ほうれん草(ホウレンソウ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ほうれん草(ホウレンソウ)
- 学名
Spinacia oleracea
- 英名
- Spinach
- 和名
- ほうれん草
- 科名
- アカザ科
- 属名
- ホウレンソウ属
- 原産地
- 西アジア
ほうれん草(ホウレンソウ)の特徴
ほうれん草(ホウレンソウ)はアカザ科の野菜で、漢字では「菠薐草」と書きます。「菠薐」とはペルシャのことで、ほうれん草(ホウレンソウ)の栽培の起源の場所です。
ペルシャで始ったほうれん草(ホウレンソウ)の栽培が中国に渡り、そこで発達していったほうれん草(ホウレンソウ)は、葉がぎざぎざで株元が赤くなる東洋種になりました。
それとは別に、葉の厚みがあり、丸い形をしている西洋種というほうれん草(ホウレンソウ)の種類があります。この西洋種も東洋種と同じように、ペルシャから西洋へ伝わったものです。
この東洋種・西洋種の両方の長所をいかした品種改良も行われたことで、日本でもほうれん草(ホウレンソウ)が広まりました。
ほうれん草(ホウレンソウ)の種は硬実種子といって固い殻に包まれています。(ちなみに、ほうれん草(ホウレンソウ)の種は、殻の形が角ばった種と丸みのある種とがあります。)そのため、ほうれん草(ホウレンソウ)の発芽率が他の野菜と比べ低いため、ネーキッド種子といって硬い殻を取り除き、中の種を取り出した加工をされた種が売られています。ほうれん草(ホウレンソウ)の種袋を確認してみましょう。
冬に生育するほうれん草(ホウレンソウ)は、放射状に葉を広げて、まんべんなく太陽の光を浴びることができます。吹き付ける寒風にも耐えられるその形は、素晴らしい植物の進化を物語ります。
ほうれん草(ホウレンソウ)の花は、イチョウなどと同じように、雌株と雄株に最初から分かれています。しかし、ほうれん草(ホウレンソウ)は花が咲く前に収穫することから、そのほうれん草(ホウレンソウ)が雄株なのか、雌株なのか判断することは難しいです。中には雌・雄両性の花をもつ株もあるようです。
ほうれん草(ホウレンソウ)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
---|---|
草丈・樹高 | 10~30cm |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや強い |
花色 | クリーム色、淡いピンク色 |
開花時期 | 5月頃 |
ほうれん草(ホウレンソウ)の種類
ちぢみほうれん草
ちぢみほうれん草は「寒締めほうれん草」とも呼ばれる物で、品種名ではなく栽培方法のことです。寒い冬に露地栽培すると、地面に張り付くように葉を広げて、葉が縮れた状態に育つことから、ちぢみほうれん草と呼ばれるようになりました。葉が肉厚で甘みがあります。
サラダホウレンソウ
アクが少なく、茹でなくても美味しいほうれん草。茎が細くて柔らかく、サラダに向いています。
ほうれん草(ホウレンソウ)草の栄養
ほうれん草(ホウレンソウ)は、ビタミンや鉄分が豊富に含まれる栄養価の高い緑黄色野菜として広く利用されています。
ほうれん草(ホウレンソウ)の「えぐみ」成分でお馴染みのシュウ酸は、茹でることで減らすことができます。サラダ用のほうれん草(ホウレンソウ)以外は、一度軽く茹でた方が美味しくいただけます。
ほうれん草(ホウレンソウ)の保存方法
冷蔵保存
湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、乾燥しないようにビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
冷凍保存
ほうれん草(ホウレンソウ)を軽く茹でた後、しっかりと水気を絞り、小分けにしてラップにくるみます。その後、密封袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
ほうれん草(ホウレンソウ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
収穫 |
ほうれん草(ホウレンソウ)の栽培環境
日当たり・置き場所
ほうれん草(ホウレンソウ)は、日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。
温度
生育適温は15~20℃ですが、低温に強く-10~-15℃にも耐えます。25℃以上では生育が抑制されるため、高温に弱く、低温に強い傾向があります。
西洋種は春まきに、東洋種は夏以降に種をまき、秋から冬にかけて収穫するほうがよく育つようです。品種改良により、耐暑性に優れた品種も流通しています。
用土
ほうれん草(ホウレンソウ)は酸性を嫌います。酸度調整はしっかり行いましょう。
プランター栽培のほうれん草(ホウレンソウ)は、野菜用の培養土で育てます。
畑栽培のほうれん草(ホウレンソウ)は、植え付け前に土を耕す準備が必要です。
畑の土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに種まきや植え付けができます。
ほうれん草(ホウレンソウ)の育て方のポイント
水やり
生育初期のころは葉と根にしっかりと水を与え、その後は土が乾いてからたっぷりと与えましょう。
肥料
施肥が多いと病害虫が発生しやすくなるため、2回目の間引きの後に1度施すくらいでよいでしょう。
ただ、外葉から長く収穫する場合には2週間おきに葉の様子を見て、葉が黄色くなりそうな場合のみ追肥をしましょう。
ほうれん草(ホウレンソウ)の詳しい育て方
選び方
種をまく時期に合うほうれん草(ホウレンソウ)の品種を選びましょう。春にまく場合は、とう立ちしにくい春まき用を、夏にまく場合は耐暑性のある品種を選ぶと育てやすいです。大まかにいうと、西洋種が春まきに適し、東洋種が秋まきに適しています。
葉の形や色、生長の速さ(早生・晩生)、ベト病や萎凋病などの耐病性など、こだわりたい特性で選ぶ方法もあります。
種まき
ほうれん草(ホウレンソウ)の種は、硬実種子といって硬い殻に覆われています。そのため、種は1晩水につけておくと発芽しやすいです。または、ネーキッド種子といって硬い殻を取り除き、中の種を取り出す加工をされた種が売られています。種袋を確認して、発芽しやすい状態で種をまきましょう。
写真は加工された種です。加工された種は色が付いていて、どこにまいたか一目でわかるので重宝します。
種はバラまきにするか、溝を作ってすじ状にまきます。
すじまきで種をまく場合は、畝に種をまく溝(まき溝)をつけます。15cm間隔で、幅2cm、深さ1cmくらいの溝がまきやすいです。板切れや短めの支柱などを使って真っすぐに溝をつけましょう。
種を密にまいて、それがすべて発芽すると間引きする手間がかかります。ただ、有効期限が切れている種は発芽率がぐんと下がるので、古い種は少し多めにまきましょう。
種をまいたら、まき溝を指でつまむようにして土をかぶせていきます。
手のひらで軽く押さえてなじませます。
春の初めはまだ気温が低く朝晩冷えることがあるため、生育を良くするために種まき後は不織布をかけます。虫よけ対策にもなるので、不織布をかけた方が葉が美しく育ちます。
不織布をかけた上からたっぶり水やりをして、種まき完了です。発芽までは、土が乾ききらないように適宜水やりしましょう。
種まきから10日後の様子です。再び不織布をかけて、土が乾いたら水やりを続けます。
▼ほうれん草(ホウレンソウ)の種まきについて詳しくはこちら
間引き
葉の生長に合わせて順次間引いていきましょう。目安としては、本葉1~2枚の頃に3~4cm間隔に、本葉3~4枚の頃に5~6cm間隔に間引きます。
種まきから約30日ほどの様子です。不織布の中には雑草が生えてくるので、小さいうちに必ず抜き取りましょう。
種まきの時に、種をまきすぎることなく等間隔にまけると、間引き作業が楽になります。実際、種のまき方によって間引きのボリュームやタイミングも変わります。株と株の間が窮屈にならないように間引きしましょう。
必要な部分だけ間引いたあとの様子です。間引きをすると、土の表面が崩れて残った株がぐらついたり根がむき出しになるので、周りの土を株元に寄せておきます。再び不織布をかぶせて、水やりをします。
間引きから1週間後の様子です。
株と株の間を1~2本ずつ抜いて間隔をあけ、土寄せをした様子です。不織布をかぶせて水やりを続けます。
▼ほうれん草(ホウレンソウ)の間引き~収穫について詳しくはこちら
花
春から夏にかけて種をまいたほうれん草(ホウレンソウ)は、とう立ちしやすい傾向があります。雌株と雄株で花の形が違います。
収穫
本葉10枚程度、草丈が20cmくらいになったら引き抜いて収穫をします。
最近は異常気象の影響により、収穫が大幅にずれる傾向があるので、生育の様子や、天候を考えながら育てましょう。
春まきの場合は、とう立ちする前に早めに収穫しましょう。写真はとうが立って茎が伸びているほうれん草(ホウレンソウ)。もうすぐ花が咲きそうです。この状態になると葉茎が硬くなって味が落ちます。
秋まきのほうれん草(ホウレンソウ)は、外葉から摘み取るように収穫すると、長い期間収穫をすることができます。
夏越し
ほうれん草(ホウレンソウ)は基本的に冷涼な気候を好み、夏に弱い性質があります。夏に種まきや栽培をする場合は、耐暑性に優れた品種を選びましょう。