クリスマスローズ初心者の交配の方法
LOVEGREEN編集部
このライターの記事一覧
いつみてもクリスマスローズって綺麗ですね。クリスマスローズが大好きって方も年々増えているのではないでしょうか。
クリスマスローズは株分けで大量に増やすことはできません。そのため、種で増やしています。しかし、種で増やしても花色、花形、花の模様が安定せず、同じ花が咲かないのです。
それがクリスマスローズの最大の特徴であり、最大の魅力です。そのため、園芸品種をつけられないのがこのクリスマスローズなのです。 同じ花が咲かないからこそ、好みの花を見つけて、育て、新しく交配する楽しみができるクリスマスローズ。
今回はクリスマスローズの栽培初心者の方に「クリスマスローズの交配」についてご説明します。
目次
クリスマスローズの原種と交雑種
一般的に日本でクリスマスローズとして認知されているのは「ヘレボルス・ニゲル」という原種です。主にイギリスでクリスマスのフラワーアレンジメントなどで使用されている原種です。
この「原種」って何だと思いますか?まずは、クリスマスローズを語る上で知ってもらいたい用語の説明を致します。
原種とは
交配・選抜などにより改良された栽培品種のもとになった野生種や一般栽培用の種子を採るために育成した植物の種子のこと。
交雑種とは
異なる品種間の交配によって作り出されたもの。無茎種間の交配種は「ハイブリッド」として扱われています。
クリスマスローズの有茎種と無茎種
無茎種、ハイブリット…とまた聞きなれない言葉が出てきましたのでご説明いたします。
有茎種と無茎種
クリスマスローズは葉や花のつき方などによって有茎種と無茎種に分けられます。その種類によって栽培方法も違ってきます。
有茎種とは
茎が立ち上がって葉を展開し、その頂部に花を咲かせます。根茎は未発達で細い根が生えます。このタイプのものは株分けで増やすというよりも、種で増やした方が良いタイプといわれています。
無茎種とは
葉柄と花柄が根茎から別々に直接出ています。根茎は丈夫で太い根が生えます。こちらの品種を増やす際は、有茎種よりも株分けの方法が適しているといえます。
このように、クリスマスローズの花の色や形の違いには、原種と交雑種の違いがあり、有茎種と無茎種の違いによっても差が出てくるのです。
クリスマスローズの交雑種
主要な有茎種間の雑種には、種小名Helleborus・sternii(ヘルボルス・ステルニー)のように個別の名前があります。
Helleborus・sternii(ヘルボルス・ステルニー)
株 | 有茎種 |
草丈 | 25~60cm |
花径 |
1.5~2.5cm |
花色 | 紫緑、紫ピンク |
耐寒性・耐暑性に優れ、強い日差しにも耐えられるステルニーです。水はけの良い場所で育て、株分けよりも更新用に種をとって増やすことが良いとされているクリスマスローズです。種から育てると、発芽後1~2年で開花するようです。
交配親であるリヴィダスの形質を強く受け継いだステルニーは花色がややピンクがかっています。反対にアーグチフォリウスの形質を強く受け継いだステルニーは花色が紫緑よりになります。
交配親
▶︎種子親 ヘレボルス・アーグチフォリウス(有茎種)
・花色:緑、黄緑
・特徴:ギザギザした葉。大柄。強健。やや寒さに弱い。
・原産地:フランス、イタリアなどの温かい島々
・草丈:40~120㎝
▶︎花粉親 ヘレボルス・リヴィダス(有茎種)
・花色:あずき色~緑、黄緑
・特徴:葉に白く葉脈のような模様のある鉛色の葉。茎が小豆色。生育が早く、早咲き。やや寒さに弱い。
・原産地:スペイン(マジョルカ島)など
・草丈:20~50㎝
クリスマスローズのハイブリット
無茎種の種間雑種である交配種には個別の種小名が無く、一括して「ハイブリッド」として扱われています。
人気のハイブリッドは、クリスマスローズの何とも言えない美しさを感じます。清楚なんだけれども、贅沢で華やかさも感じます。交配して、種をとって、花を付けるまで3年ほど育てて、ようやく交配したクリスマスローズが花咲く。長い時間をかけてようやく結果が分かるクリスマスローズ。改めて、育種家の方、生産者の方々の苦労を感じます。
自分だけのクリスマスローズを作ろう
こうしてクリスマスローズがどんどん好きになってくると、自分だけのクリスマスローズを作りたくなってくるものです。交配をする際、親株からどんなクリスマスローズが咲く可能性があるか考えてみましょう。
▶︎種子親株
・シングル(一重咲き)
・バイカラー(花弁の表側が2色の花色)
・丸弁(花弁の縁の先端が丸くなっている)
▶︎花粉親株
・ダブル(八重咲)
・ホワイト(白)
・剣弁(花弁の縁の先端がとがっている)
仮に上記の特徴があるクリスマスローズを掛け合わせていくと、ダブルのバイカラーで剣弁になったり、シングルでバイカラーで丸弁になったりという交配したクリスマスローズの特徴があらわれます(生物学を取った方はメンデルの法則をイメージしてくださいね)。
この目標とするクリスマスローズを作り出すために、プロの園芸家は長い時間と労力を費やすわけです。
交配のイメージができたら、次に自分だけのクリスマスローズを作るために、元気なクリスマスローズを育てることから始めます。可愛らしい蕾(つぼみ)を作ってくれるようにしっかり育て、クリスマスローズの花が咲いたら自分の目指すクリスマスローズの花をしっかりと見極めましょう。
クリスマスローズの交配
- 種子親となるクリスマスローズの花がまだ開ききらないうちにピンセットで雄しべと出来れば蜜腺を取り除く。
- 花粉親となる花はしっかりと開いていて花粉が出ているものを選ぶ。
- 花粉は晴れた日の午前中が良く出る。
- ピンセットで雄しべを取り、種子親となる株の雌しべにしっかりとこすりつける。
- 他の花の花粉が付かないように、使い捨ての茶こしのような素材のものを被せて覆う。
- たくさん交配する場合は、何と交配したか分かるように直接袋タグなどを付けると忘れない。
- 種が熟してはじけても、その袋の中で種がはじけるようにしっかりと袋掛けをする。
いかがでしたか?
クリスマスローズは育てる楽しみ、育種する楽しみもあり本当に奥深いお花ですね。
交配するときはやみくもに交配することなく、自分の目指す花をしっかりとイメージして、新しいクリスマスローズを生み出すという責任感を持ち、交配に挑みましょう。交配を経験してみると、育種家の方や生産者の方への尊敬の念が生まれるのではないでしょうか。
みなさんが来年咲かせるクリスマスローズは、どんなクリスマスローズですか?
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「クリスマスローズ初心者の交配の方法」の記事をみんなにも教えてあげよう♪