水仙(スイセン)|花の季節、特徴や香り、種類、名前の由来の神話まで
更新
公開

水仙(スイセン)の花咲く季節、特徴や香り、種類、育て方のコツなど。さらに学名や花言葉の由来となった神話、毒性や英語の名前まで解説します。
目次
- 水仙(スイセン)とは?基本情報
- 水仙(スイセン)の花の季節、特徴や香り
- こんなにある! 水仙(スイセン)の種類
- 水仙(スイセン)の花言葉と神話
- 水仙(スイセン)の育て方と咲かせるコツ
- 水仙(スイセン)には毒がある?
- 水仙(スイセン)を英語で
水仙(スイセン)とは?基本情報
- 学名:Narcissus
- 科名・属名:ヒガンバナ科スイセン属
- 分類:多年草(球根植物)
水仙(スイセン)の特徴
水仙はヨーロッパ、地中海沿岸、北アフリカ、アジアに分布する球根植物です。花色は白や黄色。花の大きさは直径が1cm足らずのものから5cmを超えるものまであります。葉はグリーンで幅が細く、ラインを描くようにすっとしたフォルムが特徴です。
水仙(スイセン)の名前の由来
水仙の学名 Narcissus(ナルキッソス)の由来は、ギリシャ語で「麻痺」という意味の「ナルケ」だという説と、花言葉の由来にもなっている、ギリシャ神話の美青年ナルキッソスの名前だという説など、諸説あります。ナルキッソスの神話については、花言葉と共に後述します。
水仙(スイセン)の花の季節、特徴や香り
水仙(スイセン)の花の季節
水仙の花咲く季節は、11月〜4月頃。早咲きの品種は秋が深まり、冬の気配を感じるようになった頃から咲き始めます。その後、冬から春にかけて次々と咲き続け、桜が終る頃には水仙の姿も少なくなっていきます。
水仙(スイセン)の花の特徴
水仙の花は、外側の花びらである花被片と内側の突き出したくちばしのような副花冠で構成されています。副花冠はおしべが変形したものなので厳密には花びらではありません。水仙の花被片は通常白か黄色。副花冠は白、黄、赤、ピンクなどバリエーションが豊富です。
水仙(スイセン)の花の香り
水仙の花には香りがあります。香りは品種により異なります。
11月頃から咲き始めるニホンズイセンは顔を近づけると爽やかで少し甘味のある優しい香りがします。ティタテイトや原種のバルボコディウムなどもふわりと甘く優しい香りがします。かと思えば、良い香りとは程遠い品種があるのも事実。品種名を上げるのは避けますが、とある早咲き種などは、お世辞にも芳香とは言い難い独特の香りが特徴です。水仙の香りは概ね芳香ですが、まれに芳香ではない品種も存在します。
こんなにある! 水仙(スイセン)の種類
ニホンズイセン
- 学名:Narcissus tazetta var. chinensis
- 開花時期:11月後半~3月
ニホンズイセンは、フサザキズイセンの1種です。1つの茎に数個の花を咲かせます。草丈30~40cm、花の直径は3~4cm程度、花被片は白で副花冠は黄色。身近なところで見かける品種です。
ラッパズイセン
- 学名:Narcissus pseudonarcissus
- 開花時期:3月~4月
ラッパズイセンは、1つの茎に1つの花を咲かせる水仙です。花径は5~7cm程度と大きく、副花冠の縁はフリルのように波打ち、突き出しているのが特徴。花色は白や黄色があります。
クチベニズイセン
- 学名:Narcissus poeticus
- 開花時期:3月~4月
クチベニズイセンは、名前の通り副花冠の縁が赤く染まっている水仙です。
バルボコディウム
- 学名:Narcissus bulbocodium
- 開花時期:2月~4月
バルボコディウムは、原種系の水仙です。一茎一花で草丈は10~20cm程度、花被片、副花冠共に黄色。副花冠が発達し、花被片が小さいのが特徴です。
ティタテイト(ティタティタ)
- 学名:Narcissus cyclamineus cv. Tete a tete
- 開花時期:1月~4月
ティタテイトは、シクラミネウス(キクラミネウス)系の園芸品種。草丈10~20cm、黄色の花を1つの茎に数個咲かせます。シクラミネウス系の水仙は花被片が反っているのが特徴です。鉢植えは年末から流通し始めます。
ジョンキラ
- 学名:Narcissus jonquilla
- 開花時期:1月~4月
ジョンキラは、別名ニオイズイセンやキズイセンとも呼ばれる水仙です。黄色の香りの良い花を1つの茎に数個咲かせます。
ヴィリディフロルス
- 学名:Narcissus viridiflorus
- 開花時期:10月~11月
ヴィリディフロルスは、花色が緑色の秋咲き水仙です。草丈15~30cm、1つの茎に数個の花を咲かせます。甘い香りが印象的です。
▼ヴィリディフロルスとジョンキラの交配種「オータムジュエル」を紹介
水仙(スイセン)の花言葉と神話
- 自己愛
- 神秘
水仙(スイセン)の花言葉の由来
水仙の花言葉「自己愛」は、水面に移った自分の姿に恋い焦がれて亡くなった、ギリシャ神話に登場する美青年ナルキッソスに由来するといわれています。
花言葉の由来となった水仙(スイセン)の神話
金色の巻き毛に赤い唇を持つナルキッソスは、人間の娘もニンフ(ギリシャ神話に登場する精霊や妖精のような存在)も恋するほどの美青年でした。水の精エコーがナルキッソスに恋をしましたが相手にされることはなく、傷心のまま姿を消してしまいました。その報いとして、ナルキッソスは自分自身に恋をしてしまうように呪いをかけられます。
ナルキッソスが水を飲もうと泉に屈みこむと、そこには見たこともない美青年がいました。彼は水面に写る自分に恋い焦がれた結果、寝食も忘れて、とうとう亡くなってしまいます。翌日ナルキッソスがいた場所には泉を覗き込むように一輪の水仙が咲いていました。
ナルキッソスが姿を変えた水仙はクチベニスイセンだったと言われています。
水仙(スイセン)の育て方と咲かせるコツ
場所・用土
水はけと日当たりの良い場所を好みます。地植えにするなら、夏は半日陰、冬は日当たりが良い場所が最適です。
鉢植えは市販の園芸用培養土で問題なく育てられます。
球根の植え方
水仙の球根はまだ暖かい時期にふかふかの土に植えつけましょう。早咲き種は8月頃、その他の種類は9月~10月が適期です。
少し深めに植えます。小さなもので5~6cm、大きなもので10cmくらいの深さが目安です。
水やり
地植えの水仙は、ひどく乾燥が続いた時以外は必要ありません。降雨に任せましょう。鉢植えは表土が乾いて白っぽくなったら、鉢底から流れ出てくるくらいたっぷりと水やりしましょう。
肥料
植え付け時に元肥をしっかりと混ぜ込みます。翌年からは新芽が出てくるころに緩効性肥料を与えます。
病害虫と対処法
特に目立った病害虫の被害はありません。
植えっぱなし
水仙は植えっぱなしで問題ありません。毎年分球して増えていくのでたくさんの花を楽しめるようになります。
鉢植えの水仙は1~2年に1度は1周り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。
水仙(スイセン)の花を咲かせるコツ
植え替えをしましょう
水仙は分球して増えていく植物です。花が咲かなくなった理由として、球根が込み合って窮屈になっていることが考えられます。掘り上げて球根を分け、植え替えるようにしましょう。球根が伸び伸びと生長できるスペースを与えることが花を咲かせるコツです。
水仙(スイセン)の葉を切らないで
花が咲かない理由として、球根の栄養不足が考えられます。花が終っても葉が黄色くなるまで切らないようにしましょう。球根植物は、葉を残すことで光合成を行い球根に栄養を蓄えます。球根を十分に太らせることが花を咲かせるコツです。
水仙(スイセン)には毒がある?
水仙は全草に毒があります。水仙の葉がニラに似ていることから誤食による中毒症状の例も報告されているので、間違って食べないように気を付けましょう。海外では水仙の球根が玉ねぎに似ていることから誤食の被害もあるようです。
水仙の学名 Narcissus の語源は、食べると麻痺を起こすことから、昏睡を意味するギリシャ語の「ナルケ」に由来するという説もあります。
水仙(スイセン)を英語で
- Narcissus(ナルキッソス)
- Daffodil(ダフォデイル)
英名の Narcissus(ナルキッソス)は、学名がそのまま英名となったものです。Daffodil(ダフォデイル)は黄色のラッパスイセンを指すと言われています。
水仙は寒い季節から咲き始め、春の訪れが近いことを知らせてくれる花です。まだ弱い早春の日差しの中で咲く水仙の白や黄色の花は、見ている側を明るく優しい気持ちにしてくれます。香りの良い花を育てて、生けて、もっと身近に感じてみませんか。
▼編集部のおすすめ