「沙羅双樹(サラソウジュ)」とは?「沙羅の木(サラノキ)」ってどんな木?花の色はどんな色?
峰亜由美
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沙羅双樹(サラソウジュ)の名はきっと、一度は聞いたことのある名前ではないでしょうか?沙羅双樹(サラソウジュ)は平家物語の冒頭でも有名な「祇園精舎の鐘の声、諸行無常(しょぎょうむじょう)の響きあり、沙羅双樹(サラソウジュ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらわす」という一節に浮かび上がる樹木のことです。この樹木は一体どんな樹木なのだろう?と静かな情景を描いた美しい印象の中に灯(とも)されるように浮かびあがる、「花の色」という鮮やかな言葉に心惹かれた事はありませんか?今回は沙羅双樹の事を色々な角度からご紹介いたします。
目次
「沙羅双樹(サラソウジュ)」と「沙羅の木(サラノキ)」
平家物語に出てくる沙羅双樹(サラソウジュ)と表現されている樹木は、じつは本当の沙羅双樹(サラソウジュ)ではありません。本当の沙羅双樹(サラソウジュ)は「沙羅(サラ)の木」というインド原産のフタバガキ科の樹木で高さ30mにもなる熱帯の常緑樹なんです。
沙羅の木(沙羅双樹)は仏教の三大聖木の中の一つ
沙羅の木(シャラノキ、サラノキ)は仏教において三大聖木(さんだいせいぼく)と呼ばれる樹木の中のひとつです。三大聖木は「無憂樹(ムユウジュ)」「菩提樹(ボダイジュ)」「沙羅の木(シャラノキ、又はサラノキ)」の三つの樹木があり、いずれも仏教においては重要な役割を持ち大切にされています。
「沙羅の木(サラノキ)」を「沙羅双樹(サラソウジュ)」と呼ぶのはなぜ?
沙羅の木が沙羅双樹(サラソウジュ)と呼ばれるようになった始まりは、お釈迦様が旅の途中で最期を迎えるときに選び、横たわった場所が2本の対(つい)になった沙羅の木(サラノキ)の下だと言われています。
お釈迦様が入滅(高僧が天に召される事)の時を迎えると、いい香りがする淡い黄色の花が咲いていましたが一旦枯れ、2本の沙羅の木(双樹)は、お釈迦様の死を悲しみ再び真っ白な花を咲かせ、その白い花は次々とお釈迦様の上に舞散り、覆いつくしたと言われています。
※お釈迦様が横たわった場所が2本の沙羅の木の間だった為、その場所に双(ふた)つの樹があった様子から名づけられた沙羅双樹という説と、横たわるお釈迦様を囲う様に2本づつの沙羅の木が四つ角に8本生えていたという説など、諸説あります。
いずれにしても沙羅の木が2本一緒に生えている様子を「沙羅双樹(サラソウジュ)」と呼んでいるようです。
沙羅の木(沙羅双樹)ってどんな木?
- 和名 沙羅の木、沙羅双樹
- 英名 sal tree
- 学名 Shorea robusta
- 科 フタバガキ科
- 属 コディアウエム属
- 開花時期 3~7月
- 花の色 淡い黄色
- 分類 常緑高木
- 原産国 インド
沙羅双樹(サラソウジュ)は、4月頃が見ごろです。沙羅の木はいったいどんな樹木なのでしょう?仏教では「生命の木」と言われ、若返りや復活を意味する樹と伝えられています。インドの中北部からヒマラヤにかけて分布している樹木で、日本ではなかなかお目にかかれない植物ですが、開花は3~7月、小さな花が密集して咲き、淡い黄色の花を咲かせ、香りはジャスミンやオレンジが合わさった様な甘い爽やかな香りを放ちます。日本では植物園などに植えられていて、その様子を楽しむ事が出来ます。
▼沙羅の木(沙羅双樹)を見る事が出来る植物園はこちら
- 最寄駅 : JR草津駅
- アクセス : 【電車・バス利用】新幹線・JR「京都駅」、JR「米原駅」から JR 琵琶湖線に乗り換え JR「草津駅」下車。 JR「草津」駅西口より近江鉄道バス「琵琶湖博物館」行きで「みずの森」停下車 最寄り駅:JR「草津駅」 バス乗車時間約 25 分 【自動車利用】名神高速道路「栗東 I.C」「瀬田西 I.C」「草津田上 I.C」 インターチェンジから湖周道路へ出て、烏丸半島へ。(インターから約 30~40 分)
- 住所 : 滋賀県草津市下物町 1091
草津市立水生植物公園みずの森は、「植物と人、水と人のふれあい」をテーマにしてい
ます。山々にいだかれた豊かな水と緑たち。自然いっぱいの植物園にこころ豊かな時が
訪れます。さまざまな水生植物と出会えるユニークなテーマ施設「ロータス館」を備え、 自然の中、四季を通じて楽しめる花いっぱいの公園です。
【入園料】
大人の料金 一般:300 円
高校生・大学生:250 円
シルバー(65歳以上)150円
※団体割引あり(20 名以上)
※「琵琶湖博物館」との共通券あり。
【その他】
※「赤ちゃんの駅」に登録しています。(授乳室、おむつベットあり)
※売店、レストラン有り。
日本での沙羅の木(沙羅双樹)は夏椿
夏椿(ナツツバキ)
日本では夏椿(ナツツバキ)を沙羅の木(沙羅双樹)と呼んでいます。春に柔らかそうな新芽を芽吹かせ、夏には明るい色味をした涼しそうな葉になり素敵です。
5~7月頃、夏椿(ナツツバキ)は、この写真のとおり可憐で可愛らしい白い花を咲かせ、朝咲いて夕方に散る儚い一日花です。蕾もまん丸で愛らしい姿をしています。
夏椿(ナツツバキ)は秋になると紅葉も楽しむことができる落葉樹で、四季を通して色々な表情を見せてくれる魅力的な樹木です。木の幹の皮がはがれてスベスベとした木肌が現れるため、地域によってはサルスベリと呼ぶ地域もあるようです。
夏椿ってどんな木?
- 和名 夏椿(ナツツバキ)
- 別名 沙羅(サラ)、沙羅の木(サラノキ)、、沙羅双樹(サラソウジュ)
- 学名 Stewartia pseudocamellia
- 科 ツバキ科
- 属 ナツツバキ属
- 開花時期 5~7月
- 分類 落葉広葉、小高木
- 原産国 日本
平家物語に出てくる沙羅双樹(サラソウジュ)は夏椿(ナツツバキ)の事です。平家物語に出てくる沙羅双樹(サラソウジュ)も夏椿
日本においては、お釈迦様に縁の深い沙羅の木が日本に無かったため、沙羅の木に葉が良く似ていて同じ季節に白い花を咲かせる夏椿(ナツツバキ)を沙羅の木(サラノキ)の代わりに寺院などに植えたという事がはじまりだという説と、夏椿を見たお坊さんが沙羅の木(サラノキ)と葉が良く似た夏椿を見間違えてそう呼んだといわれる説があります。
タイやカンボジア、ベトナムでの沙羅の木(沙羅双樹)はホウガンノキ
ホウガンノキ
タイやカンボジア、ベトナムなどの寺院でも本物の沙羅双樹(サラソウジュ)の代わりに植えられている「ホウガンノキ」という樹木があります。
世界各地に仏教が伝達されていく中で、世界各地の寺院で代りの樹木が植えらる程、仏教において沙羅の木(サラノキ)が重要な役割を持つ事が見受けられますね。
ホウガンノキってどんな木?
- 和名 ホウガンノキ
- 別名 ホウガンボク
- 英名 Cannon ball tree、sal tree
- 学名 Couroupia guianensis
- 科 サガリバナ科
- 属 ホウガンノキ属
- 開花時期 3~5月
- 分類 常緑高木
- 原産国 南アメリカ
ホウガンノキの花は3~5月頃になると、地上に近い幹から花芽をつけた枝を伸ばし、10~15㎝程の甘い芳香がある、色は鮮やかなサーモンピンクの花を咲かせます。花が咲いた後は直径10~20㎝程の名前の通り砲丸の様な丸い実をみのらせて、幹にぶら下がります。その姿は大変個性的な姿をしています。ホウガンノキは南米原産のサガリバナ科ホウガンノキ属の高木で、高さ20~30mになる樹木です。
今回は平家物語からはじまり、沙羅双樹(さらそうじゅ)のお話をさせて頂きました。
代わりの樹木を用いられる程、仏教では重要な役割を持つ沙羅双樹(サラソウジュ)の木。
日本では、植物園などで見る事が出来る様です。花の咲く季節に優しく香る花を眺めながら、お釈迦様を包んだ香りを知る時間を過ごすのも豊な時間ですね。
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