お正月に飾りたい縁起のいい実11種!それぞれの理由も紹介

山田智美
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お正月にはなぜ赤い実を飾るのでしょうか?縁起がいいと言われている、赤い実を付ける植物を11種類紹介します。さらにお正月に赤い実を飾る理由や、赤い実が縁起がいいと言われる理由も併せてお話しします。
目次
- お正月に赤い実が縁起がいい理由とは?
- 南天(ナンテン)
- 万両(マンリョウ)
- 千両(センリョウ)
- 百両(カラタチバナ)
- 十両(ヤブコウジ)
- 一両(アリドオシ)
- 万年青(オモト)
- ピラカンサ
- クロガネモチ
- ソヨゴ
- ヒイラギは?
お正月に赤い実が縁起がいい理由とは?
お正月に赤い実が縁起がいいと言われる理由は、冬の寂しい景色の中で、一際目立つ鮮やかな赤い実は、富と繁栄を連想させるからだと言われています。
さらにお正月の縁起物と呼ばれる赤い実は常緑樹ばかり。一年を通して青々とした葉を絶やさず、冬には豊かな赤い実を実らせる植物たちは、長く続く富と繁栄の象徴として重宝されてきました。現在でもその縁起にあやかろうと、お正月に赤い実を飾る習慣が残っています。
南天(ナンテン)
- 学名:Nandina domestica
- 科名:メギ科
- 分類:常緑低木
- 南天(ナンテン)は、赤い実がお正月の花材として欠かせないメギ科の常緑低木で、古典園芸植物の一つです。日本では関東以西で自生し、栽培も容易です。初夏に白い花が開花しますが、一般的には赤い実の季節の冬が鑑賞期で、もっとも目立つ時期です。 南天(ナンテン)は、冬でも濃い緑が茂る様子や赤い実をつける特徴から縁起物として好まれ、古くから魔除け、厄除け、無病息災を願い、多くの家庭で栽培されてきました。 和名の「南天」は、難を転じる「難転」や「成天」の意味合いで、不浄をはらうために玄関やお手洗い、鬼門と呼ばれる方角に方位よけとして植えられるようになりました。 南天(ナンテン)は観賞するだけでなく、実を焼酎、氷砂糖とともに漬け込んだ南天酒は咳止めや喉の痛みなどの民間薬として利用されてきたほか、「南天のど飴」として販売されています。 お赤飯や煮物、魚など、料理の上に乗せられる南天(ナンテン)の葉は、縁起物としてだけではなく、防腐や殺菌を目的として使われています。
南天(ナンテン)が縁起がいい理由
南天(ナンテン)は細く華奢な枝に笹を思わせるような細い葉をつける常緑低木です。
南天(ナンテン)が縁起がいいと言われる理由は、南天(ナンテン)という名前の音から「難を転じる」とされ、災い事を遠ざけ福を呼ぶとされてきました。
切り花としての流通も多く、12月の半ば頃から花き市場でも多く出回るようになります。
南天(ナンテン)の花言葉
- 良い家庭
- 福をなす
万両(マンリョウ)
- 学名:Ardisia crenata
- 科名:サクラソウ科
- 分類:常緑低木
万両(マンリョウ)が縁起がいい理由
万両(マンリョウ)はツヤのある葉とぶら下がるように実る赤い実が印象的な常緑低木です.
万両(マンリョウ)が縁起がいいと言われるのは、「万両」というお金の単位がついた名前がたくさんの富を連想させるから。さらに実が大きく、実付きが良いのも縁起がいいとされる理由です。
万両(マンリョウ)の花言葉
- 寿ぎ(ことほぎ)
- 陰徳
千両(センリョウ)
- 学名:Sarcandra glabra
- 科名:センリョウ科
- 分類:常緑低木
- センリョウ(千両)は、山林の湿った半日陰地に自生し、晩秋に赤い実をつけるセンリョウ科の常緑低木です。極端な乾燥には注意が必要ですが、丈夫で育てやすい樹木です。 初夏に新梢の先端に穂状に小さく黄緑色の花が咲いたあと、直径5~6mmのツヤツヤした実をつけ、晩秋に赤く熟します。別名「草珊瑚(クササンゴ)」と呼ばれるほど鮮やかな色合いの実は、花が少なくなる冬に、庭木として明るい彩りを添えてくれます。 古くからナンテン(南天)やマンリョウ(万両)とともに縁起の良い木として親しまれ、お正月用の生け花の花材にも使われてきました。全国の花の卸売市場では、12月の半ばごろ、年に一度「千両市」というセリが行われ、そこで仕入れたセンリョウ(千両)が12月後半から店先に並びます。 センリョウ(千両)は、もともと仙蓼(センリョウ)と呼ばれていましたが、江戸時代に千両へと変わりました。その理由は、同じ赤い実をつける縁起の良いマンリョウ(万両)に似ているものの、マンリョウ(万両)より実つきが少ないためセンリョウ(千両)と呼ばれるようになったと言われています。
千両(センリョウ)が縁起がいい理由
千両(センリョウ)は枝の先に粒々とした赤や黄、オレンジ色の実をつける常緑低木です。万両(マンリョウ)がぶら下げるように実をつけるのに対し、千両(センリョウ)は枝の先に実を付けます。
千両(センリョウ)が縁起がいいと言われる理由も万両(マンリョウ)と同じく名前から。赤い実と同じく黄やオレンジ色の実も富を連想させるということからお正月に好んで飾られます。
毎年12月の半ばには花き市場にて「千両市」という千両(センリョウ)だけのセリが行われるほど、お正月には欠かせない縁起物とされています。
千両(センリョウ)の花言葉
黄色い実の千両(センリョウ)
- 利益
- 裕福
百両(カラタチバナ)
- 学名:Ardisia crispa
- 科名:サクラソウ科
- 分類:常緑低木
百両(カラタチバナ)が縁起がいい理由
百両はカラタチバナ(唐橘)とも呼ばれる、秋から初春にかけて赤い実を実らせる常緑低木です。万両(マンリョウ)と似ていますが違いは、万両(マンリョウ)は下向きに実を付け、百両(カラタチバナ)は上向きに実を付けます。
百両(カラタチバナ)が縁起がいいと言われる理由も万両(マンリョウ)や千両(センリョウ)と同じくその名前です。江戸時代には大流行し、斑入りなど美しい品種は高額で取引されたこともあったそうです。
百両(カラタチバナ)の花言葉
- 富
- 財産
十両(ヤブコウジ)
- 学名:Ardisia japonica
- 科名:サクラソウ科
- 分類:常緑低木
十両(ヤブコウジ)が縁起がいい理由
十両(ヤブコウジ)はヤブコウジ(藪柑子)とも呼ばれる、赤い実を付ける常緑低木です。樹高は15cmから大きくてもせいぜい30cm程度と小さな庭木です。
十両(ヤブコウジ)が縁起がいいと言われる理由も万両(マンリョウ)や千両(センリョウ)と同じくその名前。十両という名前は、万両(マンリョウ)や千両(センリョウ)と比べて樹高が小さく控え目なところから名付けられたと言われています。
十両(ヤブコウジ)の花言葉
- 明日の幸福
一両(アリドオシ)
- 学名:Damnacanthus indicus
- 科名:アカネ科
- 分類:常緑低木
一両(アリドオシ)が縁起がいい理由
万両、千両、百両、十両ときたら一両も気になります。画像は用意できなかったのですが、一両と呼ばれる植物もちゃんとあります。
一両はアリドオシ(蟻通し)とも呼ばれる、冬に赤い実をつける常緑低木です。低木と言っても地面を這うように生長するほふく性です。アリドオシ(蟻通し)という変わった名前の由来は蟻を刺して通すくらい鋭い棘があることから。
一両(アリドオシ)が縁起がいいと言われる理由は、千両(センリョウ)や百両(カラタチバナ)と同じくその名前です。
万年青(オモト)
- 学名:Rohdea japonica
- 科名:ユリ科
- 分類:常緑多年草
万年青(オモト)
- 万年青(オモト)は日本で古くから、主に青々とした葉を観賞する目的で育成されてきた植物です。江戸時代から続く品種改良によって多彩な葉の形状、模様が生まれ「葉芸」と呼ばれています。 品種改良の技術が「芸」として高く評価されているのは万年青(オモト)だけで、植物の中では特別な価値を見出されている植物です。多年草で葉を落とさないことから長寿を象徴する縁起物としても大切にされてきました。 「縁起草」「辛抱草」の別名もあります。乾燥と多湿も嫌うのですが、基本的には初心者にも育てやすく丈夫な植物です。霜が降りず、-5℃以下の気温にならなければ屋外越冬可能です。昼間の日が出ている時間帯は外に出し、夜は玄関にしまうなどをしてもよいでしょう。 引っ越し祝いに万年青を贈る日本の文化 万年青(オモト)は1590年、江戸時代に徳川家康が江戸に移る際に3種類の万年青(オモト)を贈られ、家康は大変喜び城にその3鉢の万年青(オモト)を持ち込みました。その後、城が大繁栄したというエピソードがあり、そこから日本中に引っ越し祝いとして万年青(オモト)を送る風習が広まったようです。江戸時代から現在まで引っ越しの際は縁起を担ぎ、引っ越し先に一番最初に万年青(オモト)を入れる習わしが続き邪気を祓うため鬼門の方角に置かれるようになりました。
万年青(オモト)が縁起がいい理由
万年青(オモト)は冬でも青々とした葉を絶やさない常緑多年草。常緑であることから縁起がいいとされ、特に引っ越し祝いに贈られる習慣のある鉢植えです。
さらに冬には真赤な実をぎっしりと実らせます。万年青(オモト)の赤い実は年末になると市場に出回るようになり、縁起物としてお正月の花生けに使用されます。
万年青(オモト)の花言葉
- 長寿
ピラカンサ
- 学名:Pyracantha
- 科名:バラ科
- 分類:常緑高木
ピラカンサ
- ピラカンサは庭木や生垣として人気のあるバラ科の常緑低木です。春の終わりから初夏には小さな真白な花を枝いっぱいにたわわに咲かせます。秋から冬にかけては枝をしなるらせるほどにたくさんの果実を実らせます。あまり手をかけずとも毎年結実してくれるので、庭木として人気の樹種です。枝には細かいトゲがあり、常緑ということもあって、生垣として利用されることも多々あります。 ピラカンサというのは、ピラカンサ属の樹木数種類を指して使われる呼称です。赤い果実を付けるトキワサンザシ(Pyracantha coccinea)の他、黄色い果実のタチバナモドキ(Pyracantha angustifolia)などがあります。
ピラカンサが縁起がいい理由
ピラカンサは和名ではトキワサンザシ(常盤山査子)と呼ばれるバラ科の常緑高木。初夏に真白な花を咲かせ冬には赤やオレンジ色のな実をたわわに実らせます。
トキワサンザシのトキワ(常盤)とは永遠のこと。ピラカンサが常緑であることが由来です。常緑で実付きも良いピラカンサは縁起のいい庭木として好まれます。
ピラカンサの花言葉
- 美しさはあなたの魅力
- 愛嬌
クロガネモチ
- 学名:Ilex rotunda
- 科名:モチノキ科
- 分類:常緑高木
- クロガネモチは関東以西の山林に自生する常緑高木です。公園や街路樹、庭などあらゆる場所で利用されています。秋から冬にかけて、たわわに実る真っ赤な実の季節はとても目を引きます。色彩の少なくなる冬に真赤な果実を付けることと、葉が常緑であることのほか、名前が「苦労のない金持ち」を連想させるとして、縁起の良い庭木としても人気があります。 クロガネモチの葉は5~10㎝と大きめで光沢があり、よく繁ります。初夏に小さな白、あるいは薄紫色の花を咲かせますが、高木で上のほうの枝に咲くため目立ちません。雌雄異株なので実の観賞を楽しむのであれば雌株を選ぶ必要がありますが、市販のクロガネモチは一つの木に雌雄の枝が接ぎ木されていることがほとんどです。購入前に確認するようにしましょう。
クロガネモチが縁起がいい理由
クロガネモチは秋から冬の間真赤な実を付ける常緑高木です。
クロガネモチはその名前が「苦労のない金持ち」を連想させるとして、縁起のいい庭木として人気があります。
クロガネモチの花言葉
- 魅力
- 寛容
- 執着
- 仕掛け
ソヨゴ
- 学名:Ilex pedunculosa
- 科名:モチノキ科
- 分類:常緑高木
ソヨゴが縁起がいい理由
ソヨゴはグリーンの葉の間からサクランボのように赤い実をぶら下げる常緑高木です。名前は漢字で書くと冬青、冬でも青々とした葉を絶やさず赤い実を付けることから縁起のいい庭木として好まれています。
ソヨゴの花言葉
- 先見の明
ヒイラギは?
- 学名:Osmanthus heterophyllus
- 科名:モクセイ科
- 分類:常緑高木
▼ヒイラギについて詳しく紹介しています。
ヒイラギは縁起がいい?
クリスマスの時期に見かける赤い実が付いたヒイラギは、クリスマスホーリーや西洋ヒイラギと呼ばれる樹木。ヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)とは別種です。ヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)は赤い実は付けないので、特にお正月に飾られることはありません。
ヒイラギが活躍するのは節分です。トゲのある葉が鬼の目を突くので鬼が逃げると言われ、魔除けとして玄関に飾る習慣があります。
ヒイラギは縁起がいいのか悪いのかというと、赤い実は付けないのでお正月には飾りませんが節分に魔除けとして重宝される縁起のいい庭木ということになります。
ヒイラギの花言葉
用心深さ
先見の明
お正月に赤い実が縁起がいいと言われる理由は、冬でも青々とした葉を絶やさず、鮮やかな赤い実を実らせることが富と繁栄を連想させるからです。お正月には松などの常緑樹と共に赤い実を飾って福を呼び込みましょう。
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