藤|花の季節や特徴、種類と見分け方
更新
公開

藤の花の季節や特徴、種類と見分け方について紹介します。また、花の見頃、毒性、香り、英語の名前など、藤について詳しくお話します。
目次
藤とは|特徴や花言葉、英語の名前

- 学名:Wisteria
- 科名、属名:マメ科フジ属
- 分類:落葉つる性木本
藤は、かんざしのような長い花を下垂させて咲く、マメ科のつる性落葉樹です。日本原産の花木で、その美しさから世界中で愛され栽培されています。つる植物ですが、朝顔やクレマチスと違い、生長すると幹は太くなり木質化します。つる植物である特性を活かして作られた藤棚は、公園や庭園、校庭、遊歩道など、身近な場所で見られます。
藤の毒性
藤の花には毒はありません。藤の花を触ったり、摘んだりしても毒に当たるようなことはありません。藤の花は洗って天ぷらにして食べることができるくらいです。
ただし、藤の豆には毒があります。花が終わった後に、長いさやの実ができます。豆を生食すると中毒症状を起こすことがあるので、口に入れないようにしましょう。
藤の花言葉

藤の花言葉は「優しさ」「歓迎」
たおやかで美しい藤の花らしい花言葉です。
藤の英語の名前
藤の花の英語の名前は Wisteria(ウィステリア)です。学名の Wisteria がそのまま使用されています。
藤の花の美しさは海外でも人気があります。日本では藤棚がポピュラーですが、ヨーロッパでは建物の壁につるを這わせて、壁全体を覆うように花を咲かせている光景を見かけます。
藤の花の季節や特徴、香り

藤の花の季節や見頃
藤の花の季節は、4月中旬から5月上旬です。最近では気温の上昇と共に花の開花時期が年々早まっているため、はっきりと断定はしかねますが、関東ではおおむねゴールデンウィークの頃には散り始めます。
見頃は4月下旬。ソメイヨシノが葉桜となり、梅が青い実を付け始めた頃に見頃を迎えます。藤の花は上の方から咲き始め、長い房状の花の先端が咲く頃には上の方の花が萎れ始めています。上の方の花が開いていて下の花はまだ少しつぼんでいるくらいが、見頃だといえます。
また、風で散りやすく、強風が数日続くとつぼみのまま散ってしまうこともあります。風雨が数日続くような年は、早めに観に行くようにしましょう。
藤の花の特徴

藤の花は、房のような花を下垂させて咲きます。よく観察すると房は小花の集合体で、一つ一つは直径2cm程度のマメの花だというのが特徴。小さなマメの花が集まって、20~50cmの花房を形成し、風に揺られている姿はとても優美です。
藤の花は古来より、優美な姿が日本人に愛され、美しい女性の例えにも使用されてきました。歌舞伎や日本舞踊でも有名な「藤娘」は、藤の花の精が美しく舞う演目です。
藤の花の香り

藤の花には芳香があります。藤の花の香りを言葉で説明するなら、爽やかというよりは甘く、かといってクチナシやチューベローズほど濃厚ではないといった感じです。例えるなら、ジャスミンをもう少し軽くしたような香りです。
藤の花は上の方で咲いているので、なかなか鼻を近づけて香りを確認するのは難しいかもしれませんが、満開の藤棚の下にいるとふわりと甘い香りが漂ってくることがあります。
藤の花の色

藤の花色は紫だけではありません。多様な藤の花色を紹介します。
- 紫
- 淡い紫
- 淡い赤紫
- ピンク
- 淡いピンク
- 白
一般的に「藤色」と呼ばれるのは、淡い紫色です。その昔日本では、「藤色」に代表される紫色は、身分の高い人しか身に着けられない尊い色とされていました。品種改良が進んだ現在では、淡い紫色以外の藤の花を楽しむことができます。
藤の種類と見分け方
藤の種類を紹介します。身近なところで見かける藤の花の多くは、ノダフジかヤマフジです。ノダフジとヤマフジの特徴と見分け方も紹介します。
ノダフジ

- 学名:Wisteria floribunda
ノダフジは日本原産の藤。山野に自生する品種で、花序と呼ばれる房状の花の部分は30㎝~60㎝程度、中には1mを越すものもあります。つるは左肩上がりの左巻き、長さは20mを越すほど大きくなります。
花色は淡い紫色の他に、紫、ピンク、白など。多くの園芸品種が作出されていて、八重咲き種などの変わり咲きのものもあります。
ヤマフジ

- 学名:Wisteria brachybotrys
ヤマフジも日本固有の藤。一つ一つの花はノダフジよりも少し大きく2.5cmくらいあり、花序の長さは10~20cm程度と短めです。近畿地方以西の本州、四国、九州に自生します。つるは右肩上がりの右巻き、長さは20mを越すほど大きくなります。
花色は淡い紫色の他に、紫、ピンク、白など。花序が短く、上の方の花から先端の花までほとんど時間差なく咲くのが特徴です。ヤマフジからも多くの園芸品種が作出されています。
カピタン

カピタンは、ヤマフジから作出された園芸品種の藤。

花の長さが短いのが特徴で、花色は紫や白があります。
八重咲き

八重咲きは、観賞用に作出された園芸品種。藤とは思えない花姿に目を奪われます。
サッコウフジ

サッコウフジは、マメ科ナツフジ属の常緑性のつる植物。夏に濃い紫色の藤に似た花を咲かせますが、厳密には藤の仲間ではなく、ナツフジの仲間です。花色は濃い紫、葉は濃いグリーンで青々と茂り、藤よりも力強い印象です。また、花を上向きに咲かせる姿も藤とは違います。
シナフジ
中国原産の藤。花の直径が2.5㎝程度と大きめで、花序は15~30㎝程度です。つるの巻き方は左巻きで、長さは10m以上、20mにもなると言われています。
花色は淡い紫色の他に、紫、白などがあります。シナフジは中国では「紫藤」と書きます。
アメリカフジ
アメリカ原産の藤。花の直径は2㎝、花序は10㎝程度と日本の藤よりも短めです。花の密度が高いのが特徴です。つるの長さも5m未満と短めです。花色は薄紫やピンクなどがあります。
ノダフジとヤマフジの違いと見分け方

ノダフジとヤマフジの違いと見分け方です。花が咲いている時期は花序の長さ、花が咲いていない時期はつるの巻き方で見分けます。
花の違いと見分け方
- ノダフジ:花の直径は2cm、花序の長さは30㎝~1m
- ヤマフジ:花の直径は2.5cm、花序の長さは15~30㎝程度
ノダフジとヤマフジは、花序の長さの違いで見分けられます。ノダフジの方が圧倒的に長いのが特徴です。
つるの巻き方の違いと見分け方
- ノダフジ:左肩上がりの左巻き
- ヤマフジ:右肩上がりの右巻き
左巻きか右巻きかは、上から眺めた時の図です。上から見て時計回りの左巻きならノダフジ、反対の右巻きならヤマフジという風に見分けます。
日本原産で海外でも愛されている藤の花は、優美で、たおやかで、毎年花を咲かせてくれる逞しい花木です。藤の花の季節には、見逃すことなく、観賞しにお出かけしましょう。
▼編集部のおすすめ








































