毎日花を咲かせてくれます。そんな魅力的なムクゲの育て方を紹介します。
ムクゲの植え付け、用土
ムクゲは土質をあまり選びません。水はけと日当たりの良い場所に植え付けましょう。鉢植えのムクゲは、市販の園芸用培養土で問題なく育ちます。
ムクゲの水やり
庭植えのムクゲは、根付いてからは特に水やりの必要はありません。降雨にまかせましょう。ただし、極端に乾燥が続いた時はたっぷりと水やりします。
鉢植えのムクゲは、夏期は鉢底から流れ出てくるまでたっぷりと水やりします。冬の休眠期は表土が乾燥して白っぽくなってからで十分です。
ムクゲの肥料
ムクゲは肥料不足になると花数が減ってきます。開花期間中は緩効性肥料を適宜与えます。休眠期の2~3月に翌春からの栄養になるように緩効性肥料を与えます。
ムクゲの病害虫と対処方法
ハマキムシ、アブラムシ、ミノムシなどが発生します。必要に応じて薬剤を散布するか、捕殺します。
ムクゲの剪定のコツ
ムクゲは自然樹形で整う庭木です。それほど剪定の必要はありません。
ムクゲの剪定時期
ムクゲは春に伸びた新しい枝の先に花を咲かせるので、樹形を整えるような大きな剪定は冬の落葉している間に行いましょう。
ムクゲの剪定のコツ
細かい枝や勢いのない枝を整理しましょう。充実した枝を残していくことで、翌夏にたくさんの花を楽しめるようになります。また、風通しよく仕立てることは病害虫の予防になります。
ムクゲを上手に育てて、もっと魅力を感じてください
花が少なくなりがちな夏の庭に彩りを与えてくれるムクゲの花。ムクゲは自然樹形で整い、大きくなりすぎることもない、育てやすい庭木です。
ちょっと和のイメージが強いムクゲですが、八重咲きや華やかな色の品種はバラかと見紛うほどの艶やかさです。
この機会にムクゲの魅力をもっと見直していただけますように。
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