さつまいも(サツマイモ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- さつまいも(サツマイモ)
- 学名
Ipomoea batatas
- 英名
- Sweet potato
- 和名
- サツマイモ
- 別名・流通名
- 甘藷(かんしょ)、唐芋(からいも)
- 科名
- ヒルガオ科
- 属名
- サツマイモ属
- 原産地
- メキシコ~中米の熱帯地方
さつまいも(サツマイモ)の特徴
さつまいもは、肥大した根の部分を食用にするヒルガオ科の野菜です。土を這うように蔓をぐんぐん伸ばし、たくさんの葉をつけて生育します。メキシコ~中米の熱帯地方原産で、日本では江戸時代に薩摩地方(鹿児島県)から全国に伝わり「さつまいも」と呼ばれるようになりました。
さつまいもは他のイモ類と比べて甘く、お菓子の食材としても利用されています。炭水化物、食物繊維、ビタミンC、カリウムなど様々な栄養素を含みます。高温や乾燥に強く、連作しても障害が出にくく、無肥料でも育つ丈夫な野菜であるため、数々の食糧難の危機を救ってきた歴史があります。
さつまいもは品種によって、皮の色、実の色、形などが異なり、食感もほくほく系、ねっとり系、しっとり系など様々あります。
さつまいもの花は、同じヒルガオ科・サツマイモ属のアサガオの花に似ています。熱帯や亜熱帯気候ではよく開花しますが、日本では沖縄県を除いてはあまり開花することはありません。
さつまいも(サツマイモ)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
---|---|
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | やや弱い |
花色 | ピンク色(極稀) |
開花時期 | 8月頃 |
さつまいも(サツマイモ)の種類
紅あずま
皮の色は紫がかった濃い赤色で、果肉の色は黄色。
紅はるか
皮の色は赤褐色で、果肉の色は白っぽい。焼き芋にすると黄色くなりとても甘い。
安納芋
皮の色は赤褐色で、果肉は黄色っぽい。コロンとした丸い形をしています。糖度の高さと、ねっとりクリーミーな食感が魅力。
黄金千貫
皮はクリーム色でジャガイモに似た窪みがあります。果肉は白っぽい。焼酎の材料として栽培されることが多いです。
パープルスイートロード
皮は赤紫色で、果肉は紫色。アントシアニンが非常に多く、紫芋にしてはとても甘い。
さつまいも(サツマイモ)の花言葉
さつまいも(サツマイモ)の栄養
βカロテン、ビタミンB1、C、E、カリウム、食物繊維の栄養素を持ち、美容と健康、ダイエットに効果がある万能の食品として多くの加工食品になっています。
さつまいも(サツマイモ)の普及
日本に伝えられた当初はなかなか普及しませんでしたが、乾燥に強く、やせた土地でも良く育つ救荒食としてさつまいもの普及にあたり、多くの人を飢餓から救った作物です。江戸時代八代将軍・徳川吉宗時代の儒学者として知られていた甘藷(かんしょ)先生こと青木昆陽が江戸の人々をさつまいもで救ったことが有名です(甘蔗はさつまいもの意味)。さつまいもは、戦時中も多くの人々の空腹を満たしてくれた野菜でもあります。
さつまいも(サツマイモ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
収穫 |
さつまいも(サツマイモ)の栽培環境
日当たり・置き場所
さつまいもは日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。
温度
さつまいもの生育適温は20~30℃です。
用土
さつまいもは水はけ、通気性が良い場所でよく育ちます。
窒素分を多く吸収すると、蔓や葉ばかりが伸びて茂る「蔓ボケ」の状態になるため、基本的に元肥を混ぜ込まずに植え付けます。
プランターや袋栽培のさつまいもは、野菜用の培養土を使用しますが、肥料は少ない、又は無い方が蔓ボケの心配がないでしょう。
畑栽培のさつまいもは、又根ができないように石などをきれいに取り除いておきます。
さつまいも(サツマイモ)の育て方のポイント
水やり
植え付け後、根付くまでは土が乾いていたら水を与えます。根付いた頃からは、雨に任せて乾燥気味に育てましょう。夏の高温期は、葉の様子を観察しながら必要に応じて水やりをします。
肥料
さつまいもは基本、追肥は必要ありません。養分が多すぎると蔓ボケになり、実が出来にくくなります。与えるのであれば、窒素ではなく、カリ分を多く含む肥料が好ましいです。
さつまいも(サツマイモ)の詳しい育て方
選び方
さつまいもの苗は、ポット苗と切り苗があります。
さつまいものポット苗は、主にさつまいもの元苗を作るために使用されます。サツマイモの本葉が8~10枚になった頃摘芯して、わき芽を増やします。そのわき芽が、さつまいもの苗になるというわけです。伸びたわき芽の葉が5~6枚ほどの葉をつけたら、切り取ってさつまいも苗として使用します。
さつまいもの切り苗は、10本程から束になって売られています。初めて育てる方は、買ってきて植え付けられる切り苗を選びましょう。
さつまいもの切り苗は、芋から発生した蔓を20~30cmくらいでカットしたものが売られています。元気がよく蔓がしっかりしていて葉の色が良いものを選びましょう。
植え付け
さつまいもは蔓の生育が旺盛なので、畝幅70~100cm程の充分な広さを確保するとよいでしょう。切り苗は少し萎びてから植え付けます。そうすることで、発根しやすくなります。
植え付け方により、出来るさつまいもの大きさや収穫できる個数が決まります。
さつまいもの植え付け方
垂直(直立)植え
真っすぐに苗を植え付ける垂直植えは、丸い形のさつまいもが育ちます。
袋栽培で育てる場合、1袋に2苗植え付けることができるためおすすめです。
斜め植え
垂直植えよりもほっそりしたさつまいもが収穫できます。
土の中に滑り台を作るように掘り、植え付けます。
船底植え
小ぶりですが、数が多く収穫できる植え方です。
土の中がUの字になるように掘って、そこに添わせるようにして植え付けましょう。
水平植え
土に埋まっている部分を増やすことで、さらに多くさつまいもを収穫することができます。
茎を折らないように気を付けて植えましょう。
花
さつまいもは、沖縄などの温かい地方で薄いピンク色の花を咲かせることがありますが、本州では花が咲くことは稀で、ほとんど開花することはありません。
収穫
収穫時期は10月~11月末に茎葉が枯れ始めた頃です。晴れた日に収穫しましょう。
芋の表面の皮を傷つけないように、また、途中でちぎれてしまわないように加減しながら掘り残しのないように収穫します。
収穫後は、さつまいもの甘みを増すために1~2週間ほど日陰に置いてから食べると美味しいです。
必要以上にさつまいも(サツマイモ)ができないための作業|つる返し
蔓が四方八方に伸びると、土に接している蔓から根が出て芋ができてしまいます。余分に芋を作ると収穫するときに小さい芋しか出来ていないことがあるため、つる返しをして中央に蔓を寄せて必要以上にさつまいもができないようにします。
栽培スペースが狭い場合は、支柱を立てて上につるを誘引します。こうすることで、スペースも小さく収まり、風通しも良くなり、さつまいもの葉に陽をまんべんなく当てることができます。