マグノリア|花の季節、香りの特徴、種類を紹介
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マグノリアってどんな花?種類、花の季節、香りの特徴を紹介します。写真つきなので「これもマグノリアだったのか!」とわかって楽しめる記事です。
目次
マグノリアってどんな花?
マグノリアとは、特定の花の名前ではなく、モクレン科の総称であり、学名の Magnolia を日本語読みしたものです。学名の Magnolia は、フランスの植物学者マニョール氏(Pierre Magnol )の名前に由来します。フレグランスの商品名に使用されたりしているので、耳にすることが多いのではないでしょうか。
マグノリアは、日本、ヒマラヤ、マレーシア、北アメリカ、熱帯アメリカなどに広く分布していて、日本でも馴染みの深いシモクレンやハクモクレン、タイサンボクなどが含まれ、いずれも香りのよい特徴的なフォルムの花を咲かせます。
- 植物名:マグノリア
- 学名:Magnolia
- 科名:モクレン科
- 分類:常緑または落葉の高木、低木
マグノリアの英語や外国語の名前
マグノリアはヨーロッパでも人気の花木です。印象的なフォルムで香りのよい花を咲かせるので、庭木として愛され、たくさんの園芸品種が作出されています。世界で愛されるマグノリアの外国語の名前を紹介します。
- 日本語:モクレン
- 英語:Magnolia(マグノリア)
- フランス語:Magnolia(マニョーリャ)
- ドイツ語:Magnolie(マグノリエ)
- スペイン語:Magnolia(マグノーリア)
- ポルトガル語:Magnolia(マグノーリア)
マグノリアの外国語の名前は、発音こそ違えど綴りはほとんど同じでした。学名の Magnolia がそのまま植物名となっているようです。
こんなにある! マグノリアの種類
マグノリアにはたくさんの種類があります。身近な場所で見られるマグノリアを紹介します。
モクレン
- 学名: Magnolia liliiflora
- 花色:濃いピンク、紫
- 花期:3月~4月
特徴
モクレンは、春に鮮やかな紫や濃いピンクの花を咲かせる落葉低木。ハクモクレンと区別するためにシモクレンと呼ばれることもあります。チューリップのように上向きに花を咲かせる様子を蓮に例えて、漢字では木蓮と書きます。樹高3~5m程度なので、低い枝に咲いている花で香りを楽しむことができます。
ハクモクレン
- 学名: Magnolia denudata
- 花色:白
- 花期:3月
特徴
ハクモクレンは、早春にクリーム色がかった白花を咲かせる落葉高木。シモクレンとハクモクレンの違いは、シモクレンの花色は赤紫で花びらが6枚、ハクモクレンの花色は白で花びらは9枚というところです。高木の上の方の枝に花を咲かせるため、香りを楽しむことは難しいのですが、切り花で楽しむことができます。
コブシ
- 学名:Magnolia kobus
- 花色:白
- 花期:3月
特徴
コブシは、モクレンより少し小さめの花を咲かせる落葉高木。花びらを不規則に広げるようなフォルムが特徴です。コブシと似た印象のハクモクレンとの違いは、コブシの花びらの枚数は6枚であるのに対して、ハクモクレンは9枚です。どちらかわからない時は、花びらの枚数を数えてみましょう。
シデコブシ
- 学名:Magnolia kobus
- 花色:白、ピンク
- 花期:3月~4月
特徴
シデコブシは、コブシより少し早いか、同じ頃に花が咲く落葉高木。コブシに比べて花びらが多いのが特徴です。園芸品種が多く、樹高が低く、育てやすいものもたくさんあります。
サラサモクレン
- 学名:Magnolia × soulangeana
- 花色:薄いピンク、ピンク
- 花期:3月~4月
特徴
サラサモクレンは、モクレンとハクモクレンの交雑種。美しさからヨーロッパで人気があり、品種改良も盛んで、花のサイズや色の濃淡などバリエーションも多様です。庭木として愛され、日本でも個人のお庭や庭園に植えられています。あまり大きくならない木なので、下の方の枝に咲いている花の香りを楽しむことができます。
タイサンボク
- 学名:Magnolia grandiflora
- 花色:白
- 花期:6月~7月
特徴
タイサンボクは、20mを超す常緑高木。上の方に枝に花が咲くことと、大きな葉で隠れてしまうこともあって、花が咲いていても気づかれにくいようです。花のサイズは直径15~20cm、大きな花と爽やかな芳香が魅力です。アメリカではいくつかの州で州花とされています。お庭で育てやすい矮性種もあります。
ホオノキ
- 学名:Magnolia obovata
- 花色:白
- 花期:5月~6月
特徴
ホオノキは、初夏に白く香りの良い花を咲かせる落葉高木。葉で食べ物を包んで調理した朴葉焼きなど使用されることから、花よりも葉が有名です。高木の上の方の枝に花を咲かせるので、香りを楽しむことは難しいのですが、葉の間から大きな花を見つけた時の喜びは、何とも例えがたいものがあります。
オオヤマレンゲ
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- 学名:Magnolia sieboldii
- 花色:白
- 花期:5月~6月
特徴
オオヤマレンゲの名前の由来は、花が蓮に似ているから、山の中に自生している木だからとされています。あまり大きくならないため育てやすく、個人のお庭や庭園に植栽されているのを見かけます。白く香り豊かな花を咲かせます。
オガタマノキ
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- 学名:Magnolia compressa
- 花色:白
- 花期:2月~3月
特徴
オガタマノキは、樹高3m程度の常緑低木。直径3㎝程度の香りの良い花を咲かせます。常緑性で神事に使われることから、神社に植えられていることの多い木です。
カラタネオガタマ
- 学名:Magnolia figo
- 花色:クリーム色、ボルドーカラー
- 花期:5月~6月
特徴
カラタネオガタマは、初夏に花を咲かせる常緑低木。香りの良い花を咲かせることから、庭木として人気があります。花は3㎝程度と小ぶりで、バナナやパイナップルといった南国の果物を思わせるような甘い香りがします。
マグノリアとモクレンの違いは?
改めてマグノリアとモクレンの違いを整理します。
マグノリアとは、モクレン科の総称です。欧米では学名の Magnolia をそのまま花の名前としているので、少しわかりづらくなっているようです。モクレン=マグノリアではなく、モクレンもマグノリアの内の一つだということ。タイサンボクも、オオヤマレンゲもコブシもぜんぶマグノリアです。
マグノリアの花の季節や香りの特徴
マグノリアの花の季節
マグノリアの花が咲く季節は、春から初夏です。春にはモクレンを始め、ハクモクレン、コブシ、サラサモクレン、シデコブシ、カラタネオガタマなどが咲き、追いかけるようにオオヤマレンゲ、ホオノキ、タイサンボクと続きます。
マグノリアの香りの特徴
マグノリアの花にはなんとも言えない芳香があります。香りの主成分であるリナロールは、熟れた果実のような甘い香りが特徴。ジンチョウゲやクチナシ、キンモクセイ、ジャスミンなど、多くの甘い香りの花に含まれています。マグノリアの香りは、ジンチョウゲほどすっきりでもなく、クチナシほど官能的でもなく、甘さと華やかさのバランスの取れた優しい印象です。
マグノリアの花の多くは高木の上の方に咲くので、簡単に顔を近づけて香りを楽しむことが難しいもの。そんなもどかしさも魅力になっているのではないでしょうか。モクレンやカラタネオガタマのような、樹高の低いマグノリアを見つけたら、香りを確認してみてください。離れたくないと思ってしまうくらいの甘い香りを楽しめます。
マグノリアがタイトルに使われている映画
マグノリアがタイトルに使用されている映画をご紹介します。
マグノリア
- 1999年
- アメリカ
- 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
- 出演者:トム・クルーズ他
誰も主人公ではないというか、誰もが主人公という感じの賑やかな映画。
映画のなかにマグノリアの花は登場しませんが、映像もきれいでテンポよく楽しめます。
マグノリアの花たち
- 1989年
- アメリカ
- 監督:ハーバート・ロス
- 出演者:シャーリー・マクレーン、ジュリア・ロバーツ他
小さな町に住む女性たちの友情のお話です。母子愛もたくさん詰まっています。マグノリアの花は関係ありませんが、優しい気持ちになりたいときにおすすめの映画です。
マグノリアは、花も香りも魅力がいっぱいの花木です。種類が多いので、好みの花を見つけるのも楽しみになりそうです。春から初夏は、マグノリア探しのお散歩を楽しんでみませんか。
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