つくし(土筆)とは?季節、可愛い飾り方、季語や食べ方までご紹介
山田智美
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「つくし、つくしんぼう」などと呼ばれるつくし(土筆)はどんな植物かご存知ですか? つくし(土筆)が現れる季節はいつでしょう? 知っているようで知らないつくし(土筆)について、季節や特徴、食べ方、飾り方、季語まで詳しくご紹介します。
目次
つくし(土筆)ってどんな植物?
つくし(土筆)の基本情報をご紹介します。
- 植物名:スギナ
- 学名:Equisetum arvense
- 科名:トクサ科トクサ属
つくし(土筆)の真実
植物名のスギナに「?」となった方も多いのではないでしょうか? 実はつくし(土筆)というのは植物名ではありません。正式にはスギナです。つくし(土筆)はスギナの地下茎から出てくる胞子茎のことを指す名称です。
漢字の「土筆」は文字通り、土に筆を逆さに挿したような形状からついた名前だと言われています。
スギナはシダ植物の仲間になります。花を咲かせて種子を作る植物ではないので花は咲きません。スギナのグリーンの部分で光合成を担当、つくし(土筆)は胞子を飛ばすのが担当という役割分担です。
スギナの群生
スギナはつくし(土筆)より少し遅れて出てきます。気が付くとつくし(土筆)が生えていた場所にスギナが繁茂しています。スギナは夏の間生長を続け、寒くなると地上部が枯れて無くなります。
つくし(土筆)の特徴
スギナの胞子を飛ばすのが役割であるつくし(土筆)は、春に伸びてきて胞子を飛ばし終わったら枯れていきます。枯れそうになっているつくし(土筆)は、頭のてっぺんが茶色く焦げています。さらに頭の網目のような笠が開き切っているのでわかります。
このつくし(土筆)の頭の焦げは、日焼けです。日陰に生えているつくし(土筆)はそれほどでもなく、日向に生えているつくし(土筆)は黒茶色く焦げているのだから面白いものです。
つくし(土筆)の茎の途中にある節のようなものは袴(ハカマ)と呼ばれる部分です。地面から出てきたばかりのつくし(土筆)は頭を袴に包まれています。生長するにつれて茎が伸びていき、袴と袴の間隔も大きくなります。つまりこの袴の間隔で、目の前のつくし(土筆)が出てきたばかりか、日数の経ったものかがわかります。
つくし(土筆)の季節と季語
つくし(土筆)が出てくる季節は春です。春、桜より少し前に河原の土手や水に近いところに生えてきます。つくし(土筆)は梅の花が咲いている頃にちらほら出てき始め、桜が咲く頃にはもうずいぶん伸びているというペースです。
つくし(土筆)はベージュのような肌色のような色をしています。春先まだ緑少なく、土が剥き出しの地面や落ち葉の中では、色が似ているので見つけるのが難しいようです。
季語にもなっているつくし(土筆)
つくし(土筆)は春のものです。つくし(土筆)狩りも子供の遊びであり春の風物詩でもあります。春を代表するような植物であるつくし(土筆)は、当然のように春の季語です。
季語と言うのは簡単に説明すると、俳句のような歌を詠むときに季節を表現するために使われる言葉です。限られた文字数の中に季節や背景を盛り込むテクニックです。
俳句の中につくし(土筆)という言葉が入っていたら、それは春の歌なんだということがわかります。正岡子規の歌にもつくし(土筆)は良く登場します。
つくし(土筆)の食べ方
つくし(土筆)は春の味覚としても有名です。つくし(土筆)を摘んできたら袴(ハカマ)を取って、アク抜きをして調理します。
アク抜きのために水にさらしていると水が緑色に濁ってくるので、何回か水を換えます。この緑色は、つくし(土筆)の胞子の色です。気になる場合は先に頭を取ってしまったほうがいいでしょう。
袴も頭も無くなったものはもはや、つくし(土筆)なのか何なのかわからなくなりそうです。それでも十分に春の優しい味を楽しめます。
代表的なつくし(土筆)料理
昔から日本の家庭で作られてきた、つくし(土筆)を使った代表的な料理を紹介します。
- つくし(土筆)の卵とじ
- つくし(土筆)のキンピラ
- つくし(土筆)のお浸し
- つくし(土筆)の佃煮
などです。自宅のお庭など、摘んでも問題の無い場所でつくし(土筆)を見つけたら、ちょっとチャレンジしてみませんか。
つくし(土筆)の生け方、飾り方
つくし(土筆)もスギナも地下茎で増えて行きます。庭に生えてくると、ちょっと困ってしまうくらい増えます。夏にはスギナがどんどん伸びて繁茂するので、春のうちに草むしりを済ませましょう。
とは言え、せっかく庭につくし(土筆)が生えてきたのなら、むしって終わりにしないでちょっと飾ってみませんか。つくし(土筆)のような草丈の低い植物の上手な飾り方、楽しみ方をご紹介します。お部屋で春を感じましょう。
使用したもの
■草むしりのついでに摘んだ雑草や庭の花たち
- つくし(土筆)
- スギナ
- ムスカリ
- 菜の花
- スズメノエンドウ
- カラスノエンドウ
■ジャムや調味料の空き瓶を数本
テーブルの上や窓辺のちょっとしたスペースに空き瓶を並べて、つくし(土筆)と一緒に摘んだ草花をばさっと生けるだけ。小さな瓶にちょこちょこと生けて、あとはランダムに並べるだけで、野原のような景色が出来上がります。
コツは上手に生けようと思わないことです。植物の思うがままに向きたい方向を向かせること。それぞれの高さを決める時も、庭に生えている順番通りの長さを意識すること。そうすることでより自然な雰囲気が出来上がります。
春には春の植物をとことん楽しんでみませんか。つくし(土筆)を食べたり飾ったりして、もっと季節を生活に取り入れてみてください。
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