桜の種類と見分け方を開花時期順に紹介!花言葉や珍しい種類も

山田智美
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日本には何種類の桜があるのでしょう。日本に自生している桜から、身近なところで見かける桜やちょっと珍しい桜の種類を、花の咲く順に紹介します。身近な桜の名前がわかると、もっと桜を好きになるかもしれません。
目次
- 桜とは?基本情報
- 日本の桜は何種類ある?
- 桜の花言葉
- 桜の種類|早咲き2種の特徴と見分け方
- 桜の種類|春に咲く6種の特徴と見分け方
- 桜の種類|秋冬に咲く2種の特徴と見分け方
- 桜の種類|ちょっと珍しい6種の特徴と見分け方
桜とは?基本情報
- 学名:Cerasus
- 科名・属名:バラ科サクラ亜科サクラ属
- 分類:落葉高木または低木
桜の特徴
桜は日本を含むユーラシアの温帯に広く分布する、美しい花を咲かせる落葉樹です。また、日本の春を代表するような花木でもあります。
日本では古来より桜の花を愛でる習慣がありました。桜はその美しさと儚さから花見で人を高揚させる花であり、反面タナトス(死への誘惑)の象徴のようにも扱われてきた不思議な存在の花です。
少し前までの見解では、桜はスモモ属に含まれると考えられていました。現在では美しい花を観賞するいわゆる「桜」は、 サクラ亜科サクラ属に分類されています。
- 桜(サクラ)はバラ科サクラ属の総称です。 日本の春の花代表である桜(サクラ)は種類が多く、日本に自生している種類だけでも15種類位あります。園芸用に品種改良された桜(サクラ)は300品種以上もあります。民家の庭から公共施設の公園や街路にも植えられている樹木です。早咲きの桜(サクラ)は2月くらいから、それに続くように3月から4月にかけて多くの種類が次々と咲き続けます。さらに秋に咲く品種もあります。 桜(サクラ)は非常にバリエーションが豊富で、花色は白から薄桃色、濃い桃色、薄黄色やグリーンなどがあります。咲き方も一重のものから八重咲まで多様です。サクランボが実る西洋実桜(セイヨウミザクラ)も桜(サクラ)の一種です。 春のお花見シーズンに華やかに咲く桜(サクラ)は染井吉野(ソメイヨシノ)という品種です。この染井吉野(ソメイヨシノ)は若木でも花を咲かせる特徴があり、戦後日本中に植えられました。今では日本の桜(サクラ)の代名詞のようになっています。
日本の桜は何種類ある?
日本の野生の桜は9種類、交雑種も含め自生している桜は100種類以上、さらに園芸種を合わせると200種以上とも300種以上とも言われます。
桜は違う品種同士で交雑しやすいという特徴があります。 人為的に作られた園芸種だけではなく、自然の中で異なる品種同士が交雑し、新しい品種が生まれることがあります。
深山にはまだまだ私たちの知らない桜が咲いているかもしれません。
日本に自生する桜の種類9種
山桜(ヤマザクラ)
- 学名:Cerasus jamasakura
日本の南のほうに自生する桜。花と葉が同時に出てくるのが特徴です。ソメイヨシノが現れる前は、花見といえば山桜だったようです。
霞桜(カスミザクラ)
- 学名:Cerasus leveilleana
北海道から四国にかけて自生する桜です。山桜によく似ています。
大山桜(オオヤマザクラ)
- 学名:Cerasus sargentii
日本の北部に自生する桜です。山桜に比べて花が大きく、ピンク色が濃いのが特徴です。
大島桜(オオシマザクラ)
- 学名:Cerasus speciosa
伊豆諸島に自生する桜。多くの園芸品種の親になったと言われています。桜餅を包んでいるのは大島桜の葉です。
江戸彼岸 (エドヒガン)
- 学名:Cerasus taiwaniana
農村部など民家の近くに自生していることが多い桜です。桜の中で最も寿命が長いと言われています。
丁字桜(チョウジザクラ)
- 学名:Cerasus apetara
日本の固有種で本州のあちこちに自生しています。小ぶりな花を下向きに咲かせます。
豆桜(マメザクラ)
- 学名:Cerasus incisa
本州中部の太平洋側に自生しています。直径2cmほどの小さな花を咲かせます。
高嶺桜(タカネザクラ)
- 学名:Cerasus nipponica
日本北部に自生している桜です。樹高1.5m程の小さな木です。
深山桜(ミヤマザクラ)
- 学名:Cerasus maximowiczii
北海道から九州まで広く自生しています。他の桜に比べて少し遅く、5月後半から咲き始めます。
サトザクラとは?
サトザクラとは園芸品種の総称です。山野に自生している固有種や交雑種と、人為的に作成された園芸品種を区別してサトザクラと言います。
さらに厳密には大島桜を片親にして作られた園芸品種がサトザクラと呼ばれます。
桜の花言葉
桜の花言葉を紹介します。
桜の花言葉
- 精神の美
- 優雅な女性
八重桜の花言葉
- おしとやか
- 豊かな教養
桜の種類|早咲き2種の特徴と見分け方
身近な場所で見かける早咲きの桜の種類と特徴や見分け方を紹介します。
河津桜(カワヅザクラ)
- 学名:Cerasus lannesiana ‘Kawazu-zakura’
- 開花時期:2月~3月
河津桜(カワヅザクラ)は明るいピンクの花を咲かせる早咲きの桜です。静岡県の河津町で発見された自然交雑種です。花径は直径3~4cmほど。明るいピンク色でふっくらとした花びらが特徴です。
- 河津桜はサクラ属の落葉高木です。静岡県の河津町で発見されたのが名前の由来です。河津桜は早咲き種で、関東では2月頃から咲き始めます。桜の代表として一般的に有名なソメイヨシノよりも1~2ヶ月早く開花します。さらに、河津桜はソメイヨシノよりも花色が濃いピンクをしていること、ソメイヨシノに比べて花期が長いことも特徴として挙げられます。 河津桜は園芸品種ではなく自然交雑種だと言われています。つまり人によって改良され作り出された品種ではなく、自然の産物です。オオシマザクラとカンヒザクラの交雑種ではないかと推定されています。 河津桜は、関東ではまだ寒い早春の2月頃から開花し、春の訪れをいち早く報せてくれる桜です。色も濃く明るいピンクであることも併せて人気が高く、最近では個人の庭や公園、街路樹などにも多く利用されるようになってきました。
寒緋桜(カンヒザクラ)
- 学名:Cerasus campanulata
- 開花時期:2月~3月
寒緋桜(カンヒザクラ)は、桜では珍しい赤に近い濃いピンクと釣鐘形の花が特徴です。沖縄や鹿児島では自生している姿も見かけます。
桜の種類|春に咲く6種の特徴と見分け方
春に咲く桜の種類と特徴や見分け方を紹介します。
大寒桜(オオカンザクラ)
- 学名:Cerasus × kanzakura ‘Oh-kanzakura’
- 開花時期:3月
大寒桜(オオカンザクラ)は寒緋桜の自然交雑種だと考えられています。ふんわりとしたピンク色の花を少しうつむかせるように咲かせます。花が半開と言って開き切らない姿も特徴です。
小彼岸桜(コヒガンザクラ)
- 学名:Cerasus subhirtella
- 開花時期:3月
小彼岸桜(コヒガンザクラ)は、豆桜と江戸彼岸の交雑種だと考えられています。お彼岸の頃に花を咲かせること、花が小ぶりであることが名前の由来です。花径2cm程度の花を密に咲かせます。
陽光桜(ヨウコウザクラ)
- 学名:Cerasus ‘Youkou’
- 開花時期:3月
陽光桜(ヨウコウザクラ)は明るいピンク色の花を咲かせる桜です。河津桜(カワヅザクラ)とよく似ていますが、陽光桜(ヨウコウザクラ)の方が少し遅れて咲きます。さらに花径4~5cmと大きいので見分けがつきます。
染井吉野(ソメイヨシノ)
- 学名:Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’
- 開花時期:3月~4月
日本の桜といえば染井吉野(ソメイヨシノ)というぐらい馴染み深い品種です。公園や街路樹などあらゆるところで咲いています。淡いピンクの花と大きく横に枝を広げる樹形が特徴です。
枝垂れ桜(シダレザクラ)
- 学名:Cerasus spachiana f. spachiana
- 開花時期:3月~4月
- 植物名:糸桜(イトザクラ)
枝垂れ桜(シダレザクラ)とは、糸桜(イトザクラ)の別名です。多くの桜の品種に枝垂れ型はありますが、一般的に枝垂れ桜(シダレザクラ)というのは、この糸桜(イトザクラ)のことを指します。江戸彼岸(エドヒガン)の変種であると考えられています。
大きく枝垂れた枝に花径2~3cm程度のピンク色の花をたわわに咲かせます。
- 枝垂れ桜(シダレザクラ)は糸桜(イトザクラ)とも言い、エドヒガンの枝が細く枝垂れるように垂れ下がったものを指します。枝垂れ桜(シダレザクラ)の中でも花色が濃いものを紅枝垂れ(ベニシダレ)、花が八重咲きのものを八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)と呼びます。 枝垂れ桜(シダレザクラ)はソメイヨシノより少し早い、3月後半から咲き始めます。花は薄紅色から濃いピンク、一重咲きから八重咲きまであります。枝を大きく枝垂れさせるのが特徴で、花が咲いている優美な姿は思わず見とれてしまうほどです。 枝垂れ桜(シダレザクラ)は種からも発芽しますが、面白いことに親と同じ枝垂れる株は少ししか出てこないので、エドヒガンの幹に枝垂れ桜(シダレザクラ)を接ぎ木をして作られています。
大島桜(オオシマザクラ)
- 学名:Cerasus speciosa
- 開花時期:3月~4月
大島桜(オオシマザクラ)は伊豆諸島で見つかった桜で、霞桜(カスミザクラ)から変異したものだと考えられています。 花径は3~4cm、花色は白、花には桜独特の芳香があります。葉は桜餅を包むのに使用されていることでも有名です。
染井吉野(ソメイヨシノ)と同じ頃に咲きますが、花色が白く、香りが良いので区別がつきます。
桜の種類|秋冬に咲く2種の特徴と見分け方
秋冬の寒い時期に咲く桜の種類と特徴や見分け方を紹介します。
十月桜(ジュウガツザクラ)
- 学名:Cerasus × subhirtella ‘Autumnalis’
- 開花時期:3月~4月、10月~11月
十月桜(ジュウガツザクラ)は小彼岸桜(コヒガンザクラ)から作られた園芸品種です。春と秋、1年で2回咲くのが最大の特徴です。
冬桜(フユザクラ)
- 学名:Cerasus ×parvifolia ‘parvifolia’
- 開花時期:1月~3月、10月~12月
冬桜(フユザクラ)は豆桜(マメザクラ)を片親とする交雑種です。10月ぐらいから咲き始め3月ぐらいまで断続的に開花します。花は一重の小さな花です。
桜の種類|ちょっと珍しい6種の特徴と見分け方
ちょっと珍しい桜の種類と特徴や見分け方を紹介します。
西洋実桜(セイヨウミザクラ)
- 学名:Cerasus avium
- 開花時期:4月~5月
西洋実桜(セイヨウミザクラ)はさくらんぼの実る木です。
花は白く、葉と同時に出てきます。花径4cm程度、樹高は大きなもので20mほどにまで生長します。大島桜(オオシマザクラ)によく似ていますが、街路樹や公園ではあまり見かけない種類なので、間違うことはあまりないでしょう。
鬱金(ウコン)
- 学名:Cerasus serrulata ‘Grandiflora’
- 開花時期:4月
鬱金(ウコン)は人為的に作られた園芸種。サトザクラの仲間になります。薄い黄緑色の花色と、たっぷりと花びらを重ねた咲き方が特徴です。桜の中では珍しい花色であることから庭園や個人のお庭などに好まれます。
松月(ショウゲツ)
- 学名:Cerasus serrulata ‘Superba’
- 開花時期:4月
松月(ショウゲツ)はサトザクラの仲間の園芸種です。花弁の外側がピンク色、内側に行くにつれて白くなるグラデーションの美しい桜です。柄が長く、花を下垂させるように咲く姿が特徴です。
一葉(イチヨウ)
- 学名:Cerasus serrulata ‘Hisakura’
- 開花時期:4月
一葉(イチヨウ)はサトザクラの仲間の園芸種。ふっくらとした大輪の八重咲きで花の外側は明るいピンク色、内側が白色の美しい桜です。松月(ショウゲツ)よりも花色が濃いのが特徴です。
白妙(シロタエ)
- 学名:Cerasus serrulata ‘Sirotae’
- 開花時期:4月
白妙(シロタエ)は真っ白な八重咲きの花が美しい桜です。サトザクラの仲間の園芸種です。控えめな八重咲きが何とも言えないかわいらしさです。
八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)
- 学名:Cerasus spachiana ‘Plena Rosea’
- 開花時期:4月
八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)は八重咲きの枝垂れ桜の代表種のような花。江戸彼岸 (エドヒガン)の園芸種です。花径は3cm程度と小ぶり、濃いピンク色の花を枝に沿って溢れるように咲かせるのが印象的な桜です。
身近な場所で見られる桜の種類を16種紹介しました。気になる桜は見つかりましたか。3月から4月の下旬までが桜の見頃です。ここに載せきれなかった品種もたくさんあります。気温が上がってお散歩が楽しくなる季節。花見を楽しんでください。
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