前田有紀の一“花”言vol.77「秋色のバラ」〜深みのある色合いを愉しむ
LOVEGREEN編集部
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フラワーアーティストの前田有紀さんが、一家言ならぬ一“花”言と称して、その時期に気になる旬のお花や魅力、そして前田さんならではのアレンジ術などをお届けするこちらの企画。vol.77は「秋色のバラ」をご紹介!深みのある色合いを愉しみましょう。
目次
秋バラの魅力
ここのところぐっと朝晩を中心に涼しくなり、秋らしい気候が続いていますね。この時期に飾りたくなる「秋色のバラ」について、今回はお話しします。
バラといえば、春に華やかに咲き誇るイメージを持っている方も多いと思います。ただ、本当にたくさんの品種があり、春に一度だけ花を咲かせる「一季咲き」のバラと、春〜秋にかけて花を咲かせる「四季咲きのバラ」があります。
「秋バラ」と、私たちが呼んでいるのは四季咲きの品種が秋に咲いたものなんです。華やかなイメージの強い春のバラに比べて、秋らしい、ちょっと切なくなるような佇まいが感じられて、秋のバラを眺めるのは、秋の楽しみの一つでもあります。
秋色のバラのおすすめ品種
秋の風情によく馴染む、秋色のバラをご紹介したいと思います。
まずは、ブラウン系の色が特徴的な「テナチュール」。
季節によって色の出方が変わるのですが、外側の花弁は赤系ブラウン。中央の花弁は、ベージュブラウン。夏から秋へと季節が移ろっていく気分にぴったりマッチしているバラ。
私も大好きなバラの一つです。色もさることながら、お花として、とても日持ちするのが、多くのフローリストに愛される理由の一つだと思います。
こちらは、絞り模様が美しい変わり咲きのバラ「万華鏡」。
赤とクリーム色の複色のバラで、名前も可愛いです。先日行われたguiのワークショップでもこの万華鏡を使って、ブーケを製作しました。華やかで使い方が難しいと思いきや、この色合いの絶妙さが他の草花を引き立ててくれて、それぞれの個性をより美しく見せてくれました。
そして、靜岡の菊川にあるやぎバラ育種農園さんのバラ「ヴァーズ」。
花形も咲き方もユニーク。グリーンアイと言って、花の中央にグリーンがあるのが特徴の一つです。店舗で販売していると「これって造花ですか?」と質問されることがあるほど、存在感があります。先日大切なお客様のウェディングブーケを制作する機会があり、ヴァーズを入れて束ねました。このお花の魅力のおかげもあり、結婚式という記憶に残る特別な日にふさわしい素敵な仕上がりになりました。
秋バラを購入する際のポイント
秋になり日持ちしやすくなったとはいえ、バラの鮮度は刻一刻と変化していきます。購入する際に、もしお花に触れても大丈夫な花屋さんだったら、花首の付け根のところを優しく触ってあげましょう。
そこが柔らかいバラは咲いてからだいぶ時間が経ったもの。まだしっかり硬いバラは、これからさらに咲いていき、長く楽しめると思います。
直接触れて確認するのが難しい花屋さんでは、葉の状態をしっかり観察するといいでしょう。葉の先端までみずみずしくつややかやかなものはより鮮度がいいと思います。
秋バラを長く楽しむためのコツ
バラは、水がすごく好きなお花だと思っています。毎日綺麗なお水に入れ替えてましょう。花屋の水揚げでは、バラは断面をより大きくして、水を吸い上げやすくするために、茎をフローリストナイフで斜めに削っています。自宅でナイフを持っていない方は、茎を斜めに切るだけでも効果がありますよ。
また、花の栄養となる糖分と水を綺麗に保つ薬の入った鮮度保持剤はぜひ活用してみて欲しいです。花屋さんで売ってるところも増えてきましたよ!
直射日光を避けて、比較的涼しいところで、お水をたっぷり入れて(深水気味に)飾ってあげてください。
秋色のバラを使ったアレンジの紹介
ヴァーズ×ボルドーカラー
ボルドーカラーと合わせたアレンジは、秋っぽさを堪能するにはぴったりでしょう。バラテナチュールと、菊、スカビオサ、カラテアの葉など。主役を作らずに、高低差をつけて、それぞれのお花の特徴を活かせたら、バラだけが目立ちすぎず、トレンド感のあるスタイリングになりますね!
万華鏡×オレンジカラー
万華鏡の絞り模様が、ビビットなお花たちの色をグッと引き締めてくれます。ピンクッション、アンスリウム、カラー、秋らしい唐辛子の実など。バラに負けないインパクトのあるお花を合わせることで、バラバラに見えるお花、それぞれに一体感が出せるようになります。
花屋さんによってバラのセレクトは様々なので、一期一会のバラとの出会いを楽しんでください。そして、そのお店にあったお気に入りのバラを選んだなら、ぜひショップのスタッフさんにオススメの合わせ方を聞いてみてくださいね。秋バラの楽しみ方が広がる秋になりますように。
PROFILE
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フラワーアーティスト 前田有紀さん
10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いからイベントやウェディングの装花や作品制作など、様々な空間での花のあり方を提案する。2018年秋に自身のフラワーブランドguiを立ち上げる。
Facebook/前田有紀『一日一花』
instagram/前田有紀 『一日一花』
Instagram/“guiflower”
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