金木犀(キンモクセイ)とは?花言葉、香り、時期、英語、名前の由来

山田智美
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金木犀は秋を代表するような香りの良い花木。どこからともなく香りが漂って来ると、つい足を止めて花を探してしまう人も多いでしょう。香りのファンも多い金木犀について、基本情報から花言葉、時期、香りの特徴、成分、利用法、英名、名前の由来など、詳しく紹介します。
目次
- 金木犀(キンモクセイ)とは?基本情報
- 金木犀(キンモクセイ)の花言葉
- 金木犀(キンモクセイ)の時期
- 金木犀(キンモクセイ)の香り
- 金木犀(キンモクセイ)の名前の由来は?牧野富太郎博士命名
- 金木犀(キンモクセイ)の英語の名前
- 金木犀(キンモクセイ)の利用法
金木犀(キンモクセイ)とは?基本情報
- 学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus
Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino - 科名・属名:モクセイ科モクセイ属
- 分類:常緑高木
金木犀(キンモクセイ)の特徴
金木犀は、秋に香りの良いオレンジ色の小花を枝いっぱいに咲かせる常緑高木。金木犀の香りはとても印象的で、香りに気がついて周囲を見渡すと花が咲いていたというくらいです。
金木犀の葉は楕円形で光沢があり、椿のような厚みと硬さがあります。花は直径4~5mm程度と小さく、オレンジ色で4枚の花びらが合着したようなフォルムをしています。
金木犀の名前にある犀は、動物のサイのことを指す漢字です。これは、金木犀の幹をサイの肌に例えたことに由来するとされています。
- 金木犀(キンモクセイ)は、秋に甘い香りを漂わせながらオレンジ色の小花が開花するモクセイ科の常緑樹です。庭木としての他、公園や街路樹としても利用され、甘い香りのする花は秋の訪れを知らせてくれるような存在です。金木犀(キンモクセイ)のオレンジ色の小花をいっぱいにつけた姿は、日差しを受けると名前の通り金色に輝いて見え、秋の風物詩となっています。 金木犀(キンモクセイ)の名付け親は、植物学の父と呼ばれ、NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者の牧野富太郎博士で、学名にもMakinoの名があります。また、遠くまで香りが届くことから古くは「千里香」とも呼ばれていました。 金木犀(キンモクセイ)の花は食用にもなり、原産地・中国では花を砂糖漬けやシロップ、リキュールなどに利用します。中国茶の桂花茶(けいかちゃ)は、金木犀(キンモクセイ)の花を乾燥させたお茶です。
金木犀(キンモクセイ)の花言葉
金木犀(キンモクセイ)の花言葉は「謙虚」「初恋」
うっとりするほどの芳香に対して花は控えめな金木犀らしい花言葉です。
金木犀(キンモクセイ)の時期
金木犀(キンモクセイ)の花が咲く時期
金木犀の花が咲く時期は、9月~10月。残暑が終り、秋の風が吹き始めた頃に開花します。金木犀の花は一斉に咲き始め、一斉に散っていきます。咲いている期間はわずか1週間程度です。
金木犀(キンモクセイ)の香る時期
金木犀が香る時期は、花が咲いている間だけ。9月~10月の1週間程度です。香りに気がついたら、すぐに木の下に行って思いっきり楽しまないと、あっという間に散ってしまいます。
金木犀は2回開花する年もあります。開花してすぐに雨が降ってしまったり、強風や酷暑の戻りなどであっという間に散ってしまった年は、数日後に2回目の花を咲かせます。そんな年は香りを2度楽しめるので、ちょっと得をしたような気分になります。
金木犀の香りを楽しめるのは、秋のほんのわずかな期間だけ。金木犀の香りに切なさを感じるという人が多いのは、この儚さゆえかもしれません。
金木犀(キンモクセイ)の香り
金木犀(キンモクセイ)の香りの特徴
金木犀の香りは、秋の香りと言われるほど印象的な香りです。熟した果物を思わせるような甘さと、花らしい華やかさと爽やかさが入り混じったような香りです。
金木犀の学名 Osmanthus fragrans の属名 Osmanthus は、ギリシャ語の香り(osm)と花(anthos)に由来するとされています。さらに種小名のfragransも香るという意味があるので、香りの良い花であることを強調するような学名であることがわかります。
金木犀には九里香や千里香という別名もあります。金木犀の香りが風に乗って遠くまで漂っていくことから名付けられたようです。時代や地域によって異なりますが、一里は約3.9kmなので、ちょっと大げさなようにも思えます。
金木犀(キンモクセイ)の香りの成分
金木犀の香りの主な成分は、ガンマデカラクトン(γ-デカラクトン)とリナロールです。
ガンマデカラクトンは、果物などにも含まれる芳香のある成分。また、モンシロチョウなど一部の昆虫を寄せ付けない作用をしています。
リナロールは、甘い香りを持つアルコール成分。金木犀の他に、クチナシや沈丁花、ラベンダーなどの芳香を持つ花に含まれています。
金木犀(キンモクセイ)の香水は珍しい?
金木犀は中国の雲南地方が原産の花木。温暖な環境を好み、あまり寒いところでは育ちません。
日本や中国よりも北に位置するヨーロッパでは金木犀は育たなかったのでしょう。香水文化が盛んなヨーロッパで金木犀の香水というものがあまり作られなかったのはこのためだという話を聞いたことがあります。
少し前までは珍しかった金木犀の香水ですが、最近では秋になるとそこかしこから発売されます。定番のものから秋だけの限定品までさまざま。商品名に金木犀と付いているものから、オスマンサスと学名で名付けられているものまであります。お気に入りを探してみてはいかがでしょうか。
金木犀(キンモクセイ)の香りの不思議
金木犀は雌雄異株の花木ですが、日本には雄株しか存在しません。
花の香りは、花粉の媒介者である昆虫を引き寄せるためにあると言われています。金木犀は、雌株が存在しないので受粉して結実するということがありません。金木犀はクローンで増やされている花木です。
あれだけの香りを放ちながら果実を作らない植物というのは、とても不思議な存在です。この先もっと研究が進んで、金木犀の香りの不思議が解明されていくのが楽しみです。
金木犀(キンモクセイ)の名前の由来は?牧野富太郎博士命名
金木犀という名前の由来は、モクセイ属の樹木を木犀(もくせい)と呼ぶ中国の言葉に、花の色の特徴を合わせて名付けられたと言われています。この香りの良い花木に金木犀と名付けたのは、植物学者の牧野富太郎博士です。
学名からわかる金木犀の名前の由来
金木犀の学名 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino からわかることは、植物学者ルーレイロ氏が発見した銀木犀の変種として、牧野富太郎博士が発見し、名付け親になったということ。
まず白花の銀木犀が先に存在していて、その変種としてオレンジ色の花を咲かせる金木犀が発見されたとされています。
学名にある Lour. は、ポルトガルの植物学者ルーレイロ(Loureiro)氏の略、さらに var. は変種のこと、aurantiacus はラテン語でオレンジ色や橙色という意味、最後に命名者である牧野富太郎博士の Makino が入っています。
学名は、まず先にルーレイロ氏が銀木犀を発見し、後に牧野富太郎博士が変種の金木犀を発見し名付けたということを示しています。
金木犀(キンモクセイ)の別名
金木犀にはいくつかの別名があります。
金木犀の香りが風に乗って遠くまで運ばれていくことから、九里香や千里香などと呼ばれていたこともあったそうです。
中国では金木犀の仲間をまとめて桂花と呼んでいます。さらに細かく区別するときは、金木犀を丹桂、銀木犀を銀桂、薄黄木犀を金桂と呼ぶそうです。
金木犀(キンモクセイ)の英語の名前
金木犀の英語の名前は、Fragrant olive です。
または、学名の Osmanthus がそのまま英語の名前として使われているようです。海外から入ってきている金木犀の香水や精油など、Osmanthus(オスマンサス)という名前で流通しているのを見かけます。
fragrant は香りが良いという意味。英名も学名と同じく、金木犀の香りの良さに由来した名前でした。
金木犀(キンモクセイ)の利用法
金木犀の利用法は、何と言っても香りを楽しむことです。ポプリにしたり、お茶に入れたり、アルコールに浸けて香りを抽出したり。秋のわずかな時期しか咲かない金木犀の花を、少しでも長く楽しむ方法です。
金木犀(キンモクセイ)のモイストポプリの作り方
金木犀をポプリにして少しでも長く香りを楽しむ方法です。香りを楽しみたいときに瓶のふたを開けて、そっと楽しんでみましょう。
金木犀(キンモクセイ)の香水の作り方
自分で作る金木犀の香水。秋の花の香りを纏ってみませんか。
金木犀(キンモクセイ)のお茶の作り方
金木犀の花をお茶とブレンドして楽しむ方法。食用にする金木犀は、必ず薬剤が散布されていないものを選びましょう。
金木犀(キンモクセイ)のシロップの作り方
金木犀のシロップ漬けの作り方です。食用にする金木犀は、必ず薬剤が散布されていないものを選びましょう。
金木犀(キンモクセイ)のアロマウォーターの作り方
金木犀の香りを蒸気にして楽しむ方法です。
金木犀の花が咲いたら、香りを楽しみ、花を眺め、それから雌株が存在しないことなんかも思い出してみてください。もっと金木犀に親しみが湧いて、わずかな開花期間をさらに楽しめるようになるかもしれません。
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