うつむいて咲く壺型の桜♪カンヒザクラ(寒緋桜)

戸松敦子
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カンヒザクラ(寒緋桜)
トゥデイズプランツ、今回ご紹介するのは「カンヒザクラ(寒緋桜)」。1月~3月頃、濃い紅色の花が下向きに咲くバラ科の落葉小高木です。
カンヒザクラは、中国、台湾、東南アジアなどに広く分布している桜。沖縄で桜と言えばこのカンヒザクラのことを指すそうです。緋色(火のような、濃く明るい紅色)の花を、他のサクラに先駆けて寒い時期から咲かせることからその名が付きました。「寒緋桜」は俳句では冬の季語として使われます。
比較的耐寒性があり、関東でも育ちます。花は葉が出る前につき、花径2cmほどで下向きの壺型をしています。恥ずかしそうにうつむきかげんに咲くその姿は、関東でイメージする桜とは少し違います。樹高は5~7mくらいです。
沖縄ではヒカンザクラ(緋寒桜)とも呼ばれるのですが、本土のヒガンザクラ(彼岸桜)と間違いやすいため、カンヒザクラ(寒緋桜)と呼ばれることが多くなり、その名が定着したと言われています。「緋寒」か「寒緋」の違いですが、なんだか少しややこしいですね。
花後、花びらは一枚ずつ散るのではなく、ガクが付いたまま丸ごと落ちるのが特徴です。花の後には丸い実(サクランボ)ができ、5月~6月頃になると熟します。
花言葉は、「あでやかな美人」。華やかで美しい花姿からイメージして付けられたと言われています。うつむいて控え目な雰囲気で咲きますが、満開時に下から見上げるとこんなに豪華に咲き誇っているので「あでやかな美人」という花言葉がぴったりだと思います。遠くから見ても濃い紅色がとてもよく目立ちます。
皆さんの近くにカンヒザクラは咲いていますか?私は今年、公園や公共の植栽でカンヒザクラを見ることができました。関東以西にお住いの皆様、ぜひお散歩の途中で探してみてくださいね。
▼編集部のおすすめ
- 河津桜はサクラ属の落葉高木です。静岡県の河津町で発見されたのが名前の由来です。河津桜は早咲き種で、関東では2月頃から咲き始めます。桜の代表として一般的に有名なソメイヨシノよりも1~2ヶ月早く開花します。さらに、河津桜はソメイヨシノよりも花色が濃いピンクをしていること、ソメイヨシノに比べて花期が長いことも特徴として挙げられます。 河津桜は園芸品種ではなく自然交雑種だと言われています。つまり人によって改良され作り出された品種ではなく、自然の産物です。オオシマザクラとカンヒザクラの交雑種ではないかと推定されています。 河津桜は、関東ではまだ寒い早春の2月頃から開花し、春の訪れをいち早く報せてくれる桜です。色も濃く明るいピンクであることも併せて人気が高く、最近では個人の庭や公園、街路樹などにも多く利用されるようになってきました。