ジャガイモの育て方|種芋の植え付け~収穫まで(約100日)
戸松敦子
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畑でジャガイモを栽培した様子をご紹介。種芋の植え付け、水やり、芽かき、土寄せ、追肥、収穫までの約100日間をレポートします。種芋と食用ジャガイモの違い、ジャガイモの花や実についてもお話しします。ジャガイモがどのように育ち、どんなふうに収穫できるのかぜひご覧ください。
撮影協力/アグリス成城
目次
ジャガイモとは
ジャガイモは、ナス科ナス属の野菜です。原産地は南アメリカのアンデス地方。最初に栽培されたのは5世紀頃で、先住民の主食とされていたそうです。コロンブスの新大陸到達後にヨーロッパに渡り、日本には16世紀頃に伝わった後、本格的に栽培されるようになったのは明治以降と言われています。日本では北海道が主な産地ですが、全国各地で栽培されています。
地下茎の各節から出た枝の先端が肥大して塊茎になったものがジャガイモです。品種によって色や大きさ、形が違います。主成分はデンプンですが、ビタミンB1、ビタミンC、食物繊維も多く含んでいるため穀物と野菜の両方の働きを持っています。
1年の中で春と秋に植え付け適期があり、簡単に育てることができるので家庭菜園でも人気があります。草丈は高さ80cmくらいまで生長し、白や紫色の花を咲かせます。
ジャガイモの植え付け
植え付け前の畑の準備
畑の土が酸性に傾いている場合は、種まきする2週間前くらいに畑に石灰(苦土石灰・消石灰)をまいて深く耕します。その1週間後に堆肥と元肥を土に混ぜ込んでなじませましょう。雨の多い日本の土は、ほとんどが酸性よりと言われているため石灰をまくことが多いですが、酸度計を使って土のpHを調べることもできます。
石灰(苦土石灰・消石灰)をまいてから、堆肥と元肥を混ぜるまで1週間あける理由は、石灰と窒素分を含む肥料を合わせると、窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうためです。
時間が無くて日数が取れない場合は、有機石灰と完熟堆肥、有機元肥を使うと、いっぺんに混ぜ込んですぐに植え付けをすることができます。
私が借りている菜園では、スタッフの方が年に一度、土のメンテナンスを行ってくれるので、自分で石灰や堆肥の混ぜ込みはせず、菜園指定の有機元肥を混ぜ込んですぐに植え付けることができます。そのあたりは貸菜園によって規則が異なるので、石灰などを混ぜ込む場合は事前に管理者に確認しましょう。
▼畑を耕して整地して畝を作る様子は、ニンジンの種まき記事に載っています!
種芋と食用ジャガイモの違い
ジャガイモ「キタアカリ」の種芋
基本的に、種芋として販売されているものは栽培用に、食用として販売されているものは調理用に使うことをおすすめします。
食用のジャガイモを種芋に使うことはできないの?そんな疑問が出てくるほど、種芋用と食用のジャガイモは見た目では区別がつきません。では、違いは何でしょう?
種芋用のジャガイモ
ウィルス系の病気に感染した種芋は、うまく育たずに収穫量が減ってしまいます。そのため、種芋が病気に感染しないように食用には適さない薬剤を用いる場合があります。
また、種芋用のジャガイモは、芽が出るタイミングを調整する処理を行われていることがあります。
食用のジャガイモ
ジャガイモのウィルス系の病気は人には悪い影響が無いとされているため、食用のジャガイモの中には、ウィルス系の病気にかかっているものが混ざることがあります。
食用のジャガイモは、お店に並んでいる間に発芽しないように、芽が出にくくなるような処理が行われています。
種芋の使い方
ジャガイモ「キタアカリ」の種芋
適度に芽が出た状態の、充実した種芋を使います。
70~80gくらいの大きさなら2つに切り、さらに大きいものは3~4つに切ります。切るときは、芽が均一に分かれるようにしましょう。
切り口から腐らないようにするため、切り口には草木灰を軽くつけておきます。
ジャガイモ「インカのめざめ」の種芋
品種によっては小さい種芋もあります。「インカのめざめ」は、こぶりなので、切らずにそのまま植え付けました。
種芋の植え付け方法
3月20日
今回は、春植えのジャガイモ。左側の4個が「キタアカリ」、右側の4個が「インカのめざめ」です。
株間25~30cmくらい、深さ10cmくらいに穴を掘り、芽を上にして配置しました。土をかぶせて表面を平らに整えて、たっぷり水やりしたら植え付け完了です。
芽を下にして植えてジャガイモにストレスをかけ、強い芽を生き残らせる方法もありますが、切り口を上に向けると断面に水がたまって腐りやすいという説もあります。色々試してみるのがよいと思います。
4月5日
植え付け後に再び寒くなり心配していましたが、芽が出てきたことを確認して安心しました!土の色と似ていますが、小さな芽が出ています。
ジャガイモの水やり
4月12日
それぞれの株からしっかり芽が出ました。畑で育てる場合、水やりはほとんど必要ありません。雨が降らない晴れの日が続いた時に、軽く水やりをするくらいで十分です。
4月19日
一週間後に畑に行くと、力強く生長している姿を見て嬉しくなりました。茂ってきたので、芽かきをした方がよさそうですね。
ジャガイモの芽かき・土寄せ
4月19日
たくさん芽が出たので、1株に2~3本残して他は抜き取ります。種芋を引き上げてしまわないように、株元を押さえて斜め上に引っ張りましょう。引き抜くのが難しい時は、ハサミでカットしてもよいです。
4月19日
芽かきをすると残した芽の根元がぐらつくため、まわりの土を株元に寄せておきます。
4月26日
芽かきから1週間後です。さらに勢いを増して茎が伸び、そろそろ追肥が必要な様子です。追肥する時には、同時にしっかりと土寄せをしましょう。
6月21日
ジャガイモが土から顔を出して直射日光に当たり、青くなってしまいました。慌てて土をかぶせましたが、青くなった部分は天然毒素が発生しているので食べられません。種芋より浅い場所にジャガイモができるため、生長過程の土寄せはとても大切です。
ジャガイモの追肥
4月19日
植え付けから約1か月。芽かき後に土寄せを行い、それと同時に1回目の追肥を行いました。株の周りに固形の有機肥料を8粒くらいずつ軽く埋めていきます。
5月10日
1回目の追肥から約20日後、2回目の追肥を行いました。花が咲く頃が2回目の追肥の適期とも言われるので、タイミングがばっちりだったと思います。花の形は、同じナス科のナスに似ています。
5月31日
余談ですが、ジャガイモの花が終わった後、トマトのような形の実ができることがあります。花の形はナスに似ていて、実の形は同じナス科のトマトに似ているので面白いですね。でも、この実は天然毒素が含まれるため、残念ながら食べることはできません。
ジャガイモの収穫・タイミング
6月21日
植え付けから約3か月後の様子です。葉が少し枯れ始めました。そろそろ収穫できそうですが、天気がいまいちだったこともあり翌週掘ることにしました。
春に植えたジャガイモの収穫時期は6月中旬くらいと言われますが、地域や天候によっても異なります。収穫の目安は、葉の7~8割くらいが枯れてきた頃。ジャガイモは雨の日や雨が続いた後に収穫すると腐りやすいため、晴れた日が続いている時に掘りあげるのがおすすめです。
6月28日
植え付けから約100日。地上部がかなり枯れています。ものすごく天気が良く、収穫日和です!
太い茎を引っ張ると……
ゴロゴロとジャガイモが顔を出しました。
周りを掘っていくと、たくさんのジャガイモが収穫できました!土の中をさぐってジャガイモを見つける感覚は楽しくてやみつきになりますね。
ジャガイモを育てよう♪
今回収穫したキタアカリです。種芋2個を使って半分に切り、4株にして植えてこれだけ収穫できました。日陰に広げて並べて、腐らないようにしっかり乾かします。
こちらはインカのめざめ。種芋4個を切らずにそのまま植えました。インカのめざめは、キタアカリと比べると育てにくく収穫量も少ないと言われているので、まずまずのできかなと思います。早速じゃがバターにしましたが、栗に似た甘い味がして美味しかったです!
他には男爵、メークイーンなどの品種も人気があります。最近では中が色鮮やかな紫色のジャガイモもあるので、珍しいものを作ってみるのも家庭菜園ならではですね。ジャガイモは常備野菜で、ポテトサラダ、フライドポテトなど美味しいメニューも盛沢山。ぜひ、ジャガイモを育てて収穫を楽しみましょう!
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