ジャガイモ(馬鈴薯)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ジャガイモ(馬鈴薯)
- 学名
Solanum tuberosum
- 英名
- Potato
- 和名
- 馬鈴薯
- 科名
- ナス科
- 属名
- ナス属
- 原産地
- 南アメリカ アンデス地方
ジャガイモ(馬鈴薯)の特徴
主な春夏野菜の栽培の植え付けのトップバッターといえば「ジャガイモ」です。
ジャガイモはサツマイモに比べて先端が丸く、表面もツルツルとしています。サツマイモのような根の部分とは違い、ジャガイモは地下茎の先端が肥大したものです。その証拠に、ジャガイモが日に当たると緑色に変色します。緑色に変色したものや小ぶりなものは毒性が強いので食べないようにしましょう。
ジャガイモの芽にはソラニンという毒性の成分があるため、調理前に取り除く必要があります。包丁の角でえぐるように取ると簡単に取れます。
ジャガイモの栄養価はカリウムや、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンCなどでビタミンがでんぷんによって調理の熱から守られているため、効果的に栄養を体内に取り入れることができます。比較的乾燥した地域でも生育し、一年中栽培されるため世界中で好まれて食されています。 見た目がふっくらとしてしわがなく重量感があるものがおいしいとされています。新じゃがはみずみずしく皮が薄いのが特徴です。春、秋、冬作と一年中収穫されており、収穫したあと乾燥させて保存すれば長く保存できます。
ジャガイモ(馬鈴薯)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
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草丈・樹高 | 30~80cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | やや弱い |
花色 | 白、紫色 |
開花時期 | 5月~6月、10月~11月頃 |
ジャガイモ(馬鈴薯)の種類
男爵いも
見た目はごつごつとしていて、蒸かすとほくほくしています。
メークイン
細長い形で煮崩れが少ない品種です。
キタアカリ
形は男爵薯とよく似ていてゴツゴツした感じ。果肉は男爵薯より黄色く、甘味が強い特徴があります。加熱するとホクホクした食感があります。
インカのめざめ
小ぶりのジャガイモで、果肉が美しい黄色をしています。きめが細かくて煮崩れしにくく、栗のような独特の風味があります。
ノーザンルビー
皮も果肉もピンク色のジャガイモ。ねっとりした食感で、加熱しても色は落ちません。
▼ジャガイモを畑で栽培した記録はこちら
ジャガイモ(馬鈴薯)の豆知識
料理によく使われる片栗粉はジャガイモのでんぷんの粉です。薬のコーティングなど工業用品としても利用されています。ポテトサラダ、カレーやシチュー、肉じゃが、フライドポテトなど世界中の料理に愛用されています。片栗粉でとろみをつける料理を作るとき、片栗粉の代わりにすりおろしたジャガイモを使うことができます。
ジャガイモ(馬鈴薯)の歴史
日本には観賞用として慶長年間にオランダ人によって持ち込まれ、東洋の貿易の拠点ジャワ島にちなんでジャガタライモと名付けられジャガイモになりました。
ジャガイモ(馬鈴薯)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
収穫 |
ジャガイモ(馬鈴薯)の栽培環境
日当たり・置き場所
ジャガイモは日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。
温度
ジャガイモはの生育適温は15~25℃です。
用土
ジャガイモはアルカリ性に傾いていると「そうか病」になりやすいので、石灰の量には気を付けましょう。
プランター栽培のジャガイモは、野菜用の培養土で育てます。
畑栽培のジャガイモは、植え付け前に土を耕す準備が必要です。畑の土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに植え付けができます。
ジャガイモ(馬鈴薯)の育て方のポイント
水やり
比較的乾燥気味に育てます。水を与えすぎるとイモが腐りやすい状態になるので注意しましょう。
肥料
1回目の追肥
芽かきと土寄せのタイミングで追肥をします。
2回目の追肥
元気に育った種イモが花芽をつけ花を咲かせる頃、2回目の追肥の時期になります。(ジャガイモの花が咲かない場合もあるので、土寄せのタイミングで追肥をしましょう。)
ジャガイモ(馬鈴薯)の詳しい育て方
選び方
種イモと食用ジャガイモの違い
基本的に、種イモとして販売されているものは栽培用に、食用として販売されているものは調理用に使うことをおすすめします。
種イモ用のジャガイモ
ウィルス系の病気に感染した種イモは、うまく育たずに収穫量が減ってしまいます。そのため、種イモが病気に感染しないように食用には適さない薬剤を用いる場合があります。また、種イモ用のジャガイモは、芽が出るタイミングを調整する処理を行っていることがあります。
食用のジャガイモ
ジャガイモのウィルス系の病気は人には悪い影響が無いとされているため、食用のジャガイモの中には、ウィルス系の病気にかかっているものが混ざることがあります。食用のジャガイモは、お店に並んでいる間に発芽しないように、芽が出にくくなるような処理が行われています。
種イモを切るときのポイントと手順
種イモは40g前後のものを用意します。
大きすぎる場合は、切ってから植え付けます。植え付ける際、切った種イモが腐らないように、草木灰を切り口につけてから植え付けます。
- 芽の数が均等になるように縦に切り分ける。
- 風通しが良い場所に2~3日置いて切り口がコルク状になるように乾かす。
- 植え付け直前に切って植え付ける場合は、草木灰をまぶして種イモの腐敗を防ぐ。
芽出し
ジャガイモの品種を選び種イモを用意したら、ジャガイモの生育の良いスタートを切るために、ジャガイモの芽を軽く出してから植え付けてあげましょう。
芽出しをする場所の条件
1.雨がかからず程よい日差しががある場所。暗い場所だと徒長した白い芽が出て、植え付けるときに芽が折れやすくなってしまいます。
2.10~20℃の温度が保てる場所。強い日差しだと高温になりすぎる場合があるので注意しましょう。
以上の条件に気を付けて、2~3週間をめどに芽出しを行ってください。
品種によりあまり芽出しを必要としないものもありますのでお確かめください。
植え付け
植え付けは春なら3月頃から、秋は8月下旬頃から開始します。発芽適温は10~20度です。
ジャガイモは植え付けてから、およそ100日ほどで収穫できる作物です。つまり、3/1にジャガイモを植え付けると、100日後の6/9に収穫できるという計算になります。ジャガイモは晴れた日が2~3日続き、土が乾いている状態の方が収穫の時に皮を傷つけません。そのため、春に植え付けるジャガイモは梅雨の前に収穫可能なスケジュールを立てるようにしましょう。
畑に植える株間と深さ
株間25~30cmくらい、深さ10cmくらいに穴を掘り、種イモを配置します。土をかぶせて表面を平らに整えて、たっぷり水やりしたら植え付け完了です。
種イモの植え付け時の裏技~逆さ植え
通常のジャガイモの植え付けは、芽を上にして植え付けますが、逆さ植えとは文字通り芽を下にして植え付ける方法です。こうすることで、強い芽だけが生き残ります。このようにジャガイモにストレスを与えることで、生育を促進させるねらいがあるのです。
ジャガイモは植えてから芽が多数出てきた後に芽かきといって、種イモから1~2の芽を残して他は抜き取ってしまう作業があります。逆さ植えにすることで、弱い芽が淘汰されることにより、芽かきする数が減り作業がとても楽になります。
一方、芽を下にして植える方法は、種イモを切った断面に水がたまって腐りやすいという説もあります。色々試してみるのがよいと思います。
発芽
種イモを植え付けてからの気温や天気により、発芽日数はまちまちです。
気温が低い日が続くと発芽までに1か月ほどかかる時もあります。
ジャガイモが全く発芽していない場合
ジャガイモの発芽が確認できない場合は次の理由が考えられます。
発芽の温度が足りない。
この場合はもう数日、暖かい日になるのを待ちましょう。
植付け方が深すぎる
ジャガイモは生長に合わせて「土寄せ」といって土を盛っていきます。最初から深く埋めすぎていると発芽しづらい状態のようですので、思い当たる方はもう一度種イモの上の土の状態を確認してください。
発芽するまでは種イモが土から出ない程度の軽く土をかぶせた状態が発芽しやすいようです。
芽が折れている
出始めの芽の茎を折ってしまうことがあります。あまりにも芽が出ないときは、静かに土をどけて芽が折れていないか確認してみてください。
種イモを腐らせた
芽が出るまでの種イモは、まだ根が出ていない状態です。そのため、過剰に水を与えても充分に水分を種イモが吸収できず、ただ種イモを腐らせてしまいます。
また、種イモを切って植え付けた場合も草木灰などで腐敗防止していないなどの理由から、種イモが腐ってしまうことがあります。
腐ってしまったら植え付けた種イモはあきらめて、新しい種イモを改めて植え付けることが必要です。
たまたま発芽しない種イモだった
今までのことを気を付けたにもかかわらず、芽が出ないときは皆さんのせいではありません。たまに発芽しない種イモもあります。種イモを何度確認してみてもうんともすんともいわない時は、潔くあきらめて新しい種イモを改めて植え付けましょう。
花
ジャガイモの花は白または紫色で、品種によって花色が違います。
ジャガイモの花が終わった後、トマトのような形の実ができることがありますが、この実は天然毒素が含まれるため、食べることはできません。
収穫
ジャガイモの収穫適期
ジャガイモは土の中で大きくなります。そのため、いつジャガイモの収穫時期なのか迷ってしまうことがあります。
ジャガイモの収穫時期の目安
ジャガイモを栽培して100日程経過した頃、地上部の葉が黄色くなり、枯れてきたら収穫の目安です。秋冬栽培は、霜が降りると土中のジャガイモの品質も落ちるため、霜が降りる前には収穫を終わらせます。
100日程経過しても、葉が青々と茂っていて、収穫してよいのか分からないときは試し掘りをしてみましょう。
収穫時の天気
雨の日が続いた後の収穫だと、ジャガイモを掘り出すときに皮が柔らかくなっていて傷つきやすいため、できれば晴れた日が2~3日続いた後がよいでしょう。
ジャガイモの収穫
種イモ1個から、収穫できるジャガイモの数は5~20個ほどですが、大きさは20~200gと幅があります。
これは芽かきの数によります。
袋栽培ならば、種イモ1個に対して、芽かきで残した芽の数が1~2本なら収穫は5個くらいが大成功といったところです。
ジャガイモの芽かき
ジャガイモは根菜類ではありますが、実は地下茎の先端が肥大したものです。
1個の種イモから出た芽が何本も生長すると茎もたくさん生長し、その分地下茎の数も多くなります。つまり、地下茎の先端が肥大化してできるジャガイモの個数は増えるため、その分、小さなジャガイモになるということです。
そのため、いつも料理で使っているような大きさにするために、発芽したジャガイモの芽を適度にかくこと(取り除くこと)で大きなジャガイモに育てることができるというわけです。
ジャガイモ栽培例|芽かきの方法
茎の本数が少なければ少ないほど大きいジャガイモが収穫できることと、茎が風などで折れてしまうリスクを考えると、ベランダで行う栽培では芽を2本程残して育てる方法をおすすめします。畑で栽培する場合は、2~3本残して育てましょう。
1.元気そうな芽を2本選びます。この2本を今後育てていきます。
2.芽かき(取り除く芽)の対象となる茎の下の方をしっかりとつまみます。取り除く際に他の芽も抜けてしまわないように種イモをしっかり反対の手で押さえます。
3.種イモから抜き取るようなイメージで取り除く芽を回しながら抜き取ります。この時急いで無理に抜き取ると種イモや他の茎にダメージを与えてしまいます。焦らずじっくり芽かきをしましょう。
1回目の土寄よせ
先ほどジャガイモは地下茎が肥大したものということをお話ししましたが、ジャガイモが光に当たると緑色になることが「ジャガイモ=地下茎」という証拠となります。
その証拠に、サツマイモは根が肥大したものですので土から出てしまっても緑色にはなりません。
ジャガイモが緑色になるとソラニンといって毒性の物質になってしまいます。そこでジャガイモを緑色にさせないために土寄せをしてやる必要があります。
2回目の土寄せ
追肥のタイミングで土寄せをします。
収穫までに注意すること
ジャガイモが緑色になるとソラニンといって毒性の物質になってしまいます。そこでジャガイモを緑色にさせないために土寄せをしてやる必要があります。土の表面を時々観察して、ジャガイモが土から顔をのぞかせていないか確認し、必要ならば再度土を入れましょう。