沈丁花(ジンチョウゲ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- 沈丁花(ジンチョウゲ)
- 学名
Daphne odora
- 英名
- Daphne,Winter Daphne
- 和名
- 沈丁花
- 科名
- ジンチョウゲ科
- 属名
- ジンチョウゲ属
- 原産地
- 中国
沈丁花(ジンチョウゲ)の特徴
沈丁花(ジンチョウゲ)は香り高い花を咲かせる春の代表的な樹木で、春の沈丁花(ジンチョウゲ)、夏の梔子、そして秋の金木犀を合わせて三大香木と称されます。沈丁花(ジンチョウゲ)はジンチョウゲ科の常緑低木で、春先に小さな花が毬のような塊になって枝先に咲きます。花が白い品種を「シロバナジンチョウゲ」、花の外側が淡紅色になっているものを「ウスイロジンチョウゲ」と言います。ちなみに、葉の外側に斑が入っているものを「フクリンジンチョウゲ」と呼びます。
沈丁花(ジンチョウゲ)の特徴と言えば香り高い花。「沈丁花」という名前は、花の香りが沈香(ちんこう)に似ていることと、十字型の花が丁子(クローブ)に似ていることに由来しています。沈丁花(ジンチョウゲ)の原産は中国と言われており、室町時代にはすでに栽培されていたという記述があります。
沈丁花(ジンチョウゲ)の樹高は1m~1.5mほどで、枝が良く分岐するので特に剪定をしなくても丸くこんもりとした樹形を保ちます。沈丁花(ジンチョウゲ)は雌雄異株で、雄株と雌株があります。日本で流通している沈丁花(ジンチョウゲ)の多くは雄株なので、実を見る機会はめったにありませんが、赤い可愛らしい実を付けます。ただし、実は猛毒ですので口に入れないように注意しましょう。
沈丁花(ジンチョウゲ)の詳細情報
園芸分類 | 庭木、常緑 |
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草丈・樹高 | 1~1.5m |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
花色 | 白、淡紅色 |
開花時期 | 3~4月 |
沈丁花(ジンチョウゲ)の種類
フクリンジンチョウゲ(覆輪沈丁花)
葉の縁取りが斑入りの沈丁花(ジンチョウゲ)
シロバナジンチョウゲ(白花沈丁花)
花が白花の沈丁花(ジンチョウゲ)
ウスイロジンチョウゲ
花の外側が淡紅色になっている沈丁花(ジンチョウゲ)
沈丁花(ジンチョウゲ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
植え替え | ||||||||||||
剪定 | ||||||||||||
肥料 | ||||||||||||
開花 |
沈丁花(ジンチョウゲ)の栽培環境
日当たり・置き場所
沈丁花(ジンチョウゲ)は生長が遅く、移植を嫌う植物です。地植えの沈丁花(ジンチョウゲ)は西日が当たらない半日陰~日向に植えるようにしましょう。
沈丁花(ジンチョウゲ)は光が足りないと花がつかないので植え付ける場所には注意しましょう。沈丁花(ジンチョウゲ)は耐寒性はあまり高くありませんが、東北地方南部までは地植えが可能です。冬場に水が氷るような寒い地域では、むしろ(藁やイグサなどの草で編んだ敷物)で寒さ除けをすると葉が痛みません。
用土
沈丁花(ジンチョウゲ)は、水はけのよい土であれば特に選びません。水はけが悪い土地に植える場合は植え付ける場所を深く掘り、軽石を敷いて埋め戻した後に植え付けるとよいでしょう。
鉢植えの沈丁花(ジンチョウゲ)は、小玉~中玉の赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使用するとよいです。
沈丁花(ジンチョウゲ)の育て方のポイント
水やり
地植えの沈丁花(ジンチョウゲ)は根付いてからは、特に水を与えなくても育ちます。ただ、沈丁花(ジンチョウゲ)は他の植物よりも細根が発達せず、水の吸収が悪い植物なので、乾燥が苦手です。雨がほとんど降らない時期や植えて間もないころは、土が乾燥したら水をたっぷり与えます。
鉢植えの沈丁花(ジンチョウゲ)も土を乾燥させすぎないように水を与えましょう。
沈丁花(ジンチョウゲ)の水やりの時間帯は、一年を通して午前中の早い時間帯に行い、夕方までに水が乾いているのが最適です。ただし真夏の乾燥しやすい時期は、土の様子を見て乾燥が激しいようなら夕方にも水やりをしましょう。
肥料
沈丁花(ジンチョウゲ)は特に肥料を与えなくても毎年花は咲きますが、花後の4月~5月、そして株が生長する9月に緩効性の肥料を株の周りに与えます。また、寒肥として2月に油かすと骨粉を等量混ぜたものか市販の有機肥料を与えると、花の時期に株が弱るのを防いでくれます。
病害虫
害虫はアブラムシが新芽の部分に付きやすいので注意が必要です。アブラムシに吸汁されると花や葉が異常な形になることもあるので、早めに駆除剤などで駆除するようにしましょう。
沈丁花(ジンチョウゲ)の詳しい育て方
選び方
沈丁花(ジンチョウゲ)の苗を購入する場合は節がつまっていて、青々とした健康的な葉が枝の根元の部分まできちんとそろっているものを購入するようにしましょう。苗が弱っていると落葉していたり、葉が黄色くなっていることがあります。斑入りの品種の沈丁花(ジンチョウゲ)は斑の境目がくっきりと分かれているのがよい株です。また、根が傷ついていると株が弱る原因になりますので、鉢の下からきれいな根が生えていることを確認します。地堀り苗を購入する場合は根の部分が大きくまとめられている株の方が根が傷ついていません。太い根を切ってしまっているような株は避けましょう。
種まき
日本で栽培されている沈丁花(ジンチョウゲ)はほとんど雄株なので実をつけることはありません。ただ、最近では雌株や両性花を咲かせる株が販売されていることもあり、まれに実を付ける株もあります。実が赤く熟したら外側の果肉の部分を水でていねいに洗い流します。果肉の部分は有毒なので口や目に入らないように注意しましょう。種は肥料分の入っていない小玉の赤玉土にまき、軽く覆土します。乾燥させずに管理すると翌年の2~3月頃発芽します。
植え付け
沈丁花(ジンチョウゲ)は生長が遅く、移植を嫌う植物です。地植えの沈丁花(ジンチョウゲ)は西日が当たらない半日陰~日向に植えるようにしましょう。耐寒性はあまり高くありませんが、東北地方南部までは地植えが可能です。定植する場合は元肥を入れ、根を切らないように注意して植え付けます。鉢植えの沈丁花(ジンチョウゲ)は根鉢を崩さず、根を傷つけないように注意しながら植え付けます。
剪定・切り戻し
沈丁花(ジンチョウゲ)は特に剪定をしなくても自然に樹形が整いますが、枝が込み合うと蒸れて病気が発生しやすくなるので、花後すぐに込み合った部分の枝を間引き剪定します。間引いた枝は挿し穂にしましょう。
太い枝を切ると枯れ込むことがあるので強剪定は避け、どうしても切らなければならない時は切った後に癒合剤を塗って保護します。また、6月~7月にかけて次の年の花芽が作られるので、夏以降に剪定を行うと花が咲かなくなってしまうので注意が必要です。
植え替え・鉢替え
沈丁花(ジンチョウゲ)は移植が難しいので、なるべく移植はしません。ただし、鉢植えで育てている沈丁花(ジンチョウゲ)は、鉢の中が根でいっぱいになると根詰まりを起こすので植え替えが必要です。なるべく根を傷つけないように注意しながら植え替えます。
花
沈丁花(ジンチョウゲ)は3~4月ごろ、強い香りを放つ小花を枝先につけます。この香りで春を感じるという方も多いほど花姿より香りの存在が強い植物です。
冬越し
沈丁花(ジンチョウゲ)はある程度の耐寒性はありますが、寒冷地では鉢植えで育てるのに向いています。東北地方南部までは地植えが可能です。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
沈丁花(ジンチョウゲ)は、間引いた枝で挿し木が容易にできます。沈丁花(ジンチョウゲ)を育てていると20~30年で急に枯れてしまうことがあり、花木の中では寿命の短い植物です。後代を育成しましょう。
沈丁花(ジンチョウゲ)の挿し木の適期は花の終わった頃から初夏にかけてです。昨年の花後から伸びた枝を斜めに切り、小玉の赤玉土に挿します。水を切らさないように育て、下から根がのぞき始めたら植え替えます。
沈丁花(ジンチョウゲ)の花は花ではない?
沈丁花(ジンチョウゲ)の「花」と言いますが、厳密にはあの花に見える部分は花ではなく「がく」で、本当の花びらはありません。このような植物はアジサイやクレマチス、ソバなど身近な植物にも多くあります。花は昆虫や鳥などに花粉を運んでもらうための目印となる器官です。おそらく進化の過程で花があることをよりアピールするためにがくが花びらのような形になったと言われています。特に沈丁花(ジンチョウゲ)は虫の少ない春先に開花するので、香りとともに内側の真っ白ながくでたくさんの虫を集めるためにあのような花の形になったと考えられます。
沈丁花(ジンチョウゲ)は美人短命、挿し木で次の代を育てましょう
沈丁花(ジンチョウゲ)を育てていると20~30年で急に枯れてしまうことがあり、花木の中では寿命の短い植物です。沈丁花(ジンチョウゲ)は実をほとんど付けませんが、挿し木で容易に増やすことができるので挑戦してみて下さい。沈丁花(ジンチョウゲ)の挿し木の適期は花の終わった頃から初夏にかけてです。昨年の花後から伸びた枝を斜めに切り、小玉の赤玉土に挿します。水を切らさないように育て、下から根がのぞき始めたら定植しましょう。