ズッキーニとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ズッキーニ
- 学名
Cucurbita pepo
- 英名
- Courgette
- 科名
- ウリ科
- 属名
- カボチャ属
- 原産地
- 中南米、北アメリカ南部
ズッキーニの特徴
ズッキーニは、見た目はきゅうりのようですが「ペポかぼちゃ」の変種です。原産地は北アメリカ南部~中南米ではないかと考えられています。16世紀頃にヨーロッパに伝わり、19世紀後半にイタリアで改良されたものの中からズッキーニが誕生したと言われています。
別名「つるなしカボチャ」といわれ、分枝が発達することはなく、親づるがどんどん生長します。整枝といって、ズッキーニの実の下の葉を処理したり、支柱などでぐらつく株元を支えながら管理しながら栽培します。
ズッキーニは日本ではまだ歴史が浅く、普及し始めたのは1980年頃からですが、家庭菜園ではお洒落で人気の野菜のひとつです。花がついたままの未熟な果実も食用にするため、エディブルフラワーとしての一面もあります。
緑色の他、黄色、まだら模様、ツートンカラーなど、品種が豊富です。一般的なズッキーニの形のほか、丸型やUFOのような形のものなどユニークなものもあります。
ズッキーニの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
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草丈・樹高 | 50~60cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 5月~8月 |
ズッキーニの生産
ズッキーニの消費は年々増加しており、 この10年ほどで国内での生産量もかなり増加しています。なかでも長野県や宮崎県が主な産地となっており、この2県で国内の生産量の半分以上を占めています。
ズッキーニの選び方
ズッキーニはかぼちゃの仲間ですが、かぼちゃのように寝かせて美味しくなるというものではありません。ヘタの切り口が新しいものを選びましょう。収穫時期を逸して育ちすぎたものは、果肉がスカスカになっていて食味が落ちています。適度な大きさで太さが均一なズッキーニを選びましょう。
ズッキーニの保存方法
ズッキーニは乾燥や低温に弱く、そのまま冷蔵庫で保存すると鮮度が落ちやすくなります。新聞紙やラップなどで包み、直接冷気が当たらないように注意しましょう。長くは保存できないので数日中に食べ切ります。スライスして冷凍保存もできますが、食感が軟らかくなります。できるだけ早く食べることをおすすめします。
ズッキーニの栄養
ズッキーニにはカリウムやビタミンC、ベータカロテン、ビタミンAなどが含まれています。
花ズッキーニが異様に苦い!
ズッキーニやキュウリなどのウリ科の植物には、ククルビタシンといわれる苦味成分が含まれています。通常のズッキーニは、何の問題もなく食べることができますが、極まれにククルビタシンの含有量が多い花ズッキーニがあり、食したときに苦味で違和感を感じます。この苦い花ズッキーニを無理に食べると、下痢やおう吐、腹痛を起こすことがあります。ズッキーニの苦味を感じるような場合は、加熱してもククルビタシンを防ぐことはできないので、残念ですが食べずに捨てましょう。
ズッキーニの調理法
ズッキーニは、くせが無いのでどんな料理にも使えます。特にトマトやニンニク、お肉とよく合います。煮込み(ラタトゥイユなど)、炒め物、ソテー、フライ、サラダをはじめ、天ぷらなどの和風料理にも用います。さっと炒めて和風のピクルス漬けもできます。炒めてカレーのトッピングに使うのもおすすめです。
ズッキーニの花言葉
ズッキーニの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
収穫 |
ズッキーニの栽培環境
日当たり・置き場所
ズッキーニは日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。
温度
ズッキーニの生育適温は20℃前後です。
用土
ズッキーニは中性に近い弱酸性を好みます。
プランター栽培のズッキーニは、野菜用の培養土で育てましょう。
畑栽培のズッキーニは、植え付け前に土を耕す準備が必要です。まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ耕しましょう。その1週間後に堆肥と元肥を入れ土になじませます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。そのため、石灰と肥料を合わせて使用する際は最低でも1~2週間ほど日数をあけて投入しましょう。
なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても堆肥と石灰を使用するために必要な日数がない場合は「有機石灰」の使用をおすすめします。
ズッキーニの育て方のポイント
水やり
水の与えすぎに注意し、土が乾いてからしっかり与えましょう。ただし、収穫最盛期になると水分を必要とします。乾燥させないように、定期的に水やりを行いましょう。
通常畑で栽培する際は、マルチや敷きわらを敷き、雨のはね返りによる病害虫や夏の乾燥を防ぎます。
プランター栽培は、バーク堆肥などを苗の周りに敷いて、梅雨時期の雨のはね返り・乾燥を予防するとよいでしょう。
肥料
追肥は一番果の収穫期から開始し、蔓先付近に与えます。
使用している肥料の頻度の目安を守って与えましょう。肥料の与えすぎは、アブラムシの発生の原因になります。
アブラムシはアミノ酸が大好き。葉で合成されるアミノ酸に集まります。アミノ酸は、過剰な肥料投入などで、窒素成分を野菜に与え過ぎると発生しやすくなります。正しい量の肥料を心がけましょう。
ズッキーニの詳しい育て方
選び方
葉の緑が濃く、厚みがある。
目で葉の厚みを見極めましょう。実際にホームセンターや園芸店で、葉をやみくもに触るのはズッキーニの苗に負担がかかります。お店への配慮のある対応を心がけましょう。
節間がしまっている。
他の野菜と比べて節間が間延びしたものはあまり見られないと思いますが、節がしっかりしているものを選びましょう。株元がぐらついているものは避けます。
大きい子葉が付いている。
子葉が黄色くなっていたり、落ちて無くなっているものはあまりおすすめしません。
蕾か花が付いている。
雌花と雄花がもうしっかりと出来ていますが、ズッキーニが実るかどうかは今後の受粉次第で決まります。昆虫の手助けをあまり得られないときは、人工授粉でしっかり実らせましょう。
病害虫が付いていない。
ズッキーニが病気にかかっていないか、アブラムシなどの害虫がついていないかよく見て確認しましょう。
苗の先端に勢いがある。
種まき
ズッキーニの発芽温度は25℃以上です。ポリポットに種をまき、良い芽を残して育苗しましょう。
植え付け
1.苗に充分水分を与える。
植え付ける前のひと手間です。植え付けてしまった後に気づいた場合は、最後に水をしっかり与えてください。
2.プランターに苗と同じくらいの穴を開け、苗を軽く手で押さえ根鉢を崩さないように植え付けます。
白い根が見えています。新しい根がぐんぐん生長している様子が分かります。
3.苗の周りを少し凹まして、苗にしっかり水が浸透するように植え付けると乾燥しにくくなります。
植え付けてから1週間はしっかり苗に水を与えましょう。1週間すると苗が土に活着してくるので、適度な水やりに切り替えていきます。
4.箸か小さめの支柱を立てて苗を安定させます。
誘引はまだできないほどの大きさですが、このように割りばしなどで軽く支えましょう。
5.最後は水をしっかり与えます。
植えたばかりの苗は土に活着するまでに少し時間がかかります。その際根が乾燥してしまわないためにも、植え付けから1週間位はしっかりと水を与えます。水の代わりに病害虫予防のためにニームを希釈したものをかけてもよいでしょう。
6.まだ苗が小さいので、寒冷紗に入るうちは出来るだけ中に入れて育てましょう。
ズッキーニを植え付けたばかりの日中は、だんだんと暖かい季節になりますが、日が暮れると気温は下がります。害虫対策だけでなく、寒さ対策のためにもこの時期は寒冷紗の中に入れてあげましょう。
植え付け間隔
ズッキーニの株は横に広がりながらも上に伸びます。畑で栽培するときは、株間は70~90cmほどあけましょう。プランター栽培の場合は、大きな10号鉢くらいのものに植え付けると育てやすいでしょう。
ウリ科ではめずらしく連作障害の出にくい野菜と言われているズッキーニですが、同じ場所で栽培する場合は少なくとも1年はあけた方が無難です。
摘芯(摘心)・摘果
早い段階で実をつけてしまうと、苗が体力を消費して生長に遅れが出てしまいます。そのため、2~3番目までの雌花は取り除きます。このように、良質の実をつけさせるために花やつぼみを取ることを摘花といいます。
もし、雌花が実になってしまっても大丈夫です。一番最初になった実は一番果といいますが、大きくならないうちに取り除きます。良質な実をつけさせるために実がまだ幼いうちに採ることを摘果といいます。
花
ズッキーニの花は、雌花と雄花がしっかり分かれています。この2つが同じ開花時期を迎え、受粉することでズッキーニの実ができます。2~3番目の雌花の摘花後、人口授粉で確実に着果させます。
雌花
ズッキーニの赤ちゃんのようなものが花のお尻についているのが雌花です。
雄花
茎からすっと伸びた、少し大きめの花を咲かせるのが雄花です。
雄花ばかり咲くのはなぜ?
これについては、ほとんど心配しなくても大丈夫です。開花して間もないころのミニズッキーニの花は、雄花ばかりという場合があります。(たまに雌花ばかりということも)
気温が安定して高くなる時期になると、次第に雄花と雌花が両方咲くようになることがほとんどです。まずは株を育てる時期と思って雌花の開花を待ちましょう。
収穫
ズッキーニは、開花後1週間ほどで長さ20~30cm前後に生長し、収穫することができます。
丸ズッキーニは開花後3~5日で6~7cmほどで収穫になります。
品種によって収穫のサイズが異なりますので、品種の確認を忘れずにしましょう。穫り遅れせず、追肥と水やりが適度であれば、長期間収穫を楽しむことができます。果実を大きくしすぎると、草勢が衰え、病害にもあいやすくなるため注意しましょう。
花ズッキーニの調理法
雄花や幼果が生長する前の雌花の「花ズッキーニ」は、店頭でなかなか見かけることができませんが、自分で育てていると新鮮な花ズッキーニを収穫することができます。花の部分にチーズや挽肉などを詰めて揚げ物にするのが人気の食べ方です。
ズッキーニの人工授粉
人工授粉の条件
晴れた日を選んで、その日に咲いた新鮮な雄花を選び、できるだけ同じ日に咲いた雌花と朝の9~10時までには授粉させましょう。
人工授粉の手順
①雄花を切ります。
②雄花の花びらをめくり、花粉を付けやすいように花びらをむきます。
③雌しべにそっと雄しべの花粉をこすり付ければ人工授粉は完成です。
収穫後の整枝(せいし)
整枝(せいし)
古い葉や病葉を除去すると、採光性がアップし、風通しが良くなります。収穫したズッキーニより下葉は、摘み取りましょう。
支柱・誘引(ゆういん)
ズッキーニの株は、茎葉を横に広げながら上へと伸びていくために、風で倒れたり、実がついて重くなり、途中で折れてしまうことがあります。
太くて強度のある支柱を、株元に垂直に立てて茎を安定させます。支柱は根を傷めないように、しっかりと地中に突き刺しましょう。