紫陽花の色の変化と仕組み|色を変える方法や色が変わらない種類を紹介
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紫陽花の花の色が変化する仕組みについて、わかりやすく解説します。さらに、花色を変える方法や、色が変わらない種類も紹介します。
目次
紫陽花の色の変化の理由とは?
紫陽花の別名は「七変化」、花言葉は「移り気」です。この別名や花言葉は、紫陽花が花の色を変えることに由来しているといわれています。紫陽花の色の変化の理由は、大きく分けて2つあります。
土壌の性質による色の変化
紫陽花の色といえばピンクや紫、青、水色など。これが植えた場所によって色が変わっていくという不思議なことが起こります。
例えば、「ピンクの紫陽花を購入したのに、庭に植えたら青に変化してしまった」というようなことはありませんか。これは、紫陽花が植えられた土壌の性質によって花の色を変えることが理由です。この色を変える仕組みについて後ほど詳しく説明します。
咲き進み具合による色の変化
紫陽花は咲き進むにつれ、色を変えるという特徴もあります。咲き始めはライトグリーンだったものが、咲き進むに従ってピンクや紫、青に変化し、最後はくすんだアンティークカラーになって枯れていきます。この理由は、開花中に活発に作られていた色素が、咲き進むにしたがってだんだんと消えていくからです。
紫陽花の色が変わる仕組み
紫陽花が土壌の性質で色を変えるというのは有名な話。具体的には、酸性土壌では青に、アルカリ性土壌ではピンクになるといわれています。ただし、酸性かアルカリ性かだけの問題ではありません。
紫陽花の色が変わる仕組みを詳しく解説
紫陽花の色を決めるのは、アントシアニンという色素、有機酸の1種、アルミニウムの3つの要素が複合して起こります。
青い紫陽花を例にとってお話しましょう。紫陽花はアントシアニンという色素を持っています。紫陽花が土中のアルミニウムと有機酸を吸収することで、アントシアニンと複合して青を発色させます。アルミニウムは土壌が酸性に偏ると溶け出すので、「紫陽花は酸性土壌では青くなる」という定説が出来上がりました。
アルミニウムを吸収していないアントシアニンは、紫陽花においてはピンクを発色させます。土中に存在するアルミニウムは、酸性土壌でないと溶け出しません。つまり中性~アルカリ性土壌の紫陽花はアルミニウムを吸収することがないのでピンクになります。日本は雨が多いので、土中の石灰分が流されやすいなどの理由で、土壌が酸性に傾きやすいそうです。これが、街中で見かける紫陽花に青が多い理由です。
「紫陽花は土壌の性質で色を変える」という定説は間違っていませんが、酸性かアルカリ性かだけではない、ちょっと複雑な仕組みがあるということをご理解ください。
アントシアニンとは
アントシアニンとは、自然界に存在する色素です。紫陽花以外のいろんな花に含有されています。オレンジ、赤、紫、青、水色といった花の色に影響しています。
アルミニウムとは
アルミニウムは鉱物の1種です。土の中に存在します。中性~アルカリ性の土壌では安定していますが、酸性に傾くと土中に溶け出します。
有機酸とは
有機酸とは、タンパク質などが分解されるときにできる酸です。土の中から身近な食べ物までいろんなところに存在します。梅干しやレモンの酸味であるクエン酸も有機酸の1種です。
紫陽花の色を変える方法
紫陽花の色を変えるには、土壌改良が必要です。土のph値を測定し、酸性かアルカリ性に傾いているようなら、好みの色の紫陽花が咲くように調整します。
紫陽花は、ピンク、紫、青、水色のグラデーションが美しい花です。どんな色になるのか、好みの色が出るかどうか、楽しみながらチャレンジしてみませんか。
※phとは、「水素イオン指数」のこと。1~14までの数値で表します。7が中性、数値が小さくなるほど酸性、大きくなるほどアルカリ性です。
青い紫陽花を咲かせたい
青い紫陽花を咲かせるなら、土壌を酸性にしてアルミニウムを増やしましょう。
土壌を酸性にする方法
土壌を酸性にするなら、ピートモスと鹿沼土が有効です。ピートモスは水苔からできた用土で、腐葉土に似た性質を持っています。とても軽いのが特徴です。ピートモスは酸度を調整したものもあります。鹿沼土は火山からの噴出物でできた用土で、非常に水はけが良いのが特徴です。両方を混ぜ合わせて使ってみるのもよいでしょう。
アルミニウムを増やす方法
アルミニウムを増やすならミョウバンが効果的です。ミョウバンにはアルミニウムが含まれます。
1000倍に希釈したミョウバン水を与えましょう。時期は3月~4月頃、2~3回に分けて与えるようにすると効果的です。
ピンクの紫陽花を咲かせたい
ピンクの紫陽花を咲かせるなら、土壌を中性~アルカリ性にしましょう。
土壌をアルカリ性にする方法
土壌をアルカリ性にするなら苦土石灰が有効です。苦土石灰を株元にすき込んでください。
専用培養土や肥料を利用する
紫陽花の色を変えるための専用培養土や肥料も市販されています。土壌改良はちょっと難易度が高いと感じるなら、市販品を上手に利用しましょう。
色が変わらない紫陽花の種類
紫陽花は土壌の性質で色を変えるのが魅力ですが、色が変わらない紫陽花もあります。アントシアニンを含まない白い紫陽花や、有機酸の吸収を阻害する成分を持った紫陽花は色を変えません。
土壌の性質が変わっても色を変えない紫陽花の種類を紹介します。
アナベル
アナベルは、アメリカアジサイとも呼ばれる紫陽花の仲間。咲き始めはライムグリーン、咲き進むにしたがって白になり、最後はまたグリーンに変化していきます。
ピンクアナベル
ピンクアナベルは、ピンクの花を咲かせるアナベル。白い花を咲かせるアナベルよりも少し小ぶりなのが特徴です。
ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)
ノリウツギはピラミッドアジサイとも呼ばれる、円錐に似たフォルムの花を咲かせる紫陽花の仲間。ミナヅキもノリウツギの仲間です。白やライムカラー、咲き進むに従いくすんだピンクなどアンティークカラーに変化していく種類があります。
カシワバアジサイ
カシワバアジサイは、柏に似た大きな葉が特徴の紫陽花の仲間。花はグリーンを帯びた白、花も葉も大きく印象的です。
紫陽花の色が変わる仕組みはちょっと複雑。アントシアニンと有機酸、アルミニウムのバランスや土壌の酸性度の違いが花の色に影響してきます。この単純じゃない花の色が紫陽花の魅力です。さあ、土壌改良にチャレンジして好みの色を咲かせてみませんか。
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