月桂樹(ローリエ)とは?育て方、植え付け、剪定、保存や利用法まで
金子三保子
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月桂樹(ローリエ)は、クスノキ科の常緑樹。
月桂樹(ローリエ)は、ハーブとして煮込み料理などの香り(風味)づけなど、様々な料理に利用できるので、おうちで育ててていると便利なハーブのひとつです。常緑樹なので、いつでも好きな時に収穫できるのも魅力です。
月桂樹(ローリエ)の植え付け、剪定などの育て方と利用法をご紹介します。
目次
- 月桂樹(ローリエ)とは
- 月桂樹(ローリエ)の入手方法
- 月桂樹(ローリエ)の植え付けと土
- 月桂樹(ローリエ)の剪定と仕立て方
- 月桂樹(ローリエ)の栽培環境、水やり、肥料
- 月桂樹(ローリエ)の花、葉の収穫
- 月桂樹(ローリエ)の利用法
月桂樹(ローリエ)とは
- 科名:クスノキ科ゲッケイジュ属
- 学名:Laurus nobilis
- 分類:常緑高木
- 原産地:地中海沿岸
月桂樹(ローリエ)は、地中海沿岸が原産の常緑高木です。日本でも育てやすく、刈り込みにも耐えることから、庭木、生垣、公園樹など広く植栽されています。
月桂樹は、フランス語だとローリエ、英名だとローレルと呼ばれています。園芸だと月桂樹、ハーブショップだとローリエやローレル、スーパーのスパイスコーナーだとローリエの名で流通していることが多いようです。そのほか、ベイリーフという名前で呼ばれることもあります。いろいろな呼び方がありますがすべて同じです。
月桂樹(ローリエ)の入手方法
月桂樹(ローリエ)は、苗での購入が一般的です。一番小さいサイズだと、3号サイズ(9cm)のポット苗として販売されています。
月桂樹(ローリエ)は、木によって雄株と雌株が存在する植物ですが、流通しているのは雄株がほとんどです。若干雌株も流通していますが、園芸店で雄花、雌花を区別して販売されることは、ほぼありません。
月桂樹(ローリエ)の植え付けと土
月桂樹(ローリエ)は、鉢植えでも地植えでも育てることができます。
地植えの月桂樹(ローリエ)の植え付け適時は、春と秋。鉢植えであれば、環境の良い時期ならいつでも行えます。
土は水はけの良い肥沃な土壌を好みますが、特に土質は選びません。鉢植えの場合は赤玉土と腐葉土を配合して土を作るか、市販の有機質に富んだ培養土でも栽培可能です。移植が苦手なので、植え付け・植え替えの時は、根をいじらないように注意して植え替えます。
月桂樹(ローリエ)の庭への植え付けのポイント
①3号サイズ(9cm)のポット苗を購入した場合は、数年は鉢植えで管理し、少しずつ鉢を大きくしてから地面に下ろしましょう。若い苗木をいきなり地面に下ろすより、根付く確率が高くなります。
②自然樹形、生垣、スタンダード仕立てなどのトピアリーなど、仕立て方に合わせて隣の植物との適切な間隔を取り、風通しの良い空間で栽培しましょう。
月桂樹(ローリエ)の剪定と仕立て方
若い月桂樹(ローリエ)は、幹が細いので、ぐらぐらするようだったら支柱で保護しましょう。
月桂樹(ローリエ)は、株元から枝分かれして株立ち状になり、10mを超えることもある常緑の高木ですが、刈り込みに堪える植物なので、丈や樹形を自由にデザインできます。
庭木の月桂樹(ローリエ)は、通常は刈り込み剪定して形を整えます。時期は真冬以外ならいつでも剪定可能です。剪定をしないと、枝が混みあい鬱蒼として見苦しくなってきます。剪定をすると、風通しが良い株になるので病害虫予防のためにもなります。
地植えの月桂樹(ローリエ)は、自然樹形で高木にすることもできれば、生垣のように定期的に剪定して、本来の姿とは違う形に作りこむことも可能です。
月桂樹(ローリエ)のスタンダード仕立て
鉢植えの月桂樹(ローリエ)は、自然樹形以外に「スタンダード仕立て」といって、トピアリーのように丸く刈り込んで、下の枝はすべて剪定する仕立て方があります。株元には草花を植え付けるとおしゃれな空間を演出することができます。これも月桂樹(ローリエ)が刈り込みに耐える性質だからできることです。
月桂樹(ローリエ)の栽培環境、水やり、肥料
月桂樹(ローリエ)の栽培環境
日当たりの良い場所を好みますが、明るめの日陰でも育ちます。もともと月桂樹(ローリエ)は地中海が原産の植物のため、極端に寒い地域で地植えにすることは難しいかもしれません。地植えにできるのは関東以西あたりまでです。
月桂樹(ローリエ)の水やり
地植えの月桂樹(ローリエ)は、植え付けてから根付くまでは水やりが必要ですが、確実に根付いてからは水やりは必要ありません。鉢植えの月桂樹(ローリエ)は、鉢の表面の土が乾いたらたっぷりと水やりをします。
月桂樹(ローリエ)の肥料
2月に寒肥えとして緩効性肥料を株元から少し離れた場所に穴を掘り埋めておきます。鉢植えの月桂樹(ローリエ)は、3月に緩効性肥料を株元に施します。
月桂樹(ローリエ)の花、葉の収穫
月桂樹(ローリエ)の花
3月 月桂樹(ローリエ)につぼみが確認できる時期です。
月桂樹(ローリエ)は3月下旬~4月にクリーム色の花を咲かせ、雌株は秋に紫色の8~10mmくらいの実をつけます。
月桂樹(ローリエ)の葉の収穫
月桂樹(ローリエ)は常緑樹なので、いつでも収穫することができます。スパイスとして月桂樹(ローリエ)を使う場合は、葉っぱを一枚、一枚収穫して利用します。
ただし、4月~5月の新しい葉が出てくる季節は、若い葉が柔らかいうちは水落ちがしやすく、乾燥させると黒くなってしまう場合があります。厚みがあり深い緑色の葉を収穫するようにしましょう。
月桂樹(ローリエ)の利用法
1.料理に使う
月桂樹(ローリエ)の一般的な利用法は、カレーやシチュー、スープなどの煮込み料理、肉料理、ピクルスなどの香り(風味)づけに使われます。月桂樹(ローリエ)の葉は少し苦みがありますが、乾燥させると苦みがなくなり香りもマイルドになります。
月桂樹(ローリエ)の葉って、フレッシュとドライのどちらを使えばいい?
左・収穫したての月桂樹(ローリエ) 右・ドライの月桂樹(ローリエ)
月桂樹(ローリエ)に限らず、ハーブ類の葉は「フレッシュ」と「ドライ」のものでは、香りや風味がまったく変わります。月桂樹(ローリエ)は、乾燥した葉を使うのが一般的です。ただしフレッシュで使うのが間違いということではありません。月桂樹(ローリエ)の場合は、乾燥させると苦みがなくなりマイルドになるので、長時間煮込むような料理には、乾燥したものを使います。フレッシュの場合は、長時間煮込むと灰汁が出て苦みが強くなるので、料理によって使い分けるとよいでしょう。
ちなみにお店でスパイスとして売っているローリエは、流通や日持ち、保存の観点からか、乾燥させた月桂樹(ローリエ)がほとんどです。
月桂樹(ローリエ)の乾燥方法
収穫した月桂樹(ローリエ)を、ひと洗いして水気を取り去ってから、風通しの良い場所で乾燥させます。湿気の多い時期に乾燥させると、カビが出たりするので、天気が安定している湿度が低めの時期に作るとよいでしょう。保存は瓶に食品用乾燥材を入れるか、密閉袋などに入れて保存します。
月桂樹(ローリエ)は、どんな料理に使う?
月桂樹(ローリエ)は、香りや風味付け以外に臭み消しなどにも利用され、使用した葉は、料理から取り出します。
月桂樹(ローリエ)単体で使う
カレー、スープ、ロールキャベツ、ポトフ、肉や魚をソテーする前にローリエやトウガラシ、ニンニクなどと数時間漬け込む、数種類のハーブを使ってハーブオイルに、ピクルスの風味として……
月桂樹(ローリエ)を他のハーブとブレンドして使う
ブーケガルニ
数種類のハーブや香りのする野菜をタコ糸などの糸で束ねた香りの束のことを言います。ヨーロッパでは、昔から肉や野菜を入れてコトコトと煮込むような料理にブーケガルニを入れて風味付けをしています。月桂樹(ローリエ)は、ブーケガルニの定番的存在です。
ガラムマサラ
インド料理で使われるミックススパイス、ガラムマサラ。各家庭によってブレンドするハーブは違いますが、月桂樹(ローリエ)は、ガラムマサラにもよく使われるハーブのひとつです。
2.スワッグ、リースの材料として
月桂樹(ローリエ)の枝は、スワッグやリースなどの花材として利用できます。
3.防虫・防腐効果を利用
米びつなどの食品や衣類の虫よけとして使われています。
月桂樹(ローリエ)は高木ですが、刈り込みが自由にできて、低めの丈で育てられるので鉢植えでも栽培できます。毎日の料理に月桂樹(ローリエ)を頻繁に使う方は、自分で育ててみてはいかがでしょうか。
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