シュウカイドウ|花の季節や特徴、種類、ベゴニアとの違いを紹介
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シュウカイドウについて、花の季節や特徴、種類、ベゴニアとの違いを紹介します。シュウカイドウが見られる場所や花言葉についてもお話します。
目次
シュウカイドウとは|花の季節や特徴
シュウカイドウの特徴
- 学名:Begonia grandis
シュウカイドウは、日本の関東以西に自生する多肉質の多年草。シュウカイドウは漢字で書くと秋海棠。秋海棠という名前の由来は、花の色が春に咲くカイドウに似ていて、秋に咲くことによります。中国原産の植物で、1600年代に日本に渡来したとされています。草丈40~60cm、葉は8~20cm、左右が非対称なハート型をしています。
葉の間から茎を長く伸ばし、その先にまばらに数個の花を咲かせます。花は明るいピンク色で、1つの株に雄花と雌花があります。どちらも花の中心に明るい黄色のしべを持ち、雌花は花の後ろに子房のふくらみがあるので、見分けることができます。花を咲かせる茎は、花の色に近い鮮やかなピンク色で、その先にうつむくように咲く様子が、美しく艶やかな印象です。
野山の湿った半日陰を好んで自生し、崖や斜面からも生えているのを見かけます。地下に球根を形成し、株を大きくしていきます。花の後には3つの翼(よく)のある実ができるほか、葉の脇にむかごを形成し、おちたむかごからも増えていきます。シュウカイドウのむかごは食用にはしません。
シュウカイドウは種子やむかごで増えますが、散布の範囲が限られているため、あまり遠くまで増えていくことがないといわれています。そのためか、変異が少ないようです。
シュウカイドウの花の季節
花が咲くのは、8月~10月。秋の花という印象ですが、晩夏から咲き始め、秋が深まる頃には花が終わります。残暑のなかに秋の風を感じるようになった頃、ピンク色の花をうつむくように咲かせ始めます。シュウカイドウの花は、下向きに咲くので、花の顔を見るにはかがんで下からのぞき込むようにしないといけません。簡単には顔を見せてくれない様子が、はにかんでいるようでかわいらしい花です。
シュウカイドウが見られる場所
シュウカイドウは、山野草としての流通もあり、人為的に花壇やコンテナに植えられていることもありますが、野山に自生していることの多い植物です。それほど気難しい植物ではなく、人里に近い野山の中の、湿り気のある明るい半日陰を好み、自生しています。森の中を歩く際に斜面、岩壁、落葉樹の足元のような場所に注意を払っていると見つけることができます。木漏れ日が射すような森の中で、ふいに満開のシュウカイドウに出会うと、その艶やかさに目を奪われます。
シュウカイドウの花言葉
シュウカイドウは葉のフォルムが左右非対称のハート型をしていることから「片思い」という花言葉が名付けられました。
シュウカイドウの種類
シロバナシュウカイドウ
- 学名:Begonia grandis var. alba
シロバナシュウカイドウは、名前の通り白い花を咲かせる品種。ピンクの花を咲かせるシュウカイドウの変種です。
ウラベニシュウカイドウ
シュウカイドウの花の裏側の赤みが強いものを、ウラベニシュウカイドウと呼びます。
コウトウシュウカイドウ
- 学名:Begonia fenisis
コウトウシュウカイドウは、石垣島や西表島に自生する品種。通常白花を咲かせ、根茎がはうようにして伸びるのが特徴で、岩壁に貼りつくように生えています。
マルヤマシュウカイドウ
- 学名:Begonia formosana
マルヤマシュウカイドウは、コウトウシュウカイドウと同じく、石垣島や西表島に自生する品種。根茎をはわせて広がり、茎を直立させてピンク色の花を咲かせます。葉に鋸歯があるのも特徴です。
シュウカイドウとベゴニアの違い
シュウカイドウは、ベゴニアの1種です。ベゴニアとは、シュウカイドウ科シュウカイドウ属の園芸種の総称のこと。ベゴニアの多くの品種は暖かい環境を好むので、室内や温室で育てるか、夏だけの一年草のように扱います。対してシュウカイドウは、屋外で越冬します。また、ベゴニアと呼ばれて流通しているものは、観賞目的で育てられる園芸品種であり、シュウカイドウは野山に自生している山野草です。
シュウカイドウとベゴニアの違いは、シュウカイドウは屋外で越冬可能な山野草であり、ベゴニアは室内や温室で育てる園芸植物という点です。植物分類上は、同じシュウカイドウ科シュウカイドウ属の植物ですが、園芸上での扱いが違います。
ベゴニアの種類
ベゴニア
夏だけの一年草として花壇やコンテナに植えられる品種。小さなポット苗で流通しています。多肉質の葉とわずかにラメが入ったようにキラキラと光る花びらが印象的です。
フォーチュンベゴニア
花びらが多く、大きな花が華やかな品種。赤や黄色、オレンジ色など、花色が多いのも魅力。高温多湿が苦手なので、秋から冬にかけて流通します。室内で観賞するベゴニアです。
ベゴニア・マクラータ
木立性の品種。大きな葉に水玉模様のような斑が入る様子が美しく、観賞植物として人気があります。
シュウカイドウは、古くから日本の野山に自生している山野草です。鮮やかな花の色とうつむくように咲く姿が美しい植物。秋の風が吹き始めたら、シュウカイドウに会いに行ってみませんか。
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