夏の花の「ユリ」は、生け方を工夫して長く楽しもう!
清水ヨシミ
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初夏から夏に旬を迎えるユリ。よく見かける花の一つですが「大きすぎて飾れない」「蕾が咲かない」などのお悩みはありませんか?今回は実際にお花屋さんを巡って購入したユリの紹介、花瓶に生ける時のポイントや他のお花との組み合わせ方をご紹介します!
目次
ユリについて知ろう
学名…Lilium
別名…リリー
科、属名…ユリ科、ユリ属
ヤマユリ亜属、テッポウユリ亜属、カノコユリ亜属、スカシユリ亜属の4つの亜属に分類される
分類…球根植物
原産地…北半球の温帯地域
開花期…5月~8月(品種による)
花言葉…純粋、無垢、威厳
立体的に咲くユリは、平面状に咲く花とはまた違った魅力がありますね。
ユリは知名度も高く、よく見かける花ですが、実はとてもたくさんの品種があります。現在も品種改良は続けられ、新しい品種が誕生しているんですよ。品種によって香りの強さ、色、形や大きさが様々なので、用途に合ったユリを使い分けましょう。
切花になっても蕾が次々に開くため、1本あたりの咲いている期間が長く、またその開いていく過程も楽しめます。花が大きく高さも出せるので、1本で飾っても存在感、華やかさがありますね。そんな大きいイメージのあるユリですが、実はカットする時の自由度が高く、小さく切って飾ることもできるんです。
今回用意したユリをご紹介します!
お花屋さんを何件か回り、違う種類のユリを探してきました。お花屋さんに入荷する花は毎回違うので、希望のユリの品種が置いていない場合もあります。その場の出会いで選ぶ花選びも楽しいですが、欲しい品種がある場合は予めお花屋さんに注文できるかを確認し、必要であれば予約をしましょう。
カサブランカ
純白の大輪で香りも強く、ユリといえばこれ!というような人気の品種です。花が上向きではなくやや俯き気味に咲きます。蕾も上の方まで咲きやすく、1本でも長く楽しめます。冠婚葬祭からプレゼント、自宅用までいろいろな場面で使うことができる、用途が広い品種です。
ソルボンヌ
大輪の花と、鮮やかなピンクから白のグラデーションが美しいユリです。香りはしっかりとありますが、カサブランカに比べるとやや弱くスッキリしています。ピンクのユリをメインに飾るのはもちろん素敵ですし、「白いユリだとイメージと合わないけれど、ユリらしい華やかさやかわいらしさを出したい」という時にもおすすめです。
イザベラ
八重咲きのユリが置いてあることは少ないので、見つけたら手に取ってみたいユリの一つです。華やかで花粉がなく、贈り物にもおすすめですよ。イザベラはピンク~白の優しいグラデーションの花弁が幾重にも重なっているのがかわいらしいユリです。またカサブランカやソルボンヌより小さめの10~15センチの花なので、ユリ以外の花と組み合わせて生けたり花束にしても、他の花の存在感を消さずに華やかさを加えやすいですよ。
イエローウィン
ユリの品種改良は江戸時代には既に行われていたと言われますが、黄色いオリエンタル系のユリは新しい品種で、1990年以降の品種改良の中で生まれました。その代表格の一つでもあるイエローウィンは、香りもよく、鮮やかな黄色はオレンジなどのビビッドカラーの花と組み合わせても素敵ですね。
ユリというと白い花を想像する方が多いですが、ピンク、赤、オレンジ、黄色、紫、黒っぽい花など様々な色があります。
ユリの購入から開花までの様子
6月初旬、明るく風通しの良い部屋に、ユリ「イエローウィン」を生け、開花の様子を観察しました。
今回購入したイエローウィンは、80センチほどの丈で、購入した時点ではまだ開花していない状態でした。
ユリは下の花から咲いていきます。蕾から徐々に色づきながら膨らみ、下の方の大きい蕾は1~2日、上の方の蕾は1週間程で開花します。
気温が高いほど早く開花します。蕾が乾燥すると開けなくなってしまうため、エアコンの風などは当てないように注意しましょう。一番上、上から二番目くらいまでの蕾は咲かない場合もありますが、葉や花ガラは取り除き、花瓶の水を清潔に保つと上の方の蕾も開きやすくなります。
生けた翌日の午前中には、1番下の花が開き初めました。この時点で葯(やく…先端の花粉が入っている袋)を取り除きましょう。
葯を取り除くとこのような感じになります。
その日の午後には完全に開きました。開くと大きいですね。こちらは葯を取り除くタイミングが遅かったため花粉が花弁に落ちてしまいました。この黄色いユリはイエローウィンといい斑点などがないユリです。
終わった花は付け根からカットすると、上の方の蕾まで開きやすくなります。※こちらのユリの花はソルボンヌです。
ユリの管理方法
葯(やく)は花粉が開く前に取り除きましょう
イエローウィンの開花時に葯を取り除きました。なぜ取り除くかをご説明します。
開き初めのユリです。まだ葯が開いていないので、花粉を手や周りにつけることなく取ることができます。花を傷つけないように手かピンセットで優しく取り除きましょう。
葯が開いてしまうとこのように花粉が出てきて、花弁や手などその花の周りを汚してしまうこともあります。葯がないと見た目は少し寂しくなってしまうのでお好みもありますが、花粉がテーブルや服、手についてしまうと取りにくくなるため、どうしてもという理由がなければ取り除くことをおすすめします。
花粉を触ると簡単に手や周りに移ります。受粉させやすくするための植物の知恵ですね。
手についた花粉を水で洗い流してみました。
色が黄色く伸びて残ってしまいましたね。水で洗い流すだけではこれ以上落とすことができませんでした。
花粉には油分が含まれているので、石鹸やクレンジングを使うと落としやすいです。メイクなどと同じく、水に濡らす前に石鹸などを使った方が落としやすいようです。
今回は石鹸で綺麗に落とせましたが、完全には落ちない場合もあります。また、衣服や家具は水や洗剤が使えない場合もありますよね。その場合はガムテープなどの粘着面をトントンと軽く当てると落ちやすいです。決してこすらないようにしましょう。
長持ちさせる!水換えと切り戻し
雑菌が湧くと腐りやすくなってしまうため、花瓶の水はできるだけ毎日換え、清潔に保ちましょう。花瓶もきれいに洗ってください。水を換える時に茎を数センチ、斜めにカットします。切り口を新しくし、斜めにカットすることで断面積が広くなるため、水の吸い上げが良くなります。
持っている花瓶に合わせて生けてみよう
ユリの花の咲き具合や、お手持ちの花瓶に合わせて生ける方法をご紹介します。
立ち姿を活かして生ける
大きい花瓶があれば、まずはユリらしい立ち姿を活かして生けるのがおすすめです。半分より下の葉は取り除いて、花の方まで水を送りやすくしましょう。水の量は他のお花よりやや少なめで、ユリの長さの1/4~1/5程度の深さで大丈夫です。
ユリは上の方にボリュームがあり、水も少なめで重心を下げにくいため、長さを出して生けると倒れやすいです。花が次々に大きく開くことも考慮して、重さや安定感のある花瓶を選びましょう。
下の方の花が終わったり、大きい花瓶がない場合は、お手持ちの花瓶に合わせた長さに切りましょう。花瓶の中に入ってしまう部分の葉は取り除きます。
一輪挿しにも生けられる
花が残り1~2輪になったり、大きめの花瓶がない場合は、ユリの花ごとにカットして生けることもできます。
花ごとにカットすればれば小さめの花瓶や口が細い瓶にも生けられますね。花瓶の水に茎が2~3センチ程度浸かるように生けましょう。オアシスに挿してアレンジメントに使うこともできますよ。
1輪ずつ挿したり他のお花やグリーンと生けてもいいですね。
組み合わせるのにおすすめの初夏~夏の花
ユリの花は大きいため、花を組み合わせて生けたり花束を作っても、他の花が目立たなかったり、バランスが取りづらいこともあります。ここではユリと組み合わせやすい花をご紹介します。
ヒマワリ
おとなしくなりがちな白いユリもヒマワリと合わせると明るく見せることができます。爽やかさも感じられるので、男性へのプレゼントにもおすすめです。
デルフィニウム
白いユリの周りにふんわりと添えるとユリを引き立てます。涼し気な色は、梅雨の時期にも夏にも合いますね。
カラー
白いユリと合わせて色を統一すればスタイリッシュに、またピンクや黄色のユリとも合わせやすく、ユリと相性のいい花です。カラーも黄色やパープルなど色の種類が豊富なので、色の組み合わせも楽しめますね。
トルコキキョウ
写真はパープルですが、ピンク、白、グリーンなどとても色や形の種類が豊富です。花も大きめなのでユリと合わせてもバランスが取りやすく、かわいらしいイメージにしたいときは一押しの花です。
アリウム(ネギボウズ)
こちらはブルーパフュームという小さめの品種ですが、ギガンチウムなどの大きいアリウムと合わせると個性的に飾ることができます。
枝もの
花ではなかなかユリより大きいものを探すのが難しいので、高さを出したい場合は枝ものがおすすめです。写真はバイカウツギという花もついている枝ものですが、ドウダンツツジなど枝と葉だけのものでシンプルに生けてもオシャレですね。
ユリ
ユリ同士で合わせるのもとても華やかです。写真はソルボンヌとイザベラの2種類のピンクのユリを生けました。白いユリを足すと色に変化が出てさらに華やかになります。
ユリ+ヒマワリ+デルフィニウムや、ユリ+トルコキキョウ+カラーなど、ご紹介した花の中からいくつかを組み合わせてもいいですね。お気に入りの組み合わせを見つけてみて下さい!
ユリは大きくてどう扱ったらいいかわからない!という時のヒントになったでしょうか?
これから旬を迎えるユリ、今年はいっぱい飾ってみて下さいね!
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