育ててワクワクたのしいエディブルガーデン|6月の作業
古幡真恵
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illustration:小野寺 葉月
エディブルガーデンとは?
野菜や果樹、ハーブなど食べられる植物を取り入れ、育てて収穫を楽しむことができる庭や菜園のことを意味します。
家庭菜園を始めようとしているみなさんと今年も一緒に楽しいエディブルガーデン作りを始めましょう。
目次
家庭菜園〜6月の作業
エディブルガーデンの6月の作業のポイントは、梅雨時期から発生しやすい野菜がかかる病気について。
4月下旬から5月上旬にかけて植え付けた苗(主に一般地)も土に根がしっかりと張り、すくすく生育してきた頃梅雨の時期を迎えます。雨は天の恵みではありますが、多すぎる雨は作物が育つ環境を著しく悪化させます。そのため、梅雨に入る前に作物が育つ環境を改善する必要があります。
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梅雨時期に野菜が病気になるのはなぜ?
ウイルス・細菌(バクテリア)・カビ(糸状菌)
人間が病気になる原因として、インフルエンザやノロウイルスなどのウイルス感染。肺炎球菌、サルモネラ属菌などの細菌による感染。皮膚感染を起こす水虫やカンジダなどのカビによる感染があります。
しかし、同じ病原菌に侵されても病気になる人とならない人がいます。それは元々の体質だったり、体力や精神的なものだったり、食事などの生活習慣によるものだったりします。
これをそっくり植物に当てはめてみると、野菜が病気になるメカニズムが理解することができます。
野菜が病気になる条件
環境の条件
1. 水はけが悪い
2. 日当たりが悪い
3. 風通しが悪い
育て方の条件
1. 肥料の与えすぎ
2. 密植
3. 道具などが不衛生
天候による条件
1. 降雨による水はね
2. 多すぎる雨量
3. 日照不足
この条件下で、かつ「カビ・細菌・ウイルス」に侵されることにより、野菜は病気にかかりやすくなってしまいます。このように病気になる条件をあげてみると、梅雨時期に発生しやすいのもうなづけます。
野菜が病気になった時の対処と予防
植物も人間と同じように、すぐに対処することが一番です。
〜対処方法〜
・病気にかかった患部を早期発見し、取り除く
〜予防方法〜
・水はね防止
・畑ではマルチ栽培をする。プランター栽培では、バーク堆肥などの有機物マルチを敷きつめる。
・密植防止として、地際の葉や黄色くなった葉、込み入った部分の葉を取り除き、適切な株間をとる。
病気にかかったいちごの葉
私自身、今年育てているいちごのプランターをうっかり軒下の雨だれのひどいところに放置してしまいました。案の定炭そ病が発生し、みるみる病葉が広がってしまいました。降雨による水はねって本当に病気になりやすい環境なんです。
野菜の花に注目!
花屋さんにある華やかな花も素敵ですが、野菜やハーブの花も魅力的な花がたくさんあります。そんな素敵な野菜の花の魅力をご紹介します。
きれいな花の代名詞~オクラの花
illustration:小野寺 葉月
オクラはハイビスカスと同じアオイ科の植物です。中心部が濃い紫色で、花びらが白色の野菜としては大きい花です。花の命は短く、1日で終わってしまいます。
オクラとは別の種類ですが、トロロアオイといって花の部分を食べる花オクラと呼ばれるものもあります。中国原産の花で、薄い黄色もしくは、濃いクリーム色のような花色で、直径20~30cm程の大きな花を咲かせます。オクラと同じように1日花といって花の命は1日です。
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生育状態の分かる花~ナスの花
illustration:小野寺 葉月
紫の濃い色合いが美しいナスの花ですね。このナスの花の雄しべと雌しべを観察することで、ナスの生育状態が分かります。
雌しべが雄しべより長くなっているのは、草勢があり肥料のバランスも整ったとても良い状態です。
こちらのナスの花は、雄しべが雌しべより長くなったり、同じ長さになったりしてます。この状態では、受粉がスムーズにいかなくなり、実にならず花が落ちてしまいます。もし、受粉ができたとしても石ナスといって実が硬くなります。このようにナスの花を観察して、状態が悪いときの早期発見に活用してくださいね。
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雌花と雄花がある花~きゅうりの花
illustration:小野寺 葉月
左:雄花 右:雌花
きゅうりの雌花
小さいミニきゅうりがついているのが雌花の目印です。きゅうりの雌花は開花してからだいたい7日間位で長さ18~20cm程度の実に育ちます。
きゅうりの雄花
花の根元にミニきゅうりがついていないものが雄花になります。
このように、きゅうりには一つの株に雌花と雄花がついています。同じウリ科のズッキーニやスイカは、雌花と雄花を受粉させて実を作りますが、きゅうりの花は受粉しなくても、実が大きくなる性質があります。
きゅうりのように受粉せずに実をつけることを単為結果性(たんいけっかせい)といいます。
※単為結果性(たんいけっかせい)…一般的に、受精せずに実ができることを単為結果性(たんいけっかせい)といいます。きゅうりは自動的に実ができる性質があります。
▼小さいミニきゅうりがついているのが雌花のことならコチラ
毒性のある花~モロヘイヤの花
illustration:小野寺 葉月
モロヘイヤという名前の由来には、アラビア語で「王家のもの」という意味があります。それは古代エジプトの王様が病気になった際、モロヘイヤのスープを飲むと回復したことが由来だそうです。
エジプトで王家といえばクレオパトラ。彼女もこのモロヘイヤのスープを飲んでいたのかもしれませんね。
モロヘイヤは小さな黄色い花を咲かせますが、じつは毒性のある花なんです。莢や種にはストロファンチジンという有毒物質が含まれいるので、絶対に食べないように気を付けて下さい。種袋の裏にもそのことが記載されていますので、今一度確認しましょう。尚、誤って摂取しますと食欲不振、起立不能、下痢、嘔吐やめまいなどの症状がおこり、最悪の場合死に至ることもあると言われています。
昔、モロヘイヤの種と莢は弓矢の毒として使われていたそうです。必ずお子様やペットの手の届かないところに保管しましょう。
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食べておいしい花~ズッキーニの花
illustration:小野寺 葉月
上:ズッキーニの雄花 下:ズッキーニの雌花
ズッキーニの花は、オクラの花同様他の野菜の花に比べて大きく存在感のある花です。
このズッキーニの花は、花の部分にチーズやひき肉を詰めて揚げものにして食べることができます。
要注意!花ズッキーニが異様に苦い?
ズッキーニやキュウリなどのウリ科の植物には、ククルビタシンといわれる苦味成分が含まれています。通常のズッキーニは、何の問題もなく食べることができますが、極まれにククルビタシンの含有量が多い花ズッキーニがあり、食したときに苦味で違和感を感じます。この苦い花ズッキーニを無理に食べると、下痢やおう吐、腹痛を起こすことがあります。
ズッキー二の苦味を感じるような場合は、加熱してもククルビタシンを防ぐことはできないので、残念ですが食べずに捨てましょう。
▼ズッキーニの受粉のことならコチラ
野菜の花も味わう!花ズッキーニの肉詰めレシピ
今回は花ズッキーニにひき肉を詰めたレシピをご紹介します。
この他にも、リコッタチーズを詰めてフリッターなど、可愛い野菜のお花レシピを考えて楽しんでみてください。
材料
・花ズッキーニ
・ひき肉
・玉ねぎ
・塩
・コショウ
・醤油
・オリーブオイル
・添え野菜(スイスチャード)
※分量、添える野菜はすべてお好みでお作りください。
作り方
1. 玉ねぎをみじん切りにします。
2. ひき肉に1と塩コショウをして軽く味を付け、よく混ぜ合わせます。
3. きれいに洗った花ズッキーニの中に、2を入れます。
4. フライパンにオリーブオイルをひいて、火が通ったらお皿に盛り付けます。
5. フライパンにお醤油を加えひと煮立ちさせ、ソースを作ります。
6. 花ズッキーニの肉詰めに5をかけて出来上がり。
いかがでしたか?
野菜の実だけ注目するのはもったいない!葉や花にも注目してみると、新たな発見がありますよ。
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