【桜の種類と見分け方】22種を開花時期順に紹介。珍しい種類や里桜まで

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山田智美

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公開日 :

日本には何種類の桜があるのでしょう。自生している野生の桜から、自然交配種や栽培種など身近なところで見かける桜、ちょっと珍しい桜、たくさんある里桜の種類まで、開花時期順に紹介します。さらにそれぞれの見分け方や特徴もお話します。

目次

桜とは?基本情報

桜とは?基本情報

  • 学名:Cerasus
  • 科名・属名:バラ科サクラ亜科サクラ属
  • 分類:落葉高木または低木

桜の特徴

桜は日本を含むユーラシアの温帯に広く分布する、美しい花を咲かせる落葉樹です。また、日本の春を代表するような花木でもあります。

日本では古来より桜の花を愛でる習慣がありました。桜はその美しさと儚さから花見で人を高揚させる花であり、反面タナトス(死への誘惑)の象徴のようにも扱われてきた不思議な存在の花です。

少し前までの見解では、桜はスモモ属に含まれると考えられていましたが、現在では美しい花を観賞するいわゆる「桜」は、サクラ亜科サクラ属に分類されています。

桜の花言葉

桜の花言葉

桜の花言葉を紹介します。

桜の花言葉

  • 精神の美
  • 優雅な女性

八重桜の花言葉

  • おしとやか
  • 豊かな教養

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日本の桜は何種類ある?基本の種類

日本の桜は何種類ある?

日本の野生の桜は9種類、交雑種も含め自生している桜は100種類以上、さらに園芸種を合わせると200種以上とも300種以上とも言われています。

桜は違う品種同士で交雑しやすいという特徴があります。 人為的に作られた園芸種だけではなく、自然の中で異なる品種同士が交雑し、新しい品種が生まれることがあります。

深山にはまだまだ私たちの知らない桜が咲いているかもしれません。

日本に自生する桜の種類9種

山桜(ヤマザクラ)

山桜(ヤマザクラ)

  • 学名:Cerasus jamasakura

日本の南のほうに自生する桜。花と葉が同時に出てくるのが特徴です。ソメイヨシノが現れる前は、花見といえば山桜だったようです。

霞桜(カスミザクラ)

  • 学名:Cerasus leveilleana

北海道から四国にかけて自生する桜です。山桜によく似ています。

大山桜(オオヤマザクラ)

オオヤマザクラ

  • 学名:Cerasus sargentii

日本の北部に自生する桜です。山桜に比べて花が大きく、ピンク色が濃いのが特徴です。

大島桜(オオシマザクラ)

大島桜(オオシマザクラ)

  • 学名:Cerasus speciosa

伊豆諸島に自生する桜。多くの園芸品種の親になったと言われています。桜餅を包んでいるのは大島桜の葉です。

江戸彼岸 (エドヒガン)

  • 学名:Cerasus taiwaniana

農村部など民家の近くに自生していることが多い桜です。桜の中で最も寿命が長いと言われています。

丁字桜(チョウジザクラ)

チョウジザクラ

  • 学名:Cerasus apetara

日本の固有種で本州のあちこちに自生しています。小ぶりな花を下向きに咲かせます。

豆桜(マメザクラ)

マメザクラ

  • 学名:Cerasus incisa

本州中部の太平洋側に自生しています。直径2cmほどの小さな花を咲かせます。

高嶺桜(タカネザクラ)

  • 学名:Cerasus nipponica

日本北部に自生している桜です。樹高1.5m程の小さな木です。

深山桜(ミヤマザクラ)

  • 学名:Cerasus maximowiczii

北海道から九州まで広く自生しています。他の桜に比べて少し遅く、5月後半から咲き始めます。

里桜(サトザクラ)とは?

サトザクラとは園芸品種の総称です。山野に自生している固有種や交雑種と、人為的に作成された園芸品種を区別してサトザクラと言います。

さらに厳密には大島桜を片親にして作られた園芸品種がサトザクラと呼ばれます。

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桜の種類と見分け方|10月~2月の早咲き5種

十月桜(ジュウガツザクラ)

十月桜

  • 学名:Cerasus × subhirtella ‘Autumnalis’
  • 開花時期:10月~11月、3月~4月

十月桜(ジュウガツザクラ)は小彼岸桜(コヒガンザクラ)から作られた園芸品種です。春と秋、1年で2回咲くのが最大の特徴です。

見分け方や特徴

まだ晩秋から断続的に小ぶりな花を咲かせるので見分けが付きます。花びらがよじれたようになっているのも特徴です。

冬桜(フユザクラ)

冬桜(フユザクラ)

  • 学名:Cerasus ×parvifolia ‘parvifolia’
  • 開花時期:10月~12月、1月~3月

冬桜(フユザクラ)は豆桜(マメザクラ)を片親とする交雑種です。10月ぐらいから咲き始め3月ぐらいまで断続的に開花します。花は一重の小さな花です。

見分け方や特徴

名前の通り、晩秋から早春まで、厳寒期を除いて冬の間も咲いているのが特徴です。花は梅の花程度の小さな花です。

子福桜(コブクザクラ)

子福桜(コブクザクラ)

  • 学名:Cerasus’Kobuku-zakura’
  • 開花期:10月~2月、3月下旬か4月上旬

名前の由来は一つの花に複数の果実を実らせるから。

秋から冬にも開花する早咲き種です。八重咲きで花色は白、花径は1.5㎝程度と小さいのが特徴です。

見分け方や特徴

白花で八重咲き、花径が小さいという特徴で見分けます。

寒緋桜(カンヒザクラ)

寒緋桜(カンヒザクラ)

  • 学名:Cerasus campanulata
  • 開花時期:2月~3月

寒緋桜(カンヒザクラ)は、桜では珍しい赤に近い濃いピンクと釣鐘形の花が特徴です。沖縄や鹿児島では自生している姿も見かけます。

見分け方や特徴

濃いピンクの釣鐘形の花は桜のなかでも珍しいので見分けが付きます。

河津桜(カワヅザクラ)

河津桜(カワヅザクラ)

  • 学名:Cerasus lannesiana ‘Kawazu-zakura’
  • 開花時期:2月~3月

河津桜(カワヅザクラ)は明るいピンクの花を咲かせる早咲きの桜です。静岡県の河津町で発見された自然交雑種です。花径は直径3~4cmほど。明るいピンク色でふっくらとした花びらが特徴です。

見分け方や特徴

花のフォルムは染井吉野(ソメイヨシノ)に似ていますが、明るいピンク色で2月から咲き始めるのが特徴です。

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桜の種類と見分け方|3月に咲く7種

大寒桜(オオカンザクラ)

大寒桜(オオカンザクラ)

  • 学名:Cerasus × kanzakura ‘Oh-kanzakura’
  • 開花時期:3月

大寒桜(オオカンザクラ)は寒緋桜の自然交雑種だと考えられています。ふんわりとしたピンク色の花を少しうつむかせるように咲かせます。花が半開と言って開き切らない姿も特徴です。

見分け方や特徴

半開と言って、花が開き切らないような咲き方が特徴です。染井吉野(ソメイヨシノ)よりも早く、半開の花を咲かせていたら大寒桜(オオカンザクラ)かもしれません。

陽光桜(ヨウコウザクラ)

陽光桜(ヨウコウザクラ)

  • 学名:Cerasus ‘Youkou’
  • 開花時期:3月

陽光桜(ヨウコウザクラ)は明るいピンク色の花を咲かせる桜です。河津桜(カワヅザクラ)とよく似ていますが、陽光桜(ヨウコウザクラ)の方が少し遅れて咲きます。さらに花径4~5cmと大きいのが特徴です。

見分け方や特徴

咲く時期や花色は河津桜(カワヅザクラ)と似ています。花径の大きさで大体の見分けが付きます。

小彼岸桜(コヒガンザクラ)

小彼岸桜(コヒガンザクラ)

  • 学名:Cerasus subhirtella
  • 開花時期:3月

小彼岸桜(コヒガンザクラ)は、豆桜と江戸彼岸の交雑種だと考えられています。お彼岸の頃に花を咲かせること、花が小ぶりであることが名前の由来です。花径2cm程度の花を密に咲かせます。

    見分け方や特徴

    小ぶりな花を枝に密に咲かせるのが特徴です。

    寒咲大島(カンザキオオシマ)

    寒咲大島(カンザキオオシマ)

    • 学名:Cerasus speciosa
    • 開花期:3月下旬

    大島桜(オオシマザクラ)の栽培品種です。大島桜(オオシマザクラ)のなかでも極端に早咲きのものを寒咲大島(カンザキオオシマ)と呼びます。

    見分け方や特徴

    個体差が見られる大島桜(オオシマザクラ)のなかでも3月下旬から咲き始めるのが特徴です。

    枝垂れ桜(シダレザクラ)

    枝垂れ桜(シダレザクラ)

    • 学名:Cerasus spachiana‘Itozakura’
    • 開花時期:3月~4月
    • 植物名:糸桜(イトザクラ)

    枝垂れ桜(シダレザクラ)とは、糸桜(イトザクラ)の別名です。多くの桜の品種に枝垂れ型はありますが、一般的に枝垂れ桜(シダレザクラ)というのは、この糸桜(イトザクラ)のことを指します。江戸彼岸(エドヒガン)の変種であると考えられています。

    大きく枝垂れた枝に花径2~3cm程度のピンク色の花をたわわに咲かせます。

    見分け方や特徴

    小ぶりな花を枝垂れた枝いっぱいに咲かせていたら枝垂れ桜(シダレザクラ)です。八重咲きの八重枝垂れ(ヤエシダレ)という品種もあります。花びらの多さで見分けがつきます。

    神代曙(ジンダイアケボノ)

    神代曙(ジンダイアケボノ)

    • 学名:Cerasus spachiana’Jindai-akebono’
    • 開花期:3月下旬~4月上旬

    神代植物公園で発見されたのが名前の由来。

    染井吉野(ソメイヨシノ)によく似ています。開花直後の花びらは染井吉野(ソメイヨシノ)よりも赤みが濃く出ます。

    見分け方や特徴

    咲き始めの花の色で見分けます。染井吉野(ソメイヨシノ)よりも赤みが濃いのが特徴です。

    横浜緋桜(ヨコハマヒザクラ)

    横浜緋桜(ヨコハマヒザクラ)

    • 学名:Cerasus×kanzakura’Yokohama-hizakura’
    • 開花期:3月下旬~4月上旬

    横浜で作出されたのが名前の由来。寒緋桜(カンヒザクラ)と別種との交配種です。

    印象的な濃い緋色の花びらは寒緋桜(カンヒザクラ)の影響によります。

    見分け方や特徴

    緋色が濃く、俯くように咲くのが特徴。寒緋桜(カンヒザクラ)よりも花が開いているので、咲き方で見分けられます。

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    桜の種類と見分け方|4月に咲く4種

    染井吉野(ソメイヨシノ)

    染井吉野(ソメイヨシノ)

    • 学名:Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’
    • 開花時期:3月~4月

    日本の桜といえば染井吉野(ソメイヨシノ)というぐらい馴染み深い品種です。公園や街路樹などあらゆるところで咲いています。淡いピンクの花と大きく横に枝を広げる樹形が特徴です。

    見分け方や特徴

    染井吉野(ソメイヨシノ)は日本を代表する桜。公園や神社、街路樹、あらゆるところに咲いています。大島桜(オオシマザクラ)との見分け方は、花びらが薄っすらピンク色を帯びていること、葉は花の後に出てくることです。

    大島桜(オオシマザクラ)

    大島桜(オオシマザクラ)

    • 学名:Cerasus speciosa
    • 開花時期:4月

    大島桜(オオシマザクラ)は伊豆諸島で見つかった桜で、霞桜(カスミザクラ)から変異したものだと考えられています。 花径は3~4cm、花色は白、花には桜独特の芳香があります。花と同時に出てくる葉にも芳香があり、桜餅を包むのに使用されていることでも有名です。

    見分け方や特徴

    染井吉野(ソメイヨシノ)と同じ頃に咲きますが、花色が白く、香りが良いので区別がつきます。

    小松乙女(コマツオトメ)

    小松乙女(コマツオトメ)

    • 学名:Cerasus spachiana’Komatsu-otome’
    • 開花期:4月上旬

    植えの恩寵公園で原木が発見された桜。小松宮彰仁親王の像の近くで発見されたことが名前の由来となっています。

    花びらは円形に近く、染井吉野(ソメイヨシノ)よりも赤みが強いのが特徴です。

    見分け方や特徴

    花びらがほぼ円形で、染井吉野(ソメイヨシノ)よりも赤みが強いところで見分けます。

    笹部桜(ササベザクラ)

    笹部桜(ササベザクラ)

    • 学名:Cerasus Sato-zakura Group’Sasabe-zakura’
    • 開花期:4月上旬~中旬

    原木が神戸の岡本南公園(旧笹部新太郎邸)にある桜。

    霞桜(カスミザクラ)に里桜(サトザクラ)が影響した栽培品種だろうと見られています。

    見分け方や特徴

    ふっくらとした花のフォルムと丸みを帯びた花びらで見分けられます。

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    桜の種類と見分け方|珍しい2種

    ちょっと珍しい桜の種類と特徴や見分け方を紹介します。

    西洋実桜(セイヨウミザクラ)

    西洋実桜(セイヨウミザクラ)

    • 学名:Cerasus avium
    • 開花時期:4月~5月

    西洋実桜(セイヨウミザクラ)はさくらんぼの実る木です。

    花は白く、葉と同時に出てきます。花径4cm程度、樹高は大きなもので20mほどにまで生長します。大島桜(オオシマザクラ)によく似ています。

    見分け方や特徴

    街路樹や公園ではあまり見かけない種類なので、間違うことはあまりないでしょう。

    八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)

    八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)

    • 学名:Cerasus spachiana ‘Plena Rosea’
    • 開花時期:4月

    八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)は八重咲きの枝垂れ桜の代表種のような花。江戸彼岸 (エドヒガン)の園芸種です。花径は3cm程度と小ぶり、濃いピンク色の花を枝に沿って溢れるように咲かせるのが印象的な桜です。

    見分け方や特徴

    枝垂れる枝にピンク色で八重咲きの花が咲いていたら八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)です。すぐに見分けが付きます。

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    桜の種類と見分け方|里桜(サトザクラ)4種

    鬱金(ウコン)

    鬱金(ウコン)

    • 学名:Cerasus Sato-zakura Group ‘Grandiflora’
    • 開花時期:4月

    鬱金(ウコン)は人為的に作られた園芸種。サトザクラの仲間になります。薄い黄緑色の花色と、たっぷりと花びらを重ねた咲き方が特徴です。桜の中では珍しい花色であることから庭園や個人のお庭などに好まれます。

    見分け方や特徴

    染井吉野(ソメイヨシノ)が散り始めた頃に薄い黄緑色の花を咲かせます。桜では珍しい色をしているのが特徴です。

    松月(ショウゲツ)

    桜・松月

    • 学名:Cerasus Sato-zakura Group ‘Superba’
    • 開花時期:4月

    松月(ショウゲツ)はサトザクラの仲間の園芸種です。花弁の外側がピンク色、内側に行くにつれて白くなるグラデーションの美しい桜です。

    見分け方や特徴

    柄が長く、花を下垂させるように咲く姿が特徴です。

    一葉(イチヨウ)

    桜・一葉

    • 学名:Cerasus Sato-zakura Group ‘Hisakura’
    • 開花時期:4月

    一葉(イチヨウ)はサトザクラの仲間の園芸種。ふっくらとした大輪の八重咲きで花の外側は明るいピンク色、内側が白色の美しい桜です。

    見分け方や特徴

    松月(ショウゲツ)よりも花色が濃いのが特徴です。

    白妙(シロタエ)

    桜・白妙

    • 学名:Cerasus Sato-zakura Group ‘Sirotae’
    • 開花時期:4月

    白妙(シロタエ)は真っ白な八重咲きの花が美しい桜です。サトザクラの仲間の園芸種です。控えめな八重咲きが何とも言えないかわいらしさです

    見分け方や特徴

    真白なぽんぽんとした咲八重きが特徴です。

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    身近な場所で見られる桜の種類を22種紹介しました。気になる桜は見つかりましたか。3月から4月の下旬までが桜の見頃です。ここに載せきれなかった品種もたくさんあります。気温が上がってお散歩が楽しくなる季節。花見を楽しんでください。

     

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    植物が好きで好きで、植栽設計、ガーデナー、生花店勤務を経て現在は、フリーランスの花屋「花や蜜」として活動中。「てのひらに森を」がテーマの花屋です。森の中にいるような、見ているだけで力が抜けていくようなお花を作り続けたいと思ってます。街中で突然お花を配る、「花ゲリラ棘」というゲリラ的花配り活動も不定期決行しています。

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